別ゲーの推しキャラを再現する為に器用度に極振りしたいと思います。 作:風邪引きピエロ
漆黒の門・・・その袂にて
二人きりの戦いは激化の一途を辿っていた。
片や朱槍による神速の一刺。
片や火縄銃による多重の弾幕。
互いが互いを殺すための必殺の一撃を繰り出し合う技の応酬。
一見互角のようにも見える戦い。
だが、その実形勢は徐々にノブナ側の不利となってきていた。
「──フッ!!」
一息で三突き。
その何れもが人体の急所を穿たんと放たれる必殺の一撃だ。
其を或いは避け、或いは捌く。
それでも避けきれず、【秘密兵器】で取り出した銃で受け止める。
槍撃を止めた瞬間、金具が弾け鉄がひしゃげ木片が飛び散る。
殺しきれなかった衝撃で身体が浮き、後ろに吹っ飛んだ。
数メートルは飛ばされ、地面に背中を強かに打ち付ける。
衝撃に意識が刈り取られそうになるのを堪え、後転。
数瞬前まで身体があった所を朱槍の横薙ぎが削り取った。
反応が遅れていれば胴体が真っ二つにされていた所だ。
しかし、まだだ。
ゾクリと、背筋に悪寒が走る。
嫌な予感に突き動かせるように、咄嗟に横に跳びすさる。
瞬間、何もなかった空間に文字のようなものが浮かび上り、そこから発生した何発もの炎弾が破裂し地面を黒く焼き焦がす。
必死に避け、十分に距離を取り、体勢を立て直しながら相手を見る。
「・・・中々器用に避けるものだ。我が槍だけでなく【原初のルーン】もかわすとは」
そう言って影の国の女王にして至高の戦士、『スカサハ』が朱槍を振るい、構え直す。
あれだけの連激を繰り出しておきながら息一つ乱すことなく、己の身長よりも長い朱槍を手足の如くに操り、すらりと立つ姿勢に一切のブレがない。
「しかし防戦だけでは意味がない。貴様が私に傷すらつけられぬというならば、その命を貰うまで」
「──減らず口を!【秘密兵器】!!」
ノブナの叫びと共にスカサハの背後に空間の歪みが発生する。
中から出現するのは無数の銃口。
それらが、現れるなり一斉に火を吹こうとして──
「甘いッ!」
朱槍が一閃。
全ての銃が両断され、空中で爆発四散した。
その光景を目の当たりにしながらノブナは内心歯噛みする。
『死角からの奇襲にすらいとも簡単に対応するか!?最早勘が良い等という次元の話ではないな!』
先程から何度も何度も繰り返し攻撃を行っているが未だにかすり傷すら与えられていない。
まるで未来が見えているかのように、全ての攻撃が出足から潰されている。
『否・・・ようにではない。実際に未来が見えておるのだ』
ノブナはそう確信する。
先程の視角からの一撃の際に一瞬だが確かに見たのだ。
スカサハの、その深紅の瞳が朱く輝くのを──
「──ほう。気付いたか」
ノブナの視線が自身の瞳を見据えているのを眺めながらスカサハが薄く笑う。
「貴様の想像通りだ勇士。我が【魔境の知慧】はあらゆる業の行使を可能とする。──【千里眼】による予知もその一つだ」
【魔境の知慧】
・このスキルを発動時、ユニーク装備固有のスキル以外の現存するあらゆるスキルを、その取得条件を無視して使用可能とすることができる。取得するスキル及びその行使は任意で切り替え可能。
・このスキルで得たスキルの習熟度は『Ⅸ』或いは『Ⅹ』となる。
「はッ!厄介な事この上ないのう・・・貴様、死にたいというならばそんなスキルの使用を控えてくれても此方としては一向に構わんのだが?」
「生憎とこの程度の逆境すら越えられぬ弱輩に殺されてやる気はないな」
「デスヨネー・・・じゃったら!」
燃え盛る焔のように紅い双眸を煌めかせ、犬歯を剥き出しにして獣の如くノブナが嗤う。
その背後に幾千幾万もの火縄銃が出現し、ほの暗い銃口を目前の敵に集中させた。
「MPは十二分に集まった!予知をしようが避けられぬ程の弾幕で削り殺す!!」
自身に向けられた無数の銃口を前にしても、スカサハは動じない。
寧ろその口元には愉しげな笑みすら浮かべている。
「──良い。彼我の力量差を理解しながら、尚燃え盛るその闘志。それでこその勇士というもの」
静かに、それでいて確かな熱量を秘めた朱い瞳がスゥと細められる。
瞬間、朱槍を天高く投擲し自身もそれを追うように跳躍する。
