別ゲーの推しキャラを再現する為に器用度に極振りしたいと思います。 作:風邪引きピエロ
イベント五日目、昼頃──
キメラを倒したノブナ達は森の中でも一際巨大な樹木の枝上で夜を明かした。
暗い森とは違い、燦々と降り注ぐ太陽の光を浴びながらノブナがインベントリ画面を見つめながら唸っている。
「う~む・・・さてさてどうしたものか」
「モブァ?」
モゴモゴと口を動かしながらちびノブが首を傾げる。その手に握られているのは黄金色に輝く鎧の一部だ。ガジガジとそれにかじりつきながらご満悦である。
「・・・美味いかそれ?」
「モブ!」
「そうかそうか。レアアイテムらしいからさもありなん、と言ったところか。確か【影の国の女王の肩当】とか言ったか?儂が苦労して手に入れたんじゃから感謝して食うがよい」
「モブモブ!モブブァ!」
「・・・とりあえず、それ全部食べてしまえ」
「モブァ!」
ちびノブはノブナの指示に従い、食事に戻った。
数分後には全て平らげて満足そうにお腹を擦っている。
その小さな身体がポワンと光った。
ちびノブのステータス欄を確認すれば、一部ステータスが大幅に上昇しているのが分かる。
【形質獲得】
・【食いちぎり】を使用して敵にダメージを与えた時、自身の【STR】を1%上昇させる。最大100%。一定時間【食いちぎり】による追加攻撃をしなかった場合、ステータスは元に戻る。
・装備アイテムを餌として与えることでその装備のスキルを一個獲得する事が出来る。餌とした装備は【破棄】扱いとなる。5レベル毎に一つスキル枠が解放される。
「得られたスキルは【無窮の武練】と・・・」
【無窮の武練】
・自身の最大HPを500上昇させる。
・自身の【STR】【AGI】【DEX】をそれぞれ150上昇させる。
「・・・めっさ強いの。てか儂、普通にお主にステータス的に抜かれとるんじゃが?」
「ノブ!」
どうだとばかりにどや顔で胸を張るちびノブ。
恨みがましげにそちらを見ていたノブナだったが1つため息をつく。
「まぁ、お主が強くなれば儂の強化にも繋がるから構わんか」
「ノッブ!」
「おう、頼りにしとるぞ。と、それよりもじゃ・・・」
ノブナは再びインベントリ画面に視線を戻す。
ちびノブもノブナの頭によじ登って画面を覗きこむ。
「儂が現在所持しとる銀メダルは計7枚。今日を含めれば残り3日であと3枚メダルを集めなくてはならん」
「ノブブ」
「地道に探索しろと言うてものう。儂のステータス的に探索するにしてもプレイヤーを襲撃するにしても時間が足りん・・・さて、どうしたものか」
「ノッブノブ!」
頭を抱えるノブナの対し、ちびノブが自信ありげに胸を張る。
まるで自分に任せろとばかりの動きだ。
「ノブノブブ!」
「なに?昨日覚えたもう1つのスキルを使わせろじゃと?」
「ノブ!」
「フム・・・まぁ、良いか。ええと確かスキル名は───【生命ある鎧】!」
ノブナがスキル名を唱えた瞬間、ちびノブの姿が崩れ元の粘液状のスライムの姿に戻る。
見る見る内にスライムがその体積を増していく。
あっという間に人一人を包み込める程の大きさになった粘液の塊がグワリとその場で1m程に伸びあがると目の前のノブナに向けてまるで押し潰そうとでもするようにその身体を倒れこませる。
「う、うおぉっ!?」
粘液の塊がノブナの小柄な身体を呑み込んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「は、は、は!」
もつれそうになる足を動かし走る。
後ろをチラリと振り替えれば巨大な大斧を振り回しながらこちらを追い掛けてくる大柄なモンスターがいた。
人の肉体に牛の頭のモンスターは口からだらしなく涎を垂れ流し、奇声をあげている。
明らかに正気ではない。
「あー、もうサイアクだよー!よりによってパーティーとはぐれた時にこんなのに出くわすなんてー!」
思わずと言ったように愚痴が漏れる。
それがいけなかったのか、足もとにあった障害物につまづいてしまった。
バランスを崩し、ゴロゴロと地面に転がる。
魔法使いらしいローブとブーツが土に汚れる。自慢の金髪もボサボサになってしまう。
倒れた身体を起こそうとしようとした時、巨大な影がさす。
見上げれば荒い息遣いの牛頭と目が合う。
狂気に淀んだ瞳を覗きこんだ瞬間、本能的な恐怖に体が動かなくなる。
意味不明な咆哮をあげてモンスターが大斧を振り上げる。
迫り来る死の予感に思わず目を閉じる。
1秒が過ぎ、5秒が過ぎる。
10秒を過ぎた辺りで恐る恐る目を開ける。
目の前には先程まで斧を振り回していた筈のモンスターが首筋を食いちぎられて死んでいた。
狂気で淀んでいた瞳は光を失い、もう二度と何を映すこともないだろう。
「え?なにが・・・アレ?」
訳がわからず戸惑う事しか出来ない。
そうこうしていると、モンスターの姿が光となって消えていく。
残ったのは一枚の銀メダル。
「──はっ!探し初めてすぐにメダル一枚とは。幸先が良いとはこの事だな!」
何処からともなく声が響いたかと思えば、光の向こうから現れた人影がメダルを拾い上げた。
突然現れた人影をまじまじと観察する。
全体的に野性味に溢れる中性的な顔立ちの男だ。
ツンツンと尖った髪を頭の後ろで雑に一纏めにしている。
戦国大名のような前立てのついた軍帽の下から覗く深紅の瞳は野生の獣のような光をたたえている。
良く鍛えられ引き締まった身体を包むのは着物のようでもあり、洋服のようでもある不思議な衣装。
「───なんだ?俺に何か用か」
「あ、いや~・・・」
あまりにまじまじと見すぎたのだろう。
男が訝しげに話しかけてくる。
慌てて立ち上がると取り繕うように話し始める。
「だ、誰かは知らないけど助かったよー。流石にもう駄目かと思ってたからさー」
「・・・お前を助けるつもりはなかったんだがな。たまたま通りすがりに邪魔なモンスターを狩っただけなんだが」
「は、はは。そうなんだ」
男の歯に衣着せぬ物言いに口もとを若干ひきつらせながら苦笑いを浮かべる。
それはそれとして、助けられたのは事実なので素直に礼を言う。
「まー、とりあえず助かったよ。私、フレデリカっていうんだ。貴方の名前は?」
言いながら手を差し出すフレデリカ。
男はしばらく何かしらを考えている様子であったがニヤリと笑って答える。
「俺は『吉法師』──『織田吉法師』だ」
そう言って男はフレデリカと握手した。