一方その頃。早乙女研究所にて。
「おいジジイ! なんで俺を起こさなかった!」
「おお竜馬、起きたか」
怒号とともに格納庫の扉を蹴破らんばかりの勢いで駆け込んできた竜馬を見て、早乙女博士は普段と変わらぬ調子で返事をした。
自分の息子と娘を含めた人間が戦場に身を置いているとは思えない様子に、竜馬はわずかに気勢を削がれてしまう。
「いや、そうじゃねえ! とにかく、俺たちのゲッターロボはどうなってんだ! 一緒に転がってた隼人のヤツもいねえしよ」
「ふむ」
その言葉を聞いて早乙女博士が指先で格納庫の片隅を指し示す。
……そこには、鋼のムクロが鎮座していた。
「おい、どういうことだジジイ……ボロボロのまま、じゃねえか」
装甲を剥ぎ取られ、心臓部であるゲッター炉心を失い、骨組みだけになったゲッター1の姿に竜馬は絶句した。
命を預けてきた相棒の無惨な姿に、どこか己の半身が失われたような、そんな感覚すら感じている。
「ゲッターの修理は間に合わんと判断した。使えそうな部品も抜き取って武装や予備パーツにして戦場へ送ってある。直すには、まあ一ヶ月じゃな」
淡々とゲッターロボの状況について説明する早乙女博士の声に、竜馬の血がカッと熱くなった。
この男の体には血の代わりにゲッター線と機械油が通っている!
そうした激情に任せて振り上げそうになった拳を、誰かの腕が力強く引きとめた。
「遅いお目覚めだな、竜馬さんよ。博士も、あまりこいつをからかってやらんでください」
「隼人!」
そこでようやく、竜馬は早乙女博士の拳が自分と同じように握り締められ、かすかに震えていることに気が付いた。
「すまん、竜馬」
「博士……」
平然として見えたのは気のせいだったのだ。
早乙女博士の内心には、激戦の中を戦う子ども達を心配する心と、そんな場所に我が子らを送り出さざるをえない己への怒りが渦巻いていた。
「わしは達人とミチルたちを戦場に追いたて、また竜馬、お前たちをも……」
「俺たちを? 待てよ博士。なあ、もしかしてあるのか? 俺が、俺たちが戦うための手段が!」
「ある」
竜馬からの問いに対して、早乙女博士は視線を鋭くしてカッと顔を上げた。
そして一枚のカードキーを取り出すと、大股で歩き格納庫の奥まった位置にある一つの扉を開け放つ。
「だが、こいつはまだ調整が不十分。計算上は実戦に耐えうるはずだが、どんな不具合があるか分からん」
そんな説明を耳にしながらも、開け放たれた扉の先。そこに見えた"それ"を目にして、竜馬の顔に闘志が燃え上がった。
やれる。戦える。
気が付けば竜馬の口はつりあがり、白い歯を見せて獰猛に笑っていた。
「はっ! そんなことはどうでもいい! いま戦いに行けるってなら、どんなボロでも乗りこなしてみせらあ!」
「最低限の調整はオレがして見せますよ。博士ほどじゃないですが、そのくらいはできます」
隼人もまた、口の端を上げてニヒルな笑みを浮かべていた。
「よし、そうと決まりゃあ武蔵のヤツは何処だ! まだ寝てんのか?」
「あー、うむ、武蔵の馬鹿だがな……」
息子とそっくりな仕草で頭痛をこらえるように首を振った早乙女博士からその行方を聞いた竜馬は、その場で思う様に武蔵を罵るのだった。
ゲッターロボ大決戦! 早乙女達人編
第七話:新たなる力! 斬とG
ピグドロン軍団による攻撃は、人類の防衛線をズタズタに引き裂いていた。
沿岸の防衛陣地から放たれる砲火は意味をなさず、口から吹き出す溶解液とその巨体をもって次々に死者を量産していく。
僕は、ゲッターバヨネットで手近なピグドロンの装甲を引き剥がしながらも、その戦況に焦りを隠せないでいた。
「兄さん、次の敵の位置を送ります!」
「了解!」
