「言って見るもんだ。ホントに大物だぜ、こいつはよ」
湖から姿を現した巨大な竜型百鬼メカを前にした號は、自らのゲッターと比べて人間と大型トラックほどのサイズ差にむしろ戦意をみなぎらせていた。
敵の武装は見るからに頑強な牙と、触手状の器官の戦端に存在する竜の頭だろう。腕部は小さく、攻撃力は低そうだ。
竜、ドラゴンを連想させるゴツゴツとした鱗を持ち、背中にごく小さなコウモリに似た翼があるものの飛行はできそうにない。
研究所のある咆哮に向かってじわじわと迫る様子を見ると、機動力そのものがそれほど高くはないのだろう。
「……!! 百鬼帝国から通信、これはブライ大帝です!」
管制室の通信スタッフが声を上げるとともに、室内に設置されていた大型ディスプレイにブライ大帝の姿が映し出された。
ブライは玉座のような、それでいて科学的機械的な装置の多数取り付けられた椅子に座って、画面の向こう側からこちらを睥睨している。
「ごきげんよう、橘研究所の諸君。見知った顔もあるが、私の名はブライ、百鬼帝国のブライ大帝。どうぞよろしくお見知りおきを……」
「ブライ! 通信なんざ入れやがって、何のつもりだ!?」
慇懃なブライの態度に、これまでの戦いを見ているしかなかった竜馬が鬱憤を込めて噛み付いた。
ブライは、そんな竜馬の様子を軽い笑い声で受け流すと、部下に命じてグラスに飲み物を持ってこさせる。
「新しいゲッターロボが完成すると聞いて、見学の手土産の一つもと思ったのでね。魔竜鬼、気に入ってもらえると嬉しいのだが」
「魔竜鬼……」
湖上でゲッター號とにらみ合う竜型百鬼メカに視線を向ければ、その頭部には鬼のものか竜のものか隆立する一本の角が見て取れた。
機械的なイメージの強い百鬼メカにしては生物的に過ぎる気がするが、何も全ての百鬼メカを覚えているわけでもない。
それに、この世界のすべてが"原作"と同じでないことなどはとっくの昔に分かっていたことだ。
「魔竜鬼だかなんだか知らねえが、歯ごたえがあるってなら文句はねえ! 行くぜ!」
そこで待ちきれなくなったのだろう、ゲッター號が湖の水を蹴立てて魔竜鬼へと挑みかかった。
「レッグブレード! オラァ!」
相対する魔竜鬼は触手を伸ばして迎撃の体勢をとるが、號はこれを巧みな足さばきでまとめて両断して見せた。
しかし先端を切り落とされた触手は、小さな虫が蠢くように肉を盛り上げて再生してしまう。
「ちっ、きっしょく悪い体してやがるぜ。ハンディキャノン!」
號は数を増やして再び攻撃を仕掛けてきた触手をバックステップでやり過ごすと、腕部に内蔵された機関砲でけん制を行う。
放たれた弾丸が魔竜鬼の触手や本体に着弾して肉を砕くが、その傷も何でもないように再生してしまった。
《Guooooo!!!》
「うあっち!? この野郎!!」
そして傷を癒した魔竜鬼は、その口から大量の炎を吐き出した。湖面が赤く染まり、ゲッター號の装甲が熱に晒される。
慌てて距離を取りながらハンディキャノンを乱射する號だが、結果のほどはさきほどと変わらなかった。
「號、なんなら私が代わろうか?」
「くっそ、黙ってろよ翔! これから俺が決めるんだからよ!」
機内でそんなやり取りを交わしながらもゲッター號は、両手を組むと背部に搭載されたゲットマシンの回転翼を起動させ風を巻き起こした。
風は相当な勢いで吹き付けるが、巨体をほこる魔竜鬼を足止めするには至らない。
「むう、マグフォースサンダーか」
「博士、マグフォースサンダーとは?」
僕の問いかけに、橘博士は「うむ」と一つうなずくと説明をしてくれた。
