別ゲーの推しキャラを再現する為に器用度に極振りしたいと思います。   作:風邪引きピエロ

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今回、虫とか苦手な方は一応閲覧注意です。

※若干修正しました。押しの宝具台詞間違えるとかちょっと吊ってくる・・・


器用度極振りの戦闘スタイル

北の森を移動する二人(正確に言えば、ノブナはクロムに背負われた状態であるが)。

 

 

 

「う~む、居らんのぅ。あの子のステータス的にそこまで遠くには行っとらん筈なんじゃが」

 

 

 

「メイプルちゃんはスキルを探しに行ったんだろ?ならそれが取れそうな場所や敵を目指したんじゃないか?」

 

 

背負われるからと余分な装備を外し、最早お馴染みとなってきたばすたぁTシャツ姿で周りをキョロキョロ見回すノブナ on クロムの背中。

子供の世話をする休日のパパのような絵面で地味ながら的確なアドバイスを送るクロム。

 

 

 

「んー・・・此処等で特殊なイベントが発生しそうな場所なんぞないし、出てくる敵と言えば『ゴブリン』やら『フォレストクインビー』やらと・・・あとはそう『爆発テントウ』くらいか。数倒した所で然程有用なスキルを入手できるとも思えんがなぁ」

 

 

 

「そうだな・・・というか、攻略サイトも見ずに言うってことはこのマップの敵配置やら何やらの情報全部暗記してるのか」

 

 

 

「当然じゃろ?」

 

 

 

「さも常識みたいに言うが、狩場でもなんでもないマップの敵情報まで暗記している奴なんてそうそういないって」

 

 

 

ぐだぐだと雑談しながら探す二人。

が、しばらく経っても一向にメイプルは見付からない。

もう少し探して見付からないようなら直接メッセージを飛ばしてみるかと考え始めた時

 

 

 

『キャアアアっ!?気持ち悪いぃ!?』

 

 

 

「・・・この言葉とは裏腹にあまり緊張感を感じさせない声は」

 

 

 

「いや、そんな悠長なこと言ってる場合か!?この悲鳴、間違いなくメイプルちゃんだろ!?」

 

 

 

「フム、あっちの茂みの方から聞こえるの。よし、クロムよ。吶喊せい!!」

 

 

 

「葉が繁ってて視界が悪いが・・・ええい、南無三!!」

 

 

 

ガサガサと茂みに分け入っていく二人。

枝や草が密集し、視界全てが緑に染まる。まるでこの先へ行くものを阻むかのような道なき道をそれでも辛抱強く進んでいくと、突然視界が開けた。

 

それまで下草や茂みの生い茂った所とは違い、比較的視界のきく背の高い巨木の多い場所だ。

そびえる木々が空を覆い隠し、薄暗い森を葉のちょっとした隙間から入り込む日の光が照らし出す。

時間が許す限りゆっくりと眺めていたくなるような、まるで絵画のごとき荘厳な光景がそこには広がっていた。

 

 

 

・・・のだが、二人はそんな美しい光景に目を奪われるようなこともなく、ただ一点を見つめて絶句していた。

 

 

 

 

「うわ、なんじゃアレ気持ち悪」

 

 

 

「なんというか凄まじいの一言だな・・・」

 

 

 

 

二人の見つめる先。

 

 

そこにはこの世の地獄が広がっていた。

 

 

 

 

辺り一面の緑の中に、まるで絵画に出来た染みのように所々に違う色が混じる。

 

赤と黒

 

良く良く目を凝らして見てみればそれがウゴウゴと蠢いていることがわかるだろう。

 

染みの正体は『爆発テントウ』

 

このゲームにおける雑魚モンスターの一匹であり、人の掌サイズ程もある巨大なてんとう虫である。

 

それがある一点に何百何千と集まり、固まり、蠢き、這いずりまわりながらヴィヴィットな配色の趣味の悪い『人型』オブジェを形成していた。

 

 

 

野生動物の生態を紹介するテレビで虫の集団大移動を見せられた時と同じような微妙な顔をする二人。

 

 

 

