欠陥人生 拳と刃   作:箱庭廻

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四十三話:幾ら嘆いても明日はやってくる

 

 幾ら嘆いても明日はやってくる。

 

 

 

 

 絶望に屈服し。

 惨劇に目を覆いそうになる。

 

 その瞬間だった。

 

「え?」

 

 "あいつ"が起き上がったのは。

 手を伸ばし、跳ね上がり、今まで一切身動きしなかったはずのあいつが――短崎が起き上がり。

 

「たん」

 

 笑って。

 

「ざき!」

 

 俺の方に微笑んで、ぬちゃりとぬめる指からすり抜けるように駆け出していた。

 ただ早く。

 バケツをひっくり返したような雨の中を泳ぐように駆け出して、あいつは見知らぬ少女を突き飛ばし――刀を構えた白い女との間に割り込んだ。

 そこからはまるでスローモーションのように見えた。

 あまりにも衝撃的な光景に、俺は喚くことも忘れた。

 ――ぶつんと何かが切れた気がした。

 斬光が奔って、短崎の左腕が斬り飛ばされて――血飛沫が舞った。

 

「あやや?」

 

 短崎の腕が吹き飛ぶと同時に白髪の少女が胸から血を噴き出していた。

 綺麗だった。

 いつの間に抜き放たれたのか分からないほどに早く、自然に掲げられた脇差。

 それに沿って血が噴き出す、咲き乱れる。

 鮮やかに、鮮やかに。

 出さなければいけない悲鳴も一瞬出すのが遅れるぐらいに。

 

「ァア、ァアアア――!!!」

 

 見知らぬ少女の悲鳴が上がる。

 短崎に助けられた少女が、顔を押さえて、血を浴びながら悲痛な声を上げた。

 短崎が倒れる。

 前のめりに、手を失って、ボドボドと血を流しながら膝を付いて。

 

「痛いですぅ~」

 

 ……それでも倒れない化け物が居た。

 刀を握ったまま、深々と切り裂かれた胸を手で押さえつけた白髪の少女。

 

「ウソ、だろ?」

 

 あんなにも切り裂かれたのに。

 血を流しているのに。

 ゴフリと血を吐き出しながら、白髪少女が言う。

 

「見事な一撃でしたわぁー。表の人間も侮れませんなぁ」

 

 血に濡れて、紅色の唇を広げて、白髪少女が笑みを浮かべる。

 油のような血の糸を引いた唇が開き、白い歯が見えた。

 怖気が走るほど、その笑みは綺麗で……凄惨だった。

 

「つくよみぃい!!」

 

 泣き叫ぶ少女が手を振り抜く。

 ただの手刀なのに衝撃波が奔って、それは白髪少女に直撃した。

 いや、違う。

 直撃したのはただの上着だけで、本体は――

 

「ヘルマンさ~ん、やられてもうたですー」

 

 空に浮かんだヘルマンに、暢気に話しかけていた。

 

「覚悟を決めた人間は素晴らしい。敬意を持つよ、まさか君が傷つけられるとはね」

 

 ヘルマンがこちらを見る。

 髭を揺らしながら、嬉しげに口元を開いていた。

 その声はどこか賞賛の光を帯びていたが、それよりも俺は視線をずらし、その下を見た。

 

「ウチも驚きびっくりでしたわぁ」

 

 ステージ石段、その最上段に立っていた。

 まるで蛹が殻から抜け出るような見事さで白い少女が裸の上半身を剥き出しにしていた。

 惜しげもなく曝け出した乳房が赤く汚れて、そそり立った小さな隆起が角のように見える。雨水と血が流れる白い腹部の脇には一筋の穴、そして逆袈裟に走った傷痕が深々と肩まで切り裂いていた。

 内臓が出てこないのが不思議なぐらい、明らかな重傷。

 なのに、そいつは笑いながら楽しげに腰のスカートから引き抜いた何か書かれた札をペタリと傷口に押し付ける。

 

