異世界にて〜魔法と科学の小競り合い〜   作:tubukko

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以前は「アクションこそ一番!」って思ってましたが、
書いているとほのぼのしているのもありだなと思い始めました。
今はうまく書けるか心配ですが書いてみたいものです。


戦争の後の休息

今リョウは医務室にいる。

いつもは静かな医務室も今はとても忙しそうに稼働している。

リョウの傷は深かったので今腹を包帯で巻かれ、ベッドに横になってる状態だ。

処置も終わったので重症とはいえ正直暇だった。

痛みどめも飲んでしまえばほとんど痛みは感じなかった。

 

「…暇だ」

 

周りがあわただしい中呟いた。

 

「それなら手伝えばいいのに」

 

返事が聞こえた。

少し顔が赤いマーシャがいた。

 

「マーシャ!動き回って大丈夫なのか?」

「私のは致命傷じゃなかったの。だからちょっと処置をすればあとは安静にしてなさいになるのよ」

「よかった…」

「なによ?そんなに心配してくれてたの?」

「あたりまえだろ」

「恥ずかしくなるくらい即答ね。私はあなたのほうが…心配、だったのに」

「マーシャ?」

 

マーシャが顔を俯きながら震えていた。

 

「あんたが、私を助けてくれた時、本当にうれしかった。でも、それ以上に、生きていてくれたことが、嬉し、かった」

 

マーシャが泣いていた。

いつも強気なマーシャしか見てこなかったからリョウは顔には出さないが驚いていた。

 

「死んじゃうかと、思ったんだから」

「…心配かけてごめん」

「ホントにそうよ。これからは…無茶しないで。あなたが負けず嫌いで正義感が強いっていうことは分かってる。それがあんたのいいところだということも。でも、私は、あなたに死んでほしくない」

「…」

「約束して。もうあんなことはしないで。…お願い」

「…分かった」

「絶対よ?」

「約束だ」

 

そういうとマーシャはまた泣き出した。

安心して出てきた涙だったんろうけど、男と女1人ずつしかいないスペースで泣き出されると入ってきた人から見れば「リョウがマーシャを泣かせた」ということになりかねない。

リョウは上半身を起こし、マーシャを抱き寄せた。

マーシャは一瞬ドキッとして止まるが再び泣き始めた。

 

「ずいぶんな背伸びじゃない?まだあんた子供でしょ」

「17歳なんだぞ?子供じゃないよ」

「大人でもないわ」

「そうかもな」

 

話しているとカシャッ、という音がした。

そこを見るとリリアがカメラを構えていた。

 

「生き死にをかけた戦いの後の愛し合う者…、今回の記事の一面はこれね」

「おい、やめろ。マジで」

「記者は真実を追い求めるもんじゃないの?」

「少しのねつ造なら問題なし♪」

 

リリアに冷たい視線がおくられる。

 

「そ…、そんなに嫌?ならいいわよ。代わりに謎の男とリョウの戦闘を一面に飾るから」

「文字だけだと読む気失せるな」

「写真はたくさんあるわよ」

 

リリアがリョウとビムが戦っている時の写真をたくさん見せてきた。

 

「どうやって撮った?」

「そこにいたのよ」

「あの惨状に?」

「さすがにあの血だらけの会場を載せる気はないわ。報道規制もされるだろうし」

「報道規制って…」

「じゃ、そういうことだから。私は記事を書いてくるわ」

「頼むからねつ造はやめてくれよ?」

「楽しみにしててね♪」

 

そう言うと出ていった。

 

「私もそろそろ戻るわ」

「安静に、だもんな」

「実は抜け出してここまで来たの。見つかると面倒だしね」

 

マーシャも出ていった。

リョウは急に眠くなり、眠りに落ちた。

 

 

 

次にリョウが起きると夜の9時過ぎだった。

夜なのに眠くならずどうしようか悩んでいると

 

「リョウ君は…起きてるみたいだね」

「マクアドル先生…」

「君に伝えたいことがあってきたんだ。いい話と悪い話、どっちから聞きたい?」

「とりあえず吉報から」

「君のドールが進化した。実に8年ぶりに1年生のうちに二段階目の人が現れたことになる」

「そんなすごいんですか?」

「進化できた一年生は逸材と思われるからね。大したもんだよ」

「悪いほうは?」

「捕まえた敵が一人残らず死んだ」

 

思いもしなかった答えにリョウの思考が止まる。

 

「…死んだ?」

 

