異世界にて〜魔法と科学の小競り合い〜   作:tubukko

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かけない…。
大きなアクションが書けないよ…。


怒涛の2日目

合宿2日目

リョウは今マグタランと森林を歩き回っている。

2日目はテント等の設置にあてられるはずだったのだが、1日で終わってしまい今日一日は暇なのだ。

リリアについてきてもらえば気をつかわなくて楽だが、マグタランの方がここについて知っていたし、なにより朝起きると隣にクレアがいたもんだから悲鳴を上げることもなく失神してしまった。

クレアは「俺が介抱しておく」とか言って部屋に残ったがリリアが可哀想でならない。

おそらく部屋に戻った瞬間、怒鳴られるのは間違いないだろう。

 

「で、リョウ。君はいったい何が見たいんだい?」

「あの、ドラゴ…じゃなくて龍を見てみたいんです」

 

リョウの隣を歩いているのはマグタラン・アッグシーバという男である。

体が大きく身長も高い。

しかし、デブとかそう言うわけではなく人気がある先輩のようだ。

実際リョウも話していてとても楽しかったし、人がいいのはすぐに分かった。

 

「龍かぁ…。なかなか難しいことを言うね」

「やっぱり大変ですか?」

「もともとこの森林は俺たちみたいに人がよく来るからね。龍も住みつきにくいんだ」

「人懐っこくはないのですか?」

「そういうのもいるけど数は少ないね」

「そうですか」

 

この合宿に5回参加している先輩が言っていることだ。

おそらく間違っていないのだろう。

使い魔にできるかはともかく会っては見たかった。

 

「まぁ、龍にだって個性はあるし。運がよければあっちから寄ってくるさ」

「個性…ですか?」

「人にも分かるくらい個性があるんだよ。仲良くなれば話すこともできるかもな」

「へぇ…」

「じゃ、他になんか見たいものはあるかい?」

 

リョウにとってドラゴンを見るのは第一希望だった。

第二希望は

 

「バルドスを見てみたいんですが…」

「お前はつくづく面倒な注文ばかりするな」

 

笑いながら答えた。

見るだけなのに何が面倒なのかと疑問に思った。

 

「バルドスを見たいとなると…、そんなに遠くはないな。いいだろ。見に行くか」

「ありがとうございます!」

 

マグタランに先導されリョウは歩き始めた。

 

 

 

 

 

~そのころのマーシャの班~

「マーシャ!そっちしっかり持ってよ!」

「持ってるわよ!でもこれ以上力を入れるとちぎれちゃいそうなの」

「なんでこんな脆いものを建てなきゃいけないのかしら」

「無駄口叩かないでね~。早く作る~。やることは他にもあるのよ~」

 

マーシャの班はテント作りの真っ最中だ。

ついでに風呂もまだ半分も出来ていない。

これが普通なのだ。

 

「そういえば今回は一日でテントも風呂場も完成させた班があるらしいよ」

「嘘!?そんなことできるの?」

「本当らしいわよ。違う班の人がこっちに来たんだって」

 

マーシャはその話を聞きながらすごいなぁと思う。

今回参加した生徒の中にたまたま野宿が大好きな奴でもいたのかしらと思いながら作業を進める。

5分後、3時間という膨大な時間をかけて一つのテントができた。

マーシャがぐったりしているとすぐに仕事がきた。

 

「マーシャさんでいいの?」

「3年生のイッシュ・ラプ先輩ですよね?」

「私のこと知ってるの?ありがとう」

「先輩の名前を知っているのは当然ですよ。で、仕事は何ですか?」

「えーっとね、バルドスを捕まえてきてほしいの」

「えっ?」

「私も行くんだけど、この班Bコースの人少なくてね。上級生は経験者としてテント作りの監督をしなきゃいけないのよ」

 

バルドス。

格好は猪に牙をつけたような感じだ。

見た目通りで突進して攻撃してくる。

一見、ドールを装備したり魔法を唱えたりすれば余裕に見えるが実はこいつ皮膚が固い。

大人のバルドスならドールを装備していても下手に当たれば気絶するほどの威力を持っている。

そして一番厄介なのが1対1なら負けることはないがこれは群れで行動する習性がある。

油断すれば一般人なら死にかねないのだ。

 

「2人だけで大丈夫でしょうか?」

「大丈夫よ。私これでもドール3段階目よ?バルドスが何体いたって敵じゃないわ」

「なら私必要ないんじゃ」

「私、…方向音痴なの」

「へ?」

「誰かについていかないと道迷っちゃうの!前もそうだったから。1時に出ていって帰ってきたのが夜の11時ってことはよくあることよ」

「な、なかなかですね…」

「だから、ね?」

 

