もう一つ書いたからと言ってこれを打ち切るわけじゃないですけど、「終わるまで書きません」とか言っていたそばから書くのもあれかと思いまして。
迷ってます。
「…暇ね」
「なら勉強したらどうです?」
「あんた暇なら勉強するの?」
「私はしません」
「なら勧めないでよ」
朝8時、水曜日、マーシャとフィリアは部屋でくつろいでいた。
フィリアの部屋替えは少し前に終了した。
家に帰っていた生徒がようやく帰ってきて仲直りしたそうだ。
そして今は、平日にもかかわらず部屋でゆっくりしている。
理由は今日が休みだからだ。
親睦会を2週間前に控え、月曜日からその日まで休みになったのだ。
休みになった理由は、それぞれでダンスの打ち合わせや練習、或は会場の準備など様々だ。
とはいっても練習している人は少なく、ぼーっとしている人がほとんどだ。
フィリアも練習は明日からで今日までは暇である。
「なにかおもしろいことないかしら」
「一日中ぼーっとするのも悪くないですよ」
「あんたは何してるのよ?」
「ダンスできる衣装探しです」
「あんたかなりやる気ね…」
「最近おしゃれに目覚めましてね」
そう言いながらオシャレ系の雑誌を手に取り見せた。
表紙には「素人にも分かる!オシャレの極意」と書いてあった。
「…もっと週刊とか月刊とかで出してるやつ買うべきじゃない?」
「そんなのあるんですか?」
「そっちの方が知られてるわよ。そんな本の方が逆に珍しいわね」
「いいんですよ。今は。それにダンスの衣装はインターネットで見てますから大丈夫です」
そう言いながら候補に挙げたらしき衣装を見せてくるが…
「…こんなの買えるの?」
「何がです?」
「家でこんなの買おうとしたら、パパの雷が間違いなく落ちるわよ」
「うちは、せっかくの晴れ舞台なんだから奮発するわって、言ってくれました」
「あんたんちもしかしてお金持ち?」
「そうでもないですよ。母が寛大なだけです」
話していると2人に同時に電通がきた。
開いてみるとリリアからの電通だった。
〈今日の14時から私の部屋集合!男子禁制、秘密の女子会やりま~す♪〉
「…来る人たちは誰なんでしょう?」
「私たちを呼ぶんだからそんな知らない人は呼ばないと思うけど」
「でもリリアさんの人脈、なかなかですよ」
「それも含めてよ。ま、暇だったしちょうどいいわね」
「私は時間が惜しいんですけど…」
「さっ、行くわよ」
「早すぎません!?まだ8時半ですよ!?」
「善は急げよ!」
「そ、そんなぁ~…」
フィリアは無理くりマーシャに連れていかれ行った。
「お菓子準備よし!飲み物よし!来ている人の人数よし!」
「よくないわよ!何この来ている人の人数!?」
「だってあなたたちしか誘ってないもの」
「3人じゃ女子会って難しいんじゃ…」
「じゃ、男子呼ぶ?」
「もはや女子会じゃないじゃない!文面に書いてあった男子禁制はどこにいったの!?」
フィリアたちは今リリアの部屋に居る。
9時ごろには到着したのだがリリアが「準備終わるまで待ってて」なんて言うから5時間リリアの部屋でくつろいでいたのだが今になってようやく他に誰も来ないということに気づいたのだ。
「分かったわ。本当のことを言うわ。あなたたちを今日呼んだのはある作戦に協力してほしいからよ」
「ある作戦?」
リリアの目が真剣になり、マーシャとフィリアも自然と唾をのんだ。
「その作戦は…?」
「…ある写真を新聞部から奪い取ってくるって言う作戦よ」
「なんであんたはその写真を奪い取らなきゃいけないの?」
「それは…私が見れないからよ」
「「?」」
「その写真はある先輩がとったものなんだけどね、…なんかすごいらしいのよ」
「どういう風に?」
「それを確かめたくて奪いに行くのよ!」
「内容も分からないものに対して危険な賭けに出るのはちょっと…」
「ねぇ…」
するとリリアは何枚かの写真を持ってきた。
「なによそれ。ここで出されると嫌な予感しかしないんだけど」
無言で一枚の写真を置く。
そこには泣きながらリョウに抱き付くマーシャが写っていた。
フィリアが顔を少し赤らめて口に手を当てる。
「うわぁ…。マーシャさんとリョウさんって」
「違うわよ、フィリア!これは誤解よ!」
「断ればこれが出回るわ」
「あ、あなた、それでも友達なの!?」
