別ゲーの推しキャラを再現する為に器用度に極振りしたいと思います。   作:風邪引きピエロ

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今回色々ぶちこみ過ぎてとっちらかった感じです。ノッブ成分薄めの色々許せる人向け。


器用度極振りのメンテナンス前後

───逃げる。

 

 

 

───逃げる。

 

 

 

 

「くそ!」

 

 

 

 

走りながらノブナは毒づく。

背後から迫ってくる圧倒的な殺気に肌が粟立つのを感じる。

 

スキルを使用してまで全力で逃げ出しているがまったく引き離せている気がしない。

実際、ガサガサと茂みを掻き分ける音がすぐそこまで迫って来ている。

 

 

 

───逃げ切れない。

 

 

 

ノブナがそう確信するのと同時、追いかけてきていた者が茂みから飛び出してきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よ・う・や・く、捕まえたー!!」

 

 

 

 

「うおぉ!?かすった、今かすったぞ!?」

 

 

 

 

飛び出してきたサリーが手にした二刀の短剣を振り回す。ノブナが咄嗟にしゃがんだ、すぐ後を光輝く刃が通り過ぎ長い黒髪を数本切り落とした。

 

すぐに後ろに跳びのき、サリーから距離を取る。

一定の距離を空けた二人が睨み合う。

 

 

 

 

「いきなり何すんじゃ、理沙!?今の当たってたら本気で死んどったぞ!」

 

 

 

 

「ここではサリー!私を見るなりノブナさんが全力で逃げ出し始めたからでしょ!呼び止めても全然止まらないし!」

 

 

 

 

「だからと言って刃物取り出して追いかけ回すなや!まぁ、とりあえず今はいいわ。はよ刃物を仕舞わんか!構えたまんまじりじり近づいてくるでない!」

 

 

 

 

「だったら止まってくださいって!私はただちょっと『OHANASI』したいだけだから!」

 

 

 

 

「イントネーションがすこぶる不穏なんじゃが!?」

 

 

 

 

じりじりと付かず離れずの距離を保ちながら二人のお互いにお互いの要求を突っぱね、話は平行線を辿る。

このままでは話が進まない、そう感じたノブナはとりあえず話題を替える。

 

 

 

「というかここ二層なんじゃがお前どうやって・・・て、よく見たら装備もかなり変わっとるし」

 

 

 

 

見ればサリーの装備は初心者のそれにはとても見えない。

 

海の様な鮮やかな青を基調として端には泡を思わせる白があしらわれたマフラー。

 

首元に白いファーのついたそれよりも少しだけ暗い色合いの厚手のコートとそれに合わせた上下の衣服。

 

そして光の届かない深海の様に暗い青のダガーが二本とそれをしまうことが出来そうな暗い青のベルト。

 

それに色を合わせた黒いブーツ。

 

 

明らかに特別製であるのが見てとれる、そんな装備一式だ。

 

 

 

「メイプルとさっき二層に来たばかりですよ。この装備はちょっと1人で隠しダンジョンクリアして手入れたヤツ」

 

 

 

 

「・・・なにサラッと言っとんのじゃ。お前まだ始めて二週間くらいじゃろ」

 

 

 

 

「えー、でもメイプルも初めてすぐユニーク装備を入手してるし普通ですよ普通」

 

 

 

 

「お主らの普通=世間じゃ異常事態ってこと、知っとる?なんとも非常識な連中よ」

 

 

 

 

「『運営特攻』とか呼ばれてる人にだけは言われたくないです!まったく、何かしらはやらかしてるだろうなとは思ってましたけどまさかそこまでとは・・・メイプルにも変なこと吹き込んで」

 

 

 

そこまで言ってからサリーがパッと顔をあげ、ノブナを睨み付ける。

 

 

 

 

「ノブナさんがメイプルに変なことさせるから今大変な事になってるんですよ!」

 

 

 

 

「変なこと?」

 

 

 

 