マーシャは考えた。

ここに残るといえばおそらくテント作りにまた付き合わされるだろう。

でも道案内だけなら疲れることはほとんどない。

しかも「バルドスを探すのに苦労した」と言えば時間も稼げる。

 

「分かりました。先輩の頼みを断るわけにはいきませんし」

「ありがとう!じゃ、行きましょ」

 

2人はバルドスを探しに行った。

 

 

 

 

 

 

「リョウ、あれ見えるか?」

「ばっちりです。先輩」

 

リョウとマグタランは今茂みに隠れながらバルドスを見ている。

大人のバルドスらしく結構大きい。

 

「あれがバルドスですか?」

「ああ。もう一つ言うなら高級食材でもあるぞ」

「あれがですか?」

「焼肉に最適でな。いつもは群れで行動するはずなんだが」

「一匹ですね」

「近くにいるのかもな。群れに見つかると面倒だぞ?」

「そうですか…」

 

しばらくリョウはバルドスを眺めていた。

正直言うならとても強そうには見えないのだ。

何体相手にしても余裕に見えて仕方がない。

 

「先輩。やっぱりあれよわ」

 

話ながら横を見るとマグタランがいなかった。

 

「先輩?」

 

周りを探そうと後ろを見た時、後ろから押された。

そこには悪戯を楽しむ子供の顔をしたマグタランがいた。

後ろに押されて茂みからリョウが飛び出しバルドスの目にリョウが入る。

バルドスはすぐ臨戦態勢に入った。

リョウは押されて茂みから出されたときマグタランの口が「ガンバ」と言っているのが確かに分かった。

 

「え、えええ!?」

 

すぐにドールを展開したが間に合わなかった。

Sバリアが体中についてからすぐにバルドスの突進がリョウの腹に当たる。

 

「ぐふっ!?」

 

肺の中ら空気がすべて押し出され目の前が少しぼやける。

Sバリアがなければ間違いなく死んでいた。

とりあえず空中に移動する。

バルドスは地上で生活する動物なので空中に攻撃する手段は持たない。

そう思って油断したのが間違いだった。

バルドスはまた走り出し、なんと木をほぼ垂直で上った。

木から離れた時も恐ろしい脚力でリョウがいる地上から⒑メートルくらいの所に突っ込んできたのだ。

 

「なっ!?」

 

ヒニュス(ひし形の4つの物体の名前)を使いバルドスの攻撃を防ぐ。

名前はミリーナに教えてもらった。

靄たちと話していたときにいってたそうだ。

バルドスは攻撃に失敗し地上に降りる。

すると今度はリョウがいる方向とは反対に走り始めた。

 

「へ?なんで?」

「逃げちゃうぞ?追わなくていいのか?」

「…マグタラン先輩。ひどいですよ」

「悪い悪い。後で何かいいことしてやるよ。それよりいいのか?」

「何か裏があるのかも」

「バルドスは攻撃馬鹿だ。だが頭がよくてな。勝てないとわかると逃げるんだ」

「ええっ!?そんなのありですか!」

「ありだから逃げてるんだよ。ほら早く追った追った」

 

急いでバルドスを追い始める。

バルドスの最高時速は50キロほど。

ドールのスピードではとてもではないが追いつくことは出来ない。

アクセルがあればすぐなのだが持ち合わせていない。

しかし、それはドールのみを使った場合の話。

 

「トラップR!」

 

リョウはすぐにバルドスの直進方向に魔法で罠を設置する。

罠を踏んだ瞬間に荊のつるが体に巻き付く魔法だ。

バルドスがそれを踏み見事に動きが止まる。

暴れてはいるが荊が外れそうには見えない。

 

「おお、やったのか」

 

後からマグタランがやってきた。

 

「おかげさまでですよ」

「悪かったなぁ、どうしても抑えられなくてな。ついついやってしまった」

「ついついじゃないですよ。あれ結構痛かったんですよ」

「俺もそれは分かる。あれくらって一度心肺停止になったからな」

「なんで危険ってわかってるのにそんなことするんですか!?」

「だからつい悪戯心がな。ともかくバルドス捕まえられたからいいじゃないか」

「そうですけど」

「で、そいつ殺さないのか?生きたまま持っていくと大変だぞ?」

「そうですね。じゃあやっちゃいます」

 

リョウはヒニュスをバルドスの頭に当てた。

しかしそれ以上のことができなかった。

 

「あ、あれ?」

 

