別ゲーの推しキャラを再現する為に器用度に極振りしたいと思います。 作:風邪引きピエロ
周囲を森や草原などに囲まれたいかにもなファンタジー風の城下町。
『NWO』を始めたプレイヤーが最初に送られる場所であり、広大なマップを探索するための一大拠点でもある巨大な都市だ。
その街の中に噴水のある広場がある。
街のランドマークの1つでもあるこの場所は、各種アイテムを売る店なども一通り揃っており、必然プレイヤー達が冒険前に集まる集合場所としても重宝されている場所だ。
そんな場所に今日もまた一人、プレイヤーがやって来た。
少女の名は『本条楓』。キャラクター名は『メイプル』。
後に『移動要塞』やら『ラスボス』やら言われるようになる少女であるが、それはまだ先の話。
現在の彼女は先日アカウント作成を終えたばかりの正真正銘の初心者プレイヤーだ。
まだ初々しい初期装備に身を包んだメイプルは防御力極振り故の周囲との【AGL】の差に(プレイ二日目とはいえ)未だ慣れず目を回しながらも、噴水の縁に腰かけている。
「えーと、理沙の言っていた待ち合わせ場所ってここでいいんだよね?」
少々自信なさげに呟きながら、先程の理沙との電話の内容を思い出す。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『ごめんね楓。私から誘っておいて』
「大丈夫。気にしないでいいよー」
理沙に(半ば押し切られる形で)誘われ、このゲームを始めたが、肝心の理沙が勉強に集中するように言われたためにしばらく一緒にプレイ出来ないという事態になってしまったのだ。
『それでね、その埋め合わせってわけじゃないんだけど私の知り合いの人もプレイしてるみたいなの。で、楓のサポートを頼んだらやってくれる言ってくれたの。明日ゲーム内で会う約束したから、会えば色々なこと教えてくれると思うよ』
「そうなんだ。うん、わかった会ってみるよ。ところでその人ってどんな人なの?」
『・・・・・イイヒトダヨ?』
「・・・理沙、なんか口調が変だよ?」
『いや、本当に良い人ではあるんだよ?面倒見はいいし、根は優しいし・・・ただちょっぴり・・・そう、ほんのちょっぴり変わってる人なだけで』
「そ、そうなんだ」
『まぁ、ゲームに関しては本当に頼りになる人なのは確かだから、とりあえず会ってみて。明日、ゲーム内の噴水広場ってとこ。キャラクターの特徴とかは聞いてないけどその人曰く、『来れば分かる』らしいから』
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脳内で友人とのそんな会話を思い出しながら、楓ことメイプルは広場を見回してみる。
プレイヤーだけでなく街の住人として配置されたNPCもが行き交い、広場は活気に溢れ賑わっている。
多くの人が物凄いスピードで(メイプル視点)行き交う様は渋谷のスクランブル交差点を思い出させる。
この中から人一人、しかも初対面の人と出会わなければならないというのはかなり難しいのでは・・・・
今更ながらそんな不安にかられたメイプル。
が、そんな不安など消し飛ばすかのように突然『それ』は始まった。
ギャギャギャギャイーーーーーーーーーン!!!!!!
仮に文字に表すならばそんな感じの、轟音が広場に響き渡ったのだ。
何事かと立ち止まる人々(メイプル含め)の視線は広場の一画、隅っこの方にひっそりと設置されている花壇の方に向けられた。
そこには異様としか言い様のない人物がいた。
身長は理沙と同じか少し低い位。細身でスラリとした体型。
腰ほど迄ある長い黒髪に赤色の瞳と可愛くも凛々しくも見える容貌が特徴的な少女だ。
そこまではいい。
洋風ファンタジー色溢れる街中で、何故か赤色のTシャツ。胸には燦然と輝く『ばすたぁ(原文まま)』の文字。
頭にはこれまた世界観をまるまる無視したかのような戦国武将の兜さながらに過剰装飾がなされた軍帽チックなナニモノか。
傍らには小柄な身長には不釣合な程に巨大な大斧・・・・が、ギターのようになった珍妙な武器っぽい何か。
少女がその弦を掻き鳴らすたびに騒音が広場に響き渡る。
横に掲げられたのぼりには大きく『初心者プレイヤー歓迎!NWO説明会の受付は此方』という文字。
見た者の正気度的な某かを削ってきそうな光景に唖然とする周囲の方々。
メイプルも同じように唖然としていたが、ふと友人の言葉を思い出した。
『キャラクターの特徴とかは聞いてないけどその人曰く、『来れば分かる』らしいから』
『ふえぇぇぇぇぇっ!?もしかして理沙の言ってたのってあの人!?』
確証はない。が、タイミングといい友人の人物評といい、間違いないっぽい。
正直見なかったことにしてこのままログアウトしたい気分になってきたが、背に腹は代えられぬ。
メイプルは意を決して、珍妙な人物に近づいていくと恐る恐る話かけてみた。
「あ、あの~すいません。もしかして理沙のお知り合いの方・・・だったりしますか?」
「む?理沙の名前を知っとるということは」
「あ、はい。私が本条楓、です・・・」
「おーそうかそうか!無事に出会たようで何よりじゃ!ウハハハ!」
どうやら本当にお目当ての人物であったらしい。
正直、違っていてくれたほうが良かったかも・・・・と思わなくもない複雑な心境のメイプルであったが、持ち前の切り替えの早さで早々に立ち直る。
「えーと、はじめまして。こっちではメイプルって名前です。今日はよろしくお願いします」
「これはこれは御丁寧に。儂は柏崎飛鳥。ここではノブナという名前でやっとる。此方こそよろしく頼む。さて、自己紹介もすんだしひとまず・・・・むお」
ノブナが立ち上がりかけた時、アラート共に目の前にメッセージウィンドウが現れる。
通常の青い白いそれと違い、明らかにヤバそうな真っ赤なそれに表示された文章をノブナは無言で読み進めていく。
「あの、なんて書いてあるんでしょうか?」
「フムフム・・・要約すると、『公共の場所で騒音垂れ流しやがってふざけんな。話があるからちょっと運営事務所まで来いや』ということらしいぞ」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・とりあえず儂行ってくるから2時間後位にまた此処で会おうか」
「あはい」
その後、騒動に使われた装備一式没収されたノブナが解放されたのは5時間も後のことであった。
問 なんで水着の方?
答え 出したかったから
冗談はともかく、次回からは水着でなく弓の方になります。