「貴方がガイア・ウッドロードさんですね」
ガイアの前に地球人とゼントラーディー人のハーフの女性が現れた。
「私はケイオス・ラグナ支部 バルキリーパイロット育成教官『ミラージュ・ファリーナ・ジーナス』です。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします。ミラージュさん」
「事前に貴方の経歴を調べさせて頂きました。ガイア・ウッドロード。元新統合軍所属艦マクロス・スフィア直属のバルキリー小隊『スフィア小隊』小尉26歳。20歳の時に新統合軍の長距離移民船団『サークル船団』の第31バルキリー分隊に入隊。数々の功績を挙げ22歳の時にサークル船団防衛軍バルキリー特務部隊『インフィニティー』に転属。そこでの実績を買われ、昨年から『スフィア小隊』に所属。しかし、3ヶ月前に一身上の理由により、『スフィア小隊』だけで無く新統合軍から除隊。現在はマクロス・スフィアの歌姫『雲間天』のマネージャー…ですか」
「アポイントを取って3日間でここまで」
「ケイオスならこれくらい当然です。ところで、貴方は私と共に行動する理由をご存じですか」
「バルキリーパイロットなんですよね。ミラージュさん」
「えぇ、今は戦場よりも教官としての職務が大半ですが」
「俺をテストして頂けませんか」
「…わかっているようですね。ついて来てください」
辿り着いたのはバルキリーのドックだった。
「30分後にテストを開始します。貴方にはあちらのVF-1を用意していますので機体をチェックしテストに向けて万全に調整しておいてください」
「わかりました」
ミラージュは呼ばれその場を離れた。
(VF-1か、学生の頃の訓練以来だな。成る程、機体性能は最新鋭機に近い状態にアップデートされているのか)
「ウッドロードさん。準備はよろしいですか」
「いつでも行けます」
「では始めましょう」
一斉に飛び立つVF-1達
(何機飛んでいるんだ)
「今、飛んでいるのはラグナ支部の訓練生総勢20名です。貴方が最低限達成するべき目標は貴方が最後の1人になること、訓練生とはいえじきにラグナ支部のバルキリー部隊を背負う将来期待の有望株達です。油断されないことをオススメします」
「ご忠告。ありがとうございます」
ラグナの空へ飛び立つガイア。一斉に後続からロックオンされる。
「コイツら、全員俺狙いか」
「彼等には貴方を撃ち落とした者に卒業時に最新鋭のバルキリーを受領出来るよう手配すると発破をかけています」
「…リップサービス感謝します」
ラグナの空を入り乱れるバルキリー達。天はその様子をモニターで観ていた。
(ガイア…)
「雲間さん。貴女も時間よ」
レッスン着に着替えた天を待ち構えるカナメ。彼女も自らに課せられた試練に挑もうとしていた。
(流石に、6年間順調なステップを踏んでいるだけありますね。訓練生達では相手になりそうにありません…)
「これで、最後だ」
約2時間の空中戦を制したガイア。
(これで…ロックオンされた)
急速に接近する1機のVF-1
(こいつ、巻けない。さっきまでの訓練生とは違うぞ)
「流石ですね。ガイアさん、今度は私の相手をしてください」
「その声…ミラージュさん」
「見せてください。貴方の力を」
一進一退の攻防を繰り広げる2機。
(基本に忠実な飛び方なのに、ターゲット出来ない)
「どうしましたか、最前線の力は今はこの程度なのですか」
「なにを…」
「貴方は何故再び空を飛ぶことを選んだのですか」
「えっ」
「闇雲に戦場に出ても死ぬだけです。貴方を再び空に突き動かしたモノはなんですか」
「俺は…俺は」
(♪~♪)
(歌…この声は天)
(わー。あれがバルキリーですの)
(そうだ。僕達の空を守る翼だ)
(カッコいい…)
(…大きくなったら僕が二人をバルキリーに乗せて挙げるよ)
(本当ですの楽しみにしていますわ)
(うん。待ってる。早く乗せてね)
「俺は…二人との『約束』を果たす為に戦う」
(雲間さんとウッドロードくんのフォールドレセプターの同調を確認。そっか、この二人は…)
「迷いを振り切ったようですね」
ミラージュのバルキリーが背後を取る。
「もらった」
ロックオンの瞬間。ガイアのバルキリーは急上昇し機体を反転させる。ミラージュが目追うがガイアのバルキリーが日の光と重なり、思わず目を反らす。その隙にガイアのバルキリーの攻撃が命中した。
(この戦法は…私もまだまだですね)
「よし」
「テスト終了です。お疲れ様でした…貴方が飛ぶことを選んだ時のことは思い出せたようですね」
「はい。ありがとうございます。ミラージュさん」
「その時の想いを忘れないでください。その時の想いが貴方の進む道を導いてくれるはずです、さあ手続きをしましょう此方へ」
ミラージュから案内されて始めた手続きを終えた頃には日が沈んでいた。
「お疲れ様。合格したみたいね」
「天。そっちは」
「なんとかパスしたわ」
「そうか。ありがとうな、またお前の歌に救われたよ」
「そう…。どんなテストだったの」
「自分が空を飛ぼうと思った時のことを思い出す為の総勢22機のドックファイト。思い出したよ『あの時の約束』」
「約束…」
「そっちは」
「私も似たようなものね、何故。歌手を目指したのかを思い出すためのレッスンだった」
「天が歌手を目指したきっかけ…そういえば聞いたことなかったな。何でなんだ」
「それは…その…」
「二人とも大変だ」
相沢が慌て二人の前に走ってきた。
「相沢さん。どうしたんですか」
「マクロス・スフィアがオリオン銀河皇国に見つかった」
サークル船団最後の要に危機が迫っていた。