別ゲーの推しキャラを再現する為に器用度に極振りしたいと思います。 作:風邪引きピエロ
ブオンブオンと
どこかで聞いたことのあるような小気味よい音がするたびカスミの側を一陣の光が通り過ぎ、その同線上にあるものが両断される。
原因は眼前の人物・・・『謎のヒロインX』と名乗るサーヴァントのである。
彼女の握るのは両刃の西洋剣。が、その表面には何故か青白いオーラのようなものを纏っており振るうたびにブオンブオンという例の音がしている。
「避けるな!戦闘に使えるシーンはせいぜい5分なんですからぱっぱと殺られなさい!」
「無茶を言うな!」
良く分からないことを宣いながら剣を振るうヒロインX。
ふざけた言動、ふざけた格好とは裏腹にその太刀筋は鋭く、正確で力強い。
喰らえば一撃で致命傷になり得るような剣戟を何度も何度も振り下ろしてくる。
明確な殺意が込められたそんな攻撃を紙一重で掻い潜りながら、カスミは油断なく敵の一挙手一投足を注視する。
と、その視界の隅で黒い影が動いた。
飛び出したのはノブナ。
カスミを頭から一刀両断するために大上段に剣を構えたヒロインXの死角に回り込むようにして移動し、手にした刀による横なぎの一閃。
不意の一撃に一瞬判断が遅れ、回避よりも防御を優先したヒロインXだが器用に手の中で剣を回転させるとノブナの刀を受け止めた。
金属同士がぶつかり合う音が響く。
攻撃は止められたが敵の注意が自身から外れたのを感じたカスミは瞬時に手にした刀を構え直すと前方に向けて走る。
放たれた矢の如く眼前の敵の懐に入り込む。刀の必殺の間合いだ。
カスミは躊躇なくヒロインXの無防備に晒されたマフラーの合間から覗く白い肌・・・その首筋に向けて自身の得物を振り下ろし、
ガキンという金属音と共にその刃が受け止められた。
刀を止めたのは黒い刀身。
先程まで目の前の少女が振るっていたものと良く似た、しかし真っ黒な色をした二振り目の西洋剣が赤黒いオーラを纏いながら刀の刃とぶつかりギャリギャリと耳障りな音を奏でている。
「不意打ちの上2対1とは卑怯な!汚い、流石セイバー汚い!とりあえずは・・・離れろカリバー!!」
「ちっ」
「・・・」
間の抜けた気合の声と共に物凄い力で振るわれた刀身に押し戻される。
その力に逆らわず、後ろに跳んで距離をとる。横には同じく下がったノブナも見えた。どうやら仕切り直しのようだ。
十分な距離を開けたところで改めてヒロインXを観察する。
黒いつば付きの帽子にアホ毛。そして短パン。青いジャージを首には同じく青い特徴的なマフラー。
油断なくこちらの様子を伺いながらいつでも切りかかれるように両の手に握った剣を構え直している。
右の手には最初から振るっていた白いオーラを纏った剣。
左手には対照的に黒いオーラを纏った剣。
ブブブと剣身からは独特な音が聞こえている。
「・・・2刀流だったのか」
「なんじゃ知らんかったのか?」
ため息と共に言葉を漏らせば、ノブナが敵から視線を外さずに言ってくる。
こちらも視線を外さないようにしながらに答える。
「それほど詳しくはないな。有名どころを多少聞きかじったことがある程度だ」
「さよか。なら教えておくか・・・奴の名は『謎のヒロインX』」
「待て。本当にその名前なのか?」
「残念ながら正式名称なんじゃよなコレが」
ノブナは朗々と語っていく。
「サーヴァントユニバースからやって来た英霊であり所謂アルトリア種の内の一騎。コードネームはA-X。その目的は未来の世界にて増えすぎたセイバーを過去に戻って抹殺することであるとしてセイバーを見たらとりあえず切りかかる危険人物だ。戦闘スタイルとしては主に白と黒の相反する属性を持つエクスカリバーの二刀流が強力だが、他にも『セイバー忍法』と称する謎の魔技を使うこともあるらしい。ちなみに本人は頑なに自身をセイバーだと主張しておるがクラスはアサシンじゃ」
「・・・スマンが何を言っているのかほとんど分からない」
「言っとる儂自身もそうじゃから是非もないよネ・・・あ~分かりやすく言えばあれじゃ。ギャグ時空の住人とかいう奴。ノリと勢いで予想の斜め上の攻撃してくるから気を付けるんじゃぞ。具体的に言えば、いきなり宇宙船からビーム撃ってきたりする」
「何でもありじゃないか・・・」
ノブナの口から語られる情報に頭痛がしてくる。
今まで数々の強敵と自分の腕一つで渡り合ってきたという自負がカスミにもあるが流石にそのような悪ふざけと悪ノリが服を着て歩いているような存在を相手どったことは無い。
訳の分からなさで言えば、ある種メイプルやノブナ以上である。
正直何もかもをなかったことにして今すぐ回れ右してこの場を去りたい気持ちが湧き上がってくるが、それを敵が許してくれるとも思えない。
「フム・・・随分とわたしのことに詳しい様子・・・ハッ!?さては・・・わたしのファンですね!」
「・・・・ファン?」
「奴の言動にいちいち過剰反応しとったら身が持たんぞ?・・・・・あ~ならファンのよしみということで一つ今回は見逃してくれたりは・・・」
「やはりそうでしたか!残念です大事な視聴者が二人ほど減ってしまうとは・・・ですがまぁ広大なユニバース的に考えたら誤差の範疇ですよね!」
「あ、ダメそうじゃねこれは」
心底面倒くさいとでも言いたげな顔をしたノブナが両手を上げる。
お手上げという意味のジェスチャーだ。
が、カスミの付き合いきれんからどうにかしろとばかりの白い眼を受けてため息交じりに言葉を続ける。