硬すぎてヒニュスが刺さらないのだ。

 

「どうした?刺さらないか?」

「はい。硬すぎて…」

「じゃ、俺がやるよ。まぁ、ドールの3段階目でも何とか刺さるくらいだしな」

「それ先に言ってくださいよ」

 

マグタランが右腕のみドールを展開する。

手には槍が出てきた

しかし、その瞬間思いもしないことが起こった。

 

「だらっしゃぁぁぁぁぁい!」

 

リョウたちは何が起きたか分からないまま捕まえたバルドスは宙を舞う。

落ちてきたと同時にマーシャが登場し気絶したバルドスをキャッチすると

 

「おいしくいただきます♪」

 

かわいらしく言うと逃走した。

3秒ほど止まった後、

 

『ええええええ~!?』

「ちょ、先輩!」

「追いかけるぞ。絶対にとっ捕まえてやる!」

 

それから1時間ほど追いかけまわしたが結局リョウたちはマーシャたちを見失い、とぼとぼ帰って行った。

戻ったのは3時ごろ。

折角の高級食材を逃がしたリョウたちはぐったりしていたのだが、部屋に戻ったリョウを待っていたのはリリアの跳び膝蹴りだった。

「なんで私とクレア先輩だけを部屋に残したの!」と説教されリョウは2時間正座をさせられた。

災難な一日だった。

 

 

 

 

 

 

 

「これだけいれば十分か?」

「問題ないだろ。あとは剛石龍(ごせきりゅう)だな」

「問題ねぇよ。俺がすぐにとらえてやるよ」

 

彼らがいる場所はアメミリア森林である。

しかし、彼らはその地下にいるので生徒に感知されていない。

 

「しかし、Oの報告はまだか?」

「そろそろ来る頃だと思うぜ。生徒の目を盗まなきゃいけないしな」

「それもそうか。む?」

 

男たちが話している中に背の低い人が走ってきた。

 

「遅れました」

「かまわない。報告しろ」

「剛石龍は巣穴で寝ています。変化はありません」

「生徒の様子は?」

「例年通りです。特に怪しい動きを見せている生徒はいないそうです」

 

うなずきながらOの報告を聞くT。

 

「特に異変はないんだろ?なら順調だな」

「そのようだな。確かに何か妨害のようなことも見受けられんし大丈夫だろう」

「なら俺は剛石龍を捕まえに行ってくる」

「頼んだ」

 

1人はそこを後にした。

 

「O。あとないか?」

「あの、これマスターに頼まれていたものなんですが」

 

書類のようなものを出してきた。

 

「これは?」

「ある一人の生徒の個人情報です。足がつかないよう紙に。直筆ではありますが」

 

Tはそんなこと何も聞いていなかった。

 

「そうか。では、マスターへ渡しておこう」

「よろしくお願いします」

 

それだけ言うとOは一礼してきた道を戻っていった。

Tは渡された書類を確認する。

書類には紙が一枚入っているだけだった。

紙には一人の生徒の写真と名前が書いてあった。

リョウの名前だった。

(確かこいつは今年の一年生でただ一人二段階目になった奴。でもそれだけ。逸材と言うには程遠いはず)

学校では逸材と言われるリョウもTから見ればただの一般人だった。

(なぜこんな男に興味を?)

紙に書いてあることは少なく、調べたというには余りにひどかった。

しかし、Oがマスターの命令を適当にこなすはずがないのをTは分かっていた。

そして興味がわいてきた。

ついさっきまで興味がないと思ってたのにこの詳細不明な男に興味がわいたのだ。

 

「期待しているぞ…」

 

Tは呟き業務に戻っていった。




~リョウたちから逃げた後のマーシャ~

「先輩。やりましたよ!」

後ろを向いたマーシャの目に入ったのはどこまでも続く木や草だった。
帰り道は分かる。
ここからドールを使えば5分かからない。
抱えているバルドスがいつ起きるかもわからないのでキャンプに戻った。

キャンプに戻ったマーシャは英雄扱いされた。
高級食材バルドスを捕まえてきたのだから当然ではある。
しかし、イッシュは8時になっても戻ってこなかった。
一年生は心配したが2年生以降、特に同学年は全然心配していなかった。

「大丈夫よ」
「そうそう!あの子は決まって11時に帰ってくるのよ」

そんなことを言っていた。
そして本当にみんなが寝静まった11時ごろイッシュはキャンプ場に子供のように泣きじゃくりながら帰ってきた。

次の日、マーシャはイッシュに泣きながら叱られたそうだ。
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