「もしかしなくてもアレじゃよなぁ・・・何をどうしたらあんなんになるんじゃ」

 

 

 

「わからない。というかあれは本当に大丈夫なのか?」

 

 

 

「まぁ、ダメージはないようじゃな。あったら即死じゃろうし・・・おーい、メイプル。大丈夫か?」

 

 

 

ノブナの言葉に反応したのかオブジェが少し身動ぎしたように見えた。

どうやら元気ではあるようだが、爆発テントウにまとわりつかれ過ぎて移動することすら出来なくなってしまったらしい。

 

 

 

「とりあえずは大丈夫そうだが・・・さて、どうする?」

 

 

 

「どうするもこうするも・・・殺るしかないじゃろアレ全部」

 

 

 

「だよなぁ・・・これは骨がおれそうだ」

 

 

 

ため息をつきつつノブナを下ろし、大盾を構えるクロム。

ノブナのほうも、戦闘に備え装備をチェンジし火縄銃を手の中でクルクルと弄ぶ。

 

敵の動きを観察しながら、先ずはお互いの動きを確認する。

 

 

「銃を使う奴とは初めて組むから勝手がわからないが、ここはセオリー通り俺が前衛で注意を引きつつチマチマ攻撃。お前が後ろから狙撃で数を減らすって感じでいいか?」

 

 

 

「異存はない」

 

 

 

「よし、じゃあ始めるか!【挑発】!」

 

 

 

気合いの入った声でクロムがスキルを発動し、敵の注意を惹き付ける。

 

 

 

 

「・・・・【単独行動】、【隠密】」

 

 

 

背後でノブナの呟きが聞こえた後、気配がスッと消え去り、敵の注意が完全にクロムに集中する。

釣られた何匹かの爆発テントウが飛び上がり、彼を目指して突っ込んでくる。

 

その動きを良く観察し、大盾でしっかりと攻撃を受け止め体勢の崩れた所を短刀で切りつける。トッププレイヤーの名に恥じないスキルの高さを感じさせる年期の入った堅実な動きだ。

 

更に迫ってくる敵の攻撃をいなしながら思考する。考えるのは現在の相方であるノブナの武器についてだ。

 

 

 

『専門外なんであんまり詳しくはないが、ノブナの使う武器である【銃】はたしか・・・・』

 

 

 

 

【銃】

 

 

数種類ある遠距離武器の1つ。

 

弓、魔法よりも遠距離から攻撃できる。

魔法と違い、MPを消費しないでそこそこの威力で攻撃できる。

 

というメリットはあるが、

 

一発打つごとにリロード(自動装填。クールタイムは銃ごとに異なる)が入るため、殲滅力に欠け、敵の接近を許してしまうという遠距離武器には致命的過ぎる弱点がある。

 

武器の整備や強化、製造にやたら金がかかる。

 

実装されている種類が圧倒的に少なく、汎用性に欠け、そのどれもが高レア扱いの貴重品に属するため入手が困難。

 

 

などのデメリットのため使い手の少ない不遇扱いをされている武器である。

 

 

 

 

『なんというか、絶妙に不安になるような情報しかないな・・・・性能については大盾もとやかく言えた義理じゃあないが』

 

 

そんな事を考えていると、目の前に迫っていた敵の一匹がダメージエフェクトと共に爆散した。

 

 

 

 

 

・・・・ダァン!!!

 

 

 

 

思わず顔を庇ったクロムの耳に遅れて轟音が聞こえてきた。

どうやら、今のはノブナの狙撃らしい。

 

 

 

 

『ビックリした・・・まったく荒っぽいな。今はパーティーを組んでるから仮に誤射されてもダメージがないのが救いだが。さて、向こうはこれからリロードに入るだろうから敵を近付かせないように注意しないと・・・』

 

 

 

敵の動きに注意しながら再び【挑発】を発動しようと準備した、その時。

 

 

 

 

 

 

 

ダァン!!!

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

 

 

再びの轟音が空気を切り裂いた。

それだけではない。

 

 

 

 

ダァン、ダァン、ダン、ダン、ダンダンダンダダダダダダダダダっ!!!!