ミチルからの通信を受けて、僕は操縦桿を押し込みペダルを踏む。
飛行が可能でピグドロンの特殊な装甲に有効な武器を持つことから、僕とゲッターゼロは各戦線を飛び回りその迎撃を続けていた。
しかし攻略法が判明した状況でも撃破には時間を有し、また被弾も完全に阻止できず機体の装甲からは白煙が生じている。
竜馬たちが居れば。
そんな思いが、脳裏をよぎらなかったと言えば嘘になった。
《Giaaaa!!》
「しまった!」
そんな弱気な心の隙が招いたのだろうか、ピグドロンの一体にゲッターバヨネットが打ち払われた。
さらに連続した酷使による疲労と溶解液の腐食が重なったのだろう、銃剣の刃は半ばから砕けるようにして失われてしまう。
「っちぃ!」
僕は舌打ちを一つして、機体を突撃させると残ったもう一方の銃剣をピグドロンに深々と突き入れ、引き金を引いた。
傷口から密着状態で射撃を受けて爆散するピグドロンを蹴り飛ばし、再びゼロは空を舞う。
機体や武装もそうだが、僕自身も疲労を強く感じている。かと言って、ピグドロンに対抗可能なゲッターゼロが抜ければ戦線が保たない。
戦い続けるほどに、ジワジワと自分たちが追い込まれていく感覚が全身にまとわりついていた。
「北方から高速で接近する物体あり……これは!」
「敵か!?」
ミチルからの通信を受けて、僕は思わず悪い予感を口に出していた。
しかし、そんな疑念を払うように三つの影が風をはらんで戦場の空を駆け抜けていく。
そして三つの影は、味方の防御陣地を襲っていたピグドロンの一体に向かって突き進むと一つに重なり嵐を起こす。
「火斬刀!!」
凜とした女性の声が響くとともに、大振りの曲刀が二本、ピグドロンをその表皮ごと横薙ぎに挟み込むようにして両断した。
巻き起こる爆発を翼か、あるいは羽織りのようにも見える桃色の稼動装甲で防いだ剣の主は、その姿を衆目の前に現してみせる。
「こちらは斬! ゲッターロボ斬! ゲッター烈火、パイロットの水樹茜です! 北海道・橘研究所より、救援に駆けつけました!」
レーダー上に表示される友軍を示すブルーのシグナル。その場所に重なるのは、新たなるゲッターロボ。
烈火の名に相応しい剣さばきを見せたゲッター1タイプの機体は、曲線的な装甲と桃色基調の塗装も相まってむしろ女性的な柔らかさを感じさせた。
「オープンゲット!」
掛け声とともに、再び三つの影が空を舞う。ゲッター烈火から分離したゲットマシンが向かうのは、次なる敵が待ち受ける場所だ。
「チェンジ、ゲッター! 同じく秋山椿。ゲッター斬、そして私のゲッター紫電の戦い、とくとご覧あれ」
ゲッター烈火のパイロットとは対照的に、怜悧でやや感情の薄い印象の女性の声とともにゲットマシンが姿を変える。
現れたのは頭巾をかぶった女忍者と言った風のゲッターロボ。
右腕に搭載されたドリルに光を灯し、ゲッター2タイプらしい高速機動でメカザウルスの群れを撹乱していく。
「千極針!」
残像を残して海面を疾走するゲッター紫電は、すれ違いざまに次々とメカザウルスに穴を開けていく。
レーザードリル……いや、ゲッタービームドリルと言うべきだろう、エネルギーの刃が表面を伝うドリルが、敵の装甲を食い破っていった。
しかしゲッタービーム対策を施されたピグドロンには、その攻撃力も幾分か減殺されてしまったようだ。
「あら、思ったよりも頑丈なのね。楓、後は任せるわよ。オープンゲット!」
表皮に穴を穿たれながらも長大な爪を振りかざすピグドロンを、ゲッター紫電は悠々と振り切ってまたも分離する。
「ちぇーんじ、ゲッターこんごーう! どうもー、ゲッター金剛は柴崎楓ですー。よろしーく」
間延びした女性の声とともに、クルリと空を舞ったゲットマシンが水しぶきとともに合体し変形した。