「痛いですわー」

 

 ジワリと滲む血に、ブルブルと少女がどこか達したみたいに震えて、雨を啜りながら息を吐き出す。

 熱に浮かされたような息遣い。

 得体の知れない艶やかさがあって、一瞬見惚れかけて、そんな自分に吐き気が込み上げた。

 さらに、白髪少女が虚空に指を走らせる。

 途端に火種も無しに札に火がついて、メラメラと雨の中で在りながら燃える青焔に傷を焼いていた。

 ボタボタと破瓜の血みたいに流れた血が下半身を走って、足元に血を溜めているというのに平然とした表情。

 狂ってる、そう確信する。

 

「月詠ぃ!」

 

「怒るのはいいですが、さっさと止血せんとその人死んでしまいますよぉ?」

 

「っ!」

 

「短崎!!」

 

 その言葉に見知らぬデコの広い少女と俺は慌てて短崎に駆けつけた。

 近寄った短崎は前のめりに地面に倒れて、その左腕から先は――肉と骨と血を剥き出しにしていた。

 白く生々しい骨、赤黒く動く筋肉、白い糸にも似た何かは神経か、恐怖に痺れたと思った思考でも吐き気を催すグロテスクさ。

 どろどろと粘ついた血が噴き出す目を覆いたくなるような光景。

 だけど、放置出来ない。見過ごせば失血死は確実。

 俺はベルトを引き抜き、必死に圧迫止血をするデコ少女の邪魔にならないように短崎の脇に回って紐に変えた上着を脇に回して縛りつける。

 そして、きつくきつく縛り上げて。

 

「これで押さえつけてろ!」

 

「はいっ!」

 

 次の処置を考えながら俺は叫んで。

 

「ナガト! 手伝うネ!」

 

 声がして、一瞬振り向く。

 そこには泣きそうな顔の古菲。いつもは自信満々の明るい顔だった。

 だけど、降り注ぐ雨に眼下から雨水が流れて、泣いているよう。暗い顔、さすがに能天気なこいつでも笑ってられないか。

 

「お前がやることはねえよ」

 

 俺は目を背けて、上着を脱ぐ。

 

「でも」

 

「黙ってろ! お前の出番はあとだ!」

 

 そして、その上着を古菲に投げ渡した。

 

「エ?」

 

「羽織れ。裸で戦えねえだろ」

 

 忘れているようだが、こいつはマッパ。小柄な体系も、浅く焼けた色濃い肌も、まだまだ未成熟の胸尻も丸出しで、その筋の人間なら欲情してしまいそうな格好。

 このままだと戦力にならない。ていうか、ただの邪魔だった。

 慌てて俺の上着を羽織る古菲を見ながら、さらにワイシャツを脱ぐ。簡易包帯として押し付ける。

 肌着だけの上半身に雨粒が当たるけれど、寒くない。ただ手元の生暖かい感触と血生臭い香りが不快だった。

 

「これも使えないか!?」

 

「俺のも使え!」

 

 山下が出したハンカチ、ワイシャツ、濡れまくっていたけれど押し付ける。血を少しでも止めるための材料にする。

 だけど、血はドンドン噴き出す。覆った衣服類から染み出すように零れ出る。

 短崎の体がガクガクと痙攣し、意識は既になくてドンドン軽くなる。取り返した命がまた零れそうな予感。

 させない。

 死なせたくない!