 

 

 

 

轟音はどんどんと間隔を狭めていき、やがて機関銃のごとき乱射音へと変化していった。

 

驚き固まるクロムの眼前で敵が爆散しながらその数をみるみる減らしていく。

 

 

 

「な、なんだ!?何が起こってる!?」

 

 

 

戦闘中だというのに、敵から目をはなし後ろを振り返った彼を誰が責められよう。

それほどまでにあり得ないことが、起こっているのだ。

が、振り返った先で彼はまたも驚愕のあまり固まる事となる。

 

 

 

 

 

「ウハハハ!!皆殺しじゃあ!!」

 

 

 

 

 

視線の先。

 

燃え盛る焔の如く爛々と光る赤い双眸を煌めかせ、物騒な言葉を吐き散らしながら地獄の悪鬼も裸足で逃げ出す凶悪な表情で嗤うノブナが、

 

 

 

『両手』に構えた火縄銃を交互にぶっ放していた。

 

 

 

 

『なんだあれ!?2丁拳銃でもあるまいに・・・・いやいや仮に2丁あったとしたってあんな機関銃みたいに連射は出来ない筈なんじゃ!?何かのスキルか?・・・・いや、違う』

 

 

 

 

つぶさに彼女の動きを観察したクロムは気付いた。

銃撃の後、一瞬だが青白い光が手元を照らすのを。

 

 

 

『あの青白い光、いつも装備の出し入れなんかに使うシステムウィンドウの光だよな?・・・・おいおいまさか嘘だろ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつ、撃ったはしから装備交換して新しい銃を取り出してるのか!?」

 

 

 

 

 

 

クロムが驚きの声をあげる。

 

彼が気付いた通り、カラクリそのものは単純だ。

 

 

1、銃を構えて撃つ。銃のリロードタイム開始。

 

2、銃から手を離し、空いた手でシステムウィンドウを操作。インベントリから新しい銃(装填済)とリロード中の銃を交換。

 

3、新しい銃を構えて撃つ。

 

 

この循環を繰り返しているだけである。

銃のリロード自体はインベントリの中でも問題なく行われる為、理論上は無限に撃ち放題な銃の完成だ。

 

とはいえ言葉で言うほど簡単な事ではない。

 

ステータスウィンドウのボタン配置を完璧に覚え、インベントリ中に混在する装填済の銃とリロード中の銃を瞬時に判断し、過たず目的の場所に装備する。

 

それを特別なスキルを使わず一瞬の内に、しかも両手で交互に別々の動きをしながら、である。

 

とても人間技とは思えない集中力と器用さが求められる異形の技だ。

 

 

 

 

『・・・・メイプルちゃんも大概だけど、アイツも別の意味で化物染みてるな・・・』

 

 

 

 

「おい、クロム!何を呆けておるのじゃ。敵が此方に向かい始めとるぞ!さっさとスキルで注意を引かんか!」

 

 

 

「あ、ああ悪い。【挑発】!!」

 

 

思わず棒立ちしていたクロムだが、ノブナの激に我に返り戦闘行動に戻った。

再び彼の元に集まり始める爆発テントウだが、飛来する端から弾幕の餌食となり辺りに体液をぶちまけることとなった。

 

 

 

『・・・あんなめちゃくちゃな撃ち方でこの命中率。手数で補ってるのを差し引いても異常だな。これが極振り・・・いや、ノブナの戦い方か。普段はどうしようもない奴だが、今は何とも心強い』

 

 

 

周りを見回せば、かなり敵の数が減ってきている。

人型オブジェと化していたメイプルも、最早顔が見えてくるくらいだ。

難しい顔で目を閉じ集中している。スキル【瞑想】を使用することであの状況に耐えているらしい。

とは言え、精神的な限界は近いらしくプルプルと小刻みに震えている。

 

 

 

「よし、もう少しで助けられそうだぞ!」

 

 

 

クロムが声を上げたその時、突如敵の動きが変化した。

 

