別ゲーの推しキャラを再現する為に器用度に極振りしたいと思います。 作:風邪引きピエロ
偶然知り合った二人は森の中を歩いている。
「つまりアレか?ダンジョンクリアしたはいいがうっかり転移トラップに引っ掛かって一人だけ別の場所に吹っ飛ばされたと・・・なんとも間の抜けた奴だ」
「間抜けー!?今、私の事間抜けって言ったー!?初対面の女性に向かって失礼過ぎない!?」
「あーはいはいすいませんでしたー」
「謝罪が雑ー!!織田君は女の子の扱いがなってなさ過ぎ!」
「・・・織田君て・・・」
フレデリカが憤慨したように言う度に金髪のポニーテールと腰に着けたポーチがポンポンと元気に弾む。
終始テンション高めな彼女に若干辟易しつつ、織田吉法師は考えを巡らせる。
『さて、なし崩しで一緒に行動することになったが・・・いやはやメイプルともサリーとも違う、なんというかギャル?っぽいというのか?この感じ。なんとも慣れんのう・・・苦手なタイプじゃ』
『ノブノブ!ノッブッブw』
『何言うとんのか具体的にはわからぬがとりあえず馬鹿にしとるのはわかるぞちびノブ。後で刀モードで素振り1000回じゃな』
『ノッブァ!?』
織田吉法師───ちびノブのスキル【生命ある鎧】により合体したノブナは頭の中に響く悲哀のこもった悲鳴を意に介さず、それとなくフレデリカを観察する。
金髪のポニーテールに赤い瞳。
魔法使いらしいローブ姿に腰のポーチ。
持っている杖は装飾されたきらびやかな物だ。
見た目にもかなりこだわっているだろうことがわかる出で立ちだ。
普段装備は見た目よりも機能面ばかりに目を向けるノブナ(別の意味で見た目に拘ってはいるが)とは相性が良いとは言い難い。
ノブナ自身もこの手の手合いには何となく苦手意識がある。
『さっさと用事を済ませて別れるとするか』
そう考えて前を行くフレデリカに声をかける。
「それはそうと、本当にこっちで良いんだろうな?そろそろ森を抜けるぞ」
「大丈夫だよー。パーティーメンバーの位置はちゃんとマップに出てるから。えっと、反応はこの先の・・・あの山の辺りだねー」
そう言ってフレデリカが指をさす。
其方を見れば、森を抜けた先には高く聳え立つ山があった。
フレデリカ曰く、あの山の辺りに彼女のパーティーメンバーがいるらしい。
「よしよし、近づいてきたね。あともうちょっとの間、私の護衛宜しく織田君」
「というか、そもそもお前なら護衛なんぞなくても1人でも行けるんじゃないのか?実力には随分と自信ありげだしな」
「私だけでも行けなくもないとは思うけど念には念をって奴だよー。さっきのトラップみたいな事もあるかもだしねー」
「──ま、一度引き受けた以上仕事はきっちりこなすがな。しかし、約束通り報酬は弾んで貰うぞ」
「その点は安心してもらって良いと思う。うちのパーティーメンバー、トッププレイヤーの中でもかなり強い人達ばっかりだし。お礼の1つ位は普通に用意できると思うよー」
「そいつは重畳。では先を急ごうか」
そう言って吉法師がフレデリカの背後にスッと近づくとその肩に手をおいた。
「え、え?なに?」
戸惑うフレデリカを無視してぐっと後ろに引き倒す。と同時に足を払う。
空中に浮いた身体を危なげなく抱える。
所謂1つのお姫様抱っこというやつだ。
フレデリカの戸惑いに揺れる赤い瞳が間近に見える。
「にゃにゃにお!?」
「こっちの方が早い──喋るなよ舌を噛むぞ」
「ふぇ、キャア!?」
フレデリカを抱えたまま脚に力を込めて跳躍する。一気に加速し、トップスピードになる。周囲の風景が後ろに流れていく。
目の前に迫る木々を足場に空中へと飛び出す。
風を切り、枝を跳び移りつつ目的地を目指す。
普段ならば不可能な動き。
それを可能にしたのはやはり【生命ある鎧】の能力だった。
【生命ある鎧】
・1日に1回まで指輪装着者と合体する事が出来る。合体時は共闘モンスターは装備扱いとなる。合体時、装着者のステータスにこの共闘モンスターのステータス分を加算する。
・装着者は合体した共闘モンスターのスキルを使用する事ができる。
・合体時にダメージを受けた場合、そのダメージは共闘モンスターが受ける。共闘モンスターのHPが0になった時、合体状態を解除する。
このスキルにより、【DEX】のステータスも急上昇しているためこのような芸当も可能となっている。
見る間に森を抜け、ゴツゴツとした岩肌がむき出しとなった山へと風景が変わっていく。
一際大きな岩の上に着地した時、視界の片隅に違和感を覚えて立ち止まる。
「む・・・おい、あれ見てみろ」
「・・・・・・・」
「おい、何をぼぅっとしとる」
「な、なに!?」
「あれだあれ。何だと思う?」