ゲッター金剛は、黄色の塗装がされた上半身とたくましい両腕を持つ、金剛力士像のような印象を受けるゲッター3タイプだ。
「よいっしょー!」
《Giyoooo!???》
金剛は、その豪腕に違わぬ張り手の一撃をもって軽いとは言えないピグドロンを吹き飛ばしてのける。
「大刃しゅりけーん」
次いで、ゲッター金剛は背中から巨大な金属刃を取り出すと、それを八方手裏剣の形状に変形させて投げはなった。
クルリクルリと飛翔した手裏剣は、倒れ込んだピグドロンに向かって飛びゲッター紫電が穿った胸部の傷に深々と突き刺さる。
『どーん!』
そしてそんな間の伸びた声とともに、手裏剣が爆発した。
体内に食い込んだ巨大な刃が爆発したピグドロンは、ひとたまりもなく内側から胴体が破裂して動かなくなる。
「オープーンゲーット」
「チェンジ、ゲッター烈火! 敵の新型、ピグドロンの情報は頂きました! 私たちが抑えている間に戦線の建て直しを!」
再びゲッター烈火の姿に変わったゲッター斬からの通信が届く。たしかに彼女たち、特に火斬刀を持つゲッター烈火はピグドロンと相性が良い。
空から舞い降りた新たなゲッターロボの姿は、押し込まれていた友軍にとって救いの女神だったのだろう。地上部隊の士気も回復している様子だ。
「こちらは早乙女研究所、ゲッターゼロの早乙女達人。ゲッター斬の救援に感謝する!」
「コマンドマシンよりゲッター斬。私からもお礼を言うわ。茜、椿に楓も助けに来てくれてありがとう」
「いえ! ミチル先輩のお役に立てたのなら私たちも嬉しいです!」
通信機越しにもわかる気安げなやり取りに、僕は軽く首をひねる。
ミチルの声音を聞いても、どうにも初対面ではないらしい。
「知り合いなのか? ミチル」
「あ、ええ、そうなの。高校の一年後輩で、橘研究所で働いていることは知っていたのだけど……」
東京の高校に通っていた僕とは別に、ミチルは研究所に近い浅間学園高校を卒業しているので彼女たちもそこの出身と言うことになるだろう。
ゲッターロボのパイロットだったことは初めて知ったらしいが、それにしても世間は狭いと言うべきか人材は居ると言うべきか。
そう言えば"原作"のアニメ版では竜馬たちも普通の高校生だったなと、そんなことを思い出す。
「んっ、それより、ミチルも大丈夫か? お前もずっと飛びっぱなしだろう?」
「私は大丈夫よ。コマンドマシンのコンピュータに任せれば、飛びながらでも休憩はできるから」
「達人さん! 補給の準備できています。着陸はオレンジのマーカーへ!」
多少の雑談を交わしながらコマンドマシンと帯同して拠点に近づくと、南風くんからの通信が届く。
それに従って地面を見下ろすと、オレンジの線が×の字に引かれた一点が目に入った。
「了解。これより着陸する」
そう言って外部スピーカーで警告を出してから、僕は指定された地点に向かって機体を降下させていった。
ミチルのコマンドマシンは翼を上下に振ると、再び管制のため高高度へと上昇していく。
着陸後に改めて確認するとピグドロンに荒らされた被害の片付けも済んでいて、BTや量産型ゲッター3を中心に防衛体制も再編できている様子だ。
「おかえりなさい、達人さん。ではこれから修理と補給作業を開始しますね」
近づいてきた南風くんの乗ったBTの修理装置と陸戦隊によって、ゲッターゼロの装甲に付着した溶解液が洗い流されていく。
それから破損した部分を特殊なパテで埋めていくのだが、一部は上から新規の装甲板を溶接して補強するようだ。
唯一残っていたゲッターマシンガンも一度取り外され、新たに予備が取り出されている。
「!!! か、海底から超巨大エネルギー反応接近!!!」