槍が重力に捕らわれ落下する、その直前ぐるりと空中で体勢を入れ替える。
瞬時に此方を捕捉し直す銃口の群れを視界の端で捉えながら愉しげに笑う。
「ならばこそ、全力を持って真正面から叩き潰す!!」
「三千世界《さんだんうち》!!」
「蹴り穿つ死翔の槍《ゲイ・ボルク・オルタナティブ》!!」
数多の弾丸と数多の朱槍が空中でぶつかり合い削り合い、轟音を響かせた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
──同時刻
運営ルームにて
二人のスタッフが中央スクリーンに映る二人の戦いを眺めている。
「・・・・どっからどう見ても師匠だよなぁ」
「・・・・師匠ですねぇ」
二人の視線は戦っている二人の内の一人、朱槍を振るい縦横無尽に暴れまわる方に集中している。
「・・・・どうしたって他社キャラだよなぁ」
「・・・・他社キャラですねぇ」
当たり前の事を口に出しながら改めて状況の把握に努める二人。
色々把握して出した結論は、
「・・・・ヤバいよなぁ!?」
「・・・・ヤバいですねぇ!?」
勿論、アウト。
「ちくしょう!?何だってこんな事に!このステージ担当したの何処のどいつだボケェ!?」
「課長です!」
「何してくれとんじゃあのハゲぇ!?良い年こいて倫理観ガバガバか!?一人でしこしこ何か作ってると思ったら何してんじゃ!?」
「最近ノブナ対策の為とかで始めたとか言ってたんで、恐らく予想外にハマったのかと思われます!」
「知るかぁ!俺だって前からハマっとったわぁ!」
「理不尽な暴力が俺を襲う!?」
特に理由は無いが片方が殴り飛ばされた、ちょうどその時。
件の課長が部屋の入り口から入室してきた。
「いやいや申し訳ない遅れてしま『そぉいっ!!』フライングニーッ!?」
部下の華麗な飛び膝蹴りをもろに食らい吹き飛ぶ課長。
「おうおう。ようもやってくれたのぅ。この落とし前どう着ける言うんじゃアァン!?」
「ご、ごふぅ・・・な、何の事だ?」
「しらばっくれようったってそうはいかねぇぞ!あれだあれぇ!!」
怒れる部下が中央スクリーンを指し示す。
そこにはノブナと師匠の戦いがデカデカと写し出されていた。
それを見て全てを悟ったらしく、一つため息をついて課長が言う。
「なるほど、そういうことか。だが、安心したまえ。既に正式に許可は得ている」
そう言うと課長はスーツの内ポケットから取り出した書類を見せた。
「これは・・・いつの間に」
「・・・近々、コチラとアチラとのコラボイベントが予定されている。まだ詳細は未定だが、アチラさんのキャラクターをお借りしての、大規模なものとなるだろう。今回のこれもそのイベントの告知を兼ねた試験運用のようなものだ」
「そうだったんですか・・・すいません、知らなかったとはいえついカッなって飛び膝蹴りなどしてしまって」
「良いんだ。こちらこそ説明出来ずに悪かったと思っている。何せ極秘の計画だったからね」
「課長!」
部下と課長がガッシリと握手した時、殴り飛ばされた方の部下が頬を擦りながら戻ってきた。
「いてて。あ、課長話聞いててちょっと疑問だったんですけど」
「なんだね?」
「なんで師匠なんです?まぁ、大人気キャラではありますがコラボイベント告知って言うんならそれこそアチラさんの看板キャラのアルトリアさんやジャンヌさんが良い気がするんですけど」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
暫しの沈黙が流れた後、課長が一つ息をつき言う。
「うっせぇな!師匠を出したかったんだよ、悪いかゴラァ!?」
「やっぱり私欲じゃねぇかこのハゲ!」
「おう、コイツ囲んでタコ殴りにすんぞ!」
そうして世にも醜い争いが運営ルームにて勃発したのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
弾丸と朱槍の激突が終わり、周囲に舞い上がった土煙が視界を塞ぐ。
敵の姿は視認出来ない。
が、『あの』敵がこの程度で倒されてくれるなどとは到底思えない。
周囲への警戒を強めながら、迎撃の態勢を整えていると徐々に視界が良くなっていく。
