ボクは産まれたときから体が弱くずっと家と病院を行ったり来たりする生活を送っていた。
その為幼稚園にはあまり通えなかったし、小学校に入学した時には殆どを病院のベットの上で過ごしていた。
医者の先生は一生懸命だったけど最後まで病状は分からず仕舞いだった。そんなこともあってか、両親の仲も段々と悪くなってしまい、遂にはボクを療養と言う名目で、ケマモト村にいる母親の祖父の家に預けられた。
「和樹、しっかり食べないと体力つかんぞ」
「まあまあ。カズ君、食べれるだけでいいからね」
一見強面な祖父と優しい祖母との生活は楽しく、村にある唯一の学校でも新しく出来た友達と放課後に遊びに出掛けたりもした。都会に居たときには考えられなかったほどだ。
そんなある日、学校から帰宅するとテーブルに珍しい形の腕時計が置かれていた。
何時もなら勝手に手に取ったりはしないのだが、おもむろに腕時計に手を伸ばした。
祖父が普段着けている腕時計と違い、白く大きい。まるで子供の玩具みたいだ。
そんな事を考えていると何処からともなく不気味な声が聞こえてきた。
『…けろ…ろ…』
「え?。…だ、だれ⁉」
突然聞こえてくる声に驚き時計を落としてしまうが、辺りを見回し誰もいない。
『…つ…ろ……つけろ……』
「誰、誰なんだよ⁉」
『着けろ。そして此方に光を』
段々はっきりと聞こえてくる男性の指示する声に怖くて逃げ出したくなった。だがその声は怒った時の父の怒鳴り声とは違いどこか優しく、そして威厳があるように感じられた。
改めて周りを見渡しても誰もいないのを確認すると、恐る恐る落とした時計に手を伸ばし左腕に装着してみた。
少し変わってはいるが普通の時計に見える。
『左のボタンを押して此方に光を向けるんだ』
声の通りに時計の左ボタン押してみる。すると時計から青白く光り、テーブルに光が向ける。
そして光の中から現れた声の正体が姿を表した。
白い髪に鋭い瞳、肩に乗せられる位の小さくて可愛らしい男の子が此方を見据えて立っていた。
この子があの威厳があり優しく声をかけてきたのだろうか?
見た目だけだとそうは見えないが、他に誰もいる様には感じられなかった。
「えっと…君が僕を呼んだの?」
「そうだ」
先程聞いた同じ声を聞き、声の正体が分かり安心したけどこの子は誰なのだろうと疑問が浮かんだ。
「えっと、君は誰なの?」
「乞われたのなら答えよう、私の名はカルナだ。貴様が、私のマスターか?」
小さいながらも威厳のある雰囲気で此方を真っ直ぐ見つめてくる瞳に思わず生唾を飲み込む。
このカルナの言う「マスター」と言うのは分からないけど、自分はとんでもない事に巻き込まれる予感がする和樹であった。