「あ~・・・まぁそう言わずに。対話で解決するならそれが一番じゃろ?ほれ、最近は某光の巨人も怪獣と対話して事件を解決する話も多くなったりしてるらしいし」
「他所は他所、家は家。そもユニバース界では今も昔も見的必殺一択です」
「未来世界を標榜しとる割に治安とか終わってない?・・・・そもそも何故儂らは貴様に襲われとるんじゃ。なし崩し的に切り合うことになったが、争う理由も特になかった気がするんじゃが」
「愚かな!そんなもの貴方達が『セイバー』であるというその一点だけで抹殺するには十分です!」
「『セイバー』・・・・儂らが、か?」
「そうです!その手に握られている刀・・・そして何より私のアホ毛にビンビンくるその溢れ出るセイバー
空気抵抗の少なそうな胸を張り、アホ毛をぴょこぴょことさせながらドヤ顔をするヒロインX。
そんな彼女の様子を見ながらノブナの紅い瞳がギラリと光ったような気がした。
「ほうほう・・・そうかそうか・・・先程から聞いていればどうやら貴様は儂らがセイバー・・・つまりは剣士であるから襲い掛かって来たとそういうことか」
「その通りです!」
「で、セイバーかそうでないかの判断はそのセイバー力とかいう謎波動的なものを基準にしておるということで良いのか?」
「ふふん、そうです!このわたしのアホ毛は半径30m以内にセイバーがいる時に敏感に反応するのです!」
「貴様のアホ毛は妖〇アンテナか何かか?・・・それはともかく・・・時にそのセイバー力とやらは本当に正確に計れとるんか?絶対に間違いないと本当に言い切れるんか?」
「何を馬鹿な事を。私のセイバー力センサーはいつだって正確です。間違いなどあるはずが・・・」
自信満々に言い切ろうとした言葉が尻すぼみになりやがて止まった。
その顔に浮かぶ表情は驚愕・・・次いで焦燥。
慌てたように自身の頭に手をやるヒロインX。
その手の中でアホ毛は力なく項垂れている。
「か・・・感じない!?貴方からはセイバー力を全く感じません!?そんな・・・何故!?」
「フム・・・確かに儂は今『刀』を持っとるが反応はしない・・・つまりは剣士ではないと判断された、と。そいつはおかしいのう」
ニヤニヤと嫌らしく笑うノブナ。
その手に握られているのは刀の形をしてはいるがその正体は『共闘モンスター』であるちびノブである。
なので反応しないのは当然なのだがそんなこと当然ながらヒロインXは知らない。
驚きと混乱でまとまらない思考でそれでも考える。
明かにセイバーぽいのにセイバー判定が出ない。
それが意味することはつまり・・・
「わ、わたしのセイバーセンサーが狂っているということですか・・・そんな馬鹿な・・・」
「しかもその狂った情報を判断材料にしてなんの罪もない儂等に因縁をつけ、突然斬りかかってきていたと、そういう事になるのう」
「う、」
「さてさて・・・これは大問題じゃのう・・・どう落とし前をつけるんかのう・・・のう?」
「ううう・・・」
暫く唸った後、がっくりと地面に両手をつき項垂れるヒロインX。
そこに先程までの殺意や敵意は感じられない。
それを確認したノブナがカスミに視線を向けると右手の親指を上に上げサムズアップする。
「とりあえず何とかなったぞ。いやはや原作設り騙されやすい性格しとるようで助かったわ」
「ああ・・・どうやらそのようだな。所々納得は行かないが・・・」
聞こえないよう小声で言いながら悪い顔で笑うノブナにカスミは釈然としない様子でそう言うと、刀を鞘へと納めたのだった。
クエスト【少女に勝利を
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同時刻・・・
草を揺らす心地よい風を頬に受けながら宙に浮かぶ巨大戦艦を見上げる人影が二つ。
「・・・あれが報告にあったもの?」
「そのようであるな」
フード付きのマントを身に着け、姿と顔を隠した二人組だ。
どちらもそれほど背が高い訳ではない。むしろ小柄な方だ。
と、一人がフードを外す。
現れたのは特徴的な赤髪に同じ色をした瞳の女性プレイヤーである。
その赤い瞳で空中要塞を冷たく見上げている。
彼女を見る者がいれば驚いていたであろう。何故彼女がこんなところに・・・と。
彼女こそ今現在このNWO上において最大級の勢力を誇っている2大ギルドの内の一つ・・・『炎帝ノ国』のギルドマスター・・・『炎帝』の異名を持つ実力者『ミィ』その人である。
「・・・本当にあそこに貴方の目的とするモノがあるのね?」
「うむ。間違いない」
訝し気に上空のモノを見ながら言うミィに対して返すフードの人物。
その言葉は自身に満ちており、かつその口調はかの『炎帝』に対するものとは思えぬほどに尊大にすら聞こえかねないのものだった。
が、当のミィ本人は特に気にした素振りも見せずただ静かに「そう」と返すのみである。
「とはいえ・・・流石にあそこまで空高くにあるというのは流石に予想外ね・・・空を飛べない限りあそこに行くのは無理そう・・・だけど、貴方になら・・・」
「無論、可能だ」
フードの下から聞こえる声は変わらず自身に満ち溢れたものだ。
それにやはり「そう」とだけ返すミィ。
頬を撫ぜる風を感じながら、深く息を吸い、静かに言葉を発す。
「ならお願い。あの浮遊物体を撃ち落として・・・わたしの『サーヴァント』」
一応言っておくとセイバー力云々はただの妄想です。