「メイプルが嫁ネロのコスプレしてたの!あれ、ノブナさんが吹き込んだことでしょ!」

 

 

 

 

「ああ、あれな。あれはメイプル自身も了承してのこと。嫌なら止めろとちゃんと言っとるし強制なんぞしとらんぞ。合意の上じゃから問題ないじゃろ」

 

 

 

 

「問題はそんな事じゃあないんです!あれ以来メイプルが、メイプルが・・・」

 

 

 

 

サリーが悲痛な声をあげながら、膝から崩れ落ちる。

 

 

 

 

 

「FGO にすっかりハマってしまったんです!」

 

 

 

 

「・・・・・・はぁ?」

 

 

 

 

まったく意味がわからないと首を傾げるノブナ。間抜けな声を出す彼女をサリーはキッと睨み付ける。

 

 

 

「『はぁ?』じゃありません!そのせいで今あの子大変なんですから!」

 

 

 

 

「いや、意味がわからん。ハマった所で何か問題があるのか?」

 

 

 

 

「大有りなんです!・・・・ノブナさん、FGO のキャラで『マシュ』って知ってますよね」

 

 

 

「当たり前じゃろ。あのゲームやっとる奴ならみんな知っとる」

 

 

 

 

『マシュ』

 

本名『マシュ・キリエライト』。

FGOにおいて主人公であるプレイヤーにとっての最初のサーヴァントであり、ヒロインであり、相棒である最重要キャラクターである。

 

ノブナが語る通り、ゲームをやったことのあるなら知らない者はいないほどのキャラクターである。

 

が、それがメイプルと何の関係があるのかさっぱりわからない。

 

そんなノブナの疑問に答えるようにサリーが静かに語り出す。

 

 

 

 

「メイン武器が盾ってことで親近感が沸いたみたいで・・・最近はこの『NWO』内で【シールドバッシュ】を積極的に使ってみたり、盾を【投擲】してみたり、色々真似して遊んでるんですけど」

 

 

 

 

「なんじゃ。そんなもんくらい可愛いもんじゃろ」

 

 

 

 

「ええまあ、見た目はそうなんですけど」

 

 

 

 

サリーは少し言いにくそうに少し口ごもった後、躊躇いがちに口を開く。

 

 

 

 

 

 

「メイプル、盾に【悪食】がついてるので」

 

 

 

 

 

「あ(察し)」

 

 

 

 

 

「今までは基本的に相手の攻撃待ちだったんですけど今は自分から積極的に殴りにいくので・・・出会う敵出会う敵皆次の瞬間には一撃死させる近接攻撃を連発してくる凶悪キャラクターに・・・おかげで掲示板とかでのメイプルの評判が大変なことになっちゃって・・・」

 

 

 

 

「・・・・なんか、スマンな」

 

 

 

 

よよよと目元を拭うサリー。

ノブナも何となくいたたまれない気持ちになって素直に謝罪した。

 

 

 

 

「いえ、結局の所メイプル自身が決めてやってることですから。そこは良いんです」

 

 

 

 

「おう、なら何でそのダガーを構え直す?」

 

 

 

 

「ただまあ、このままじゃ掲示板の火消しやらメイプルのスキルバレのないように情報隠蔽やら何でか回ってきたノブナさん関連の騒動の後始末やらをやらなきゃいけなくなった私の気持ちの整理がつかないなぁ・・・って思いまして・・・・・・・・・私が誘った時はあんまり乗り気そうじゃなかった楓が飛鳥さんの影響で始めたFGOをあんなに楽しそうにやってるの見てるとなんかモヤモヤするし(ボソッ)」

 

 

 

 

「おい、聞こえとるぞ。結局最後の理由が大半じゃろがい!女の嫉妬は醜いぞ!?」

 

 

 

 

「うっさい!とりあえずノブナさんが全部悪いってことで一回成敗されてください!」

 

 

 

 

「理不尽!?」

 

 

 

 

再び襲いかかってきたサリーの一撃を紙一重でかわし、逃げ出すノブナ。

 

