別ゲーの推しキャラを再現する為に器用度に極振りしたいと思います。   作:風邪引きピエロ

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器用度極振りと第三回イベント 3

 

ノブナ達が空中要塞へと行く少し前・・・

 

第2層のダンジョン周りの探索を担当することになったメイプルはと言えば・・・

 

 

 

 

「―――あの・・・マスター?」

 

 

 

「何オルトちゃん?あと、メイプルでいいよ~」

 

 

 

「オル?・・・いえ、それはともかくマスターはマスターですから・・・」

 

 

 

「むぅ・・・まぁいいや。オルトちゃんの好きに呼んでくれれば」

 

 

 

「ありがとうございます・・・それでなんですがマスター」

 

 

 

「うん、何?」

 

 

 

「我々は今何をしているのでしょうか?」

 

 

 

「ん?何って・・・・」

 

 

 

メイプルはちょこんと首を傾げて目の前で困惑顔をしているオルトリンデを見やって言う。

 

 

 

 

「ババ抜き」

 

 

 

「・・・・・はぁ」

 

 

 

事も無げに言う主を前に間の抜けた声を出すしかないオルト。

 

その手には大量のトランプの札。

対面しているメイプルの手にも大量の札が握られている。

 

現在一人と1騎は空中をふよふよと浮かんで移動する巨大な亀・・・シロップの甲羅の上に座ってトランプに興じている所だった。

 

今現在はイベント中なはず。入手した情報から考察するにもっと急ぐべきなのではないのだろうか?少なくともこうして自分とトランプ遊びに興じている場合ではないはず。

 

まして自分は兵器として生み出された戦乙女である。手札の内容に一喜一憂する目の前の主とは違い、人の感情の機微などはいまいち理解できない。

そんなモノを相手にしての遊戯など楽しめるはずもない。

 

にも関わらず当のメイプルは特に急ぎもせず上機嫌に適当な歌を口ずさみながらオルトの手札からカードを抜き、手札から札を捨てている。

 

 

 

 

「クロネコとパンケーキ作る♪~次はオルトちゃんの番だよ」

 

 

 

「はぁ・・・マスター、急がなくてよいのですか?私ならばシロップ様よりも速く移動できると思うのですが・・・あ、いえ、別にシロップ様の能力を過小に見ている訳ではないのですが」

 

 

 

「大丈夫分かってるよ。う~ん、でも何処にサーヴァントがいるか分からないしずっと私を背負って飛び回ると疲れちゃうかもしれないし。シロップならゆっくりだけどMP消費もないし疲れないで移動できるしね」

 

 

 

「・・・マスターは私達の能力に不安が御有りなのですね」

 

 

 

「ふぇ!?違う違う!」

 

 

 

目を伏せたオルトに慌てて手を振りながら否定するメイプル。

 

 

 

「なにがあるか分からないから出来るだけ力を温存していこうってだけだよ。寧ろワルキューレの皆には期待してるんだ。私だけじゃ倒せない敵が出てきたリしたらその時は皆に助けてもらわなきゃいけないしね」

 

 

 

「・・・成程。その時はこの身に代えましてもマスターをお守りします」

 

 

 

「う~ん、むしろ守りよりも攻撃してもらいたいかな~」

 

 

 

「・・・やはり私達では力不足・・・」

 

 

 

「だ~から違うって~!―――あ」

 

 

 

「あ」

 

 

 

ブンブンと手を振った瞬間、大量に握ったカードの内の一枚がスポッと抜け落ち、宙を舞う。

慌てて手を伸ばし、なんとかキャッチに成功するメイプル。

が、巨大とは言え亀の甲羅の上。

バランスを崩したメイプルの身体はゴロゴロと甲羅の上を転がり、空中へとその身を躍らせた。

メイプルの黒い鎧姿はそのまま重力に引かれ、真下に広がる木々の合間に落下していく。

 

 

 

「あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!?」

 

 

 

「ま、マスターーーーーーーーーーーーーーーーー!?」

 

 

 

落ちていくメイプルをオルトが背中の翼を光らせながら追いかけていく。

 

