放課後。
梅組の一同は階段に陣取り、皆の前にネシンバラが立ち、進行役を務めていた
「今日の議題“葵君の告白をどうやって成功させぞ!会議”です。書記である僕ネシンバラの提供でお送りします。では葵君、どうぞ」
「おいおい!いきなり俺に丸投げかよ。朱唯、お前、この前年下の女子に告白されてたろ。何かアドバイスとかねえの?」
トーリの言葉に反応して、数名の女子が朱唯の方を向くが、朱唯といえば気にせずに話を始める。
「そもそも、俺は告白される側だから、する側の心境は分かんないよ」
「いいんだよ、される方の心境も知っておいたほうが成功率あがるだろ。でどうなんだ?」
「そうよ、朱唯。さっさとゲロっちゃいなさい。そうすればこの賢姉が貴方の望む告白をしてあげるわ!」
いつの間にか朱唯を背後から抱きしめ、階段の段差を利用して朱唯の頭の上のたゆん、と揺れる胸の乗せるというどこぞの男なら夢に見るような体験をしていた。
「喜美、人の頭に胸を乗せないでくれ」
「いいのよ、触っても柔らかいオパーイよ。それに良い感じに楽なのよ」
体重を掛けてくる喜美。
頭の上にむりゅり、とオパーイが変形。周囲の男陣営は羨ましそうに朱唯を睨みつける
「はいはい、そうだな……ただ好きって言われるよりは、どこがとか、何が理由で好きになったか言われたら嬉しいかな」
ほう、と頷く一同。どうも朱唯の言った事は男女共に共感できる所があったようだ。
「フフフ、良い事聞いたわね彼女いない歴=年齢の負け犬共。朱唯の言ったことを参考にして告白に活用するといいわ!具体的には、ロリコンぽっちゃりに姉萌え半竜に犬臭い忍者」
「「「彼女いない歴=年齢言うな」」」
「しかも負け犬って付け加えて、ピンポイントで指名きたで御座るよ!」
ぽっちゃりお腹の“
悲しいかな、日頃から性癖を暴露している時点で一般常識を持つ人間は告白をOKするはずもない。
「てか、男が告白するなら点蔵に聞いた方が早いだろ、点蔵よく告白して振られてるじゃん」
「朱唯殿!結構、心に刺さることを言ってくれるで御座るな!」
「いいから話せよ、点蔵。数だけはこなしてるだろ」
点蔵の心の傷なのどうでもいいとばかりに催促するトーリ。
「さっきから自分の扱いが酷いで御座るよ!全く…ごほん、ここは手紙作戦とかどうで御座ろうか」
ポケットから手帳とペンを出してトーリに手渡す。
「簡単な話でござる。前もって伝えることを箇条書きにして、告白する代わりにそれを手紙にして手渡すのでござるよ」
「えっとつまり、これにどうして相手を好きになったのかを書けってことか……『顔がかなり好みで上手く言葉に出来ない』『しゃがんだ時にエプロンの裾からインナーがパンツみたいに覗けて上手く言葉に出来ない』『ウエストから尻のあたりのラインが抜群で上手く言葉に出来ない』……やっぱり言葉にするのって難しいなぁ」
「随分とスラスラ出るで御座るな!」
「トーリ。貴様、オパーイ県民であろう?何ゆえ相手のオパーイに対する言葉がないのだ!」
「「「!!」」」
ウルキアガの言葉を聞いていつになく真面目な顔をするトーリ。
「オッパイは、揉んで見みないと、解らない……季語どうしよ?」
「「「うわぁ」」」
もはやドン引きである。
流石に恋文にセクハラの言葉を並べるとは誰も思ってはいなかった。
「愚弟、つまりオパーイに対してはいい加減出来ないのね?」
「おう!俺、こうみえて真面目だからな!」
真面目な奴はオパーイを連呼はしないと思う、という言葉を思っては口には出さないでおく。
「こんなところで何をしてるんですの?…喜美!貴女はまた朱唯にくっついて!」
学院の方から歩いてきたのはネイトと酒井学長だった。
「あら、チパーイの貴女には出来ないでしょ!指くわえて見てなさいよ。それに結構、抱き心地が良いのよ、体温高くて」
階段の下まで降り、酒井学長がトーリに質問する。