それから始まった二人のおいかけっこはメンテナンスが始まる直前まで続いたのだった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

メンテナンスが終わった翌日・・・

 

 

 

 

「はあぁ・・・・」

 

 

 

 

「まぁ、そう落ち込まないで楓」

 

 

 

 

そう言って理沙は隣に座る楓を慰める。

しかし、楓はぐんにゃりと机に突っ伏したまま深いため息を繰り返している。

 

 

二人がいるのはとある喫茶店だ。

 

学校から近く、値段もリーズナブル。その上出てくる料理は随所に店長のこだわりが感じられる一品ばかりだ。

学生にも人気があり、実際二人以外にも店内に制服姿の学生のグループがいくつかいる。

 

カウンター席に座って落ち込む楓は唸りながらぐりんと隣に座る理沙に顔を向ける。

 

 

 

 

「これが落ち込まない訳がないよ~」

 

 

 

 

「うーん。まぁ、私もまさかイベントの二週間前にこんなメンテが来るとは思わなかったけどね」

 

 

 

「うう・・・こんなに落ち込んだのはプレミアムロールケーキが売り切れていた時とネロ・ブライドちゃんが限定だって知った時以来だよぉ」

 

 

 

「それどっちも割と最近じゃない・・・」

 

 

 

「うううう」

 

 

 

楓は肩を落として項垂れる。

 

 

 

「とりあえず何か注文しようか。楓は何が良い?」

 

 

 

「・・・ショートケーキ・・・」

 

 

 

「了解。すいません、注文お願いします!」

 

 

 

「はーい、ただいま!」

 

 

 

理沙が店員を呼ぶとすぐに1人の店員が近づいてくる。

 

 

 

「はいご注文は・・・てお前は」

 

 

 

「あれ?・・・飛鳥さん!」

 

 

 

「んえっ!?」

 

 

 

理沙の声に反応して突っ伏していた楓がぴょんと飛び起きる。

 

其方に目を向ければゲーム内で見慣れた顔が立っていた。

 

 

ウェイトレスの制服に身を包んだ、理沙より少し低い小柄な身長。腰まで届く黒髪。目は紅くはないが凛々しくも可愛いらしくも見える顔付きはゲーム内そのままだ。

 

 

 

 

「わぁ!本当に飛鳥さんですか!?私です、楓です!」

 

 

 

 

「おお、リアルでははじめましてだな。二人は学校帰りか?」

 

 

 

 

「はい!飛鳥さんは・・・」

 

 

 

 

「見ての通りバイト中だ」

 

 

 

 

「え?・・・・飛鳥さんが・・・バイト?」

 

 

 

 

「・・・おい理沙よ。なんでそんな驚愕の表情を浮かべてんだ。私がバイトするのがそんなにおかしいか?」

 

 

 

「・・・いつもゲーセンか電脳空間にいるからてっきり自宅を警備してる方なのかなと・・」

 

 

 

 

「違うわ!こちとら普段は真っ当に大学生やっとるわ!」

 

 

 

 

「冗談ですよ冗談」

 

 

 

「お前なぁ・・・昨日あんだけ追いかけまわしといてまだ気がすまんのか」

 

 

 

「いえいえ、お陰様でモヤモヤもスッキリ」

 

 

 

「私はお前さんのストレス解消グッズかなんかか?」

 

 

 

理沙が笑いながら言うのを見て飛鳥はため息をつく。

 

 

 

「ま、それはそれとして、楓はなんでこんなテンション下がってるんだ?」

 

 

 

「それは・・・」

 

 

 

楓が口を開く。

 

楓が落ち込んでいた理由。

それは昨日実施された『NWO』のメンテナンスによるものだ。

 

 

メンテナンス内容は一部スキルの弱体化とフィールドモンスターのAI強化だ。

 

その内の一つ、スキルの弱体化が問題だった。

 

弱体化されたのは主に上位プレイヤーの強力なスキルだ。

メイプルが持つ【悪食】もその一つだ。

 

