別ゲーの推しキャラを再現する為に器用度に極振りしたいと思います。 作:風邪引きピエロ
イベント5日目――――とある廃墟にて。
メイプルとサリーは見つけた廃墟の探索をしていた。
と、突然サリーが探索の手を止めてむつかしい顔をして声を漏らす。
「・・・・・む・・・・・・」
「? どうしたのサリー、何か見つかった?」
「・・・ん、いや違うの・・・ただ何となくだけど・・・今ノブナさんがなんかやらかしたような気がする・・・」
「何それ?変なサリー」
「・・・何か嫌な予感するんだよね。・・・具体的に言えば運営の人がひっくり返りそうなことやらかしてる気がする」
「う~ん・・・でもよく考えたらそれっていつも通りってことなんじゃない?」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「言われてみればそれもそうだね」
「そうだよ~」
『あはははははははははは!』
廃墟の薄暗い空間に似つかわしくない二人の少女の朗らかな笑い声が響いた。
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―――――同時刻、所変わって運営部屋にて。
奇しくもこちらでも笑い声が響いていた。
「あははははっはっはははっははっはっはははhっはっはhhhhhhhhhh!?」
「か、課長!?お気を確かに!」
「おい!誰か課長を抑えるの手伝え!完全に錯乱してやがる!」
・・・・・・まぁ、随分と毛色は違うようではあったが
狂ったような笑い声を上げる男を数人で抑え込んでいるのを横目に見ながら少し離れて場所で別の運営スタッフ同士が雑談に興じている。
「どうしたんアレ?」
「あ~、さっきノブナがクリアしたクエストあったべ」
「ああ例のFGOコラボ告知用クエストの一つとかいうアレ?師匠戦と違っていやにあっさり戦闘終わっちまったけど」
「そうそうソレ。あれそもそも順番が逆なんだとよ」
「どういうことだ?」
「当初の予定だとメイヴ討伐戦→重要アイテムである槍を取り戻したことで本来の力を取り戻したクーフーリンと一緒に師匠と決戦。最終的に師匠に打ち勝ったクーフーリンが手伝ってくれたPCに『神殺しの朱槍』を手渡してEND・・・てな順番なんだよ。本来ならメイヴを倒してないと師匠のいる『天空の門』へ行くことすら出来ないし、『神殺しの朱槍』も師匠を倒してないと入手出来ないって予定だったんだが、な。・・・・・・結果はまぁ、ご覧の有様だよ!って感じな訳だ」
「あ~時々狂ったRTA走者とかがやるようなヤツをかまされた訳か・・・見てる分には面白いがそれ作り手としちゃ地獄なんだよなぁ・・・てか朱槍が増えちゃダメやろ。バグ?」
「知らん。てか本来行けないはずの場所に行って先にラスボス倒してくるとか想定してねぇからな。なんかしら不具合出ててもまぁ、おかしくないかもな」
「・・・・それ、何かしら修正しないとアカン案件と違うの?」
「・・・・お前はこのクソ忙しい時に私欲に塗れた課長の尻拭いなんて業務を増やしたい、なんてこと言い出すドM精神の持ち主なのか?」
「・・・とりあえずこの件は課長に任せようか。俺らの手には余る・・・・ご冥福をお祈りだけしとこうかな」
「それがいい。下手に化けて出られても仕事の邪魔になるからな」
「はっはははっははっはっはははhっはっ!?」
遂には椅子に縛り付けられ始めた課長の笑い声をBGMに二人はしばし黙祷を捧げた後でそれぞれの業務へと戻っていったのだった。
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そして運営・・・正確に言えばとある課長を発狂させた元凶はといえば
「本当にいいのか?銀コイン全部貰っても」
「いいよ。元々お願いしてた護衛のお礼渡せてないし、パーティーは今こんな有様だしで他にいい物渡せそうにないしね」
「フム・・・じゃあドロップしたアイテムはそちらに譲るとしよう。下手に借りを作るのも気色が悪い」
「OK、了解。じゃあこの・・・『神殺しの朱槍』と『女王の馬上鞭』はこっちに、と。うん、とりあえずアイテム関連の分配はこんなものかな~」
「・・・・・なんでか知らんがもう一本が手元にあるとはいえ、自分の愛用の槍が目の前で交渉の材料にされてんのを眺めるってのも微妙な気分だなぁおい」
絶賛戦闘後の戦利品分配交渉中である。
吉法師とフレデリカは向かい合って座りそれぞれの手元にドロップしたアイテムを置いて話し合い、二人の間で何とも言えない顔しゃがみ込んで事態の趨勢を眺めているクーフーリン。
結果として、吉法師の元へ銀コイン2枚が、フレデリカの元へ『神殺しの朱槍(余剰分)』と『女王の馬上鞭』が渡ることとなった。
それぞれがストレージへとアイテムを収納したのを見届けた後、吉法師が一つ伸びをしながら立ち上がった。
「さて、と。それじゃあ俺はもう行くわ」
「え、もう行っちゃうの?せっかくだからパーティーの皆にも顔合わせしていけばいいのに。今はこんなになっちゃってるから説得力ないけどこのゲーム内でもトップクラスなのばっかりだから知り合っておけば色々便利だと思うけど」
「興味ないな」
「あ、ああそうなんだ」
相も変わらずの対応にがっくりと肩を落とすフレデリカ。
仮にフレンド申請を打診したとしても無駄だろうということは試さずとも理解できた。
既にこちらへ背を向けて歩き出そうとしている吉法師へともの悲しげな視線を送ることしかできない。
と、吉法師が立ち止まってこちらへ振り返る。
その顔はいつだか浮かべていた少年のような笑顔で
「まぁ、お前との珍道中もなかなかどうして悪くなかった。また会うことあったらよろしく頼む」
「あ、う・・・よ、よろしく・・・・」
なぜかわからないが急に顔が熱くなって思わず顔を伏せた。返事も知らずしどろもどろなものとなってしまう。激しい戦闘後だからだろうか鼓動が激しい。
ようやく落ち着いて顔を上げれば既に吉法師の姿は遥か彼方へと去っていく所だった。
その背中が見えなくなるまで見送った後、一つため息をついて立ち上がる。
そこでこちらをニヤニヤと見ているクーフーリンと目が合った。
「・・・・・・なによ。なんか言いたいことでもあるの?」
「いんやぁ別にぃ?」
「・・・・」
「いってイテぇって」
なぜだか無性に腹が立ってその背中をバシバシと叩いた。
口では痛がりながらも全然堪えてなさそうなクーフーリン。
二人のじゃれあいはその後数分間に渡って続いたのであった・・・・・・
・・・・・因みに
「・・・・・・ところでアンタいつまでいるの?」
「いや、俺が聞きたい」
「・・・・とりあえず・・・うち来る?」
「・・・他にあてもなさそうだしそうさせてもらうか」
イベントフラグがブチ折られた為消滅しようにも出来なかったNPCが一騎、とあるパーティーに引き取られたのはまた別のお話・・・・