別ゲーの推しキャラを再現する為に器用度に極振りしたいと思います。 作:風邪引きピエロ
夜闇を照らし出す月が空に昇り切った夜・・・
第二回イベント6日目ももうすぐ終わり、いよいよ最終日を迎えようかという時間帯。
なんやかんや無事に合流を果たしたノブナ達が今現在何をしているかというと――――
「行け―シロップ、【喰らいつき】!
「頑張れ、朧!【狐火】!」
サリーとメイプルの指示に従い、亀・・・シロップが小さな口で目の前のモンスターに噛り付き、狐・・・朧が吐いた火で敵を黒焦げにする。
眼前のモンスターが光の粒子になって消えていったのを確認し、傍らの石の上で腕を組み仁王立ちしているノブナの号令が飛ぶ。
「戦闘終了!これより5分の休憩とする!メイプルとサリーは二匹のねぎらいと回復!その間に2~5までは次の戦闘の準備、適度に弱らせるのを忘れるな!6~9までは薬草などの残量の確認と補充じゃ、数え間違いには十分に留意せよ!10~20までは21~30までと交代して引き続き洞窟周辺の警備と二匹のレベルアップ用の小型モンスターの捕獲に従事せよ!何か問題が発生した場合、疾く1へと情報を集めよ!良いな!」
「わかりました~!」「了解です!」
「「「「「「「「「「「「「「「ノブ!!」」」」」」」」」」」」」」」
各所で上がる威勢の良い声とともに2人と2匹とその他大量のちびノブ達がわらわらと動き始めた。
――――総力を挙げてのシロップ、朧のレベル上げ中であった。
元々メイプルが洞窟の奥で見つけた小さな蟻型モンスターが定期的に発生する場所でレベルを上げていた二匹だが『もっと効率的にいこう』というノブナの発案の元、このような形でのレベルアップ作戦が実行に移されたのだった。
ノブナによる巨人進撃事件の影響かこのエリアに好き好んで近づこうとする者は皆無に近く、必然襲撃もなく只々暇を持て余したが故の作戦でもあったのだが、理由はともかくとして実際に効率は以前の比ではない。
二匹のレベルも短時間でぐんぐんと上がっていた。
・・・ちなみにちびノブだが、色々と魔改造された結果としてそこらのプレイヤーより強いんじゃないか疑惑が持ち上がった為に今回は二匹のサポートに回る形となっている。
――――閑話休題
そんなこんなで作業を続けてるうちに時間はもはや深夜近くとなっていた。
時刻は11時半。
そろそろ今日はお開きにしようかという雰囲気が流れ始めた時、ノブナの隣で待機していたちびノブ(1)がビクンと反応した。
「どうした?」
「ノブノブノッブ!」
「なぬ?『洞窟の警備にあたっとった13~17の反応が途絶えた』とな?----侵入者か・・・よかろう、緊急事態として残った2~30までのちびノブを動員することを許す。疾く鎮圧し捕獲してここへ連れてまいれ」
「ノブブ?」
「そうじゃ捕獲じゃ。わざわざこの辺りを徘徊する馬鹿者の顔を暇つぶしがてら拝んでやるとしよう――――上手くいけば身柄の開放を条件に何かしらのアイテムなんぞ手に入れられるかもしれんしな」
「・・・・ノブナさん、とっても悪い顔になってますよ~」
「余計なお世話じゃメイプル・・・よし、では出撃せよ!」
「「「「「「「「「「「「「「「ノブブ~!!」」」」」」」」」」」」」」」
手に手に刀やら火縄銃やらを持ち、わらわらと洞窟の入り口の方向へと消えていくちびノブ軍団
しばらくして
『え!?ちょ、な、なんだコレは!?こ、こっちに来るな!?来ないで!?い、いや~~~~~~~~~~~~~~っ!?』
闇の奥から響き渡る事件性のある叫び声。
声音からしてどうやら犠牲者は女性であるようだ。
「お、かかったかかった・・・・はて?この声・・・何やら聞き覚えがあるような無いような」
「言われてみれば私たちも聞いたことある気がする・・・どこでだっけサリー?」
「わかんない・・・でも極々最近な気がする。なんとなくだけど」
顔を見合わせ首を捻る三人の元にちびノブ達の群れがわらわらと戻ってきた。