「噂になってんだけど。トーリ、お前さん告白するのか。相手は誰だ?」
「ホライゾンだよ」
「…やっぱり、お前さんもそう思うか」
「学長先生も思うだろ」
「いや、そりゃ~まあな」
曖昧なコメントをしながら目を逸らす。
「いんじゃね、告白すれば。今朝だってきっと皆に迷惑かけるって言ってたけど、トーリが原因で迷惑掛かるのなんて今頃って感じだし」
「「「「確かにな!」」」」
小等部の頃からトーリが原因で梅組が被害を被るのは昔から同じだ。
それが告白であっても何か問題が起きたなら、皆で解決する。そうやって今まで過ごしてきた、これからも変わらない。
「だからトーリはやりたいようにすればいいと思うよ」
「……やべぇ、朱唯がめっちゃ男前な事言ってる!これは…惚れちまうぜ!」
頬を赤くしながらくねくねしている
@ @ @
専用の場所に着地した武蔵から降り、街道を通って三河を目指す二人組
煙管を咥え、昔に馴染みに三河に向かう酒井学長と、その付き添いとして関所まで見送る役目を全うしている正純。
「変、ですね、武蔵への荷はあっても三河への荷がありませんね。まるで三河が形見分けをしているような」
「オイオイ。物騒な事を言わないでくれよ。俺、今からその三河に行くんだよ」
ハハハ、と苦笑いしながらすれ違う荷台を横目で見つめていると、低空を飛行する艦が数隻。その中でも一際目立つ大きな艦。
「“K.P.A.Italia”の教皇総長“インノケンティウス”が所有するヨルムンガンド級ガレー“栄光丸”だね。教皇総長、大罪武装開発の交渉に来たみたいだね」
「情報が正しければそのはずです」
「大罪武装については知ってるよね?」
「“大罪武装”。元信公が開発した、世界のパワーバランスの一旦を担う、世界で八つしかな都市破壊個人武装。七つの大罪の原盤である八想念をモチーフとし武装で、所有者は“八大竜王”とも呼ばれています」
「詳しいね。じゅあ、噂は知ってる?」
「噂…ですか」
「そう、大罪武装は人間を部品にしてるって噂」
誰が言ったか、世界に伝わっている噂。
信憑性は無し、確証も無し。
真実を知るのは元信公のみだ
他愛もない話をしている間に、二人は関所に到着。
「お疲れさん、あとは自由にしていいよ。正純くんはこの後、トーリの前夜祭に行くのかな」
「いえ……後悔通りについて調べてみようと思います」
「そうかい、なら踏み込んでみるといい。朱唯にあったらよろしく言っといて」
笑みをこぼしながら関所の向こう側。三河の地を歩いていく酒井。
「踏み込む、か」
その言葉を口に出して、噛みしめる正純。
@ @ @
部屋番号が書かれてメモ用紙を片手に立つ、東。
隣に荷物の入ったトランクを置いて、一人溜息を吐く。
最初は、緊張しながらも新しい生活に期待で胸を膨らませていたはずが、流石は武蔵。同居人は女子だった。
『いいんじゃねえの別に!若い内は体裁が大変か!』
と寮長は大口を開けて笑っていた。
『いいじゃんいいじゃん別に!若い内は体勢が大変か!』
とオリオトライは酒瓶に口つけてラッパ飲みしていた。
「…はぁ、押し切られる余も、余だよ」
いくら押しに弱いとはいえ、女子との同居を押し切られるほど押しに弱いとは。
自分の押しの弱さと何とも言えない感覚を溜息と共に吐き出し、部屋の前で立ち尽くす。
「入ってこればいいのに、何してるの?」
声を扉越しに部屋の中から聞こえてきた。
その声に誘われて、トランク片手に部屋の中に足を踏み入れた、東
車椅子の少女“ミリアム・ポークゥ”は呆けている東を見ている。
「教導院に、今日からこの部屋だって言われて…」
「いいわ別に、ルームシェアは初めてじゃないし、男の子が来たのは初めてだけど」
「だ、だったら!」
「さっき一度出て行ってから、色んな所に抗議して、それでも駄目で戻ってきたんでしょ」