ゲッター號は両腕に強力なプラズマ砲『プラズマサンダー』を搭載しているが、プラズマエネルギーは地球の重力や磁気の影響を受けて直進しない。
それを解消するために背部のローターから放たれる磁気嵐でプラズマの『道』を作り上げ、武器として完成したのがマグフォースサンダーである。
「威力こそはゲッタービームにやや劣るが、照射時間や連続使用回数の面では勝る」
「それならそのマグフォースなんたらじゃなくて、ゲッタービームでいいんじゃねえのか?」
隣で説明を聞いていた竜馬がそう言って首を傾げた。
そう言えば橘研究所に着いてすぐに百鬼帝国の攻撃が始まったから、竜馬はゲッターロボ號についてまったく知らないのだ。
僕も詳細については知らないが、それでも他のゲッターロボとの最大の違いについては知悉している。
「ゲッターロボ號にはゲッター炉心が搭載されてない。ゲッタービームは撃てないんだよ、竜馬」
そうゲッターロボ號は、ゲッター炉心ではなくプラズマエネルギー反応炉を搭載した特殊なゲッターロボである。
装甲や機体構造にゲッター線の応用技術を用いてこそいるが、ゲッター炉心を持たないためにゲッターエネルギーを利用した兵器は搭載していない。
そう言った意味では、ゲッターロボ號は厳密には準ゲッターロボとでも言うべきなのだろう。
「なんでそんな面倒くさいことしてんだよ……」
竜馬の言うことも分からないではないが、まあNISAR関係で色々と理由があるのだ。ゲッターエネルギー一点への依存を危惧したとか。
だがおそらくはゲッター線関連技術がまだまだ新しい分野で、ノウハウの蓄積があり諸外国とも技術協力がしやすい動力を求めたことが一番だろう。
政治や組織のしがらみもある部分で、父さんがそれらと可能な限り距離を取っていた理由でもある。
「よし、行くぜっ、マグフォースサンダー!」
そうして説明をしている間にも、エネルギーの充填を終えたゲッター號が、電撃の嵐にも見える攻撃を撃ち放った。
荒れ狂うプラズマエネルギーは磁気を帯びた風に導かれて、魔竜鬼の巨体を打ち据えて緑色の鱗を焼き焦がしていく。
やがてエネルギー放射が止まると、表面を黒く炭化させた巨大な塊がゆっくりと崩れ落ちた。
「へっ、どうだ、見やがったか。黒焦げだぜ!」
《Giooooo!!》
勝ち誇った声を上げる號だったが、それから幾らも時間を置かずに魔竜鬼はサナギを破るようにして外皮を再生させて見せた。
盛り上がりながら再生して行く肉からぬらぬらとした体液を帯びた鱗が生え、やがて完全に元の状態を取り戻してしまう。
「ふはは、どうやら苦戦している様子だな。どうだ、魔竜鬼は中々頑丈だろう?」
「ブライ!!」
通信越しに届いたブライの嘲るような声に、號が噛み付くようにして吼えた。
しかし画面の向こうの鬼の王は、その叫びを気にした様子もなくグラスを傾けている。
「このまま諸君の奮戦を眺めているのもいいのだがね、ここは一つ私からの余興をご覧にいれよう。―――やれ」
ニヤリと牙を見せて笑いながら、ブライは部下に向けて何かの指示を出して見せた。
すると間もなく魔竜鬼に変化が現れる。
「な、なんだ、こりゃあ」
「っ……」
「お、おえっぷ」
號が呆けたような声を上げ、コクピット内で翔が映像から目を背けているのが見えた。剴などは明確に吐き気をこらえている様子だ。
魔竜鬼の表面を覆っていた鱗がザワザワとうねり、その合間からナニカがひしめき合ってウゾウゾと蠢く肉となってはいずり出してきた。
ナニカは奇声を発して混ざり合い、互いを喰らいあうように波打ってはまた溶け合って一つになることを繰り返す。