「今は私も瀬戸際に立たされてるの!悪いけど四の五の言ってる場合じゃないわ!」
「でもこれ見て納得しました」
まったく意味が分からないことをいうフィリアに
「何が分かったのよ?」
「髪の毛の色を変えた理由です。はじめは似合ってはいましたけどなんでかなぁ、って思ってたんです。こういう背景があったんですね」
「べ、別にあいつのいうこと聞いてこうなったわけじゃないのよ!私がいいと思ったから染めたままにしてるのよ?」
「はいはい、そうですね」
「軽く流してるんじゃないわよ!」
2人で少し盛り上がっているため、リリアが少し震えていることに2人は気づかなかった。
今度はマーシャやられっぱなしではいけないと少しジャブを繰り出す。
「あんただってケイトとかいう奴といい感じになってるらしいじゃない!」
「あの人は私を助けてくれただけでそんなんじゃありません!」
「でも服だって一緒に選んだんでしょ?まさに恋人じゃない!」
「こ…!恋人だなんて、あの人が困るはずです!絶対にあの人の前でそんないじり方しないでくださいよ!?」
「おまけにダンスだって一緒に踊るじゃない。絶対できてるって思われるわよ」
「そんなことないです!でも迷惑かけないようにしないと…。って、話はそれましたけど私は関係ないですから失礼しますよ?」
するとリリアはさらに一枚写真を置く。
そこにはダサい時代のフィリアが写っていた。
以前のフィリアならどうでもいい話だがオシャレに目覚めつつある彼女にとっては黒歴史だ。
「いやぁぁぁぁぁぁ!」
「断ればこれが出回るわ」
「これくらい、別にいいじゃない」
「嫌です!これ、かなりダサいんです!」
フィリアは周りが思っている以上にダサいと思っているようだ。
リリアは追い打ちをかけるように360度すべてから撮った写真を置いた。
「…」
「フィリアが完全に停止したわ…」
「答えは出た様ね」
そう言うとリリアは自信満々な顔で立ち上がり
「それじゃ、今から『秘密?そんなもの新聞部の前では無力よ!』作戦を開始するわ!」
「作戦名、長!っていうか3人中2人が新聞部じゃないんだけど…」
「ここが、新聞部の拠点よ!」
「広いですね…」
今、三人は新聞部の活動場所である部屋に来ている。
新聞部の活動はその名の通り新聞を発行して校内の生徒や先生に配る。
また、ここの新聞部は校内で広告としての役割も果たしており、宣伝をしたい!と言う人はここに広告の依頼をするのだ。
この時代、紙媒体なんて古いという考えが強く根付いているが「紙にだっていいところはある!」と言う人が主に入部している。
機材は現代のものを使っているためカラフルな新聞がこの学校では主流になっている。
「簡単に入っちゃったけどいいの?」
「ほかの部員は今はたぶんダンスの練習中か、部屋で寝ているわ。今日から3日間、新聞部は休みなの」
「それでも来る人っているんじゃ」
「可能性はあるけど、まぁ何とかなるわ」
部屋の真ん中を堂々と進んでいく。
ある部屋の前に来るとリリアは腕輪をかざしロックを解除する。
「ここは?」
「部長の部屋よ」
「それってまずいんじゃ…」
「だからお忍びできてるのよ」
「お忍びとは思えないほど堂々と歩いてきたけどね」
部屋に入るとリリアは立ち止まり2人のほうを見る。
部屋は床が畳でできているこの世界では珍しい構造をしていた。
本棚が並んでおり、資料や写真が無造作に置かれているように見える(それでも整理しているらしい)
「この中のどこかに!私の探し物があるわ!作戦開始よ!」
「何を探せばいいんですか?」
「この情報チップと同じタイプの奴よ」
手に2cmほどのメモリーカードを持ち出す。
「こんな小さいものを?」
「この部屋だって6畳くらいしかないわ」
「ずいぶん面倒な話ね…」
「嘆いてたってチップは出てこないわよ?さ、探した探した!」
リリアは張り切りながら、マーシャとフィリアはため息をつきながら探し始める。
「またあったわよ~…」
「それ貸して」
「これでもう8個目ですよ?まだ見つからないんですか?」
「一枚のチップに膨大な情報が入ってて全部確認するのに時間がかかるのよ」
「それだけあればどれかに入ってるんじゃない?」
「探す手を休めない!」
探し始めてから2時間マーシャとフィリアは部屋からチップを、リリアは内容の確認をしている。
