別ゲーの推しキャラを再現する為に器用度に極振りしたいと思います。 作:風邪引きピエロ
その日、第二層にある広場には多くのプレイヤーが集っていた。
皆が皆、熱に浮かされたようになりソワソワと時間が過ぎ行くのを待っている。
それも当然、この日は『NWO』の第二回イベントが開催される日なのだった。
あるものは入念に装備の確認をし、あるものは既知の人間との会話をする。
そんな喧騒のに包まれる広場の中で、メイプル、サリー、ノブナの三人が集まって話をしている。
「いよいよイベントだねーっ」
「ふふ、緊張してない?メイプル」
「わ、私は二回目だから大丈夫だよ!ちゃんと準備もしてきたし。それよりノブナさんは大丈夫なんですか?また前回みたいに寝不足になってたりしてません?」
「昨日さんざん『早く寝ろ』とメール送ってきおってからに・・・お前は儂のオカンか・・・ま、お陰様で八時間睡眠のベストコンディションじゃよ」
「というかそう言ってるノブナさんこそイベント前日に楽しみ過ぎて寝不足って遠足前の小学生みたい」
「うっさいわサリー!」
周りの熱狂的な空気とは裏腹に、いつも通りの和気藹々とした雰囲気で会話する三人。
前回のイベント時にも同じような感じではあったが、今回は周囲の対応が違っていた。
「・・・何か私達注目されてる?」
「そりゃそうじゃろ。仮にも前回イベントの三位と四位じゃぞ儂ら」
「それを差し引いてもメイプルとノブナさんは目立つから」
チラチラと視線をよこすもの。
露骨に観察するもの。
違いはあれども周囲の視線が三人の方へ向けられている。
既に勝負は始まっているのだ。
そう思って少し気を取り直したメイプルの耳にファンファーレが聞こえてきた。
音の発生源は中央に設置された大型モニター。
そこにはデカデカと写し出された『運営』の二文字があった。
『はいはーい!第二層広場にお集まりの皆様準備はよろしいですか!?只今より第二回イベントの説明を開始したいと思います!』
プレイヤー達の視線が中央に集中する。
一拍置いてから、機械音声による放送が説明を始めた。
『今回のイベントは探索型です!目玉は転移先のフィールドに散らばっている三百枚の銀メダル。これを十枚集めることで金メダルに交換出来ます。イベント終了後、そのメダルとスキルや装備品を交換可能です!』
画面に金色のメダルが写し出される。
それを見たメイプルとノブナが反応した。
「あれ?あのメダル何か見覚えが・・・」
「前回のイベントで10位以内の奴らに配られたメダルじゃの・・・装備品でもなく然りとてどこかで使える訳でもなく、とりあえず放置しておったが成る程、ここで使うのか」
『また前回イベント10位以内の方は金メダルを最初から所持しています!倒して奪うもよし。我関せずと探索に励むもよしです!』
またも周囲の視線が二人に集中する。
それにメイプルはアワアワと慌て、ノブナはニヤリと笑う。
二人なりのリアクションをとっていると運営の説明が再開される。
『なお救済措置として第一回イベントにてメダルを得た方々が終了時に金メダルを奪われていた場合、銀メダルが五枚渡されます。また、仮に死亡しても落とすのはメダルだけ!装備品は落としませんのでご安心ください。死亡後はそれぞれの転移初期地点に戻されます!』
『今回はゲーム内期間で一週間です。時間加速を行うので現実世界での時間経過はたったの二時間!フィールド内にはモンスターの来ないポイントが幾つもあるので休憩や拠点とするなどご活用ください!なお、時間加速の関係上途中ログアウトされますと再参加は出来ませんのでご注意ください!』
サリーが放送を聞きながら、運営からの通知画面を開き内容を確認する。
「・・・うん。内容は大体放送の通りだね。パーティーを組めば同じ場所からスタートするけど・・・」
「同じパーティーに金メダル持ちが二人居ると集中的に狙われて探索所じゃなくなりそうじゃの。なら儂は別行動にするか。スキル的に儂のが個人行動するには良さそうじゃし」
「ええ~、ノブナさん、一緒に行けないんですか?せっかく一緒にイベント参加出来ると思ったのに・・・」
「ま、運が良ければあっちで会えるじゃろ。そんなに落ち込むでないわ」
残念がるメイプルの頭をポンポンと叩き、ノブナが笑う。
そうこうする内に説明が終わり、いよいよイベント開始のカウントダウンが始まった。
「それではの二人とも」
「はい!メダル集め頑張ってください。私達も頑張りますから!」
「やたらめったら街壊したりダンジョン破壊したり他プレイヤーのパーティーに喧嘩売って消滅させたりしないでくださいね~」
「お主の中の儂、基本何か壊してない!?」
そこまで言った所で画面上のカウントが0を示し、視界が光に包まれた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・ここは」
ゆっくりと目を開ければ目の前に広がるのは一面の荒野。
赤茶けた地面が地平線の彼方まで広がり、所々に生えた枯れかけて痩せ細った木や乾き白くなった草。青い空から燦々と降り注ぐ太陽の光。
周囲一帯まで自分以外に動くものはおろか生物のいた痕跡すら見当たらない。
そんな不毛の大地の真ん中にポツンと一人取り残されたノブナはとりあえず周囲を観察して危険がないことを確認した後ため息をついて腕を組む。
「・・・まーた何やら酷い場所に飛ばされたのぅ。前回といい、今回といい儂開始地点の引き悪くない?運営の嫌がらせかなんかか?」
仕方ない事とはいえ、愚痴りたくもなる。
ステータスを器用度に極振りしているノブナにとってこのように広い割に周りに何もなく、移動をするのにも探索するのにも時間がかかるような地形は地味に辛かったりするのだ。