「あれ?」
フレデリカが吉法師の指差す方向に目を向ける。山の中腹辺りの場所に豆粒程のモノがひしめき合っている。
「ありゃあ・・・人集りか?こんな所に?」
「確かにおかしいね・・・って、ちょっと待って!?私のパーティーの反応、あそこから出てるんだけど!?」
「──急ぐぞ。しっかり掴まっとけ!」
フレデリカの返事を待たず、跳躍する。
地面を蹴りながら移動し、スピードに乗る。
周りの景色が後ろに流れていく。
しばらく進んで目的地までもう少しというところに近づいた時、人集りの真ん中で異変が起きた。
「わきゃ!?何なにー!?」
人集りの真ん中で炎が上がったかと思うとそこから巨大な影が立ち上がった。
影の正体は人形だ。
木やつるで形作られた巨大な人形。
それが炎を纏いながらその巨大な腕を振り回し、周囲の人集りをなぎはらっている。
「──おいおいまさかそういうアレか?」
あまりに見覚えがあるそれに苦笑いを浮かべた後、進路を修正。巨大な人形へと向かう。
「ちょっとちょっとー!?まさかアレに近づく気ー!?」
腕の中でフレデリカが悲鳴を上げているが無視して人形へと近づく。
此方の動きに反応したのか人形がその大木のような腕を下から上へと振り上げる。
このまま行けば空中にいる二人を直撃するコースだ。当たれば即死は免れないだろう。
迫り来る腕が豪と空気を切り裂く音がする。
フレデリカが恐怖に目を瞑る。
「──【秘密兵器】」
それを横目に確認してボソリとスキルを発動。
現れた火縄銃を足場に更に跳躍。
巨大な腕の一撃を掻い潜り、その肩へと着地する。
「──ほう、やるじゃねえか兄ちゃん」
一息ついた所へ声がかけられる。
声のした方に目を向ければ魔法使い風の青いローブに身を包み、特徴的な杖を肩に背負った男が現れた。顔はフードで隠されている為、確認することが出来なかったが吉法師はため息をつく。
「やはり貴様か。クーフーリン」
「うん?俺を知ってんのかい」
「まぁな・・・この辺りにこいつの仲間がいるはずなんだが何か知らんか?」
腕の中で魂が抜けたようにぐったりしているフレデリカを示して聞く。
「ああ、もしかしてコイツらの事か?」
言ってクーフーリンが後ろを指差す。
後ろには三人の男性プレイヤーがぐったりしていた。
一人は金髪青目。細身だが筋肉質な体。
装備は白で統一された武具。物語に出てくる聖騎士のようだ。
一人は茶色の短髪、黄土色の目。
先程の男に比べかなりゴツい。
装備は性能重視の大斧と控えめな装飾が施された銅色の鎧。いかにもな重戦士という感じだ。
そしてもう一人は・・・
「──ドレッド」
「何だ、ソイツと何か因縁でもあったか?だがまぁ、今はひとまず矛は納めときな。この状況を打破する方が先だと思うぜ」
「───それもそうさな。とっ!?」
「ちょっとー!グレイグ、ドレッドはともかくペインまでー!何があったのー!?」
腕の中から飛び出したフレデリカが三人に近づいてガクガクとその身体を揺さぶる。
しかし、三人とも反応が薄い。
目の焦点が定まっておらず、虚空を見つめている。明らかに正気ではない。
「フム。三人とも前回イベントの10位以内のプレイヤー・・・ペインに至ってはこのゲームの頂点ではないか。これほどの実力者が揃いも揃ってこの様とは何があった?」
「アイツに魅いられちまってんのさ。対策を取らないでマトモに食らえば男である限りこうなる事は避けられねぇ。ま、相性の問題だな」
「アイツ?」
「おうよ」
言ってクーフーリンがその赤い瞳を下に向ける。
その視線を追って、人の波の向こうへと目を向ける。
数多の人の向こう・・・小高い岩の上にその人物は悠然と立っていた。
「其はただひたすらに清楚に淫蕩を好み、無垢に悪辣を成す」
白を基調とした衣装をまとう少女だ。
桃色の腰まである髪を風に靡かせ、鞭を手に傲岸に笑う。
「大地を駆るは人を統べる王権、人を虐げる鋼鉄、人を震わす恐怖を示す二頭立てのチャリオット」
そんな彼女の横には華奢なその身に見合わぬ武骨な戦車。
二頭の鎧を纏った大型の牛が荒い息を吐き、地をかく。
「生前、数多くの王や勇士と結んだ全ての男の恋人にして生まれついての支配者」
少女が笑ってすいと人差し指を伸ばす。
その白魚の如き指先から流れ落ちた血が地面を濡らす。
途端に地面が盛り上がり、瞬く間に人の形を取る。
現れたのは名も無き兵士。
槍と鎧を携えた其は1つ頭を垂れた後、群衆へと加わっていった。
「その真名、『女王メイヴ』。アルスター伝説にその名を刻むコノートの女王だ」
ピロリン!
『クエストが発生しました』
『クエスト名【女王の軍勢】』
発生したシステム音が寒々しくその場に響いた。