バキバキと枝をへし折り落下していくメイプル。ガンガンと身体が枝や幹に当たり上下左右に視界が回転する。日頃の癖で思わず装備していた大盾を構えたが落下途上にある太い枝が【悪食】にて消滅していくのを見て慌てて盾を放り出す。

 

 

 

「【悪食】の回数が無くなっちゃう!?」

 

 

 

迫る地面に本能的に目を閉じる。

が、その身体を柔らかい何かが受け止めた。

恐る恐る目を開けてみれば心配そうにのぞき込んでくるオルトの顔があった。

持ち前の飛行スキルをフルに発揮して落下するメイプルを追い抜き地面に着地。そのままメイプルの身体をキャッチするという荒業をやってのけたらしい。

 

 

 

「大丈夫ですかマスター!?」

 

 

 

「だ、大丈夫~ちょっと目が回ったけど。ありがとうね」

 

 

 

「ご無事ですか・・・まったく大盾を投げ捨てられた時はどうなることかと・・・」

 

 

 

「あ!そうだ大盾どこにやったっけ!?」

 

 

 

「えと、それでしたら・・・あちらに」

 

 

 

オルトが指さす方向には見上げる程の大樹があり、その根元の辺りに先ほど投げ捨てた大盾があった。

自身の身体の事より大盾の心配をするメイプルに困惑しつつも特にケガもなさそう(実際の―ダメージであった)なので地面におろす。

しっかりと地に足を付けたメイプルは大樹へと歩み寄ると大盾を回収した。

ちらりと大盾の状態を観察してがっくりと肩を落とす。

 

 

 

「あー・・・やっぱり今日の分の【悪食】無くなっちゃった・・・それに」

 

 

 

気まずそうに大樹を見る。

そこにはメイプルの大盾の形にぱっくりと避けた痕跡。【悪食】の犠牲になった証左。

 

 

 

「あうう、ごめんなさい・・・・あれ?」

 

 

 

謝りながら大樹にできた裂け目の様子を観察していると光を反射して鈍く光る何かを見つけた。

気になって手を伸ばし拾い上げてみればそれは手のひらサイズ程の大きさの錆びた歯車のようだった。

 

 

 

「えっと・・・アイテム名【かつての夢】?装備品じゃないみたいだし、特に効果も説明もないや」

 

 

 

「―――特にサーヴァントとの関連性も無さそうですね。別のイベント用アイテムでしょうか?」

 

 

 

「そっか~、とりあえず持って帰ろうか。ギルドホームの飾りにはなりそうだし」

 

 

 

「か、飾る、のですか?」

 

 

 

王侯貴族が闊歩してそうな城のに飾られる錆びた歯車・・・どう見てもシュールである。

メイプルの突飛な発想に先ほどから困惑しっぱなしのオルト。

そんな彼女をわきに置いてメイプルは歯車をインベントリに入れると大樹の裂け目に手を当てる。

 

 

 

「マスター?何を」

 

 

 

オルトが疑問を口にすると同時、メイプルは装備を新調したばかりの全身真っ白な鎧に変える。

 

 

 

「【慈愛の光】!」

 

 

 

ダメージエフェクトが舞い、それと共に手元に光があふれ出す。

メイプルが新しく入手したスキル【身捧ぐ慈愛】に含まれるいくつかの回復スキルの内の一つだ。

光が大樹を包み込む。

 

しかし、裂け目は変わらず口を開けたままだ。

 

 

 

「駄目かぁ・・・本当にごめんなさい・・・とりあえず森を抜けてシロップを呼べるところに移動しよっか」

 

 

 

「わかりました」

 

 

 

もう一度大樹に向けて頭を下げるメイプル。

これ以上やれることはない。

立ち上がり、装備をいつもの鎧に戻した後でその場を後にする。

 

その数歩後ろをついていきながらオルトが口を開く。

 

 

 

「・・・マスター。一つお聞きしてもよろしいでしょうか」

 

 

 

「ん~何?」

 

 

 

「何故あのような行動を?見た目は大樹ですがアレの本質は背景オブジェクトの一部でしかありません。わざわざHPを削ってまでも回復スキルを行使する意図が理解できません」

 

 

 

「なんで、かぁ・・・う~ん改めて聞かれると難しいけど・・・」

 

 

 

