別ゲーの推しキャラを再現する為に器用度に極振りしたいと思います。   作:風邪引きピエロ

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先に謝っときます。色々、ごめんなさい・・・




器用度極振りと第二回イベント 3

第二回イベント二日目、深夜・・・

 

 

もうそろそろ日付が変わろうかという時間帯。

メイプルとサリーの二人は大木の枝上で深夜の探索の前の小休憩をしていた。

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

 

「どうしたのメイプル?」

 

 

 

 

幹に背中を預けて座り、頭上に輝く満点の月を眺めていたメイプルに、所持スキルの確認を終えたサリーが話しかける。

 

 

 

「ん?なんでもないよ?」

 

 

 

 

「そう?なんか少し寂しそうだったから」

 

 

 

 

「そんなことないよ、大丈夫!──ただ・・」

 

 

 

 

サリーに微笑み返してからメイプルは再び満月を見上げる。

月明かりに照らされたその横顔はやはり何処か物悲しげであるように見えた。

 

 

 

 

「ノブナさん、今頃何してるのかなって思っただけ」

 

 

 

「・・・メイプル」

 

 

 

 

サリーはメイプルの横顔を見て、少し考えた後ニヤリと笑って殊更におどけた口調で話し始める。

 

 

 

 

「おおっと?これはこれは・・・メイプル殿はノブナさんにご執心という訳ですな。なるほどなるほど二人がそんなに仲良しになってたなんて・・・これはわたくしお邪魔虫でしたかしら?」

 

 

 

「ニャッ!?にゃに言ってるの!?」

 

 

 

 

「あ、赤くなった。これはもしかするともしかするかもな~?よく考えたらメイプルがこのゲーム始めた時から二人って一緒に行動してる事多かったもんね~」

 

 

 

 

「違うったら!もう!」

 

 

 

 

「アハハ!冗談だって、冗談。そんなに怒らないで」

 

 

 

 

メイプルの赤くなった頬を突っつきながらサリーが笑う。不満げに頬を膨らませながらされるがままになるメイプル。

二、三回つついた後、サリーは優しく微笑みながらメイプルに言う。

 

 

 

「大丈夫。その内きっと会えるから」

 

 

 

「そうかな?・・・でも心配だよ。ノブナさん一人きりだし、金メダルも持ってるから他のプレイヤーにも狙われてるだろうし」

 

 

 

「う~ん。それもまぁ、大丈夫じゃないかな」

 

 

 

憂うメイプルとは対照的にサリーは楽観的に答える。

なぜそこまで言い切れるのかとメイプルが首を傾げている。

考えていることが顔に出まくっている彼女に苦笑しながらサリーが話し始める。

 

 

 

「私とノブナさんがこのゲームを始める前からの知り合いって言うのは話したっけ?」

 

 

 

「うん。よく色んなゲームで対戦してたんだっけ」

 

 

 

「そうそう。で、どんなゲームで対戦しても大抵私が連勝するんだよね」

 

 

 

「そうなの?」

 

 

 

「うん。だけど暫く経つと途端に勝てなくなってくるんだよねぇ~。何でか分かる?」

 

 

 

サリーの質問にメイプルがふるふると首を横に振る。

それを見てサリーがニヤリと笑って言う。

 

 

 

「研究してたの。何度も何度も負ける中で私の動きのクセや私がここでどう動くかとかこの状況ならどう考えるかとか、地形や武器やスキルなんかの条件の違いによって起こる誤差も含めてじっくりゆっくり丁寧に徹底的に、ね」

 

 

 

 

「そ、そうなんだ。よくわからないけど、凄いね」

 

 

 

 

「うん。あの執念深さは敵にまわすと恐ろしいよ~?絶、対!諦めないからあの人。だから、まぁ仮にだけど」

 

 

 

 

そこまで言ってサリーもまた頭上の月を見上げる。

この世界の何処かにいるだろう友人の顔を思い浮かべながら。

 

 

 

 

 

 

「金メダルを奪われるような事があったら、その相手に徹底的に粘着して戦い続けるんじゃないかな。それこそ相手を倒すまで」

 

 

 

 

 

 

 

サリーは笑ってそう言った。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

同時刻・・・

 

【天空の門】にて

 

 

 

 

地上よりも近く、大きい満月の光が広場を照らし出す中、一人スカサハが佇んでいる。

目を閉じ腕を組み、門に背を預け立っている姿は一枚の絵画のようにも見える。

 

