ゲッターロボ大決戦! 早乙女達人編   作:Rakusai

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8.決着! そして...

《ま、またしても新たなゲッターロボ、ゲッターロボG、だとぉ!》

 

 帝王ゴールの、血を吐くような声が辺りに響き渡った。その声音からは、ゲッターロボ……そしてゲッター線に対する憎悪がにじみ出ている。

 バット将軍とゲラ、そして今回の大侵攻、恐竜帝国がゲッターロボを作り上げた日本の攻略に重点を置いていることは明らかだ。

 ゴールの心情がその戦略にどれほど影響を与えたのか、気になりはするが今はとりあえず……。

 

「ぬわぁあああ!?」

 

 衝撃でシェイクされる武蔵の悲鳴を無視しつつ、僕はゲッターゼロで抱え込んだ量産型ゲッター3ごと海面に突入した。

 過負荷運転で異常加熱していた量産型のゲッター炉心が海水と触れて白煙を上げる。

 

「何すんだよ、達人さぁん!」

「うるっさいこのバカ! いいから早く炉心を止めろ!」

「そうだ武蔵、てめえこの野郎! 勝手に出撃した上に死に急ぎやがって、このバカ!」

 

 僕と竜馬によるバカコールを浴びて、武蔵は「ひっでぇ」と消沈した様子でゲッター炉心の緊急停止スイッチを押し込んだ。

 煌々と輝いていた炉心は、それによって徐々に輝きを失いやがて灰色になって沈黙した。

 おそらくこれで量産型ゲッター3はスクラップ行きだろうが、武蔵を失うよりはずっといい。

 

「だが、一人で出て行ったせいでゲッターGに乗り損ねちまったわけだ。反対に、お前は役得だったな弁慶」

「い、いえ、役得だなんて! とにかく武蔵先輩が無事でよかったです」

 

 ライガー号の隼人と、ポセイドン号の弁慶からそんな通信が届く。

 隼人はいつも通りの調子だが、武蔵と仲のいい弁慶は言葉通りにホッとした様子だった。

 

「ちくしょー! やい竜馬! これで負けたら承知しねえからなあ!!」

「ハッ! 誰に向かって言ってやがる。そこで達人さんと一緒に見てな! 俺とゲッタードラゴンがゴールのヤツを叩き潰す姿をな!」

 

 武蔵の激に答える竜馬とゲッタードラゴンの姿を、僕は波間に揺れるゲッターゼロのコクピットから見上げていた。

 そして、いつか見た雄姿と現実にそこにある姿を重ねてただ一言を送る。

 

「竜馬、隼人、弁慶。―――頼む」

「「「応!!」」」

 

 三つの声が重なって、ゲッタードラゴンがゲットマシンの姿に分離して散開した。

 

《ええい! 撃て、殺せぇ!!》

 

 ゴールの狂気を帯びた声とともに恐竜戦艦の火砲が火を吹き、生き残りの飛行型メカザウルスが殺到する。

 しかしそれらの攻撃がゲットマシンの影を踏むことはなく、三つの影が一つに変わる。

 

「チェンジ、ライガー! さぁて、まずは邪魔な連中の大掃除から始めるとしようか。音速を超えた先、見せてやるぜ!!」

 

 隼人の掛け声とともに細身の姿に合体変形したゲッターGの姿がぶれて、消える。

 次の瞬間には残像すら残さぬ超音速の衝撃波が駆け巡り、空を舞っていたメカザウルスが一斉に弾け飛んだ。

 いつの間にか恐竜戦艦の甲板上に着地していたゲッターライガーのカメラアイが、降りそそぐ敵の残骸のなかで怪しく光る。

 

「オープンゲット!」

 

 再び分離したゲットマシンは、恐竜戦艦の甲板上の構造物に機銃を撃ち込みながら飛び立つと、高く飛翔して再び合体の体勢を取る。

 

「チェンジ、ポセイドン!」

 

 ゲッターGは、空中でライガーと対照的な筋肉質のフォルムへと姿を変え、そのまま自由落下で海中へと突入した。

 僕は、すぐに量産型ゲッター3を抱えたまま比較的安全になった空中へと退避させる。

 と、同時に海が唸り、逆巻き、怒号を上げた。

 

「ゲッタァ、サイックロォォォン!!!」

《お、お、おおぉぉっ! い、いかん、艦の制御を密にせよ!》

 