そして一通りの修理と補給を終えたその時、僕の耳には通信越しにミチルの悲鳴のような報告が届くのだった。
《猿どもよ、よくもここまで耐えて見せた! 忌々しくも新たなゲッターロボを作り上げたことも見事!》
ゴールの声が、通信機越しにではなく直接に大気を揺らして朗々と空の下に鳴り響く。
沸騰するように海水を泡立てて海底から浮上して来たのは、岩石と鋼鉄の中間のような奇妙な質感をもった巨大な双胴艦だった。
《しかし! この恐竜戦艦を前にしては全てが無駄だと知るがよい!》
戦艦。
その言葉に、僕は"原作"における恐竜帝国の最終兵器、最強のメカザウルスの姿を思い出す。
だが姿を現した恐竜戦艦なる兵器は、生物的な要素が強かった原作の無敵戦艦ダイとは異なり、むしろ機械的な造形をしている。
艦橋部分に似た箇所は見て取れはするし巨大な双胴艦と言う点もある意味では共通しているものの、外見的には人類側の艦船に近かった。
《さあ、恐怖するがいい! マグマ砲、発射ァ!》
そしてゴールの叫びとともにその巨大戦艦のなかでもひと際巨大な砲塔が唸りをあげ、文字通りに火を吹いた。
赤熱した巨大な流体が青い空を赤く焼きながら飛翔し、味方の防衛陣地の中央部に着弾して炸裂する。
「ちゅ、中央の防衛ラインが壊滅! メカザウルスが雪崩れ込んできます!」
着弾点からは赤々と赤熱した溶岩が流れ出し、海水と接触して水蒸気爆発を引き起こしている。
たった一撃、それでこれまで耐え続けてきた人類の防衛線はあっさりと崩壊したのだ。
「あっ、司令部より通信! 後退命令が出ました!」
「あの砲撃じゃあ防御陣地も役立たずだからな……よし、ゲッターチームの地上部隊は撤収! 物資は放棄していい、急げ!」
味方が防衛陣地を放棄して撤退を開始する中に、恐竜戦艦から激しい砲撃が降りそそいだ。
幸いにもそれは先のマグマ砲ではなく通常の砲弾によるものであったが、それですらけっして楽観できない破壊力を有している。
マグマ砲を使用してこないのは連射が利かないから……と、今は考えておくしかないだろう。
「囮はゲッターゼロでやる! とにかくあのデカブツの砲撃を引きつけないと……」
「それなら、私達のゲッター斬が!」
「ダメだ、ゲッター斬が抜けるとピグドロンに対抗できない。味方の撤退援護は君達に頼むしかないんだ」
姿を現したものは倒し切ったとは言え、ピグドロンが再出現した場合に備えるにはゲッター烈火が適任だった。
僕は補給スペースから予備のゲッターマシンガンを取り上げてゼロに装備させると、フットペダルを踏んで前線に向かって機体を飛ばす。
そうして陸地から幾らも離れないうちに、恐竜戦艦の巨大な姿が目に飛び込んできた。
《来たかゲッターロボ! 灰色のゲッター、貴様はバットの仇と聞いた! あやつの墓前にその首を捧げてくれようぞ!》
ゴールの声とともに、再びマグマ砲が火を吹いた。狙いは、僕だ。
速度は緩めない。緩めれば通常弾の餌食になる。高速を維持したまま、操縦桿を押し倒して水面ギリギリを抜けるしかない。
……。
一瞬、全ての音が消え去ったような緊張感。次いで背後で巨大な爆発が閃いた。
《くくっ、やりおるわ! メカザウルスを発艦させい! 灰色のゲッターロボをなぶり殺しにせよ!》
必殺の砲撃を回避されながらも、ゴールは余裕を崩さずに次なる指示を発していた。
恐竜戦艦の艦橋近くの隔壁が展開され、そこから多数の飛行型メカザウルスが翼を広げて飛び出して来る。
「ゲッター、マシンガン!」
僕は二挺持ちにしたマシンガンで迎撃を開始するものの、恐竜戦艦からの対空砲火に戦果は中々上がらなかった。