 

 

 

 

「───来たか」

 

 

 

 

 

呟き、ゆっくりと目を開く。

彼岸花に似た色の瞳が頭上を向く。

 

 

巨大な月を背にして一人の人間がいた。

 

 

ノブナだ。

 

 

所々がほつれ、破れた軍服と特徴的な前立てが一部欠けた軍帽。ボロボロになった赤い外套を夜風に翻しながら火縄銃を足場にして空中に立っている。

 

それを確認して門から背を離し、手に朱槍を出現させながらノブナの方へ歩きだす。

それに合わせるように彼女も地上へと降りてくる。

 

10メートル程の距離を置いてお互いに向き合った。

朱槍の切先を前方のノブナへと向けながらスカサハが語る。

 

 

 

 

「・・・さて何か私を殺せるような方法は思い付いたか?」

 

 

 

「・・・・」

 

 

 

 

ノブナは無言。うつむき加減の為顔色も伺えない。

しかし、軍帽の影から僅かに覗く紅い瞳がギラギラと妖しく煌めいている。

まるで餓えた肉食獣の如き、攻撃的な光。

それ見たスカサハが薄く微笑む。

 

 

 

 

「──良い眼だ。未だ戦意は衰えず、か」

 

 

 

 

言って朱槍を持つ手に力を込める。

全身に気力が満ち、何時でも飛び出せるように準備を整える。

応えるようにノブナも両手に火縄銃を装備する。

 

 

二人が無言で対峙する中、刻一刻と時間が進んでいき───

 

 

 

 

日付が変わる。

 

 

 

 

瞬間、二人が同時に動く。

 

間隔が一気に詰り、金属同士がぶつかり合う音が広場に響き渡る。

 

至近距離で二対の紅い視線が交わり合う。

表情はどちらも笑顔──親愛でなく、殺意に溢れたそれを浮かべながら。

 

 

 

 

深夜の決闘が幕を開けた。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

『───何度も戦ってわかった事は3つ』

 

 

 

 

朱槍による三連突き。

頭、胸、腰を貫こうと迫る切先を【秘密兵器】で出現させた銃で反らす。

直接受け止めるのでなく、表面を滑らせるように角度をつけて──

金属同士が擦りあい、火花が散った。

 

 

 

 

『一つ、奴の防御力、HPはそこまで高くない。かすり弾でもHPを削れたということは、まともに命中すれば普通にダメージを与えられるはず』

 

 

 

 

横薙ぎをしゃがんでかわし、一発射撃。

空いた手で描こうとしていたルーンを妨害し、発動を阻止。

それを確認した後すぐさま距離を取る。

頭上から振り下ろされた槍の石突が広場の石造りの地面を砕き破片を飛び散らせた。

 

 

 

 

『二つ、奴の【魔境の智慧】は同時に二つのスキルを使う事は出来ない。使えるのは常に一つだけ』

 

 

 

 

二振りの朱槍を用いての連激。

 

前進しながら縦横無尽に振るわれる槍から後退して距離を取りつつ連続射撃。

 

足を止めさせ、近づかせない。

 

 

 

 

 

『三つ、【千里眼】による予知は常に発動している訳じゃない。発動する時には眼が紅く光る。効果時間は30秒。次の発動が可能になるまでのインターバルは1分・・・そして推測だがこのスキルはおそらく』

 

 

 

 

「良く避ける。ならば──」

 

 

 

 

スカサハはそう言うと、大きく後ろに下がる。

この戦いの間に何度も見た動き。

 

すなわち、【千里眼】を発動してからの連続攻撃。避けることすら許されぬ必殺の業だ。

 

 

 

 

『──落ち着け──早すぎず、遅すぎず、的確に──』

 

 

 

 

極限にまで研ぎ澄まされた集中力がスカサハの動きをいやにゆっくりに見せる。

両手に朱槍を構え、前傾姿勢で身体中に力を溜め、眼を閉じて・・・

 

 

 

 

「『今!』【隠密】!」

 

 

 

 

「【千里眼】!」

 

 

 

 

スカサハの瞳が紅く輝く、その一瞬前にノブナの姿がかき消える。

スキル【隠密】の効果によって姿を隠したのだ。

 

すぐにその場を移動しながら慎重にスカサハの動きを観察する。

 

 

 

 

「・・・・・・・」

 

 

 

 