腕を組みしばらくうんうんと思考をめぐらすメイプル。

やがて自信なさげに言葉を紡ぐ。

 

 

 

「・・・しいて言うなら・・・そうしたいと思ったから・・・かなぁ?」

 

 

 

「そうしたいから、ですか。つまりは理論的な思考からの行動ではなく感情的な行動であった、と?」

 

 

 

「う~んまぁ、そうだね」

 

 

 

「・・・」

 

 

 

思わず黙り込んでしまう。

 

答えを聞いても理解が出来ない。

 

効率で考えるならば先ほどの行為は単なるリソースの浪費でしかない。

 

先ほどまでのトランプ遊びとてそうだ。

 

普通に考えるならただの貴重な時間の浪費・・・そのはずだ。

 

しかし、眼前の少女はそれを是とする。

 

ただ『そうしたいから』というだけの曖昧な理由で。

 

『効率』を切り捨ててでも『感情』を優先する。

 

 

―――知らない。

 

 

『感情』とは何だ?

 

 

―――解らない。

 

 

『感情』にはそれほどの価値があるのか?

 

 

―――理解が出来ない。

 

 

喜怒哀楽。

知識としてインプットされてはいるものの実感も共感も出来ない。

 

ただ悶々と思考の渦に呑まれていくオルトの額をぺしりと何かが当たる感触がする。

 

目線を上げればメイプルが手刀の形にした手でオルトの額をペシペシと叩いていた。

 

 

 

「オルトちゃ~ん、大丈夫?」

 

 

 

「・・・あ、はい、問題ありません」

 

 

 

「む~・・いきなり立ち止まったり声を掛けてもしばらく反応しないし、問題ないようには見えないよ・・・何かあった?」

 

 

 

「あ・・・え、と・・・・」

 

 

 

オルトは少しの間迷う様に目を伏せた後、絞り出すように言葉を紡いでいく。

 

 

 

「・・・私たち戦乙女は元々は戦場をめぐり勇士の魂をヴァルハラへと送るいわばシステムの一部です。任務を遂行する自動機械、と言い換えてもいいかもしれません」

 

 

 

「む」

 

 

 

「故に私達には人の『感情』というものが、その・・・」

 

 

 

「わからない?」

 

 

 

「・・・・はい」

 

 

 

「そっか~・・・・う~ん」

 

 

 

またも目を閉じ、腕を組み、左右に身体を揺らして何か考えているメイプル。

と、突然がばっと顔を上げると自身の口の端に両の人差し指を当てると左右に引っ張った。

 

 

 

「ひょう?ひょもしろい?」

 

 

 

「え、と・・・すいません?」

 

 

 

「むむむ~なら~・・・とう!」

 

 

 

「ひゃあ!?」

 

 

 

今度は手をワキワキとさせながらオルトに飛びついてその脇など敏感なところを弄り始める。

まさかの実力行使だった。

 

 

 

「そ~れ、こしょこしょこしょ!」

 

 

 

「ちょ、ますた、やめ、くふ、ふふ!?」

 

 

 

「あ!ちょっと笑った?それそれそれ!」

 

 

 

「や、やめほんとにふふやめふふふくるしふふ!?」

 

 

 

 

そのままくんずほぐれつ戯れる事しばし。

そこには一仕事やり切ったような顔のメイプルと荒い息で地面に倒れ伏すオルトの姿が。

 

 

 

 

「ふぅ・・・」

 

 

 

「はぁ・・はぁ・・はぁ・・・ううう・・・酷いです・・・」

 

 

 

「ごめんごめん・・・でもオルトちゃんもこうやってちゃんと笑顔になれるんだもん。きっとすぐ人の気持ちも分かるようになるよ。あ、もちろん私も協力するよ。同じギルドの仲間だもんね!」

 

 

 

「・・・マスター」

 

 

 

オルトの目線に合わせてしゃがみ込み、任せろとばかりに笑顔で両手で握りこぶしを作るメイプル。

 

今の笑いは云わば生理現象のようなものなのだが、しかし、目の前の少女にはそんなことはどうでも良いのだろう。

本気でオルトが感情を理解できるようになる日が必ず来ると信じている。根拠らしい根拠もないはずなのに、だ。

 

 