行った時より若干数が少なくなっているが、簀巻きにした何者かを神輿の如く運んできた。
そうして三人の近くまでやってくると簀巻きにした人物を地面へと放り出し、ビシっと敬礼をした。
「うむご苦労!下がってよいぞ・・・・さて、では無謀にも我らが拠点へと侵入した者の顔でも拝んで・・・・・・・・ってアレ?」
ニヤニヤと嫌らしい笑顔を浮かべたノブナが地面でうごめく人物の顔を見て固まった。
その後ろで同じように覗き込んだメイプルとサリーの二人も驚きの声を上げた。
「・・・・・・・・・とりあえず説明してもらおうか・・・イロイロと・・・・」
頬を紅潮させ目じりに涙を溜めてこちらを睨みつけてくるカスミの姿がそこにあった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
とりあえずカスミを開放し決死の土下座を敢行。
何とか許してもらった所で雑談がてらお互いの状況を話し合うことになったのだった。
かくかくしかじか・・・・
「・・・・・なるほど・・・いや、なるほどとは言ったものの全く持って理解できないというか脳が理解することを拒否するというか・・・あまり深くは考えないようにしよう、その方がわたしの精神衛生上いい気がしてきたよ」
「言われとるぞメイプル」
「え~、私は普通だよ~サリーのことでしょ?」
「いやいやいや私は二人に比べたら全然普通だから」
「君、たち、全、員、だ!」
そうしてとりあえずのお互いの現状の確認を済ませた後、お互いに戦闘意思がないことを確認し、最終日はお互いに今現在所持しているコインを死守する為にこの洞窟へ引きこもることを決めた。
そして洞窟の入口をメイプルの『ヴェノムカプセル』で塞いだうえで、一応警備用に数体のちびノブを配置してから休む事にしたのだった。
そして遂に訪れたイベント最終日・・・・
迫るタイムリミットに向けて所持コインを守るため、或いはコインを集めようとイベント参加者たちが必死になって最後の足掻きをしている時間帯
「―――――た、確かに・・・このちびノブ?とかいうナマモノ・・・何というか妙に癖になる抱き心地だな・・・」
「だよね~!なんかモチ・・・というかプニ・・・というか。良く分からないけど抱いてると嫌な事が消えてくような感じがするんだよ~」
「この間の抜けた顔も愛嬌あってずっと見てると可愛く感じてくるしね」
「――――カスミ、お前もか。てかお主らいつの間に知り合いになっとったんじゃい」
「イベント中に一緒にダンジョン探索して仲良くなったんですよ~。他にも『カナデ』ってオセロ強い子とも知り合ったり」
「―――なんでお前さんはイベントの最中にオセロなんてしとるんじゃ?」
「ノブブ~♪(シロップと朧と一緒になって遊んでいる)」
が、ノブナ達の籠る洞窟内にはなんとも緩い空気が漂っていた。
実際の所入口にはメイプルの毒のカプセルがあり耐性のない者の侵入を拒み続けており、仮に何とかして侵入を果たせたとてその瞬間に警備担当のちびノブが何体も襲い掛かって来るのだ。
ほぼほぼ侵入は不可能と言って過言ではないだろう。
なのでこうしてぐだぐだとした雰囲気で雑談することが可能なのだ。
外で足搔き続けるプレイヤー達が見たら血涙ものの光景を繰り広げながら時間は刻々と過ぎていき・・・
―――そして遂にその時はやって来た。
ピンポ~ンと気の抜けるような音が響く。
同時にエリア全体にアナウンスが響き渡る。
『イベント参加者の皆さまお疲れさまでした!これにて第二回イベントを終了とさせて頂きます!』
『五分後元のフィールドへ転移しますのでご準備下さい』
宣言後きっかり五分後、ノブナ達の身体がうっすらと光りはじめた。
転送が始まる前兆だ。
「お、来たか」
「終わった~!」
「何とか無事に終わったね・・・カスミも戻ったらまた会おうね」
「ああ、またな」
それぞれが短く挨拶を交わした後、視界が完全に光へ包まれた・・・