別ゲーの推しキャラを再現する為に器用度に極振りしたいと思います。 作:風邪引きピエロ
『オオオオオオオオオオオオ!!』
「さて、とりあえずは相手の出方を見るとするかの」
【栄華にしがみつく者】が雄叫びをあげる中、ノブナは相手の動きを観察しながら牽制の意味も込めてその眉間目掛けて銃弾を放つ。
過たず命中したものの、HPバーはほんの数ミリ短くなった程度だ。
「まぁた、えらく固いのぉ。こりゃ骨が折れそうじゃ」
ノブナがその結果に舌打ちをしたその時、敵の周辺に変化が起きた。
【栄華にしがみつく者】の座る玉座の周囲の床に5つの魔法陣のようなものが発生したのだ。
『ツドエワガケンゾクタチヨ!』
その叫びに呼応するように魔法陣が光を放ち、その中から新たなモンスターが現れた。
見た目は冒険者風の装備品を身に付けた損傷の激しい死体だ。
5体の死体は呻き声をあげながらたどたどしい歩みでノブナに迫ってくる。
『雑魚敵を増やしていくタイプか。雑魚の動きは遅いが増えたらめんどくさいの・・・』
囲まれないよう後ろに下がりながらもう一挺の銃で今度は雑魚敵を撃つ。
弾は胴体に命中。
風穴を開け、HPの半分を消し飛ばす。
『雑魚はそこまでのかたさは無し、と。普段ならばなんの事はないのじゃがこのなんちゃって土方スタイルではのぉ』
ノブナのいつもの無数の弾をばらまく戦闘スタイルはインベントリに入れられた大量の【タネガシマ】があればこそ出来るものだ。
現在その大半はイズの元でメンテナンス中。あるのはたった二挺だけだ。
『代わりにあるのは大量のピッケルやらスコップやら・・・・・フム』
インベントリを眺めながらしばらく考えていたノブナは何を思ったか【タネガシマ】をインベントリに戻すとスコップを取り出した。
柄の下側を持ち、まるでバッターボックスに立つ野球選手の如く構えるとHPの減った一体に向けてフルスイングする。
「ふん!!」
スコップの金属部分が敵の頭を捉える。
HPバーが数センチ程減った。
それを見届けてから敵から距離を取る。
「減るには減るの。ダメージは微々たるものだが。とはいえ、ダメージがはいったならば」
そう呟くと、スコップを持ち直し近づいてきた同じ敵を殴る。
先ほどよりもぐっと与えるダメージが増えていた。
「やはりスキルは問題なく発動しとるの。こんなんでも対象になるとか懐が深いというべきかガバガバというべきか・・・ま、今は有りがたい、な!!」
目の前の敵がノブナに噛みつこうと頭を下げたのを見計らってまたもフルスイング。
スコップが敵の側頭部を捉え、バランスを崩して倒れる敵。
倒れ伏した相手に容赦なくノブナのスコップが振り下ろされた。
HPバーがごっそり減って0になり、敵の身体が光となって消えていった。
『グオオオオオオオオオオオオオ!?』
それと共に中央に陣取っていた【栄華にしがみつく者】が苦痛の叫びを上げた。
見れば、HPバーが数センチ単位で削られていた。
「雑魚敵を倒すごとにダメージが入る仕様か。これは好都合。ではどんどん行くか!【単独行動】!」
スキルを発動し、跳躍。
近づいてきていた新たな敵の脳天に向けてスコップを振り下ろす。
落下のスピードに加え、スキル込みで攻撃力の上がったノブナのスコップが直撃した敵が倒れるのを背に、更に他の敵にも殴りかかる。
敵の間を縦横無尽に移動しながら叩き、穿ち、切りつける。ダメージエフェクトが何度も発生し、ノブナのスコップがその鋭さを上げていく。
見る間に削り落とされていく敵。
その度に中央の玉座からは耳障りな絶叫が響く。
『ガ、ガアアアアアアアアアア!?ガアアアアアアアアアア!?』
「ええい、うっさいわ!」
最後の雑魚敵の首を撥ね飛ばして苛立ち紛れにそう叫んだノブナが、勢いに任せてスコップを玉座の【栄華にしがみつく者】に向けて投擲する。
スコップがその刃先を深々と敵の胴体に沈め、串刺しにしたところでパン!と音を立てて光となり砕け散った。
「おっと、流石に耐久限界じゃったか。しかしまぁ、イズ謹製だけあって存外に丈夫じゃのう」
『スキル【狂乱】を取得しました。』
『スキル【職人泣かせ】を取得しました。』
「おう?」
システム音声が響き、スキル入手のメッセージが出る。
いつの間にか条件を達成していたらしい。
「ほうほう、知らないスキルじゃな。未発見スキルという奴か・・・まてよ?」
その時、ノブナに電流走る。