 

「くそ!! 血が、とまらねえ!」

 

「このちゃん!!」

 

「うん!!」

 

 押さえつける短崎の体が、その左肩に髪の長いお嬢様と呼ばれていた少女が手を添えて、必死に何かを唱えている。

 暖かな光が溢れて、少しだけ出血が収まるけれど、元々の傷がでかすぎる。

 病院に運ばないといけない。一刻も早く。

 だけど、それには目の前のヘルマンと白髪少女が邪魔だった。

 山下が、大豪院が、こちらに目を向ける。

 下手に立ち向かえば殺される。だけど、いかないと短崎が死ぬ。

 ガクガクと震えるネギと小太郎を見て、俺は目を伏せて。

 思う。

 ――命を賭けるってのはこういう時かな、師匠。

 痛みを忘れて、俺は押さえつけながら、息を吐き出し、一か八かの突破口を開くと決めた瞬間だった。

 

「そこを退くでござる」

 

「あぶねえぜ」

 

「え?」

 

 不意に聞こえた足音と光景に、俺たちは愕然とした。

 一つはパシャンと水飛沫を上げながら傍に着地した背丈の高い二つの人影に。

 二つ目はヘルマンの頭上に飛び上がる黒い黒衣の少女の跳躍に。

 

「あらら?」

 

「動くな」

 

 三つ目は周りを囲むように飛来した金属片と同時に発せいした光に縛られて動きを止める白髪少女に、無骨な鉄塊を突きつけた純白のコートに、白いターバンを巻きつけた人影だった。

 

「長瀬!?」

 

 傍に降り立った人影の一人を見て、デコ少女が叫んだ。

 知り合い、か?

 そう思った瞬間、もう片方の人影の顔を見て俺は思わず叫んだ。

 

「おまえは、三森!?」

 

「よぉ」

 

 都市迷彩服色のジャケットを羽織り、息もぜいぜいに微笑む友人。

 全身に巻きつけた包帯、ボタボタと頬に刻まれた切り傷を紅く染めながら、確かに三森 雄星がそこにいた。

 なんで?

 どうして?

 そう思う気持ちはまもなく、長瀬と呼ばれた人物――よく見れば細めの目つきをした女性。

 多分同年代か、女子大生ぐらいの年頃。まるで忍者のような格好、またあいつらの仲間か?

 それが俺の抱えた短崎の体に懐から取り出した白髪少女が使っていたような符を貼り付けて。

 

「止血をするでござる!」

 

 なにやら懐から取り出した細い針をおもむろに数箇所に突き刺した。

 止める暇もなく、俺は慌てたけれど。

 

「経絡を突いただけでござる。血管を縮小して、出血を抑える作用がある」

 

「腕を斬られた、か。くそったれ!」

 

 そして、三森は毒づきながら足早に短崎の左腕を拾っていた。

 透明なビニール袋に千切れた腕を入れて、どこか寒気がする光を放っていた。

 こいつも魔法使い、だったのか?

 

「病院に運ぼう。まだ間に合う、麻帆良大学病院なら救急の受け入れも可能だったはずだ」

 

「ちょっとまって! まだアイツらが!」

 

 その時だった。

 ネギたちを抱きしめながら、こっちに目を向ける神楽坂の声があった。

 他の少女たちもこっちを見ている。

 

「安心しな。あいつら相手なら――相応しい奴らが来てる」

 

 三森の言葉と共に俺は目を向ける。

 そこには空を舞うヘルマンとそれに追随するいつか出会った――吸血鬼がいた。

 空を駆け巡るように疾走するヘルマン。それに対し空中を歩くように、或いは跳躍するようにエヴァンジェリンが戦っていた。

 土砂降りの雨を気にすることなく、黄金の髪を靡かして、右手に持った細い棒状の何かでヘルマンの打撃をいなし、外して、回転する。

 履いた真っ赤なブーツ。それが踵をつける事無く、空中で何かを踏み締め、或いは滑らせ、支点にする。

 回る、回る、しなやかに。

 何一つ特別なことをしていないのに、その動きに無駄は無く、まるで一本の糸を渡るような危うさなのに哂っていた。

 それはどこか理想的な動作で、舞い踊るように可憐で、そこに篭められた凄惨さに息を飲む。

 いつかのような光も放たず、空も自由に舞わず、棒状の何か――バッと広げたそれから分かる鉄扇で戦う吸血鬼。

 どうしょうもなく分かる。

 それは多分、きっと、いつか俺たちでも出来る……極みの一つなのだと。

 