そんな彼女を見ていると、理屈や根拠がどうのこうのとウジウジ考えこんでいる自分がなんだか馬鹿らしくなってくる。

 

 

 

 

「―――ふふ」

 

 

 

「? 何かおかしかった?」

 

 

 

「いいえ・・・そうですか。私は今笑えていますか」

 

 

 

「うん・・・???」

 

 

 

『そんなに面白い事言ったかなぁ』と見当違いな呟きを漏らし、疑問符を浮かべながら首を傾げる主を見て更に笑いがこみ上げてくる。

 

先程までのものまでのとは違う、自分の内側から自然と湧き上がって来るものだ。

それと同時、胸の辺りに熱が灯ったように暖かくなるような感じがする。

 

今まで感じたこともない奇妙な、しかし不快ではない不可思議な感覚。

 

 

―――ああ、或いは『コレ』がそうなのだろうか?

 

 

まだわからない。が、構わない。

 

 

目の前の少女が・・・マスターが、きっとその答えを教えてくれるだろうから

 

 

 

オルトはひとつ微笑んで立ち上がり、未だ首を捻っている主に手を差し出す。

 

 

 

 

「私はもう大丈夫です。そろそろ行きましょう、マスター」

 

 

 

「そ?よ~し、じゃあとりあえずシロップに拾ってもらえそうな所に移動しようか」

 

 

 

「はい!」

 

 

 

とてとてと歩くメイプルの後ろについていくオルト。

その顔には微かな、しかし確かな微笑みが見て取れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――サーヴァントとの『絆』レベルが上昇しました―――――

 

 

 

★ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

しばらく森の中を歩くメイプル達。

 

 

 

落ちてきた森は予想以上に広く、深い森林地帯であったらしい。

 

目の前にはどこまでも広がる緑、緑、緑・・・

 

 

 

とは言え、モンスターらしき影もなく頭上からは生い茂った葉の隙間から太陽の光が差し込んでおり歩くのに支障がない明るさを保っている。メイプル達の歩く音くらいしか聞こえない静寂。周りの緑も相まって森林浴にやって来たのかとすら思える程に落ち着いた和やかな時間が流れている。

 

元々それほど急いでいる訳でもないメイプルはこれ幸いとばかりにシロップを回収した後、ノンビリと森の中を進んでいく。

 

ざくざくと下草を踏みしめる音を立てて歩を進めているメイプルが大きく伸びをする。

 

 

 

 

 

 

 

「ん~、最近シロップに乗って移動することが多かったから自分の足で歩くのも久しぶりだけどいいね、やっぱり」

 

 

 

 

 

 

 

「そうですね」

 

 

 

 

 

 

 

メイプルの横を歩きながらオルトが同意し頷く。

 

先程までよりどこか硬さが抜けたような雰囲気だ。穏やかに微笑みながら頭上から差し込んでくる光に目を細めている。

 

そんな彼女の様子に気を良くしたメイプルは上機嫌に鼻歌など口ずさみながら歩を進めていく。

 

 

 

 

 

と、突然オルトがピタリと足を止めた。

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?どしたの」

 

 

 

 

 

 

 

「下がって下さいマスター」

 

 

 

 

 

 

 

紡がれた声は先程までとは比較にもならない程に冷たく固いもの。

 

フードの下から覗く顔には抜身の刃のような真剣な表情が浮かんでいた。

 

手に光の槍を形成しながらメイプル達が歩いていた道から外れた草むらの奥を睨みつけている。

 

 

 

その様子にメイプルも即座に大盾を構え、何時でも抜けるように腰元の短刀に手をかける。

 

オルトに倣い、じっと視界を塞いでいる葉の向こうを見つめる。

 

 

 

やがてガサガサと草むらが揺れ動く。

 

じっと襲撃に備えて敵を待つ。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・しかしそれは結果的に杞憂に終わることになった。

 

 

 

 

 

 

 

ガサガサと草むらを掻き分けて飛び出してきたのは一人の男性プレイヤー。

 

 

 

軽量な皮鎧にショートソードと小さめな盾からして軽量戦士といった風貌である。

 

勢いよく飛び出してきた彼はそのまま重力に引かれるように前のめりに地面へと倒れ伏した。

 

 

 