流れ弾の一部がその甲板を打つこともあったが、目立った損害は生じていない。見た目どおりの頑強さだった。
《そのような豆鉄砲で何ができると思った! クワッハハハ!》
ゴールの哄笑が響く中、ゲッターゼロは数を増すメカザウルスに阻まれ徐々に包囲網を狭められていく。
そして……。
《終わりだな、灰色のゲッターロボ。なに寂しがることはない。他の猿どももすぐに送ってやろう》
マグマ砲の砲門が、赤い光を灯してこちらを向いた。
周囲にはメカザウルスの軍勢。もろともに撃つ気だろう。回避は、不可能だった。
《マグマ砲、撃……》
「うおぉぉぉぉぉ!!!」
海中から、雄叫びとともに武蔵の量産型ゲッター3が飛び出して来たのだ。
後部のブースターを吹かしたゲッター3は、勢いのまま恐竜戦艦の甲板まで飛び上がり、その腕でマグマ砲の砲塔にしがみついた。
ゲッターゼロに狙いをつけていた砲は、それによって狙いをそらされ虚空を貫いて海へと落ちる。
「へっ! ゴール、てめえ、この野郎! この武蔵様を忘れやがって! 達人さんもだぜ水臭い!」
「武蔵、何でここに!? いや、それよりも無茶だ、早くそこから離脱するんだ!」
《や、野蛮な大猿めが! ヤツに砲撃を集中しろ!》
ゴールの苦虫を噛み潰したような声とともに、マグマ砲周囲の副砲から砲弾が飛び出した。
装甲が弾け、機関が煙を吹き、徐々に徐々に量産型ゲッター3はその守りを失っていく。
「へへへっ、トカゲ野郎が! こんなもんでえ、このオイラがどうにかなるもんかよ!!」
「ダメだ! やめろ! やめるんだ武蔵!」
笑って啖呵を切る武蔵の声に、背筋に走る怖気を感じて僕は叫んでいた。
ひび割れた装甲の隙間から、ゲッター炉心がその輝きを増す光景を見てしまったから。
「いくら達人さんの頼みでも、そいつぁ聞けねえよ……。オイラがやらなくちゃあ、誰がやるってんだ」
僕はゲッターマシンガンを掃射しながら、どうにかして武蔵の元へ行こうと進路を探していた。
周囲のメカザウルスが、放射される膨大な量のゲッター線を浴びて混乱している今であればチャンスはある。
そう、信じたかった。
「それじゃあ達人さん、ミチルさんと、竜馬たちにもよろしくな!」
ゲッター炉心が、量産型ゲッター3の装甲の内側で大きく光る。
対ゲッター線コーティングがなされたはずのメカザウルスの、その生体部分が泡立っているのが見えた。
《い、いかん! 殺せ! ヤツを殺せぇ!!》
ゴールの叫びが耳朶を打つ。マグマ砲に取り付いている武蔵の量産型ゲッター3は、艦橋に程近い。
あの位置でゲッター炉心の暴走が起きれば、恐竜戦艦に乗り込むハチュウ人類にもどんな影響が出るか分からないからだろう。
やがて量産型ゲッター3の残された右腕は、自らの臓腑を抉るように装甲を引き剥がそうとする。
間に合わない。
そんな諦めと無力感が心中を満たそうとした、その時だった。
「ゲッタァァァァァァビィィィィィイィム!!!!」
雄雄しい叫びと桜色の閃光が、暗雲のように空を覆うメカザウルスの群れを裂き貫いて恐竜戦艦を打ち据えた。
さらに光はそれだけに留まらず、甲板上を縦横無尽になぎ払うと副砲や対空砲、メカザウルスの発進口といった構造物を吹き飛ばしていく。
「ようトカゲども、どうやら俺の仲間が随分と世話になったようじゃねえか……」
自信と戦意に満ちた声とともに、はるか雲の上から地上を睥睨する人型の影が姿を現した。
両腕を組み威風堂々と現れたのは、複数の角と竜の髭にも似た意匠の頭部と持つ赤のゲッターロボ。
「だからよ、お返しに教えてやるぜ、俺とゲッターロボGが! ゲッターの恐ろしさってヤツをなぁっ!!」
竜馬が来る。
新たなる力、ゲッターロボGをたずさえて。
NEXT 決着! そして...