その声と共に森から一人の青年が出てきた、何かの仮面を被っているが声や体格からして青年だろう。
と思ったら見たこともない滑らかな剣捌きで
オークを斬った、水の幻覚が見えるほど美しかった。
そうして次々とオークを倒し私の前で止まる
彼はこちらを見てすぐにオークに向き直しこう言った。
「俺が来るまで良く耐えた、後は任せろ」
その言葉に安心したのか私は気を失った……
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豚鬼を倒しながら、俺は先程倒れていた女性について考えていた。
彼女の容姿は日本ではない、そもそもここは別世界なのだから当たり前か、だがあの目はだめだ。もう諦めている、あの目をした者が立ち直るのを俺は見たことがない。
情報を聞き出すためにもどうにかして安心させねば……
そう思い、俺は彼女の前で止まる
「俺が来るまで良く耐えた、ここは任せろ」
そう言って彼女を確認せず次の型の構えを取る。
目の前には3体の豚鬼、どれも日本の鬼とは違い鈍い、これなら……
「《水の呼吸弐ノ型 改"横水車"》」
そうして体を横に倒しながら回転する。
豚鬼を倒す、だが次々と奴らがやってくる。
しかし恐怖はない、守る存在がいるのだ。
俺が殺られれば彼女も殺られる。
その気持ちで俺は鬼に剣を振るう。
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気がつくと私は焚き火の横で寝ていた。
何があったのか記憶を辿る、オークに遭遇し、部下に裏切られ、それで…………
「起きたか」
振り向くと気絶する前に見たオークを倒した青年がこちらを覗いていた。
仮面を被っているため表情は読めないが心配してくれたのだろうか
「…………あ、あの、感謝する!」
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「…………あ、あの、感謝する!」
いきなり頭を下げた彼女は俺に感謝の意を伝えた。
この世界での初の人間との接触、俺は緊張しながら話しかけた。
「……気にするな、人を助けるのが俺の役目だ。」
「それでも感謝する!、貴殿のおかげで私はあの醜いオーク共に犯されずにすんだ。」
「犯っ………………お、オークとはなんだ?」
「ん?貴殿が斬りつけたあの魔物のことだ
、そういえば…………あの後どうなったのだ!私が覚えているのは貴殿がオークを斬りつけ私に安心させようと言葉をくれたとこまでしか覚えていない。」
「あの後、残りのお前らの言うオークとやらを殺した後、お前を回収し今いる川の近くまで移動した。」
「そ、そうなのか………あのオークの群れを一人で………」
「なぁ」
「な、なんだ 」
「俺はこの土地について詳しくない、助けた礼にここらの情報を教えてくれ」
「そ、そんなことでいいのか!もっとこう金を要求するとか、か、体を求めるとか……」
後半については聞かなかったことにしよう
「あぁ、教えてくれ」
「そ、その前にだな自己紹介をしないか」
そういえばそうだな、俺は彼女の名を聞いていない。鬼殺隊での任務で人を助けても名乗らずに隠に任せることが多かったからな……
いかんな、ここはもう元いた世界では無いのだ、前の世界の常識に囚われてはいけない。
「そうだったな、俺の名前は水狩 十士郎
鬼殺隊をやっている。」
「わ、私の名はアレリア・アーゲルト、一応リスニスアで騎士をやっている。」
「そうか、よろしくなアレリア」
そう言って俺は手を差し出す。
「うむ、よろしく十士郎殿」