 弁慶の叫びとともに、海神の怒りが海底に潜んでいたメカザウルスを木の葉のように空中に吹き飛ばした。

 巨大な海水の竜巻に巻き込まれた敵が無惨に砕けていく。

 恐竜戦艦はその重量と大きさ故に無事のようだったが、ゴールの声を聞く限りでは艦内も無事に済んではいないのだろう。

 

「オープンゲット!」

 

 そして竜巻に乗り、ゲットマシンが海中から飛び出す。

 螺旋を描くように竜巻にそって天へと登った三機は、中天の太陽の下で一つへと変わる。

 

「チェェェェンジ、ゲッタードラゴン!」

《マグマ砲! 合体の瞬間を狙えっ!》

 

 ゴールの命令を受けて、マグマ砲がその砲身に赤い輝きを宿した。間もなく仰角を高くとった砲弾が射出され、大気を焼いてゲッターロボGを狙う。

 砲撃が放たれたとき、竜馬は既に合体させたゲッタードラゴンを恐竜戦艦に向けて飛ばしていた。

 恐れを知らぬかのごとき速度で突進した機体が、灼熱の溶岩弾をすれ違うように回避して甲板へと降り立つ。

 

「ダブルトマホォォク!」

 

 抜き放たれた戦斧を両手に、ゲッタードラゴンはマグマ砲の天蓋に向けて一撃。一撃。一撃! 一撃!!

 繰り返す都度に装甲の破片が飛び散り、砲身が折れ曲がり、船体との接合部から赤い液体が噴き出し、黒煙を上げた。

 高熱を帯びたマグマを返り血のように散らしながら、ゲッタードラゴンは獰猛に容赦なくマグマ砲を破壊していく。

 

《恐るべしゲッターロボG……我が恐竜戦艦を、我が恐竜帝国の軍勢をここまでもズタズタにしてくれるとは》

「怖気づいて許してくれってんなら、考えなくもねえぜ。ゴールさんよ」

 

 無数にも見えたメカザウルス群は姿を消し、恐竜戦艦は必殺のマグマ砲を含めて艦の攻撃力のほとんどを喪失した。

 それ故の諦観と嘆きだろうか? 艦橋にトマホークを突きつける竜馬に対するゴールの声は、どこか感傷を帯びて聞こえた。

 

《く、くくく、このゴールに、恐竜帝国の帝王に、膝を屈しろと頭を垂れよと言うか。……だが認めよう、今はお前たちが強い》

 

 静かな笑いを口中に含みながら、ゴールは言う。

 もしやと、そう思わない訳ではなかった。だが次いで告げられたのは、"やはり"と言うほかない言葉だ。

 

《故に言おう! そのようなことは余の誇りが許さぬわっ!!》

 

 一転して叫ぶような声とともに、ゴールの声を伝えていた機械からガコンと何かを押し込む音が聞こえて、灼熱の炎が恐竜戦艦の艦橋を飲み込んだ

 

「ぐぅっ、野郎、自爆しやがったか?!」

 

 文字通り爆発的に広がる炎の熱を避けるためにゲッタードラゴンを後退させた竜馬が吐き捨てるように言う。

 恐竜戦艦の甲板ではグツグツと流血するような溶岩流が流れ、脱出してきたハチュウ人類たちが火だるまになっていた。

 

《ぐ、ぐくくく、猿どもよ恐竜戦艦の最後の咆哮を聞くがいい! 余は礎となろう、我が帝国の次なる繁栄のために……》

 

 その言葉を最後にして、ゴールの声は聞こえなくなった。赤いマグマの噴き出した艦橋の姿を見れば、末路は語るまでもないだろう。

 しかし主を喪った恐竜戦艦の船体は、溶岩流の噴出こそ止まったものの各所から赤々とした光と蒸気を噴き出し続けていた。

 

 

 

ゲッターロボ大決戦! 早乙女達人編

 第八話:決着! そして...