スカサハはその場を動かず、二槍を構えて周囲を警戒している。

明らかに此方を見失っている動きだ。

【千里眼】で未来を予知しているのならば姿が見えなかろうと攻撃してくるはず。

 

つまり──

 

 

 

 

『【千里眼】の発動に失敗した!やはりこのスキル、発動時に対象を『視認』している必要がある!』

 

 

 

 

スカサハの強さの根幹はその強力なスキル群。

 

中でも【魔境の智慧】によって身につけた【千里眼】は特筆して強力な能力だ。

 

しかし、この世界が『ゲーム』であるならばどんなに強力無比なスキルであろうとそこには必ず『ルール』があり、『仕様』がある。

 

そうでなければそもそもゲームなぞ成立しないからだ。

 

 

 

 

『【千里眼】の仕様を把握するのにえらく時間がかかってしもうたが──ようやく見えたぞ、突破口が!』

 

 

 

 

ノブナの瞳の剣呑な輝きが増し、凄絶に嗤う。

 

 

 

 

『次に【千里眼】が使用可能になるまでの1分間──この間に攻撃を叩き込む!【単独行動】!!』

 

 

 

 

内に燃え上がる衝動のまま、スキルを発動し敵に向けて突っ込んでいく。

スカサハの無防備な背中をすぐ目の前に見る程の距離のまで接近し、銃を出現させる。

外すことのあり得ない必中の距離。

 

銃口をその背中に向ける。

 

 

 

『・・・・・』

 

 

 

ボソリと何かを口走った後引き金に指をかけ、躊躇わずに引く。

 

銃口が火を吹き、弾丸は過たずスカサハの身体

を撃ち貫いた。

 

 

 

 

「よし!」

 

 

 

思わず渾身の笑みが溢れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?──それが何だと言うのだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心胆から凍りつくような冷たい声が響く。

 

次の瞬間、眼前に槍の石突が迫っていた。

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

 

 

 

銃を盾に、咄嗟に後ろに跳んで衝撃を逃がす。

金属同士の衝突音が月夜の広場に響き渡り、ノブナの小柄な身体が数メートル吹き飛ばされる。

 

空中で何とか体勢を立て直し、着地。

心臓が早鐘を打ち、全身から汗が吹き出す。

荒くなった息を整えながら手元を見れば持っていた銃が半ばからひしゃげていた。

──これは最早使い物にならない。

壊れた銃を放り捨て、敵を見る。

 

 

 

 

 

 

「コソコソと身を隠し、何をするかと思えば───何だこれは?」

 

 

 

 

 

 

聞こえる声にははっきりとした怒気が混じる。

 

スカサハがゆっくりと此方を振り向く。

その腹部には確かな弾痕。

しかし、それも直ぐに塞がっていく。

片膝立ちのノブナを鋭い視線が指し貫く。

ただ見られただけなのに、周囲の温度が二、三度下がったように錯覚する。

それほどまでに視線に籠められた殺意の濃度が濃い。

 

 

 

 

 

 

「──この程度が貴様の全力か?数多の屍を積み上げ、死闘の果てに漸く手にした好機に放った一撃がこの程度だと?ふざけるな!!」

 

 

 

 

 

 

激昂と共に息苦しくなる程の重圧が否応なしに増した。

叩きつけられた朱槍の石突が広場の地面を砕く。

不快げに細められる深紅の瞳。

 

 

 

 

 

「立て!立って戦え!その爪を、その牙を!私の身体に突き立てて見せよ!!」

 

 

 

 

 

空気を伝ってビリビリとした衝撃が肌を打つ。

 

それでもノブナは片膝をついたまま動かない。

軍帽の奥から覗く紅い瞳にただスカサハの姿を映すのみ。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・もう良い」

 

 

 

 

 

 

スカサハのうってかわって静かな声が響く。

籠る感情は失望。

朱槍が赤黒いオーラを纏いながら構えられる。

 

 

 

 

 

 

「死ね。勇士に値せぬ凡俗の徒よ」

 

 

 

 

 

 

 

神すら殺す槍が放たれる───その間際。

 

 

 

 

 

 

 

ドクンっ!!