肉塊のようになった魔竜鬼が吼える。その叫び声は、どこか哀しみをはらみながら響きわたるのだった。
ゲッターロボ大決戦! 早乙女達人編
第十話:魔竜鬼の嘆き
魔竜鬼の変貌を前に、ブライは愉しげにグラスを揺らしニヤニヤと牙を見せて笑いながら口を開いた。
「魔竜鬼は、トカゲどもの巣を破壊した時に回収した生き残りが材料でね。……そら、聞いてみたまえ」
クツクツと笑い声をもらしながらブライが何かの機械を操作すると、一瞬のノイズが混じり魔竜鬼の咆哮が人の声へと変わる。
《あ、あ、イタイ、痛い、いたい!》
《なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで》
《ぐ、ぎ、ヒヒッ、ききききき》
《あー、あー、あー、あ-、あー、ああー、あー、あー、あー、あー》
通信機と翻訳機を通して流れ出す苦悶と狂気、絶望の声に、管制室の職員たちの何人かが口元を抑えて目を逸らした。
魔竜鬼の蠢く肉の中に無数の瞳がキョロキョロとさまよって、やがてその瞳たちは相対するゲッター號を一点に見据えた。
幾つ付いているかも分からない口が、口が、口が、声を上げる。
《殺してくれ》と。
「てっめぇぇぇっ! ブラァァァイ!」
「は、は、は、流行りのリサイクルとやらを意識してみたのだがね。お気に召さなかったようだ。ま、元々がゴミなのだ、好きに処分してくれたまえ」
画面越しにも殺意を感じられるほどの號の声に、ブライは挑発的に肩をすくめるとそう言い残して通信を切断した。
コクピットシートを強く叩く音がこだまする。僕の隣では、竜馬もまた行き場を失った怒りに拳を握りしめていた。
「クソったれ! もう一回だ、もう一回マグフォースサンダーをぶち込んでやる!」
「ダメだ號。マグフォースサンダーでは、魔竜鬼の再生力に対抗できない」
「なんだよ翔! だったらこのまま見てろってか!?」
怒りに満ちた號の叫びに、翔が黙り込む。その怒りが號自身にも向けられていると気付いたからだろう。
「ならその役目、私達に任せてもらおうかしら!」
閉塞した雰囲気を断ち切ったのは、空中から舞い降りたゲッター烈火と水樹くんの凛とした声だった。
桃色の装甲のゲッターが、ゲッター號の隣に並び立つように浮遊して魔竜鬼と相対する。
「茜か! 北の敵はどうなった?」
「はい、橘博士。大部分は撃墜、残りの敵は神さんが引き受けてくれました。まさか海の底から近づかれているなんて……」
そう言って悔しげに唇を噛む水樹くんだが、彼女たちが撃墜した敵の数を考えれば褒められこそすれ責める理由はない。
それでも研究所が攻撃を受けた事実を重く受け止めているのは、水樹くんの性格からくるものだろうか。
「號、状況は聞いていたわ。あの魔竜鬼がハチュウ人類と言うなら、烈火の武器が有効なはずよ」
「……くそっ。頼むぜ茜」
ゲッター炉心を搭載している烈火には、当然のようにゲッターエネルギー兵器が搭載されている。ハチュウ人類に有効なゲッタービームが、だ。
號は魔竜鬼の姿と打つ手のない自分に悔しげな表情を浮かべると、前衛をゲッター烈火に譲って後方へと下がった。
コクピットを観測する映像の中で翔は瞑目して何も語らず、剴はあからさまにホッとした様子で息を吐いている。
「恐竜帝国とは戦った間だけど、その姿は余りにも哀れだものね……今、楽にしてあげる。斬魔光、発射!」
水樹くんの声とともに、両腕を前に突き出したゲッター烈火の胸部から桜色の閃光がほとばしり魔竜鬼へと突き刺さった。
以前に見た資料によれば、ゲッター烈火の『斬魔光』は射程と収束率に優れた超射程型のゲッタービームだ。