 

 

 

「まずいことになった」

 

 僕はそう言って額を伝う汗を乱暴に拭き取った。

 それからゲッターゼロの計器が指し示す恐竜戦艦のデータをゲッターGへと送信しながら、「マグマ砲だ」と続ける。

 

「マグマ砲ぉ? そいつはさっき俺がぶっ潰したじゃねえか」

「いいや、確かにコイツはまずいぜ竜馬。あの戦艦の内部で熱と圧力が高まってやがる。火山と同じで、限界まで圧力が高まれば……ドカンだ」

 

 恐竜戦艦の強固な外殻を砲身に見立て、動力炉そのものを砲弾にした超特大のマグマ砲。

 それがゴールの言い残した『最後の咆哮』の意味。

 圧力の限界を迎えて"噴火"した恐竜戦艦は、その内部で圧縮された熱と質量を舳先へと向かって噴出させるだろう。

 

「ゼロの観測機器じゃ概算程度だが、軽く見積もっても房総半島、おそらくは東京まで火の海だ。最悪は関東平野が灰になる」

「っちぃ! ゴールの置き土産ってか? なら爆発するよりも先にゲッタービームでぶっ壊してやらぁ!!」

「やめろ竜馬。いま計算したが、ドラゴンのゲッタービームだと出力が足りん。下手に突けば噴火を誘発するぞ」

 

 ゲッタービームのチャージをはじめようとした竜馬を、隼人の声が制止した。

 ライガー号から返送されてきたデータを見ると、確かにゲッタービームの威力では爆発を相殺しきれない。

 さらに現在位置からでは、どの方角に向かって爆発するにせよ大きな被害が予想されるため、あえて爆発させる手段も取り難かった。

 

「ならどうしろってんだぁ?! このまま大人しく爆発すんのを待てってか?」

 

 苛立たしげな様子の竜馬に、僕は一つの解決策を示す。

 恐竜戦艦の爆発の被害を最小限に留めるため、内部から噴出するマグマエネルギーと質量を巻き込んで消滅させるほどの力。

 ゲッターロボG最大最強の武器。その名は。

 

「シャインスパークだ」

「シャイン、スパーク?」

 

 僕の言葉に、竜馬は疑問の声をあげる。どうやら、父さんはその存在を伝えてはいなかったらしい。

 ゲッターロボGが急遽出撃したことと、その調整が不十分であることなどを考えると無理もない。

 だけど、今の状況を打破するには成功率は低くともこれしかないと言う確信がある。

 僕の内心に、科学者として、ゲッターの開発者としての忸怩たる思いがあっても、だ。

 

「ゲッター炉心のリミッターを解除して限界以上の出力を引き出す荒技だ。その威力はゲッタービームの10倍以上」

「スゲェじゃねえか! そいつならあのデカブツを吹き飛ばせるってわけだな!」

「ただし、出力が炉心の限界を0.1%でも超えれば緊急停止が起きる。そうなればエネルギーが空になって、ゲッターロボGは置物だ」

 

 緊急停止が起きればゲッタードラゴンは炉心内部のエネルギーを全て放出してしまい、再チャージが完了するまではまともに動けなくなるだろう。

 あるいは被害を覚悟してゲッタービームを撃ちこむという次善の手段も取れなくなる。

 なによりも最終調整を終えていないゲッタードラゴンでは、どのような不具合が出るかも分からなかった。

 

「チャンスは一回きり。エネルギーが上がりきった時に三人がタイミングを合わせてペダルを踏む。失敗すればそれまでだ。それでもやるか?」

「あったりまえだろうが! ようは成功させればいいのさ、そのシャインスパークってヤツをよ!!」

 

 さも当然のように、そしてきっと僕もそう期待していた通りに、竜馬はニヤリと歯を見せて笑って見せた。

 

「隼人、弁慶、腹ぁ決めろよ! 俺はやるぜ!」

「ふっ、やるならオレのサポートは必要だろう? ゲッター炉心の調整は任せな」

「じ、自分は……」

 

 竜馬の言葉に寸暇を置かずに返事をした隼人とは異なり、武蔵の代理と言う意識があるのだろう弁慶は声を詰まらせてしまった。

 

「おいこら弁慶! オイラの後輩がよお、そんなへっぴり腰でどうすんだい! 気合入れやがれ!!」

「武蔵先輩……!」

 

 そして僕が何かを言うよりも先に、量産型ゲッター3から武蔵の一喝が飛ぶ。

 すると弁慶の表情が引き締まり、眉が上がりクワッと目を見開いて自身の頬を平手で張った。

 

「男弁慶、覚悟ぉ決めましたぁ! 竜馬さん、隼人さん、やりましょう!!」

「へへっ、いいね。それでこそゲッターチームだ。よぉし、行くぜ! 隼人、弁慶!」

 