「【単独行動】も1日十回の回数制限かけられたからおいそれと使えんし・・・地道に歩くしかないんか?めんどくさいのぅ」
再びため息を吐きながら、自身の引きの悪さに思わず天を仰ぐノブナ。
すると
「・・・・・・うん?」
見上げた青空。
一見何も無いように見えるが、視界の隅にチラっと何か見えたように感じた。
よくよく観察してみれば遥か上空に小さく点のように建物らしき影が見える。
「なんじゃあれ?随分高い所にあるが何かの建造物っぽいな・・・ラ○ュタ的なアレか、フム?」
その場で暫く考えた後、ノブナは上空にある影を見据えるとスキルを発動する。
「とりあえずは行ってみんことには分からんか。【マックスウェルの悪魔】!」
ごうっと赤黒いオーラがノブナを包み込む。暫くそうしてMPを貯めこんだ後、再び口を開く。
「最早お馴染み、【秘密兵器】!」
空間の歪みから出現する数多くの火縄銃が螺旋上に並んで上空へ伸び、即席の階段を形成する。
早速出来た即席螺旋階段を一歩ずつ登っていく。
「・・・なんか昔見たどっかのゲームでこんなシーンみたような気がするのぉ。あれはなんじゃったっけ?」
そんなどうでもいい独り言を呟きながら遥か上空の影に向けて歩き続けるノブナであった。
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ノブナが一人徒歩で上空を目指していたのと同時刻・・・
所変わって運営ルーム。
第二回イベントの進行状況をモニターしていた人員の一人が悲鳴を上げた。
「た、大変です!イベント開始早々『天空の門』にプレイヤーが向かってます!」
「何ぃ!?あそこはイベント後半に出現する専用ゲート通って来ないと到達出来ん筈だろ!どうなってんだ!?」
「映像出します!」
カチカチと機械を操作すると、メインモニターの映像が切り替わり、上空を火縄銃を足場にして歩くノブナの映像が写し出される。
「コフッ!?」
「ああ!?グラフィック担当があまりのストレスに血を吐いた!?」
「ま た あ い つ か」
「おいどうするよ。あそこ確か【海皇】やら【銀翼】やらみたいなの出現させる予定じゃなかったか?」
「ああ、確かそうだ。ただあそこは課長が一人で担当してたからあんまり詳しい事は分からん。聞こうにも今課長出払ってるしなぁ。もう少しすれば戻ってくるだろうけど」
「流石に【銀翼】レベルを一人でクリアは無理だろうけどなぁ・・・如何せんノブナだからなぁ・・・」
運営スタッフが戦々恐々と見守る中、そんな事は露程も知らないノブナは淡々と『天空の門』への階段を上がっていくのだった・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふぅむ・・・ようやく着いたが、中々に妙な場所よの」
火縄銃を足場に上昇すること約30分。
最早地上は遥か彼方、白い雲が眼下を流れ、強風が頬を叩く。
電脳空間でなければ人が生存することの出来ぬ高空。
そんな空間に『それ』は存在した。
周囲を囲む堅牢な壁、その中に広がる幾つもの建物、整備された道路。
まるで城塞都市の一画を地面ごと抉り取り、宙に浮かべたかのような場所。
しかし、その中で一つだけ異質なものが混じっていた。
天を突く巨大な黒塗りの門。
街の真ん中に据えられた異様な建造物。
くぐって入る筈の建物は存在せず、ただ門だけが其処に鎮座している。
色は燦々と降り注ぐ日の光すら呑み込む漆黒。
一つ一つが大人一人分程の大きさがあるであろう鎖がまるで封印でもあるかの如く何十にも巻き付き、門の開閉を妨げている。
「これまたえらく禍々しい。天空に浮かぶ建造物なんてシロモノならばも少しファンシーさがあっても良かろうに」
言いながら、足場をその建物郡に向けて伸ばす。
器用に足場の上を移動しながら暫く進めば件の門の近くにまでやってきた。
下を見下ろせば、門のある辺りはかなりの大きさがある広場のようであるらしく降りる分には支障はなさそうだった。
とりあえずは降りてみないことには何もわからない
そう考えたノブナは階段状に配置し直した火縄銃を一歩ずつ下り、遂に広場へと足を踏み入れた。
足の下からはしっかりとした硬い感触。古びて所々が苔むしているとはいえ石造りできっちりと整備された広場だ。
ざっと見積もってもサッカー場3つ以上は余裕であるだろう広大な土地の真ん中には漆黒の門が聳え立つ。
下から見上げると更に大きく見え、妙な重圧を見るもの全てに与える。
「見れば見るほど異様な建造物じゃ。妙なプレッシャーも感じるし間違っても良いものではなかろうな・・・いっそ破壊してみるか?」
そんな物騒な独り言を呟きながらインベントリから銃を取り出そうとした・・・その時
「───ほう。この地に人の子が迷い混むのは久方ぶりだ」
静かな、しかし良く通る声が広場に響く。
即座にその声のした方へ銃口を向けるノブナ。
が、そこで彼女は目を見開き、完全に動きを止めた。
浮かぶ表情は驚き、困惑、忘我。
────そこに、ありえないものを見た。
紫がかった腰ほどまである長髪。
女性的でありながら研ぎ澄まされた刃を思わせる鍛え抜かれ、洗練された無駄の無い身体。
動きを必要以上に制限しないように身体に密着するように造られたであろう服。
端正な顔と白い肌。
開いた瞳は彼岸花の如き深紅。
その手に握られしは朱色の槍。
「──さて勇士。貴様は私を殺せるか?」
───影の国の女王がそこにいた。
アーケードでジャックが出ない悲しみを二次創作にぶつけた結果、師匠が出た。何を言って(以下略)