純粋な威力ではゲッタードラゴンのゲッタービームにやや劣るものの、その破壊力はマグフォースサンダーや従来のゲッタービームを上回る。
だが……。
「そんな!?」
斬魔光の一撃は間違いなく魔竜鬼に命中し、ハチュウ人類特有のゲッター線への脆弱性から大きなダメージを負わせた。
その肉体はドロドロに溶け出し、背骨からほとんど真っ二つになって白骨を晒している。
《イタい、トける、カラだが、アツい、ヤケる、クルしい、コワい、シぬ、シにたくない、シねない、コロせ、コロして、コロさないで》
だが溶解した肉に無数の瞳が浮かぶと、再び溶け合い混ざり合い叫び声を上げた。
それは苦痛に満ちた声ではあったが断末魔ではなく、魔竜鬼の体は粘菌のように癒着して再生して見せた。
「そ、そんな、斬魔光が効かない!?」
「いや違う効いていないわけじゃない。それでも、ヤツの再生力の方が上回っているんだ」
僕は管制室からの観測データを確認しながら、水樹くんに声をかけた。
斬魔光は間違いなく魔竜鬼にダメージを与えてはいた。だがゲッター線と言う弱点を突いてなお、その再生力を突破できなかったのだ。
コレを打ち破るにはシャインスパークのような問答無用の一撃を打ち込むか、あるいは相手の再生力が限界を迎えるまで攻撃を続けるかだが。
「斬魔光の連射にも限界がある。魔竜鬼の再生力がどこまで保つか分からないが……」
同じくデータを確認していた橘博士が首を左右に振る。斬魔光の連射よりも、相手の再生が上回る可能性が高いと言うことだろう。
現在のゲッタービームは、どうしても砲の冷却とゲッター炉心のエネルギーチャージで再発射までに時間が掛かる。
それに連射が可能だとしても苦悶の叫びをあげてのたうつ魔竜鬼の姿に、攻撃を行う人間の精神が耐えられるかどうか……。
「おい茜、俺もやる」
「號? でも、あなたたちのゲッターの武器じゃあ……」
「んなこと言ってられるかよ! 使えるものは何でも使ってヤツを倒すしかねえ!!」
號がそう言うとともに、再びゲッター號の背中のローターから磁気を帯びた風が吹き始めた。
「いいか、マグフォースサンダーを撃ち込んだらすぐに斬魔光だ! 再生する前に焼き殺してやる!」
「だけどそれで倒せる保証は!」
「保証なんてあるか! 倒せなかったら倒せるまでやるんだよ!」
號の叫びとともにジワジワと前進する魔竜鬼を猛風が真っ向から迎え撃ち、両腕に蒼いプラズマエネルギーが収束した。
プラズマ光は、バチバチと音を立てて空気を焼きながら出力を上げて行く。どうやら最初に放ったよりも出力を上昇させているようだ。
「行くぜっ! マグフォォォォォス! サンダァァァァッ!!」
「くっ、斬魔光!」
《Giyaaaaaaaa!???》
猛烈なエネルギー放射の嵐が降りそそぐとともに、桜色の一閃が再び走った。
魔竜鬼は絶叫を上げてのたうち、ゲッターエネルギーによって肉体を溶解され、ついに竜の形すら保てずに崩れ落ちた。
「くそっ、ダメか! ならもう一発だ!」
號の吐き捨てるような言葉の通り、マグフォースサンダーと斬魔光の連続攻撃を受けてもなお、魔竜鬼は生きていた。
ほとんど肉のスライムのようになりながらも既に再生をはじめ、徐々に徐々に元の姿を取り戻そうとあがいている。
《お、オオ、オオオォオオ……》
変化が起きたのは、間髪入れずに二発目のマグフォースサンダーが放たれようとしたときだった。
地の底から湧き上がるような、深い深い怨嗟の叫びが魔竜鬼から漏れだした。
そして溶け落ちたその肉体から、ゴボリと泡立つようにして一つの『顔』が現れた。
