別ゲーの推しキャラを再現する為に器用度に極振りしたいと思います。   作:風邪引きピエロ

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器用度極振りと第一回イベント 1

某月某日。

 

 

記念すべき【NWO】初の大規模イベントの開催日であるこの日、多くのプレイヤー達が逸る気持ちを抑え、スタート地点である広場に集まっていた。

 

観覧席でもあるそこには、空中に投影された大規模ビジョンがあり、直接参加しないプレイヤーもイベントの様子を見ることが出来るようになっている。

現在そこには今回のイベントの概要説明が表示されており、待ち時間にすることもなくなり手持ちぶさたになったプレイヤーが、何とはなしにそれを読み込んでいる光景や緊張の為か若干血走った目で画面を凝視するプレイヤー等がそこかしこで見られた。

 

 

 

 

「く、あぁ・・・はふ・・・」

 

 

 

 

そんな周囲のソワソワした空気などガン無視するかの如く大あくびをかます不届きものが1人。

 

 

ノブナである。

 

 

 

戦闘用コスプレ装備に身を包み、如何にも寝不足ですという雰囲気で気だるそうに立っている。

 

 

 

「ノブナさん寝不足ですか?」

 

 

 

 

「ん?んん・・・・ん」

 

 

 

 

「ノブナさん?ノブナさ~ん?も~、しょーがないなぁ」

 

 

 

隣に立つメイプルが話しかけても返事が曖昧。見かねた彼女がいい感じの布・・・はあいにく持ってなかったのでノブナのマントを使って顔を拭う。

 

 

 

「む?むぐぅ・・・、ぷは。おお、ちょっと目が覚めた」

 

 

 

「もう、しっかりしてください!もうすぐイベント始まっちゃいますよ!」

 

 

 

「おお、すまんのぅメイプル。・・・て、これ儂のマントかい!なにしよるんじゃ、オーダーメイドで高かったんじゃぞコレ!?」

 

 

 

「ノブナさんが寝てるのが悪いんじゃないですか~」

 

 

 

などと、何時ものように緩い空気でじゃれ合う。

周囲プレイヤー達の「何だコイツら」という感じの微妙な表情なぞどこ吹く風。通常営業の二人だったが、突然響いたファンファーレと共に中央のスクリーンに映る映像が切り替わった時点で表情を引き締めた。

 

 

スクリーンには背景のない画面にデカデカと「運営」の二文字が写し出され、機会音声のような声でアナウンスが始まった。

 

 

『いよいよ記念すべき第一回イベントの開幕になりまーす!それではもう一度改めてルールを説明します!』

 

 

『制限時間は三時間。ステージは専用マップ!倒したプレイヤーの数と倒された回数、それに被ダメージと与ダメージ。これ等4つの項目からポイントを算出し順位を出します』

 

 

『さらに上位十名には記念品が贈られます。注目プレイヤーは空中のスクリーンに実況中継されるので不参加の方々もお楽しみ下さい!』

 

 

『説明は以上です。参加者の方々は頑張ってください!それでは第一回イベント!バトルロイヤルを開始致します!』

 

 

 

その宣言と同時に拍手が巻き起こりプレイヤー達の歓声や気合いの雄叫びがアチラコチラで上がる。

スクリーンは再び切り替わり、カウントダウンが始まった。

 

 

初めての対人戦を前に、もしかしたらダメージを受けてしまいやしないか等と少し不安げな表情を浮かべたメイプル(実際は杞憂なのだが)。

 

そんな彼女の眼前に握り拳が掲げられる。

 

 

 

「ホレ、戦の前の景気づけじゃ」

 

 

 

「え?・・・あ、はい!」

 

 

 

言われてメイプルも同じように手を前に出し、拳同士を軽くぶつけ合わせた。

 

 

 

「こういうイベントは楽しんだ者勝ちじゃて。お主も後悔せんよう精一杯楽しんでこい」

 

 

 

「はい!ノブナさんも!一緒に10位以内、入れ

るよう頑張りましょう!約束ですよ!」

 

 

 

 

片や好戦的な笑顔を。

片や溌剌とした笑顔を。

 

 

違いはあれどお互いに笑いあった瞬間、カウントが0を示し、周囲の景色が暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「・・・フム。どうやら着いたようじゃの」

 

 

 

呟き、閉じていた目をそっと開ける。

 