────中央の玉座から動かないボス
────無数に沸く雑魚敵
────いつもと違う特殊な状況
「これは未発見のスキルを取得するチャンスなのでは?」
チラリとボスのHPを見ればまだまだ十分な量がある。
ノブナの赤い瞳がギラリと光った。
「そうと決まれば色々試させてもらおうか・・・・イロイロと、な」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それから3時間後・・・
『『『『『『アアアアアアア』』』』』』
「うむ。率直に言ってキモい」
ステージの床が見えなくなるほどに雑魚敵がひしめきあっている。その手のパニックホラー系の映画或いは通勤時間帯の電車のラッシュを思わせる光景だ。
ノブナは【秘密兵器】で空中に出したピッケルを足場にしてその様子を眺めている。
中央のボスに攻撃を加えると雑魚敵を召喚するという性質を発見したのが2時間前。
空中に足場を用意したノブナは【タネガシマ】で狙撃したりピッケルで殴ってみたりと地道に攻撃を繰り返し、この状況を作り出すことに成功したのだった。
更にその作業の過程で、また新たなスキルを発見した。
「【加虐体質】か。また物騒な名前のスキルじゃの」
とりあえずスキルの詳細確認は後にして、中央にいる(はずの)ボスを見る。
残り3分の1程になったHPバーが雑踏の中でチラチラ見え隠れしているので生きているのは確実だ。
それを見届けてからノブナは足場の上で立ち上がる。
「さてさて、では早速やらせてもらおうか」
揉み手をしながらノブナは新たな足場を作り移動する。
やって来たのは部屋の至る所に存在する燭台の1つ。
その目の前でピッケルを構えると勢い良く振り下ろした。
ピッケルの刃先が燭台を粉々に破壊し、その拍子に火のついた蝋燭が蠢く死体の海に落下していった。
『『『『『『ガアアアアアアアアアアアアアアアア!?』』』』』』
「うおう!?存外派手に燃え上がったな・・・あんな見た目で意外と乾燥しとったのか?」
火種から一気に広がり、雑魚モンスター群の一画が炎に包まれた。
HPバーが一気に削れていく。
効果は抜群といったところだろう。
「アンデッド系には聖なる力か炎。古来からのお約束じゃの」
言いながら移動して次々と燭台を破壊し、ステージを火の海にしていく。
部屋中が炎に包まれるのにそう時間はかからなかった。
轟々と燃え盛る炎。次々倒れていく敵達。それを上空から満足げに眺めるノブナ。
端から見ればどちらがモンスターかわかったものではない。
『スキル【灰は灰に】を取得しました。』
『スキル【不死殺し】を取得しました。』
『スキル【パブリックエネミー】を取得しました。』
「ウハハハ!大漁大漁!さて、と」
周りを見回せば雑魚敵はほとんどが光となって消えていっており、ボス自身のHPも最早数ミリという程度だ。
足場の上で器用に体勢を整えるとピッケルを一本取り出し、大きく振りかぶる。
「協力心から感謝する。というわけで・・・お疲れ!!」
渾身の力を込めてピッケルをぶん投げる。
回転しながら飛んでいったピッケルがボスモンスターの残り少ないHPを削りきった。
『オオオオ!!オノレオノレオノレオノレ!ウスギタナイトウクツシャガアアアアアアアアアア!!』
【栄華にしがみつく者】の身体が紅蓮の炎に包まれる。
怨嗟の籠った絶叫をあげながら、瞳のない眼窩がノブナを見上げる。
『ユルサヌユルサヌゾ!ケッシテキサマヲユルサヌ!ワガメイスウココデツイエヨウトモワガエンサノホノオガイツカキサマヲヤキホロボスデアロウ!』
叫んだ瞬間、紅蓮の炎が一際大きく燃え上がり【栄華にしがみつく者】を完全に包み込んだ。
『クエストクリア!』
『スキル【怨讐の炎】を取得しました。』
システム音声がし、青白いウインドウにそう表示されたのを見てノブナはようやく肩の力を抜いた。
「終わったか。やれやれ結果的に収穫のほうが多かったとはいえ暫く素材集めはしたくないのぅ」
ため息をつきながら、この場所からの脱出を図るノブナだった。
ちなみに・・・・
「・・・貴女それ、必要以上に素材を一人占めにしようとしたプレイヤーへのペナルティ用クエストじゃない・・・」
「マジでか」
後日その時の様子をイズに話した時意外な事実を知ると共に必要以上に素材の乱獲をしたのがバレて、こっぴどく叱られることになることを今のノブナは知らない・・・