異世界にて〜魔法と科学の小競り合い〜   作:tubukko

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リリアにバルドスが迫る。
盾を失った彼女にその猛攻を防ぐすべはなかった。


必死の防衛

(やられる!)

リリアは目をつぶった。

しかし、目をつぶっただけのはずなのにバルドスは突撃してこなかった。

恐る恐る、目を開ける。

そこには、クレアがいた。

 

「ぶ、部長…!」

「無事なようだな。何よりだ」

 

よく見ると周りのテントも一切攻撃を受けていない。

それぞれのテントに5年生がついていた。(クレアは3年生である)

少しずつ押されている人もいるが確かにテントを守っていた。

 

「なんで…。さっきまで寝てたんじゃ」

「詳しいことは知らん。だが、俺は俺の嫁が危ないと悟ったから助けに来た」

「嫁じゃないです」

「つれないな。だが、それもいい」

 

周りが危ないというのにこの人は何を言ってるんだと頭を抱える。

 

「それよりさっさとテントの中の連中を起こしてこい」

「えっ、…あ、はい!」

 

リリアがテントに入っていく。

クレアはそれを見届けるとバルドスのほうを見る。

今、起きている5年生とクレアは疑問を抱いていた。

 

バルドスは頭のいい生き物だ。

決して理性があるわけではないが、群れで行動するし、負けると分かればすぐに逃げ出す。

そして、自分の縄張りに侵入されたり攻撃されたりしない限りは襲ってくることはない。

 

そんな生物がただ突進をして、止められたにもかかわらず逃げるどころか助走をつけて改めて突進することすらしないのだ。

ただただ、数で押し通そうとしている。

 

「音がやんだもんだから来てみたら何ですか、これは?」

 

バルドスの隙間から一人の男が現れる。

体全体を黒で覆っている。

 

「貴方たちは?」

「それはこっちの台詞だよ。何者だ?」

「ジーク・T・エリオスという者です」

「ネーム持ち…。これはお前の仕業か?」

「そうですね。私が操ってますが?」

「なんでこんなことを?」

「…これはさっき会った女の子にも言ったのですが」

 

やれやれと言わんばかりにため息をつきながら首を振る。

 

「死にゆくものに答えても意味はない」

 

バルドスたちが一斉に退きはじめる。

いや、助走をつけようと一斉に後ろに下がったのだ。

 

「リリア!まだか!?」

「みんな目を覚ましました!いつでも戦えます」

 

リリアも含め1~4年生全員が目を覚ましていた。

 

「よし!なら3年生以下は全員他のキャンプに現状を伝えにいけ。4年生以上はここに残りこいつらを追っ払うぞ!指揮は俺、マグタラン・アッグシーバがとる。異論は聞かん!」

 

一見強引に見えたがみんなが納得していた。

魔法側の生徒も反論する生徒はいなかった。

それだけ信頼されているのである。

全員、黙ってうなずくと行動を開始した。

リリアも同じく混じってそのキャンプ場を後にする。

ジークは黙ってそれを見ていた。

 

「追いかけないのかい?」

「私の作戦はある作戦を感づかれないようにすることです。ならばあいつらが他のキャンプにここの現状を伝えに行こうと関係のない話」

「ある作戦?」

「教える意味はない」

 

突然森林の奥の方に光の柱が立つ。

寺の方だとはすぐに分かった。

 

「…バレバレじゃないかい?」

「あの馬鹿…。青龍を召喚される前にとどめをさせとあれほど言ったのに。まぁ、作戦が遂行できればいいでしょう」

「あれが本命だろ?ばれたならお前は出る意味ないんじゃないのかい?」

「一理ありますが、もう一つやりたいことがあるのですよ」

「もう一つ?」

「リョウ・アマミヤ」

「…」

「そいつを出せ。さっき下級生どもが出てきたとき、彼は見当たりませんでした」

「知らないねぇ。あいつがどこにいるかなんて」

「隠すといいことありませんよ?」

 

構えていたバルドスがいつでも突進ができるような体勢になる。

 

「悪いけど最近の上級生は下級生思いなんだよ」

「交渉決裂ですか。残念です」

 