まず目に飛び込んできたのは四方を囲む白い壁。

薄暗く、埃とちりが舞うそこはどこかの建物の中であるようだ。

大分昔に建てられたらしく、所々に穴やひび割れが出来、そこから光が差し込んで来ている。

 

 

 

「やれやれ。出現場所はランダムとはいえ、これまたひどい所に飛ばされたもんじゃのう」

 

 

 

顔をしかめマントで口元を塞ぎつつ、出口を探す。

ドアらしき場所が板で打ち付けられ、ふさがれた所を見つけ、二、三発弾を撃ち込み、脆くなった板を蹴破り外に出る。

 

 

周囲をぐるりと見渡せば、同じような建物が何件も建ち並び、レンガで舗装されたと思しき道路や遠くには背の高い塔のようなものも見えた。

どうやら一つの街のようになっているらしい。

どれも経年劣化激しく、壊れたり崩れかけたりしてはいるものの在りし日の栄光を感じさせるような、廃墟郡である。

 

 

 

「廃墟の街・・・と言ったとこか。こういう所って隠れて奇襲したり休憩したり出来るから、なにかとプレイヤーが集まりやすいんじゃよなぁ。ま、とりあえず移動するかの。【単独行動】!」

 

 

 

スキルを発動した瞬間、身体が羽のように軽くなったように感じる。

今ならばどんな高い壁でも飛び越えられる。

そんな確信にも似た衝動に突き動かされるように、脚に力を込め跳躍する。

 

 

タ、タ、タン!

 

 

地を蹴り、壁を蹴り、瞬く間に屋根の上に上がる。

 

 

 

「っと!やっぱ便利じゃのうコレ。【AGI】数値0でもこんな事出来るんじゃから」

 

 

 

【単独行動】

 

・自身の最も高いステータスの10%分の数値を【AGI】に加算する。効果時間30秒。

・パーティーを組んだ状態でも、使用条件に【ソロ状態である事】を持つスキルを使用出来るようになる。

・味方からの支援スキル(【カバー】、【ヒール】など)、アイテムの対象にならなくなる。

 

 

 

「さて、と・・・おうおう、やっとるやっとる。其処ら中で切った張ったの大立ち回り」

 

 

 

建物の屋根から眺めて見れば、街中の至るところで怒号や剣戟の音が響き、少し離れた所では爆炎が上がっている。

すでに戦端は開かれているようだ。

 

その街の様子を見て、予想通りと内心ほくそえむ。

 

やはり、多くのプレイヤーがこの街に集まってきている。

 

 

 

「よしよし。向こうから勝手によってきてくれるのだからこれ程楽なことはないわ」

 

 

 

等と1人悪い顔をしていると、足下が騒がしい。

見ればちょうど真下の路地で二組による戦いが始まったようだ。

 

片や8人ほどのグループ、片や1人という明らかに不利な戦力差であり、案の定1人の側があっという間に追い詰められていく。

 

 

 

「む。アレはいかんな」

 

 

 

言うと、屋根から一歩足を踏み出す。

 

当然の如く重力にとらわれたノブナの身体は頭から下に落ちていった。

 

見る間に近づいてくる地面。

 

それから目を反らさず、冷静に呟く。

 

 

 

「【単独行動】」

 

 

 

 

例の感覚が全身に広がるのを感じながら、空中で前転するようにくるりと体勢を入れ換える。

 

 

 

「はっはぁ!これで終わりぐへぇ!?」

 

 

 

ちょうど着地点にいた戦士風の男を踏み潰し着地。

即座にインベントリを操作して愛用の銃を引っ張り出すと、突然の事に呆然としている残り7人に向けて斉射する。

 

 

【タネガシマ】の銃声が路地を満たし、無数の弾丸の雨が全てを呑み込み、穿ち、削り取っていった。

 

悲鳴を上げる間も無く、7人は愉快なオブジェと化しやがて光を放ちながら消えていった。

 

 

 

「な、なにが・・・」

 

 

 

「なんじゃまだ生きとったんか。意外とタフじゃのう」

 

 

 

そう言いながら銃口を足下で倒れる男の後頭部に押し当てると躊躇なく引き金を引く。

銃口から射出された弾丸が過たず致命的な損傷を負わせ、男の身体もまた光となって砕け散った。

 

 

 

「あ、ありがとう助かったよ!」

 

 

 

未だに腰を抜かして地面に座り込んでいる1人側だった魔法使い風の男性が礼を言ってきたのをノブナは訝しげに眺めながら【タネガシマ】を手許でくるりと回転させ玩ぶ。

 