 

 

 

 

「あれ!?ちょ・・・だ、大丈夫!?」

 

 

 

 

 

 

 

「駄目です」

 

 

 

 

 

 

 

思わず駆け寄ろうとしたメイプルをオルトが制す。

 

なぜと問うよりも先に森中に響き渡るかのような絶叫が男の口から飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

「が、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

血走った目をこれでもかと見開き、叫ぶその口の端からは血の混じった泡を吹き出し、喉も千切れよとばかりの苦悶の絶叫。

 

よくよく男を観察すれば、装備の隙間から覗いた肌は奇妙な色に染まっており、血管が浮き出て所々から肌が破れ出血している。

 

 

 

やがて男の絶叫は唐突に止まり、びくびくと数度身体を痙攣させたかと思えばガラスの砕けるような音と共にエフェクトをまき散らしながら消えていった。

 

 

 

その壮絶な死に様を見たオルトが眉を顰めながらボソリと言う。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・毒ですね。それもかなり強力なものです」

 

 

 

 

 

 

 

「毒・・・だったら私なら」

 

 

 

 

 

 

 

「いえ。マスターが毒無効のスキルを有しているのは承知していますが・・・本当に無事に済むのか正直、確証がありませんでした。そうである以上不用意に手を触れるのは控えるべきかと思いまして」

 

 

 

 

 

 

 

「そ、そんなに?そんなすごい毒なんて今まで見たことないけど」

 

 

 

 

 

 

 

メイプルのスキルはかの毒竜ヒドラの吐くブレスすらも無効化する代物である。

 

故にこのNWOに存在する毒で彼女を害すことは叶わない・・・・そのはずである。

 

 

 

それを十全に理解しているオルトだが止めざるを得なかった。

 

主人の安全が確保できているのか・・・本当にスキルでこの毒を無効化できるのか、確信することが出来なかったからである。

 

 

 

なにせ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・何せこの毒は『サーヴァント』の業によるものですから・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緑広がる森の奥の更に奥。

 

 

 

 

 

視界を埋めるのは鮮烈な迄の緑。

 

空気は深い森特有の清廉さと青臭さに、微かに土の匂いが混じったもの。

 

周囲一帯に木々と多種多様な植物がひしめいている。そのどれもが生き生きとした生命力に満ち満ちたものばかり。

 

青々としげる葉で太陽の光すらも遮り、辺りは薄暗く、緑から発せられる水蒸気によって湿気に満ちている。

 

 

 

そんな自然が・・・・突如として途切れる。

 

 

 

まるで境界線のようにそこだけ一切の植物が消え去り茶色い地面を晒していた。

 

奇妙な広場のように開けた空間、その中心にある大岩の上。

 

 

 

そこに、人影が一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その人物は小柄であった。

 

華奢な身体に露骨にボディラインが出る服装。一目で女性であると分かる。

 

惜しみなく晒された肌には中東辺りの人種の特徴が見て取れる。

 

肩の辺りまでの長さのショートカットの髪は紫色。

 

 

 

なにより特徴的なのはその顔だ。

 

女性的な細面に似つかわしくない、口元以外を隠す白い仮面。

 

まるで髑髏のようなそれをつけ、顔を隠している。

 

 

 

 

 

その艶めかしい唇が僅かに開かれ、スー・・・と小さく細く吐息が洩れる。

 

 

 

 

 

吐息が空気に交じり、消える。

 

 

 

途端、上空からボトンと何かが墜ちてくる。

 

 

 

鳥だ。

 

 

 

びくびくと身体を震わせながら白目をむき、泡を吹き・・・・やがてその動きを止めた。

 

 

 

それを仮面の向こうから見つめていた少女はやがて膝をかき抱くようにして身体を丸める。

 

そして小さく言葉を紡ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・また・・・・駄目だった。あの人では・・・なかった・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静かに、絞り出すような呟きは確かな憂いを帯びた物悲しいものであり、しかし誰に届くこともなく、深い森の奥に消えていくのだった。

 

 

 

 

 

 




毒無効に出来る主人公と絡ませる鯖ってことで真っ先に思いついた娘。
FGO主人公が毒無効だからあんまり気になりませんけどよく考えたらヤバい設定している。
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