「なるほど、なるほど、なるほど! 実に見事だ、闇の福音!」

 

 ヘルマンが笑っていた。

 弾き上げた手を捌かれ、その勢いを利用してクルクルと風車のように回るエヴァンジェリンの足蹴り。

 それが彼の顔を打つよりも早く、仰け反るように躱すへルマン。

 ダダンッと空中を"踏み締めて"、彼もまた回る。

 ありえない速度で、ギロチンのような速度で肩から放つ刺突の如き手刀。

 それが身動きの取れないエヴァンジェリンの腹部を穿つ。

 

「舐めるな」

 

 が、その手刀の先にあったのは鉄扇の骨。

 紙切れのように手刀を受けた鉄扇が後ろに弾かれ、エヴァンジェリンの肢体もまた曲がる。

 するするとまるで蛇のようにヘルマンの腕に絡み付いて、その腹に手を伸ばし。

 

「弾けろ」

 

 音も無く仰け反った。

 分かる、理解する、足場一つないのにエヴァンジェリンが見せた"分勁"。

 それは相手の体を支点に、受けた鉄扇を持つ手を足場に変えて、繰り出した一撃。

 人体駆動技術の芸術品。

 ヘルマンが落下する。

 それに引きずられるように落ちていたエヴァンジェリンが虚空に指をかけて、ついっとゴムでも引っ掛けたように跳ね上がる。

 ヒラヒラとスカートが翻り、紅いブーツを履いた足が虚空で捻られて、着地する。

 そして、オレたちが見ている中でヘルマンが背中から地面に叩きつけられて、水飛沫を上げながら轟音を響かせた。

 

「チッ、しぶといな」

 

 そして、眼下の誰をも見下ろした時に告げたのがその言葉だった。

 降り注ぐ雨を嫌うように鉄扇を水平に動かし、顔の前で開いた。

 花が咲き誇るような迷いのない動き。

 

「いやいや、この程度で滅びるのならば私も苦労はしない」

 

 ヘルマンが笑っていた。

 そして、跳ね上がるように起き上がり、次の瞬間コートにまとわりついていた水気が吹き飛んだ。

 水蒸気爆発にも似た爆発的圧力。

 

「ぐっ!」

 

「っう!」

 

 自然の風じゃない。

 何かが違った。

 ビリビリと肌が震えて、骨身にまで染み込むような冷気。

 愉しげに、愉しげに、手を広げて、ヘルマンが頭上のエヴァンジェリンを見上げた。

 

「封印状態でもこれか……私も少しだけ無理がしたくなるほどに。嗚呼、喜ばしい」

 

 奴が背を向けている。

 だというのに、それが震えたくなるほどに怖かった。

 まだ"何かがある気がした。"

 

「願わくば、互いに全力で殺し合いたかったものだ。その一点において私は召喚契約以上の殺意をサウザントマスターに向けよう」

 

 黒いコートが水に濡れる。

 けれど、次の瞬間には弾かれる。

 

「歓喜なれ、歓喜なれ。嗚呼、私は満ち足りようとしているが、けれど狂おしい」

 

 地面が割れた。

 苛立つように踏み降ろした踵、ヘルマンのたった一動作で石畳が割れる。

 

「……恥ずかしい限りだがね。この学園全てを皆殺しにしてでも、私は今君を殺したくなっている」

 

「ほざけ、化け物。お前の衝動はネズミを甚振る猫だ。私も超越者、貴様も超越者、いかに焦がれようとも猫は鼠になれん」

 

 そう告げるエヴァンジェリンの目にはどこか軽蔑にも似た何かがあった。

 苛立ち。俺らには分からない言葉の応酬。

 

「言葉は終いだ。私はお前を始末して、ベットにもぐりこみたい」

 

 欠伸を隠すように鉄扇を口元に運ぶエヴァンジェリン。

 風に揺れるように佇む彼女は上下にたわむ見えない足元に釣られて、上下に揺れる。

 