 

 

 

「?・・・何か勘違いをしとるようじゃが」

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

「貴様を助けたつもりはない」

 

 

 

 

意味が分からないという様に聞き返してきた男性の眉間に弾丸を撃ち込み、光に変える。

 

光が完全に消え去るのを確認してからステータスウィンドウを開き、獲得ポイントを確認する。

 

 

 

「なんじゃ意外としけとるのぉ。この分じゃと、結構な人数相手にせんといかんか。こりゃ骨が折れそうじゃ」

 

 

 

 

言葉とは裏腹に楽しげな笑みを浮かべながらウィンドウを閉じ、【タネガシマ】を肩に担ぐ。

 

 

 

「しかし対人戦はいいのぅ・・・このえも云われぬ緊張感・・ピリピリとした空気・・心が躍る。メイプルと馬鹿をやるのもそれはそれで愉快じゃが、やはりゲームとはこうでなくては」

 

 

 

上機嫌に笑うノブナ。移動する足取りも軽く、スキップでもしそうな程だ。

 

 

 

「理沙がおらん内はこういう楽しみも出来んと思っとったがまさかバトルロイヤルとは!運営めもやってくれる。年甲斐もなくはしゃいでしもうて昨夜も殆んど寝られん始末。我ながら度しがたいのぅ!ウハハハ!」

 

 

 

 

「いたぞ!てきギャあ!?」

 

 

 

曲がり角から顔を出した警戒感の薄い間抜けを即座に撃ち抜く。

道奥には仲間がいるらしいが流石に出ては来ないらしい。

 

 

 

「流石に1人目と違って無警戒に飛び出してくる阿呆ではないらしい・・・ま、かといってそこが安全という訳でもないんじゃが、の!」

 

 

 

新たな銃を装備すると、曲がり角に向けて撃ちまくる。

弾幕が劣化した建物の壁を瞬く間に削り取り、隠れていた標的ごと粉砕していった。

 

その衝撃によるものか、はたまた銃撃が重要な柱でも砕いたのか建物が音を立てて崩壊する。

 

 

 

視界全てを砂煙が覆い隠す中、ノブナの狂ったような嗤い声が響く。

 

 

 

 

「ハハハハハハハ!!!よい、よいぞ興が乗ってきた!せっかくの宴じゃ!!メイプルとの約束もあることじゃし、手始めに此処等一帯蹂躙させて貰うとしようか!」

 

 

 

 

燃え盛る焔の如く赤く煌めく双眸を見開いて、獣のように嗤いながら右手を掲げ、高らかに謳い上げる。

 

 

 

 

 

 

 

「【マックスウェルの悪魔】!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、砂煙が吹き飛ばされ視界が開ける。

 

ノブナの周囲を赤黒いオーラが轟々と渦を巻き、まるで竜巻のような暴風を発生させていた。

 

暴風の中で再びノブナが謳う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【秘密兵器《トイ・ボックス》】!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暴風がピタリとやみ、かわりに空間が円形に歪む。蒼白い光と共に歪みから現れたのはノブナの愛銃である【タネガシマ】だ。

【タネガシマ】が徐々に数を増やし、ノブナを中心に螺旋を描いて宙に舞う。

 

 

 

 

 

「全力には程遠いが戦の号砲としては十分であろうさ・・・『三千世界に屍を晒すがよい』」

 

 

 

 

 

キーワードと共に無数の銃口が一斉に発射態勢に移る。

 

 

 

狙うは周囲一帯、視界に映る全て。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、とくと我が業御覧じろ!『これが魔王の三千世界(さんだんうち)じゃ』!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

掲げた腕を振り下ろした時、

 

数多の弾丸がその全てを吹き飛ばした・・・・




主人公も作者も寝不足でハイになってやがる・・・


誰得スキル解説

【秘密兵器(トイボックス)】
・【トイ・キング】の力を自在にあやつる事ができる。
MPを消費することで、自身の半径30m以内の任意の場所に、今現在所持しているアイテムを出現、即時使用出来る。
・アイテムの限界所持数を増やす。

【マックスウェルの悪魔】
・10秒毎に最大MPを20増やす。上限あり。
・5秒毎にMPを10回復する。
・このスキルを取得した時点から自身のMPを0とし、ステータスポイントの割振りも出来なくなる。このスキルを取得している間この効果は続く。
・このスキルを取得し続ける限り、得られる経験値は通常時の3分の1となる。

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