確認の意味も込めて復唱する。

 

「そう、死んだんだ。生きた状態で捕縛できたのは実に27人。あのビムとかいう男も含めてね」

「それだけの人数が、どうして…」

「原因は不明だが捕縛して連れていこうとしたとき、突然頭が破裂した」

 

死因が頭が爆発なんて言われても納得いかない。

リョウにとって人の死なんて想像できるものではない。

それなのに、頭が爆発なんて理解するのは不可能だ。

 

「それって…」

「最初は私もビムとかいう男が何らかの目的があってやったことだとおもったんだけどね、一番最初に爆発したのが彼だったんだ」

「それが?」

「魔法っていうのは罠のように仕掛けることも出来て便利なんだけどね、仕掛けた当人が死ぬとその人が掛けた魔法は例外なく消滅するんだ」

「2人でかけたりは?」

「鋭いね。確かにそう言う魔法もある。だけど今回使われた魔法は頭を吹っ飛ばす程度の小規模魔法だ。その程度の魔法ではむしろ2人以上でやるほうが難しい」

 

頭を吹っ飛ばすって結構大きなものに感じられるんだが…。

 

「それじゃあ他の誰かが?」

「おそらくね…。まぁ30人弱の弱い奴らだったと言えどおそらく集めるのは大変だったはずだ。おそらく…」

「ミューズデル帝国」

「うん。ミリーナの言っていたことと一致してしまった。嫌な話だけどね」

「ミリーナは何か言ってましたか?」

「音信不通だ。せめてねぎらいくらいにはきてほしいんだけどねぇ…」

 

リョウは黙り考え込んだ。

折角あった手がかりが奪われ結局何も分からないままだ。

捕縛した敵が全員爆発した理由だって魔法なんて全く習ってないから分かるわけもない。

ここに来てから分からいことが増えるばかりだとため息をつく。

 

「じゃ、私は戻るよ」

「もうですか?」

「いろいろ処理しなくちゃいけないことがあるしね」

「はぁ」

 

すると1つの疑問がリョウの頭に浮かんだ。

 

「あの、あいつらどうやって入ってきたんですか?」

「…あまり口外するなって言われてるんだけどねぇ。外との転移装置が起動していたんだ」

「一般人は招かないのに?」

「学校に内通者がいるのではと思われてるよ」

「犯人にめぼしは?」

「残念ながら不明だ。じゃ、そういうことだから」

 

マクアドルが出ていくと入れ違いにクロが入ってきた。

今は9時過ぎなのだが…。

 

「リョウ?お見舞いに来たよ?」

「なんで疑問形なんだ?」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

リョウのスペース(カーテンで区切られてる感じをイメージしてください)を出た後、マクアドルは屋上に来ていた。

 

「嘘の情報なんて、ばれたらリョウが怒るの」

「…いたのかい?ならできる限り情報を教えてほしいんだけどねぇ」

 

マクアドルの知らぬ間にミリーナが後ろに立っていた。

 

「私が知ってることなんてほとんどないの。あいつらが襲撃の準備をしていたことは知っていたけれど」

「なら教えてくれればいいのに」

「私の存在はごく一部を除いて秘密なの」

 

ミリーナがマクアドルの隣に歩いてきた。

夜風が吹き、ミリーナの長い髪がたなびく。

 

「私が一人の時間なんていくらでもあったじゃないか」

「でもあなたは肯定していたの」

「…」

「ビムと戦ってるとき、感謝していたの」

「そこも見ていたのか…」

「学校の中なら大体は把握できるの」

「空気中にナノデバイスでも漂っているのかい?」

「私は自分の目で見たの。そんなものはないの」

 

煙草を取り出し、マクアドルは吸い始めた。

 

「子供がいるのによくないの」

「私は君を子供と思ってはいない」

「こんな外見してるのに?」

「話を戻そう。今回の戦争は君の目から見てどんな規模だった?」

 

ミリーナが少し言いにくそうにする。

マクアドルはそれを見ただけでなんとなく、答えが分かった。

 

