個性「パルプンテ」   作:マスターチュロス

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おはパル〜(あいさつ)




君が……噂のパルプンテ君かい?(2話)

 

 

 5月ンフンフ日、a.m10:03

 

 

「やぁ。初めまして乱癡気くん。私がこの学校の校長先生、根津なのサ!!」

 

「乱駄無です」

 

 初っ端から名前を間違えられた男、乱駄無 真砲は、催眠ガスによって眠らされてしまったがモニターのやかましい目覚ましのおかげで無事起床。したのはいいが、どうやら寝てる間にこっそり注射を打ったらしく、私の頭の中は常に「帰ったらモニターぶっ壊す」の文字でいっぱいだ。痛みが全然引かない。

 

「失敬、トランザムくん。「乱駄無です」……そんなことはどうでもいいのサ! 私は君にとってとてもビッグなニュースを伝えたいだけなのサ!」

 

 にこやかな笑顔で話しかけてくるこの校長、あまりにも胡散臭い……というか動物臭いヤツで信用ならん。というかコレ人? ネズミが二足歩行して言葉喋ってるだけなのでは? いや凄いけど、え何なのコイツ。

 

「ビッグなニュースとは?」

 

 普通に聞いてみた。

 

「それはもちろん!」

 

 

 

 

 

「君を雄英高校に入学させようかなって話サ」

 

 

 

「へぇー」

 

 

 入学ねぇ…………。

 

 机に置いてあったコーヒーカップを手に取り、一口啜った後、もう一度頭の中で校長のセリフをリピート再生する。

 

 

 入学させようかな……

 

 入学させよう……

 

 入学……

 

 乳学……

 

 

 乳…………。

 

 

「はブゥッッッはァァァ!!?」

 

 吹き出すコーヒー、それを全身で受け止める根津校長、驚きを隠せない乱駄無、3つの事象が1つの空間内で同時多発し、それはそれは見事なファンタジーであった。

 

「は、え? 入学!?」

 

「そう、君を入学させようかなと朝思いついたんだけど、今のでなんかやる気失くしたのサ。君にもう明日は来ない」

 

「ちょっっっと待ってください!? 何で入学!? 今までずっと収容してたくせに突然の解放!? ひゃっほーいッ! ……じゃなくて、理由を、理由を教えてください社長!!」

 

「校長なのサ」

 

 校長は茶色に染った自身の体毛をタオルで熱心に拭き取ろうとするも、なかなか上手くいかない。風呂に入りたい欲求が胸の奥でざわめくが、自分がこの人間を呼んだ以上最後まで対応するのが大人である。

 

 タオルを適当にぶん投げると、校長は乱駄無の目を見据え、その理由を口にした。

 

「ヤンバルくん、君はどうやら記憶を失っているらしいね。医療カルテにもそう記述されていたよ」

 

「…………はい。記憶失ったって感覚すら失ってるんですけどね……」

 

 複雑な感情が乱駄無の心を支配する。昔、自分が起こしたという事件、後から聞かされたため実感が全く湧かなかった。気付いた時には病院の中、親は行方不明、誰もいない部屋で待つ日々、毎日打たれる個性抑制剤、つまらない人生だった。

 

「僕はね、君を救ってあげたいのサ。本来なら君は、幼少期から青年期にかけてたくさんの人や物に触れて、よく学びよく遊び、ときに泣きときに笑う、皆んなと同じ豊かな人生を歩むはずだった」

 

「記憶に無い出来事で病院に収容され、そのまま何も満たされないまま生涯を終える、そんなの間違っていると思うのサ」

 

「この雄英高校なら、多くの生徒と出会える。優秀な先生が困っている生徒を教え導き、最後まで生徒の道を支えてくれる。この学校なら、君が今まで満たされなかった何かが満たされる。どうだい? この雄英高校に特別入学して、君の人生の扉を大きく開いてみないかい?」

 

 つぶらな瞳で真剣に語る校長の熱意に押され、乱駄無はゴクリと唾を飲み干す。雄英高校、それは日本で最高峰のヒーロー高校(wiki調べ)、その校長先生から私は直々に特別入学を勧められている。こんなチャンス、滅多にない。あの施設に戻ったところで何かが変わることなど、この先一生も無いだろう。断る理由なんて、無い。

 

 

「……さい」

 

 

 

「雄英高校に、入学させて下さい」

 

 

 自分でも驚くほどの大きな声が出た。決意表明とも受け取れるその発言は根津の心に響き、ひたむきな彼の目は、幼い子供が夢を追いかける時と同じ目をしている。

 

 彼の意志を受け取った根津は、小さく微笑んだ。

 

「…………歓迎するのサ、ランサムウェアくん。「乱駄無です」黙れ。ここが君の、ヒーローアカデミアさ!!」

 

 

 だまっ……、えッ………………

 

 

 んんッ、こうして私は校長の激励を受けて、ついに雄英高校の特別入学を果たしたのであった。

 

 

 

 

 

〜 [完] 〜

 

 

 

 

「いやまだ終わらないし、ただで入学も出来ないのサ」

 

「嘘だッ!!」

 

「残念ながら雄英高校は国内最高峰。それに見合う実力が無ければ入ることは許されないのサ」

 

 至極ごもっともな正論、反論の余地無し。いくら自分の人生が常人より過酷だったとはいえ、国内最高峰のヒーロー学校である雄英高校をタダで合格して貰えるほど世の中は甘くない。チャンスは貰うものではない、自らの手で掴み取る物である。高校の筆記試験レベルなら施設で既に習得済み、面接は苦手だがまぁ気合いで乗り越える。よし、ドンと来い。

 

 

「…………分かりました。何来ても答えます」

 

「よろしい、では一つ目…………」

 

 

 

 

 

 

「君のこs」

 

 

「越後製菓!!」

 

 

 ピンポンピンポーン

 

 あまりにも早い解答。校長が望んだ答えを迅速かつ短く丁寧に伝えるその技術は、かつて古代文明を築き上げたマハールフンハッハ族に伝わる失われし技術。まさかこんなところでお目にかかれるとは予測できなかった。

 

 施設育ちのアマチュア小僧だと舐めていたが、評価を変えざるをえない。

 

(この男、出来る…………ッッ!!)

 

 そう確信した根津は、キリッとした表情で彼に宣告した。

 

「…………合格だよランクルスくん。「乱駄無です」シャラップ。君はもう立派な雄英生徒だ……誇りを持つといい」

 

「…………ありがとうございます」

 

 見事、校長の意図を汲み取り、雄英高校合格の切符を手にした乱駄無。……厳しい戦いだったが、自分だけが唯一持つ「愛と正義」の心が校長の難問を打ち破ったのだ。やったね☆

 

 私はやっと、前に一歩進むことが出来た。

 

 

「……ここならきっと、欠けた何かを取り戻せる」

 

 

 手を胸に当て、心の穴をさするように手を動かす。まだ見ぬ仲間たちとの出会いが、自分をより強く成長させてくれると願って……

 

 

「待っていな、雄英高校。私が行くぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 THE END

 

 

 

 

 






次回からは、

「爆豪勝己が行く 〜 登山の極意 〜」

をお送りします。絶対見てくれよな!

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