ジークが「やれ」と小さな声で呟き、何十ものバルドスが突進を始める。

マグタランたちも迎撃体勢に入る。

まず、はじめに魔法側の生徒がバルドスとの間にシールドをはる。

そしてそのシールドのすぐ目の前で科学側の生徒がかまえる。

別に準備していたわけではないから大した作戦など瞬時に立てることは出来ない。

だが4,5年生から見れば十分だった。

突進してきたバルドスがシールドに当たり止まる。

ヒビこそはいるが壊れはしない。

そして構えていた科学側の生徒たちは各々の武器を取り出す。

それは槍であったり、刀であったり、爪だったりと様々だ。

それを無理くりシールドを壊そうとしているバルドスの頭に突き刺す。

これをすればバルドスは死ぬ。

これで数をかなり減らせると思ったのだ。

頭に武器を突き刺す。

しかし、ここで予想外のことが起きた。

頭に確かに武器を刺したはずなのにバルドスが止まらないのだ。

 

「な、なんで!」

「ちょっと!どういうことよ!?」

「この!くそ!」

 

生徒に焦りが見え始める。

 

「マグタラン!」

「なんだ!」

「結界が、盾がそろそろやばい!」

 

シールドのあらゆるところに穴が開き始める。

限界が近いらしい。

 

「みんな飛べ!地面は危ない!」

 

マグタランはすぐに作戦を変更する。

全員が空中に避難する。

 

「マグ!爆発魔法使っていいか!?」

「もちろんだ!リュック!」

 

リュックと言う男は魔法の塊を作り始める。

この世界で長い言霊を必要とする魔法はほとんどない。

すべて魔力がモノを言う。

 

「エクスプロ―ジョン!」

 

唱えると同時に塊はいくつもの数に分裂し、バルドスに向かう。

そして直撃する。

ここでもバルドスが回避行動をとるようなことはなかった。

爆発が起き砂煙が起きて視界が悪くなる。

 

「ウインド!」

 

すぐに視界をひらかせる。

目に入ったのは頭が吹っ飛んだり、足をやられたりしたバルドスだった。

シールドが破れる寸前だったようだ。

 

「少しはやるみたいですね」

 

奥でジークがしゃべる。

 

「まったく、バルドスの足をやるなんて…。走れないじゃないですか」

「殺した方は気にしないのかい?」

「殺した?何をですか?」

「何?」

 

するとありえない光景が広がった。

爆発を受けて止まっていたはずのバルドスの群れが動き始めたのだ。

全部が。

頭をやられている者も、足をやられたはずの者も、胴体が真っ二つになっていた者も。

 

「な、なにが!?」

「マグタラン!結界が限界だ!」

 

そして、結界は壊れる。

全員浮いてはいるがバルドスにとって10mは大した高さではない。

すぐに乱戦が始まった。

 

「マグタラン!」

「分かってる!全員自由に戦闘開始!命の危険を感じたらすぐに撤退しろ!リュック、クレア、道を開けてくれ!」

 

マグタランの指示を聞きすぐに行動に移る。

劣勢だった。

どういうわけか不死身のバルドスを相手にしているので無理もない。

マグタランはクレアとリュックによってあけられた道に従ってジークの元へ行く。

 

「…私を倒せばこいつらを止められると思ったわけですか」

「違うのか?お前はネーム持ち。おそらく「死霊使い」だろ」

「よく分かりましたね。Tの意味を知っていたんですか?」

「いや、さっきのバルドスを見てなんとなくだ」

「成程。まぁ分かる人にはわかりますよね。で、なにか対策は練れましたか?」

「…お前、さっきと違ってよくしゃべるようになったな。それが素か?」

「ん?…、おっとまさかこうも早く素が出てしまうとは」

「素なのかよ…」

「でもあなたもさっきと違って口調がとがってるじゃないですか」

「ああ。どうも憧れの人の真似をするのは難しくてな」

「いいじゃないですか、私はあっちはなんか嫌な感じがしたんですよ」

「そうか?なら残念だ」

「で、話は戻りますけど準備はいいですか?」

「待ってくれと頼んだ覚えはないぜ?」

「そうですか。なら、楽しませてくださいよ!」

 