新聞部の部長の部屋と言うだけあっていろいろなものが置いてあり探すのは骨が折れる。
マーシャに至っては「最近こんなことばかりね…」と幾度となく呟いている。
始めはいけないことをしている+宝探しで少しはテンションも上がっていたのだが終わりの見えないミッションは誰でもやりたくないものである。
「もう疲れました~。少し休憩させてください」
「そんなんじゃ親睦会のダンス踊りきれないわよ?」
「絶対こんなに精神的に体力削ったりしませんよ」
「見つからないならいっそのことドールですべて壊す?」
「それも考えたけどあとが面倒だからいや」
「なんでそんなに冷静にツッコんでるんですか!?マーシャさんも絶対だめですよ!?」
そんなマーシャが軽く壊れ始めているとき、フィリアは気づいたことがあった。
リリアの表情だ。
楽しみに探し物を探しているというよりは、見られてはまずいものを急いで探しているように見えるのだ。
口では冷静にふるまっているが確実に焦っている。
「(なんかあやしいですねぇ…)」
すると、部屋の外で足音がした。
「「「!!」」」
確実に近づいている。
「ちょ、誰か来るわよ!?隠れないと!」
「隠れるってどこへですか!?」
「2人とも落ち着きなさい。ここは部長室よ。部長の許可もなしにここに入ってくる部員はいないはずよ。それに入ってきたとしても…」
「私たちと似たような目的で来た確率が高い。ですか?」
「そう。利害が一致していればむしろ人手が増えるのと一緒よ。いいことじゃない」
「もし部長だったら?」
「…地獄よ」
足音は近づいてくる。
「ね、ねぇ…」
「大丈夫だから、静かにしなさい」
足音は部長の部屋の前まで来た。
「「「…」」」
足音はそこで止まった。
↓小声
「足音、部屋の前で止まりましたね?」
「やっぱりその部長なんじゃ」
「いやきっと私と同じく思ってる人が同じようにここまで来たのよ。で、今部屋に誰もいないか様子をうかがってるのよ」
「た、確かにつじつまはあいますね」
「でも、長くない?」
「きっと用心深いのよ。もしかしたら私たちの声が聞こえたもんだから悩んでるのかも」
「どうします?」
「仲間は多いほうがいいわ。迎えに行ってくるわ」
「だ、大丈夫!?」
「チップは持ったまんまだから、もしもの時は走って逃げるわよ」
「了解です」
「分かったわ」
マーシャとフィリアはそれぞれドアの真横につき、部屋に入る人からの死角に入る。
リリアはドアの前につき、2人の顔を見る。
2人ともうなずき準備万端だ。
リリアは深呼吸をして…、ドアを開けた。
「こんにち、ぎゃ!?」
ドアを開けてすぐ、リリアの頭がドールを装備した手によって持ち上げられる。
フィリアとマーシャはあまりの出来事に動くことができなかった。
1人の女の人がリリアを持ち上げながら入ってくる。
背が高く180cmほどで、青い髪のショートカットだ。
クールな顔つきをしていて、女子にもモテそうだ。
「おい…。誰が勝手に俺の部屋に入っていいって言ったんだ?」
「ぶ…、部長」
リリアが愛想笑いをしながらおびえていた。
「俺の部屋に勝手に入ったって意味、分かってるよな?」
声のトーンは怖いが、口が笑っているように見えた。
マーシャたちの方をむかずに2人に
「そこの2人!」
「「は、はい!」」
リリアの頭は依然持ちあげられたままである。
「今日の仮入部はここまでだ。これからはお楽しみの時間になるんだが…それも見ていくか?」
「「し、失礼しました!」」
「ちょ、あんたた―――」
「よし、なら帰れ。道は分かるな?」
「「は、はい!」」
そう言うと、マーシャたちは全速力でその部屋を後にする。
後ろから「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」という悲鳴がしたが後ろを振り向くことはなかった。
翌日、フィリアはダンスの練習に向かったがマーシャは暇だったのでリリアに会いに行った。
リリアはベットの上で真っ白になっており、ルームメイトの呼びかけにもまったく答えないという。
何があったか訊いても、リリアは一言も話さずそれが3日間続いた。
そういえばこれを書いていて思ったことがあります。
女子の日常しか書いていない…ということです。
次は男子をメインにできたらなと思ってます。(確実じゃありません)
感想、意見等も待ってます。