一匹が突然攻撃を中断したかと思えば、キイキイと金属の擦れるような耳障りな鳴き声をあげ始めたのだ。

それに呼応するかのように残った他の爆発テントウ達も次々に鳴き声をあげ、やがて耳を塞がないといられない位の大音量となった。

 

 

 

「なんだこれ!?コイツらがこんな行動するなんて聞いてないぞ!?」

 

 

自分の声すらまともに聞こえない位の騒音に顔をしかめるクロム。トッププレイヤーとして名前を挙げられる位にはこのゲームをやって来た彼だが、こんな事態は初めてだった。未知の状況に嫌な予感がしてくる。

 

 

 

果たして、その予感は現実となってしまった。

 

 

 

 

「おい、嘘だろ・・・・」

 

 

 

 

虫達の奏でる不快な大合唱の中、周囲を警戒していたクロムが絶望の声を洩らす。

 

 

森の奥から先程の倍以上の爆発テントウが押し寄せてきたのだ。

その数は最早数えきれるものでは到底なく、地面を木々を枝枝をウゾウゾと這い回る様は赤黒い波のようにすら見える。

 

 

 

あれは無理だ。

 

 

 

そう確信し、ただその光景を眺めることしかできない彼の横を人影が通り過ぎ、前に立つ。

 

 

 

 

 

 

 

「いやはや・・・地獄の朱誅処もかくやのおぞましい光景よの。何か厄介なイベントフラグでも踏んだか?まったく、ここの運営は時々悪意の塊でしかないデストラップ仕掛けてくるのが珠に傷じゃのぅ」

 

 

 

 

 

 

ノブナだ。

何時ものように傲岸不遜に嗤いながら、虫の洪水を睥睨し、腕を組んで威風堂々仁王立ちしている。

 

 

 

 

「とは言え、このまま運営共の思惑にのってやるのも寝覚めが悪い。さて、クロムよ」

 

 

「これから見せるは今の儂のとっておき。言わば奥の手というヤツよ。努々口外したり例のスレに書き込んだりしてくれるなよ?運営に目をつけられ過ぎるのも面倒じゃからのう」

 

 

そう言って不敵に微笑みながら、口元に人差し指を当てる。

クロムが訳も判らずとりあえず頷いたのを確認した後、迫り来る赤黒の波に向き合い・・・・静かにその言葉を口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『三千世界に屍を晒すがよい』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございましたぁ!もう気持ち悪くって、でも動けなくって!新月に入れた【毒竜】も使い切っちゃってぇ!」

 

 

 

「おーおー、難儀したのぉ。しかし怪我なぞなくて良かったわ。ま、今回のことは犬にでも噛まれたと思って忘れ『そう簡単に忘れられません!夢に出ちゃいます!』お、おうそうか・・・」

 

 

 

 

涙目で言い返してくるメイプルの勢いに気圧されながら話すノブナ。

その何とも言えぬ緩い空気を漂わせる空間を横目に見ながら、クロムは一人難しい顔で黙り混む。

 

 

 

 

『・・・・もしかしたら俺はとんでもないヤツと知り合ってしまったのかもしれない・・・・』

 

 

 

 

 

腕を組み、ただ悶々と唸り続けるクロムの後ろには

 

 

 

 

まるで空襲にでもあったかのように薙ぎ倒された木々と抉れ、隆起し、先刻までとは違った地形に成り果てた地面とが広がるばかりであった。

 

 

 

 

 




誰得スキル解説

【単独行動】
・自身の最も高いステータスの10%分の数値を【AGI 】に加算する。効果時間30秒。
・パーティーを組んだ状態でも、使用条件に【ソロ状態である事】を持つスキルを使用出来るようになる。
・味方からの支援スキル(【カバー】、【ヒール】など)、アイテムの対象にならなくなる。

【隠密】
・このスキルは使用者がソロ状態の時のみ使用可能。
・自身に【隠密】状態を付与。使用回数は十数回。効果時間30秒。連続使用不可。


【隠密】
・敵にターゲティングされなくなる。
・次の一回目の攻撃にダメージボーナスを付与。
・攻撃をした場合、【隠密】状態は解除される。
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