「手厳しいな、ダンスには付き合ってくれないのかな?」

 

「エスコートなら外見だけはマシな坊やにでも頼んだほうがマシだ。そして、こんなつまらない夜のダンスなど茶々丸の入れてくれたミルクティー一杯分にも劣る」

 

 パチンと鉄扇が折り畳まれ、ヘルマンが帽子のつばから手を離した。

 そして、言葉が終わる。

 二人が同時に腰を落とし、ぎらついた笑みと共に飛び上がろうとした瞬間だった。

 

「ヘルマンさ~ん」

 

 暢気な声が上がっていた。

 鉄塊――巨大な大槌を突きつけられているというのに、何一つ変わらない顔色。

 

「なにかね?」

 

「そろそろ引き上げ時間ですよー」

 

「なるほど、残念だ」

 

 ヘルマンがすっと手を下げる。

 同時にその傍に水が巻き上がった。

 

「ヘルマンさんー」

 

「……すらむぃが」

 

「あいつら!?」

 

 少女もどき二人の姿に、俺は視線を上げると。

 そこにはこちらを見下ろす中村と豪徳寺の姿。ボロボロだったけど、無事のようで。

 

「ご苦労だったね、二人共」

 

 安堵の息を吐き出す暇もなく戻した視線に、ヘルマンが少女もどきの頭を撫でる姿があった。

 

「うぅ、すらむぃがー」

 

「……しんでしまった」

 

 グズグズと悲しげに無く二人。

 

「では、終わりだ」

 

 スッと奔ったヘルマンの手刀。

 そして、吹き飛ぶ二人の少女モドキの首。

 

『え?』

 

 それが彼女たちの最後の言葉になり、クルクルと落下した首が地面に落ちた。

 と同時に光輝く何かになって、染み渡る。

 命を代償に、何かが起こるかのような光景。

 

「逃げるか!?」

 

 エヴァンジェリンが慌てて飛び降りる。

 そして、落下してきた彼女の一撃を、ヘルマンは受け止めながら。

 

「私にも都合があってね」

 

「っ!」

 

 引き寄せながら放った拳打、それにエヴァンジェリンがくの字になって吹き飛んだ。

 そして、それを見送ると同時に水に溶け込んでいく。

 

「まて!」

 

「勝ち逃げする気か、オッサン!!」

 

 その時声を上げたのはネギと小太郎だった。

 ヘルマンは一瞬そちらに目を向けて。

 

「――生き延びたことを祝えぬものに明日はないぞ、少年」

 

 静かに告げた。

 お前らには悔しがる資格もないのだというように。

 

「強くなりたまえ、願いを叶えられるほどに。」

 

 ドプンッと首元まで沈み込んで。

 

 

「期待している」

 

 

 消えた。

 限界もなくただ消え去って。

 

「ではでは、ウチもそろそろお開きですわー」

 

「っ!?」

 

 呆然とする暇もなく声がした。

 視線を向ければ、いつの間にか拘束状態から抜け出て、白いコートの人から逃げるように木の上に佇む白髪少女。

 

「月詠ぃ!」

 

「今日は愉しかったですわー、刹那センパーイ」

 

 バイバイと手を振って、白髪少女は上空に刀を向けた。

 そして、一閃。

 無造作に何かを切り裂いたように見えた。

 

「そこのお人に言っておいてくださいね」

 

 そして、嗤う。

 白く抜けるような肌と赤黒く染まった狂人は。

 

「ウチを傷モノにした責任は取ってもらいますのでー」

 

 虚空に溶けるように消えた。

 風と共に飛び去るかのように。

 

 

「……なんなんだよ、一体」

 

 俺は吐き捨てた。

 何もかもがあっという間に終わって。

 全てが消えた。

 

 いつの間にか雨が終わっていた。

 

 ポツリと弱い雨粒が水面を揺らして、ただそれだけだった。

 

 

 

 

 




これにて涙雨の悪魔編終了です
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