《口オシや、口惜しや、主君の遺命を果たせず鬼などと言う胡乱なものに国を滅ぼされ! 嗚呼アア……》
眼球が失われた眼窩からドロドロと肉色の粘液を血涙のように流すハチュウ人類の男。
バット勝軍とともにゴールの宣戦布告に同席していた、側近と目されていた存在の一人。
その名はたしか……。
「ガレリィ長官……?」
《そうだ人間どもよ。ワシはガレリィ、かつて偉大なる恐竜帝国の科学長官であった男。だが見よ、もはやこの魔竜鬼の一部でしかないこの姿を》
ガレリィ長官の顔は、波打つように揺らぎながら自分たちに起きた出来事を語った。
百鬼帝国に囚われ実験と改造の末に支配下に置かれたこと、多くのハチュウ人類が合成され魔竜鬼となったことを。
その語り口からは強い悲哀と無念、絶望、そして鬼に対する底しれぬほどの憎悪がにじみ出していた。
《こうして話せているのは貴様たちの攻撃によって制御が緩んだからに過ぎぬ……。やがて我らは再び魔竜鬼となるだろう》
何かをこらえるように、そこで言葉を区切ったガレリィ長官は、わずかに瞑目して再び空洞になった目を見開いた。
すると彼の顔が浮かび上がった場所を中心にして無数の瞳が現れ、キョロキョロと周囲を見回し始める。
《今、ワシと同じく核の役割を持つ者を周りに集めた。ここを撃てば魔竜鬼は死ぬ……。頼む、ゲッターロボ。ワシを、ワシ等を、殺してくれッ!》
「っ……」
誰かが息を呑む音が聞こえた。
種族の違い、生存競争とも言える戦争を争った相手であるというのに、ガレリィの声を聞いた管制室の人々の表情には哀れみが満ちている。
「どうする、なんなら俺がやるぜ?」
「―――大丈夫。私がやる」
最前までの怒りと闘志に満ちたものではなく低く平静な號の声に、覚悟をはらんだ水樹くんの声が答えた。
一瞬で、少しでも苦痛なく彼らを送るには、ゲッタービーム……斬魔光しかなかったからだ。
「茜……」
「茜ぇ~」
秋山くんと柴崎くんの気遣わしげな声を受けながら、ゲッター烈火はガレリィ長官を正面に捉えるように高度を上げた。
ゲッタービームの輝きが、その胸元に灯る。
《そうだ、殺せ! 殺してくれぇ! せめて恐竜帝国の誇り高き臣として、死なせてくれゲッターロボォ!!!》
ガレリィ長官の嘆きの声がこだまする。彼の近くに集まったハチュウ人類の瞳たちも、みな真っ直ぐにゲッタービームの輝きを見つめていた。
「斬・魔・光……ッ!」
ゲッター烈火の両腕が突き出されるとともに、収束された桜色の閃光が空を裂いた。
それは違うことなくガレリィ長官をかたどった魔竜鬼の核へと突き刺さり、彼らの命を燃やしていく。
《ゲッター線に地上を追われ、ゲッターロボに主君を討たれ、いままたその相手の介錯を受ける。ゲッター線とは何なのだ? 我等に何を望んでいた?》
不意に聞こえた独白。苦痛から解放された静かな響きのその問いに誰かが答えるよりも先に、斬魔光の輝きが魔竜鬼の命を絶った。
核になっていた他の瞳たちもガレリィ長官とともに光の中に消え、ゲッター線を浴びて溶け落ちる肉体は今度こそ再生することもなく朽ちていく。
静けさを取り戻した湖面を風が駆け抜け、夕焼けが魔竜鬼であった白骨を哀れむように照らしている。
(分からないさ。きっと、まだ誰にも……)
僕は声に出さず、ガレリィ長官の末期の問いにそう返した。
ゲッターの意志が何を望んでいるのか、そしてもしもゲッター線の導く先に滅びがあるのなら僕たちはゲッターとどう向き合って行くべきなのか。
答えは、まだ出ていなかった。
NEXT 研究所を救え!