ジークが手に紫色の電流でできた刀のようなものを出現させる。

それを持ちながらマグタランに近づく。

マグタランは槍で応戦する。

 

「槍か…。悪くないですね」

「そりゃ、どうも。お前のは趣味が悪いな」

「ほめ言葉ですね」

 

ジークは魔法側の人だ。

彼がたった一つの武器を出してそれで終わりなんてことはありえない。

刀で戦っているジークはもう片方の指を銃の形にかまえる。

その指先から火の玉が銃弾並みの速さでマグタランに向かう。

 

「ちっ!」

 

近い距離ではかわすのが困難なので離れ、銃を取り出す。

 

「準備がいいんですね」

「これくらい当然さ」

 

遠距離戦になるがこの場合、魔法側の方がバリエーションは豊富である。

ハンドガンで応戦するマグタランに対してジークは風や岩を使いありとあらゆる魔法を使う。

 

「ウインドストック!」

「ロックアーシュ!」

「ウォータバースト!」

 

あらゆる猛攻にマグタランは反撃ができない。

(厄介だよなぁ、魔法。俺にも才能があればなぁ。いや、嘆いても仕方がないか)

 

「ほら、どうしました?防戦一方ですよ?」

「うるせぇ。今考え中だ」

「なら、後ろも気にして考えてくださいよ?」

 

その時、後ろにバルドスがいるのに気付く。

避けることはかなわず地面に叩きとされる。

 

「ぐっ!」

 

叩き落とされた先にはバルドスが待っていた。

確実に当たると思い防御態勢に入るマグタラン。

しかし、地面で待っていたバルドスは一切動かなかった。

マグタランはただ地面に叩きつけられた。

なんで攻撃をしなかった?とジークのほうを見る。

そこではクレアがジークと戦っていた。

 

「クレア!」

 

「へぇ、あなたはクレアと言うのですか」

「黙れ、ゲス野郎」

「恨みを買った覚えはないのですが…」

「俺の嫁に何しようとした?」

「…嫁?あなた女ですよね?」

「性別は関係ない。あいつは俺の嫁だ」

「…まさかここにも理解に苦しむ類の人種がいるとは」

「お前はここで死ぬ。理解しなくてもかまわない」

「なら私も頑張りましょうか。死なないために」

 

電撃の刃によってクレアが薙ぎ払われる。

 

「ぐっ!」

「この程度ですか。大口叩くのにはまだ3年ほど早いのでは?」

「なんだと…」

 

ジークの周りに燃えるような色をした矢が出現する。

 

「ほら、このメルトアロー。避けてみてくださいよ!」

 

恐ろしい数の矢が襲い掛かる。

当たらないように避ける。

だが

 

「これは…!」

 

当たっていないのにドールが少しずつ溶けているのだ。

 

「どうだ?なかなか面白いだろ」

「ふざけた技出しやがって!」

「至って真剣なんですけどね…。そのまま裸になるまで撃ち続けてあげますよ」

 

クレアはかなりイラッと来るが怒りだけでこの状況は打開できない。

(このままじゃ…!)

そんなときマグタランが矢の雨の中に乱入してきた。

 

「なっ!マグタラン先輩!ダメです!」

 

しかし、マグタランが歩いているところより後ろには矢が一切来なくなっていた。

マグタランがしていたことはただ一つ。

自分の槍を矢の来る方向で円をかくようにまわすこと。

それをするだけでやが一切来なくなっていた。

槍に矢が当たりそこで消えているのだ。

溶けることなく。

 

「なっ…!」

「クレア」

「はい!」

「お前はあいつに勝てない」

「…」

「それでもやるのか?」

「…はい」

「なんで戦う?」

「俺の嫁が殺されかけたからです」

「…そうか。(ええ~)」

「理由はそれ以外ありません」

「ま、まぁ分かった。俺も一人であいつを相手するのは嫌だったんだ。手を貸してもらうぞ?」

「もちろんです」

 

2対1とはいえ拮抗した戦いが始まろうとしていた。




主人公がいないせいか書きづらいような気がします。
なんでだろ?

そして未だに素人の域から脱することができない。
なにか参考にしてみようかな…。
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