 

 

 

 

 

 

「っ!?──く、ぅあ!?」

 

 

 

 

スカサハが眼を見開き、苦悶の声をあげた。

視界が揺れ、立っていられずその場に膝をつく。

朱槍を手放さなかったのは幸運か、はたまた戦士としての意地か。

 

己の核──その深奥から、自身という存在を無理矢理別の『ナニか』に塗り替えられるような名状し難い不快感。

全身の細胞が一斉に沸騰したかのような激しい苦痛。

指の一本を動かすのすら絶叫しそうになる苦しみに必死に堪える。

 

 

 

 

 

「──ふぅ、どうやら何とか効果を発揮してくれたようじゃの。重畳重畳」

 

 

 

 

 

呻くスカサハの耳にそんな声かま聞こえる。

 

声の主はもちろんノブナだ。

 

立ち上がり、二挺の火縄銃を装備しながら不敵に笑っている。

 

 

 

 

 

「き、サマぁ!私ノからダに・・・何をしタァ!?」

 

 

 

 

 

「何、ちょっとした小細工をしたまでよ。儂のスキル【パブリックエネミー】と【狂乱】で、な」

 

 

 

 

「な、ニィ・・・?」

 

 

 

 

 

「【パブリックエネミー】は発動すると儂から半径1メートル以内に存在する全ての対象を状態異常にしやすくするスキル。わざわざ危険をおかしてまで貴様に近付いたはこの為よ」

 

 

 

語りながらノブナは銃口を動けずにいるスカサハに向ける。更にその背後には無数の火縄銃が出現し始めた。

 

 

 

「そして【狂乱】。このスキルは攻撃の命中時低確率で相手に『狂化』状態を付与するというものじゃ──さて、影の国の女王よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「狂った貴様に果たして【魔境の智慧】なんぞ使えるものか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────────────っ!!!」

 

 

 

 

スカサハの口から叫びが放たれる。

 

それは最早言葉の判別すら出来ぬ獣の遠吠えに近い。

 

手にした槍をめったやたらに振りまわす。

それだけで空気が震え、大地が裂けた。

まるで局地的な暴風の如き暴力の嵐。

 

 

その様を眺めながらノブナが悠然と右手を上げる。

 

 

 

 

「儂がやったこととは言え、誇り高き貴様のその様は見るに堪えん。我が渾身を持って疾く引導を渡してくれようぞ!」

 

 

 

 

大量のMPを喰らい、更に数を増した火縄銃の全銃口が嵐の中心──かつてスカサハであったものに照準を合わせる。

 

 

 

「【マックスウェルの悪魔】!【秘密兵器(トイボックス)】!【ピンポイントスナイプ】!【血濡れの栄光】!【加虐体質】!【灰は灰に】!そして【不死殺し】!!」

 

 

 

 

【加虐体質】

・スキル発動時、与ダメージ量をアップ。

・スキル発動時、披ダメージ量をアップ。

・状態異常(毒、マヒなど)の相手に対する特攻状態を付与。

 

 

【灰は灰に】

・炎熱系の攻撃のダメージを上昇させる。

・やけどの継続ダメージを上昇させる。

・【HP0からの復活】系の効果を持つスキルを無効化する

 

 

【不死殺し】

・自身に【不死】或いは【不滅】の属性を持つものに対する特攻状態を付与。

 

 

 

 

 

新旧、パッシブアクティブの区別なく持てるスキルの中で組み合わせられるリソース全てを突っ込んだまさに渾身の攻撃だ。

 

 

 

 

『【狂化】の効果時間は30秒!その間に削りきらねば此方が負ける・・・』

 

 

 

 

心の片隅で不安が頭をもたげる。

それはまるで流行り病のように心を侵食していく。ともすれば弱音を吐いて挫けてしまいそうになる

 

 

 

 

「是非もなし!!我ながら女々しいことこの上ないな、反吐が出る!」

 

 

 

 

 

そんな自分を笑いながらノブナが高らかに口上を叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

「『三千世界に屍を晒すがよい──天魔轟臨!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

頭上高くに掲げた右手を勢いよく振り下ろす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『これが魔王の三千世界《さんだんうち》じゃあ!!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弾丸がまるで瀑布の如く降り注ぎ、世界を削り取る。

 

 

 

 

 

 

 

「─────────────っ!!!」

 

 

 

 

 

その中心で一匹の獣が天に向けて叫ぶ。

身体を余すところなく弾丸に貫かれながら、まだ動く───動けてしまう。

 

本人の意志──狂化の中で何れ程残っているかは定かではないが──とは関係なく肉体の再生は続いていく。

 

