自己満です。
パルプンテ────という呪文を皆さんは知っているだろうか。某RPGゲームにて登場するその呪文は、他の呪文と違い、唱えた人間ですらどんな効果が現れるのか分からないというギャンブルチックな呪文である。
唱える度にその効果はバラバラで、運が良ければ少しのMPで強力な魔法を放つことが出来るが、運が悪かった場合、唱えた人間に何かしらの不運が襲いかかる。幸運に凶運、軽度から重度のものまで選り取りみどりだ。
これがゲームならいい。だってゲームだから。自分が操る主人公がパルプンテでゲームオーバーしたとしても、本体は痛くも痒くも無い。むしろ可笑しくて、友達に「俺、パルプンテで死んだクソワロスwww」とニヤニヤ顔で言いふらしたいくらいだ。
「そんなクソみてぇな人生なんてやってられるかボケェェェェェェ!!!」
私の名前は「
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《雄英高校──特別地下研究施設》
「おはようございます乱駄無さん。今日の調子はどうですか」
「…………オハヨウゴザイマス。そしてオヤスミ」
「今日の天気は晴れ、降水確率は14%、人間で言うところの『お天気日和』というヤツです」
「…………どうせ、この部屋から抜け出せないんだから意味ないだろ……。ぁあ、眠いからもう寝るね
乱駄無は介護AIが搭載された、喋るモニターに背を向けてゴロリと寝っ転がった。毎日毎日飽きもせず、決まった時間に起こしてくるヤツに何度か殺意を覚えかけたが、それはもう昔の話。今の私には「スルースキル」という、心に余裕のあるものだけが使いこなすことが出来る技術を身につけている。余程のことが無い限り私はアイツの話に耳を傾けることは一切ないだろう。
「そう言えば、校長が乱駄無さんと面会したいという連絡が今朝届きました。読みますか?」
「ブハッっ!? ……え、校長?」
まさにフラグ回収。唐突の出来事に乱駄無は取り乱してしまった。
「校長…………って誰よ」
素朴な疑問にモニターは応えた。
「この施設の真上に位置している
根津校長…………会ったことがあるような気が一瞬したが、一瞬だけだったので全く思い出せなかった。
「……知らね。けどそんな偉い人が私に一体何の用なんだ?」
「知りたければ、早く着替えて面会の準備を始めてください。面会の時間はa.m10:00です」
サッとデジタル時計に目を向けると、現在の時間は午前7時23分。面会まで後、2時間37分。時間は存分にある。
「まだ3時間もあるじゃん。おやすみ」
意外と余裕があることが分かったので、私は布団を被り、モニターに背中を向けて再び夢の世界へと旅立つ準備を整え始める。スルースキルも復活したし、もう隣でモニターが何を吠えようと起きるつもりは無い。寝る。
しかし十数年も乱駄無の面倒を見続けた介護AIにとって、このような反抗期の彼にやる気を出させることなど朝飯前である。
「 い つ も の 注 射 、打っちゃいますよ?」
ピクっと肩を震わせる乱駄無。嫌いなワードが頭の中で屈伸運動を始めた後、私の脳みそを好き放題にロッククライミングしやがった。注射……だと?
注射……、いつも決まった時間に打たれるあの注射。
刺される瞬間を想起すると、顔から血の気が引いていく。寝起きでまだ覚醒しきっていないというのに、めまいと頭痛が止まない。
「お願いします……注射だけは、注射だけは止めてください!!」
割と本気で訴えた。
「ならば起きて準備を始めてください」
「…………はい」
「校長と会う以上、朝注射は免れませんがね」
「なんか言った?」
「いいえ、何でもございません」
不思議な挙動をするモニターに疑問を感じながら、私は用意された外出用の着替えを黙々と着始めた。外出に面会、今まで頑なに許されなかった行動が今日になって許された。会うのは面識の欠けらも無い校長だけど、施設の人以外の人と会える機会なんて滅多に無いことだ。楽しみで仕方がない。
「よし、着替え終わった。じゃ、いってきまーす」
新たな出会いに胸を膨らませ、私は扉の取手を握り、勢い良く開こうとした。
ビ──ッ!!
〔被検体SSR-K459T、3度目の脱走の意思を確認。5秒後に催眠ガスを噴射します。人体に悪影響は有りません。〕
「…………、やっべ10時からだっzzzzzzzzzzzzz」
冒険の第一歩を踏み外すどころかスタート地点にすら立たせて貰えず、結局私は心地よい催眠ガスで寝てしまった。
紹介コーナー
*雄英高校の地下研究施設:
政府によって秘密裏に設置された地下研究施設。通称「
またセキュリティ方面の高さから、危険性が非常に高く、自分自身で個性を制御出来ない子供や、世間に公表出来ないほどの事件を起こしてしまった人を保護する施設として機能することもある。
限られた人間のみこの施設の存在を知る。
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苗字が乱駄無、名前が真砲。年齢は16歳(自称)。男。一人称は「私」。基本的には生意気でやや強気な性格(のつもり)だが、根は若干臆病でそれなりに優しさもある普通の少年。しかしどこか乾いた印象がある。
ある事件をきっかけに施設に収容される。事件の事について本人は殆ど覚えていない。
*パルプンテ:
……返事がない。ただのパルプンテのようだ。
チャオ☆(エボルト風)