 

 

「メイプルの【悪食】が1日十回の回数制限に変更。ただし吸収できるMPは二倍・・・魔力タンクなのは同じだけど、まぁ、弱体化だよねぇ」

 

 

 

「確かメイプルは大盾にスキル付与してるから勝手に発動するんだろ?てことは十回攻撃受けたら・・・ただの大盾になるな」

 

 

 

「ただの大盾!?」

 

 

 

楓が悲鳴をあげる。

肩を落とす楓の背中をドンマイドンマイと叩く理沙。

飛鳥もうんうんと頷いている。

 

 

 

 

「まぁ、注目を集めたプレイヤーには良くあるこった」

 

 

 

 

「そう言えば飛鳥さんのキャラもスキル修正されたりしたんですか?」

 

 

 

 

「ああ、いくつかやられたな。まず【単独行動】が1日十回の回数制限に変更されただろ。あと【マックスウェルの悪魔】のMPの最大量増加と回復にかかる時間がそれぞれ長くなった」

 

 

 

 

「てことは前回のイベントみたいに開幕即ブッパみたいなことは出来なくなったんですか」

 

 

 

 

「まあ、小規模ならまだしもあれだけの規模の一撃を放つには時間がかかるようになったな」

 

 

 

 

「あうぅ・・・やっぱり、私以外にも色々修正されてるんですね・・・」

 

 

 

淡々と現状を語る飛鳥。

それを聞いて楓は諦めのため息をつく。

 

 

 

 

「まあ、【悪食】すっごい強かったもん。修正はしょうがないよ。でも、もう一つの修正の『防御力貫通攻撃スキルの実装とそれに伴う痛みの軽減』っていうのがなぁ・・」

 

 

 

「ああ、そんなんもあったなぁ・・・まあ、そこまで気にすることもないだろ」

 

 

 

「何でですか?これじゃ私ノーダメージじゃなくなっちゃう・・・せっかく理沙に回避盾になってもらったのに二人で無敵パーティー組めなくなっちゃう」

 

 

 

「お前らそんな恐ろしいこと考えてやがったんかい・・・ただ、まぁやっぱり問題ないだろ」 

 

 

 

二人の野望を聞いて弱冠引きつつ、飛鳥はそう断言する。

 

 

 

 

「ノーダメージじゃなくなったってだけで、攻撃受ける=即死じゃないなら問題はねぇ。要は死ななきゃいいんだ。回復アイテム持ち歩くなり、HP上げるなり、PS磨くなりやりようはいくらでもあるだろ」

 

 

 

「そうだね。メイプルの場合生き残り続ける限り大規模魔法で一網打尽出来ちゃうから。ダメージ与えられても生き残って疲労した敵を魔法で倒す・・・むしろより無敵感上がってるかも」

 

 

 

 

「理沙・・・飛鳥さん・・・」

 

 

 

 

「ふむ、となると現状メイプルに必要なのは回復系と、HP増加、MP消費軽減系のスキルか装備か?」

 

 

 

「HP回復の魔法は私が覚えるとして、装備としてはメイプルのユニーク装備を考慮した指輪なんかのアクセサリー系が良いですね」

 

 

 

 

「アクセサリー系なぁ。次のイベントも近いし比較的取得しやすいめぼしいのピックアップしとくか。・・・なにこっち見て笑ってんだ楓?」

 

 

 

 

「・・・いえ、なんでもないです♪」

 

 

 

本人そっちのけで早速議論を始めた二人を見ながら嬉しそうに微笑む楓。

その顔は先程までの落ち込みようが嘘であったかのように晴れやかなものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「友人と仲良さげなのは結構でちが、勤務中なのを忘れて話し込むのは流石に行き過ぎでち!!とっとと業務に戻れでち!!」

 

 

 

 

 

「げぇ!?店長!?」

 

 

 

 

数分後、思い切り仕事を忘れてサボっていた飛鳥が店長に思い切り怒られたのはまた別の話。

 

 

 

 

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