「…小規模なの」

「やはりか…。大規模ってどれくらいのことを言うんだい?」

「大規模だったのはまだ1つなの。グール森林が燃えて1つ残らず木が焼け死んだってやつだけなの」

「グール森林ってどれくらい広かったんだい?」

「千畳くらいなの」

「なんでその規模を畳で表すんだい?」

「私にはそう言う表し方しか内蔵されてないの。ちなみに死人は30、身元不明な焼死体が64、行方不明者は597なの」

「森林火災なのに行方不明者がそんなにいるのかい?」

「憶測でものを話すのは好きじゃないから私は何も言わないの」

「それを聞いたらまだましだっ―――」

「そろそろ時間なの」

「…急だねぇ」

「そっちの方がミステリアス感があっていいの」

「君はどんなキャラになりたいんだ…」

「その話もまた今度なの。それじゃ」

 

そう言うとミリーナは消えてしまった。

マクアドルは一人屋上で煙草を捨てフェンスによりかかった。

 

「彼になら、止められるのか?」

 

誰もいない屋上でただ1人呟いた。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「リョウさん!また残してるじゃないですか!ちゃんと食べないと治りませんよ?」

「そんなことないよ。もう傷は癒えてるし。もう退院したいくらいなんだけど」

「婦長さんがダメと言ったんだから駄目ですよ」

 

戦争から2日後の医務室である

 

「っていうかなんでフィリアは看護師やってんの?」

「人手不足だからです。傷は寝て起きたら癒えてました」

「あのパーマは見てないのか?」

「?だれですか、それ」

 

どうやら彼のことは見ていないようだ。

 

「魔法側の代表選手の1人だったんだけどね、気絶したフィリアだったりレックスを治療してくれたんだ」

「名前はなんていうんですか?」

「…忘れた」

「恩知らずですね」

「俺は別に助けられてない」

「覚えてはおきます。でもパーマなんてたくさんいるので会ったら私にも教えてください」

「そうするよ。会えるか分からないけど」

「私は会えると思うわよ」

 

マーシャが入ってきていた。

 

「どうしてそう思う?」

「1ヶ月後に今度は魔法と科学の交流会があるからよ」

「そういえばそんなものもありましたね」

「交流会?」

「殴り合いとかはないけどね。社交パーティみたいなもんよ」

「ダンスしたり、食事したりするっていうこと?」

「そういうことね」

「なんでそんな面倒なことを…」

 

日本にだって一応あるところではある。

だが、それだって大学の国際交流を除けばあまり聞かない。

 

「5割の人はそう言うわね。まぁ、理由はせっかく同じ学校の生徒なのに寮や校舎が違うから会わないっておかしくない?って思ったからだそうよ」

「確かに、私はちょっと苦手ですね」

「でも強制参加よ?」

「ま、5割も同じ考えの人がいればそんなに心寂しい思いしないだろ」

「でもその考えの人が当日には2割にまで減るそうよ」

「な、…なんで」

 

フィリアが体を震わせ、手を口に当てている。

昔の少女漫画の驚いた顔のような感じだ。

 

「そんな驚嘆した顔するんじゃないわよ、フィリア…。理由は簡単よ。楽しいからだそうよ」

「俺はそうならない」

「そういってる時点であなたは間違いなく心変わりするわね」

「リョウさん、裏切らないで下さいよ?」

「最後まで生き残るぞ、フィリア!」

「なに変な同盟組んでるのよ…」

 

フィリアとリョウが拳をぶつけ合う。

マーシャの声は2人に届いておらずよくわからない同盟が結成されていた。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「…ビムは死んだか?」

「はい。部下も一緒に」

 

ミューズデルのどこかで2人は話していた。

 

「分かってはいたが、やはり無益な殺生は私には合わないな」

「マスターの手を汚してはいません。マスターが悩むようなことではないのです」

「しかし、命令を出したのは私だ」

「それはそうですが…」

 

男が言葉に詰まっていると、扉が開いて女が入ってきた。

 

「何か用か?」

「あの、作戦α終了しました」

「早いな。作戦βをしているグリージョに合流して手伝ってやれ」

「了解しました」

 

女が出ていく。

 

「…とりあえずビムのことは忘れよう。過去のことで何を言っても変わることはない」

「はい。では私も」

「業務に戻ってくれ」

 

一礼をすると男は出ていった。

1人になった男は椅子に座ると引き出しから写真を取り出す。

リョウが写っていた。

 

「少年、10年に1度の逸材、魔法の才能も一応有」

 

誰かに話すわけでもなく、ただ呟く。

 

「あの方が言っていた人に人相が似ているな。もしこいつがそうなら…」

 

男は不敵な笑みを浮かべた。




一区切りついたので次どうしようか迷ってます。
できるか分からないコメディ的なものをするべきか話を進めるか…。

それぞれの日常も書いてみたいんですよね。
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