見ていないはずなのに、見ていたかのように話してくる。
「一つ約束しましょ」
「約束?」
「そう、互いの生活に口を出さないこと。分かりやすく言うと、貴方が女を連れ込んでも関与しないってことよ」
「そんなことしないよ!」
フフフ、と口を手で隠して笑う。
「本当に馬鹿で真面目ね」
そう言いながら右手を東に差し出す。
「…私は、馬鹿で真面目な人を疑えないの」
@ @ @
本番は明日
それでも今日も騒ぎたい
熱が出るほどに
配点《前夜祭》
浅間、鈴、アデーレ。そして、咥えた煙管に右腕義手に大型のレンチを担いだ姉御肌の少女“直政”は四人で揃って買い出しに来ていた。
「流石に買いすぎじゃないかい」
手に持った大きな紙袋から食材が零れてしまいそうなほど詰め込み、前夜祭と肝試しに使う食材を買い込んでいく。
残ったら次の日に回せばいい。
トーリの告白が上手くいったならおめでとパーティー、失敗したならドンマイパーティーで使う食材となることだろう。
「大丈夫だと思いますよ、皆、一杯食べますから」
浅間は自分の持つ、紙袋の中身を覗きながらそう言った。
肉ならネイト、野菜ならハッサンがカレーの具として美味しく使い。残る心配などとくにせずに店主の口車の乗りつつオマケをしてもらって食材を増やしていた。
「にしても三河では花火とサプライズがあるって言ってましたけど、皆さん総長の告白に行くんですね」
「わた、私も、行きます」
「やっぱりみんな、なんだかんだでトーリ君のことが気になってるんですね」
「やれやれだよ。世間は織田だの大罪武装だの末世だの騒がしいけどさ――そんな中、一人のバカの告白が通るかを気にしてるんだ……通し道歌じゃないけど怖いさね……」
思わず思い出してしまう、今は無き友、ホライオゾンのことを。
「トーリ君は今回の告白どうもっているのでしょう。今回の告白の事を、清算の始まりか、それとも継続か……心機一転の再スタートなのか」
「そこらへんは喜美も覚悟してんだろ?もし、トーリがコクって上手くいったら、一番食らうのは自分だろうにさ。トーリはあれから十年“後悔通り”を歩いてことはない」
「そうですね、朱唯君はふらっと立ち寄っては花やお饅頭を置いて行っているみたいですけど」
「ホラ、イゾン……優しい人、だったの……し、しってる?トーリ君が私に声、かけたり、するとき絶対、「おーい」とか、「あのさ」っ、て、言うの。そして、私に手を貸して、くれたりするときは、こう……」
鈴の手が、自分の制服の腰のあたりを拭うように擦る。手を拭うように見えるが、僅かに布が擦れ合う音がする。
「これ、合図、なの。私目、みえないから。こうして、別の音とか、声で。いきなり名前、呼ばれたり触られると、ビックリして、みんなに、迷惑かけ、ちゃうから」
「ああ……小等部のときにバカがやってるのを見てあたしらも真似してそうしだしたんだっけか……あん時は細かいところで点数稼ぐなとは思ってたけど」
「これ、朱唯君が、始めたの。短刀を叩いて知らせて、くれるてたの。そしたらホライゾンが、皆で出来る、ようにって、考えてくれて」
目の見えない自分の手を引いてくれた二人。
元気な男の子と優しい女の子。
もう一人は、少し不思議だけど困っていると、助けてくる男の子。
「トーリ君も、朱唯君も――ホライゾンが、いなくなっても、忘れなかったの」
「今、思うと朱唯君って結構、謎ですよね。酒井学長が拾ってこられて、武蔵さんによく連れられていて浅間神社にも顔出してます」
「そういえばそうさね。中等部から機関部でもバイトしていたね」
「よく、日向ぼっこしてますよね」
「たまに、うちの、温泉にも来て手伝ってくれるよ」
四人は、知り合って長年が経つが、いまだにだ謎が多い友人に首を傾げた。
ストーリの都合上、オリキャラのカンピオーネが生まれることがあるかもしれませんがご了承ください。