 竜馬の吼え猛る声とともに、ゲッタードラゴンが恐竜戦艦の直上に飛び、腕を十字に広げ赤く燃える巨船を望んだ。

 

「ゲッタァァァ、シャァァァァイン!!!」

 

 輝くゲッター線の渦が巻き起こり、白く白く目がくらむほどに力を高めていく。

 限界を超えて高まれば、その先にチャンスは一瞬。

 

 

 

 ……。

 

 

 

「「「シャイン、スパァァァァァァアック!!!!!!!」」」

 

 三つ重ねた声とともにペダルを踏み占める音が一つ、聞こえた気がした。

 束ねた心を一つにして、ゲッタードラゴンが真っ直ぐに、ただひたすらに真っ直ぐに飛ぶ。

 目指す先にはいまや巨大な火山と化した恐竜戦艦。

 

 

 

 光が、放たれる。

 

 

 

「げ、ゲッタードラゴンは? 竜馬たちはどうなったんだ?」

 

 同じ光景を見ていた武蔵の声が届く。ゲッターゼロの計器とカメラは、馬鹿げたエネルギーの放射でノイズまみれになっていた。

 恐竜戦艦が存在していたはずの海域は、円形にくりぬかれたように海底の地面の色が見て取れた。

 そこに沸立つマグマの色は見えず、ただ生まれた空白にむかって崩れるように波が押し寄せていく。

 

「……見つけた! 竜馬!」

 

 吹き散らされた白い雲の、蒼天が空に開いた穴のように広がる空間の中心に、ゲッタードラゴンはたたずんでいた。

 だが、通信機からの返事はない。

 やがて、ゲッタードラゴンは糸の切れた人形のように空中で体勢を崩すと、はるか下に見える水面に向かって落下していく。

 

「まずい! 落ちる!」

 

 あの高度から海に落下すれば、ゲッタードラゴンは無事でもパイロットの三人……も無事だろうが、大きな怪我の一つも負いかねない。

 僕は、ゲッターゼロをドラゴンに向かって飛ばすが、抱えている量産型ゲッター3の分もあって速度が上がらない。

 まさか武蔵を捨てていくわけにもいかず、落下する姿を見送らざるをえなかった。

 

「木の葉落としの術……なんてね」

 

 だが、水しぶきが上がるその寸前、現れた桃色の影が落下するゲッタードラゴンをふわりとした動作で抱きとめてみせる。

 それは友軍の撤退を援護していたはずのゲッター烈火だった。

 

「ゲッター烈火、水樹くんか!」

「はいっ! でもゴールとの戦いの役には立てなくて、ごめんなさい」

「そんなことはないさ。助かった。……おい竜馬、隼人、弁慶、大丈夫か? 返事をしろ」

 

 肩を貸されるような姿勢でゲッター烈火に支えられるドラゴンに向かって、僕は外部スピーカーで呼びかける。

 ゲッターGはどうにも電気系のトラブルが発生しているようだったが、やがて多少の雑音混じりに通信機が起動した。

 

「こちら竜馬。俺たちは大丈夫だけどよ、ゲッターは参っちまったらしいぜ」

「隼人だ。シャインスパークの影響でゲッター炉心が焼き付いた。今は予備バッテリーを使っている。復旧はできそうにない」

「弁慶です! 空も飛べないらしいんで、このまま運んでもらえると助かりまっす!」

 

 どうやら無事らしい三人の声にホッとしながら、僕は計器類を再起動させてゲッタードラゴンの様子を観察する。

 なるほど、隼人の言う通りエネルギーが異常に低下……いや消失していた。

 

「帰ったら炉心の設計は見直しかな。ゲッター斬、すまないけど陸地まで彼らの送迎をたのんでいいかな」

「ふふふっ、私たちのエスコートは高いわよ?」

「もう椿ったら、冗談言わないの! ゲッター烈火、了解です」

 

 軽く笑い合いながら日本への帰路に付く僕を含めたゲッターチーム。

 

 

 

 パチパチパチ、と拍手を打つ音が飛び込んだのは、そんな時のことだった。

 

 

 

「トカゲの駆除、ご苦労だったなゲッターチームの諸君。見事な活躍だったと褒めてやろう」

「誰だ!?」

 