「まずは見事。よくぞあの攻撃を凌ぎきった」
晴れた視界の中には先程迄と変わらず泰然と立つ女王の姿。
そこまでは予想通り・・・しかし
「・・・あの一斉射をもってして、傷一つとは・・・化物め」
スカサハの頬に一筋の線が入り、そこから僅かに出血している。
初めて攻撃が当たった──が、それだけだ。
HPバーもほんの数ミリ削れているだけ。
致命傷には程遠い。
悔しげに歯を噛み締めるノブナに対し、スカサハは自身の頬に手をやると血を拭う。
「──自分の血を見たのは随分と久しぶりだ」
言って朱槍の切先をノブナに向ける。
「しかし、まだ足りぬ。人を越え、神を殺し、半ば神へと至った我が肉体・・・そう簡単に屠れはせぬぞ」
見る間に頬の傷が塞がっていき、数秒後には痕すら残さず消滅し、僅かに削れていたHPバーも全快している。
【不死の肉体】
・不死である事を示す力。1秒につき10ポイントHPを回復する。
・このスキルの所有者のHPが0となった時1日に5回まで、最大HPの50%分のHPを回復し即座に復活する。
「ぐ・・・ちまちまと体力を削ることすら出来んか・・・」
ノブナの頬を汗が伝う。
緊張と焦りで混乱しそうになる頭を回転させ、打開策を考える。
しかし、そうそう案など浮かばない。
そうこうする内に再び、スカサハの猛攻が始まった。
ついと伸ばした人差し指で空中に紋様を描く。
完成した文字が輝き、その意味を解放する。
描かれた紋様は「アンサズ」。
火を示すルーンはその効果を十全に発揮し、炎弾を高速で射出する。
「【単独行動】!」
迫り来る炎の弾丸をスキルを使用することで回避する。
「──【千里眼】【超加速】」
が、次の瞬間には眼前に朱槍を構えたスカサハが現れる。跳ぶ方向に完璧に合わせられた槍の切先がノブナを串刺しにせんと迫る。
咄嗟にスキルを使用。出現させた銃でガードしようとする。
「それも『見た』」
「んな!?─ぐッ!?」
が、先に振るわれた『二振り目』の朱槍がそれを弾く。
バランスを崩しながらも身を捩る。
右肩の肉を突き出された朱槍が抉り取った。
ダメージエフェクトが発生し、ノブナのHPがガクンと減っていく。
ダメージこそ負ったが串刺しよりは遥かにマシだ。
後ろに飛び退きながら銃弾をばらまく。
迫る弾幕はしかし、二振りの朱槍を回転させることで全て弾き落とされた。
『何をやっても対応される!どうすればいい!?どうすれば奴を殺せる!?』
一瞬の判断ミスが即ち死へと繋がる戦い。
焦りが思考を惑わせる。
吹き出る汗が視界を狭める。
限界まで酷使された身体が悲鳴をあげる。
───だからだろうか
飛び退いた先にあるモノに気付けなかった。
ガツンと背中に硬い感触。
振り向けば其処には例の黒塗りの門があった。
『抜かった!追い込まれていたか!』
逃げ道を塞がれていたことに気付いた時にはもう遅い。
下から上へと、かちあげられた朱槍がノブナの小柄な身体を打ち上げる。
『──逃げ──身体、動かな──スタン!?』
「──刺し穿ち」
視線の下、朱槍に赤黒いオーラを纏わせながらスカサハがその鋭い切先を空中のノブナに向ける。
「突き穿つ!」
渾身の力を込めて投擲された槍が過たずノブナの身体を刺し貫く。
「──貫き穿つ死翔の槍《ゲイ・ボルク・オルタナティブ》!!」
朱槍に込められたエネルギーが解放され、轟音とともに全てを爆散させた。
煙の晴れた後には何の痕跡すらも残されてはいない。
それを確認したスカサハは朱槍を一度振るうと、戦場に背を向け歩き出す。
「───やはり私を殺せる者などいるはずもないか」
・・・・・人知れず吐き出された言葉は誰にも聞かれることなく、無人の広場に響いて消えた。
感想でFGO やってない方もいたので、そういう方向けに一応のキャラ解説(作者の主観バリバリ)。
『スカサハ』
・かの大英雄、皆大好き槍ニキこと『クーフーリン』の師匠でゲイボルグあげた人。通称『師匠』
ブッ飛んでる世界観のケルト世界の中でも特に強い人。めっさつおくて格好いい女性だけど槍ニキ関連の事となると若干めんどくさくなる気がしないでもない。
関係ないけどアーケードでノッブ使ってる時に遭遇したら死を覚悟する。