死滅と再生のサイクルの拮抗はしかし、時間と共に片方に偏り始めた。

 

スキルの影響で上がり続けるダメージに、遂に回復量が間に合わなくなってきたのだ。

 

 

見る間にHPバーが削られていく。

 

明確な『死』が近付いていく。

 

 

 

 

 

「────────くっ!」

 

 

 

 

 

HPが最後の数ミリを残す程になったとき、朱槍の切先がピクリと動く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「く、あああああああっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは追い詰められた獣の最期の足掻きだったのか、或いは誇り高い戦士の死を賭した一撃だったのか。

 

 

 

轟音と共に朱槍が放たれた。

 

 

 

 

放たれた矢のように高速でノブナに迫る朱槍。

当たれば人体なぞ木っ端微塵となるであろう力を秘めた槍撃が過たずその華奢な胸を捉え、

 

 

 

 

 

「──悪いのう」

 

 

 

 

 

 

その切先から光となって消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・【職人泣かせ】。攻撃が命中した時、低確率で武器を破壊するスキルよ」

 

 

 

 

 

 

【職人泣かせ】

・武器以外のアイテムを使って攻撃した時のダメージ量を上げる。

・敵を攻撃した時、低確率で武器を破壊する。

 

 

 

 

 

 

 

ノブナが静かにそう語ったと同時、遂にHPバーが消滅した。

影の国の女王の身体が崩れ、光に変換されていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──セ───タ───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最期に何事かを口にしてその姿が完全に消滅する。

 

 

 

 

『レベルが38に上がりました』

 

 

 

『【不死殺し】が【神殺し】に進化しました』

 

 

『失っていた金メダルを取り戻しました』

 

 

『新たに銀メダル5枚を入手しました』

 

 

『アイテム【モンスターの卵】、【神殺しの朱槍】、【影の国の女王の肩当】、【天空門の鍵】、【英雄の証】を入手しました』

 

 

 

「──は、はぁ、はぁ・・・・」

 

 

 

 

 

敵の完全消滅を確認して一気に気が抜けた。

ファンファーレが響いて何事かメッセージが表示されるが内容を確認する余裕がない。

 

手が震え視線は定まらずとても立っていられない。肺が酸素を欲しがり、息苦しい。

冷たく硬い地面の感触を背中に感じながら意識が遠退くのを感じる。

 

イベント開始直後から不眠不休でスカサハとの戦いを繰り返してきたのだ。身体が休息を欲していても当然だった。

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、は、ははハハハハハハ!!」

 

 

 

 

 

それでも笑う。

腹の底から、高らかに、内なる衝動に身を任せて。

『ノブナ』としてでなく『飛鳥』として

 

 

 

 

 

 

「勝った!勝ったぞあのスカサハに!ハハは、ザマァ見ろ運営!」

 

 

 

 

 

 

満月輝く夜空に向けて、この世全てに響けと言わんばかりの大声で

 

 

 

 

 

 

「廃人ゲーマーナメんなコラァ!」

 

 

 

 

 

 

 

大の字に寝転がり、全身ボロボロのみすぼらしい姿ではあるが、誇らしげに夜空に向けてそう叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───あ、ヤバい死ぬマジ死ぬ」

 

 

 

 

 

 

その後すぐにぶっ倒れたのは言うまでもない。

 

 

 




人気キャラになんて事を(震え声)
こうするくらいしか勝ち筋見えなかったんですすいません。
あと、色々新スキル出しましたけど『ノッブぽくない!タイトル詐欺じゃねぇか!』という方もいるかもしれません。ただ、このスキル群のおかげで後々より魔王ムーブが捗ると思うのでご了承頂けたら幸いです。

次からは本文中に入りきらなかったスキル説明です。

【パブリックエネミー】
・自身から半径1メートル以内の対象全てを状態異常になりやすくする。
・スキルを発動している間、自身にターゲット集中状態を付与。
・スキルを発動している間、他プレイヤーから受けるダメージが2倍になる。


【狂乱】
・攻撃の命中時、低確率で『狂化』状態を付与。
・『狂化』状態
状態異常扱い。この状態になった者はすべてのステータスを2倍。攻撃の威力を1.5倍、被ダメージ量を2倍になる。
・一部スキル(魔法系、予知系など)が使用出来なくなる。理性的な行動がとれなくなる(敵味方の判別、他人を庇う、逃げるなど)
効果時間30秒
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