 拍手とともに響き渡った嘲るような声に対して竜馬が声を上げると、ゲッターロボの通信機に映像が飛び込んできた。

 そこに映ったのは、巨大な角を生やした巨漢。赤い軍服を身にまとった、野獣のような男だった。

 僕は、かつてゴールの姿を目にした時と同じく、その姿に見覚えがあった。

 

「お初にお目にかかる。私の名はブライ。百鬼帝国のブライ大帝である。我が百鬼要塞島ともども、よろしくお見知りおきを……」

 

 慇懃な言葉とともに、通信機の映像が巨大構造物……百鬼要塞島と言うらしい円盤型の空中要塞を映し出した。

 見るからに重武装の要塞の周囲には、人型に角を生やした意匠を共通とする機動兵器が群れをなしている。

 

「トカゲの帝王をやっつけたら、大帝ってかあ。次から次へとよぉ」

「……我ら鬼をトカゲと一緒に扱うとは、いささか不愉快だな。ふむ、ここは一つ鬼の力を見せておくとしよう」

 

 ぼやくように言った武蔵の言葉に対して、ブライ大帝は不愉快そうに眉を跳ねさせた。

 その言葉に応じるように、要塞等の下部からは半球状の構造物がせり出してくる。

 

「重力遮断砲、発射せよ!」

 

 そして激しい稲妻にも見える光線が、海面に向かって放たれた。

 強烈な衝撃をともなって海原を激しくかき乱していた光線は、やがて海中から『何か』を浮かび上がらせてくる。

 

「あ、あれは!?」

 

 海の底から引き上げられた百鬼要塞島にも匹敵する巨大な質量体を見て、弁慶が驚きの声を上げる。

 逆さ釣りにされ空中に引き上げられた物の正体は、恐竜帝国のマシーンランドだった。

 

「見たまえ、諸君がゴールを倒すや逃げ出した臆病なトカゲどもの巣だ。どうやらまた何千年かでも溶岩の中に隠れ潜むつもりだったらしい」

 

 重力遮断砲、強力なトラクタービームによってさらし者にするように釣り上げたマシーンランドを指して、ブライ大帝はその姿を鼻で笑う。

 

「しかし、いずれ私のものとなる地球に害虫が住み付くなど不愉快極まりない。―――やれ」

 

 言葉とともに、鋭い爪を生やし分厚い毛皮に包まれたブライの手がスッと上がり振り下ろされた。

 瞬間、要塞島に設置された砲台が次々と火を吹き、宙吊りにされた無防備のマシーンランドに向かって降りそそぐ。

 

「ま、マシーンランドが!」

「く、砕けていく!」

「海に落ちてる小さいのはぁ、ハチュウ人類ぃ?!」

 

 ゲッター斬チームの震えるような声。

 映像を注視してみれば、マシーンランドの破孔からは何か黒い粒のようなものがポロポロと落下している。

 

「止めやがれブライ! そいつらに戦う力は残ってねえだろう!」

「おや、ご不快だったかな? それは失礼をした。たしかにトカゲの駆除など長々と見ていて楽しいものではかったね」

 

 一方的ななぶり殺しの光景に、竜馬が怒声を発する。

 ブライ大帝は、それに対して軽く肩をすくめて見せるとニヤリと嗜虐的な笑みを浮かべて見せる。

 そして……。

 

「では一思いに始末して見せるとしよう! 重力遮断砲の出力を上げい!!」

「や、やめろっ! ブラーイ!!」

 

 竜馬の声も今度は届くことはなく、放射された無数の稲妻が恐竜帝国の本拠地を押し包んでいく。

 海面に向かって落下していた残骸が引き戻されるようにして空中へと昇り、ぐしゃりと、握りつぶされるようにしてマシーンランドは崩壊した。

 

「見たかね? この鬼の科学力が、我が百鬼メカが、諸君らのゲッターロボと各国の開発している下らぬロボットを破壊し、私の前に平伏させるのだ!」

 

 ブライの言葉とともに百鬼要塞島が高度を上げ、何処かへと姿を消していく。

 要塞島は高度なステルス能力を有しているらしく、ゲッターゼロの計器では追跡が困難だ。

 

「ふふふ、はははは、わぁっはっはっはっはっは!!!」

 

 ゲッターチームの誰もがなにも言えずたたずむなか、あとにはただ鬼の哄笑だけが響き渡っていた。

 

 

 

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