半年で50話書く!って言う目標はもう達成されたも同然なような気がします。
いや、油断大敵か。
とりあえず頑張ろう。
マグタランが戦っているすぐ近くで数多くの生徒が不死身のバルドスを相手にしていた。
相手は頭を吹き飛ばしても構わず突進してくるし、胴体を真っ二つにしてもバラバラに突撃してくる。
目くらましをしても意味がないし、幻覚を見せたって変わりはない。
劣勢が覆っていることはなかった。
「なんで死なないんだよ!」
「しゃべってる暇あったらいったいでも多く足止めしろ!」
「足止めなんて意味ないじゃない!」
「マグタランを信じろ!」
不死身の敵を相手にしていたせいでリュックを除くすべての生徒がパニックに陥っていた。
しかし、リュックは不死身と言う点とは違うところに注目していた。
(…おかしい)
客観的に見れば大抵の人が気づく疑問だ。
だが、今の生徒たちは客観的ではないしパニックに陥っている。
冷静に判断できているリュックの方がすごいのだ。
しかし、リュックは疑問に気づいただけでそれを解決する手段は持っていない。
ただ、戦うしかなかった。
「ほら、これならどうですか?」
鉄の銛がクレアとマグタランに襲い掛かる。
クレアはすぐにマグタランの後ろに避難する。
マグタランは目の前で、また槍を回す。
鉄の銛は跡形もなく消えていく。
「ふん!」
すぐにジークは鉄球を回り込むような形で攻撃させる。
クレアはその攻撃を抑える。
本来ならば腕が2本しかないドールではとても攻撃を受け止めることは出来ない。
だが、クレアのドールの特徴は腕の数だ。
彼女のドールは普通の腕+4本の腕が体の周りに浮いているのだ。
足も合わせれば普通の人の倍は手数があるのだ。
それを使い鉄球を止める。
「いい連携じゃないですか。それにその槍、めんどくさい効果がついてるみたいですしね」
「分かるか?槍自体に名前はないそうだが、この槍に触れた魔法はすべてただの魔力に還元される」
「はぁ、まさかそんな面倒な奴がここのキャンプにいたなんて…」
「嫌だったか?」
「いえ、最高の気分ですよ!」
指を鳴らすジーク。
するとどこからともなく何かの羽音が聞こえる。
森のあちらこちらから黒い小さな何かが集まってくる。
それは夜の森では暗く見づらかった。
そんなとき後ろで大きな輝きが起こる。
寺の方だった。
「なっ!?」
「何だあれは?」
「青…龍?」
確かに青龍が現れたのが分かった。
しかし、おかしい話だ。
少し前にも青龍は召喚された。
なのに再び召喚された。
巫女と言えども2体召喚できるなど聞いたことない。
気になるところだったが今の敵はジークである。
「マグタラン先輩!」
クレアに呼ばれてジークの方に向き直る。
そこには先ほどの羽音の正体である「虫」が飛んでいた。
虫と書いたのはあらゆる種類の虫がいて一口には表せないからである。
「気持ち悪…」
「へぇ、貴方にもちゃんと女性らしいところがあるんですね」
「いや、俺もキモいと思うぞ」
「そうですか?こんなに愛らしいのに…」
「死霊使いってやつは趣味が悪い奴ばっかなのか?」
「君には言われたくないですね、そんな槍を持った奴に…は!」
虫が一斉に2人に襲い掛かる。
逃げるしかなかった。
数が多くとても2人では捌ける数ではない。
ただでさえ攻めることが難しかったのに防戦一方になってしまった。
「先輩!」
「なんだ?」
「その槍であいつら止めらんないですか!?」
「無理だ。さっきこの槍でバルドスを刺したときバルドスは死ななかった!いや、止まらなかったのほうが適切か?」
「そういうのはいいですから」
「そうか?じゃあ、止まらなかった。おそらく当たったのが一部だけだったんだろ」
「でもそれ関係ないじゃないですか。バルドスの場合は体中にばらばらに存在したあいつの魔力の一部に当たってそれしか消えなかったって言いたいんですよね?」
「おお。まさにそうだな」
「で、虫はどうなんですか?」
「体が小さいから当たっただけでおそらく無力化できるだろうけど、数が多い」
「つまり無理ということですか?」
「そうだな。だからこれで応戦する!」
ハンドガンを取り出す。
数が多いので撃てば当たる。
減ってるのか、あるは塵となっても動いているのかは暗くて分からない。
「先輩!ハンドガン一つじゃきりないですよ?」
「じゃあどうしろって言うんだ?」
「まずあの数相手にハンドガンはないです」
そう言いながらマシンガンとショットガンを取り出す。
手の数が6本ということもありものすごい銃声が聞こえてくる。
ハンドガンしか持ち合わせていないマグタランはもはや無意味だ。
暗闇で見にくくはあるがなんとなく減りつつあるのが分かった。
「思ったよりやりますね…。あなたたちのこと見誤ったてたかもしれません」
「そうか。でも今更だな」
「勘違いしないで下さいよ?思ったよりはやるだけであってまだまだです」
「なに?」
逃げている方向に新たな虫の集団が出現する。
挟み撃ちにされた。
「くそ!」
撃ち続けるがこのままでは間に合わない。
「安心してください。すぐに殺すなんてことはしません。皮膚の下をはいずりまわせて、できる限り内臓を取り出し、四肢をばらばらにしてから殺してあげますよ」
「てめぇ…!」
死という恐怖を知らない虫たちは銃なんかには目もくれず攻めてくる。
クレアは近い虫から順に撃ち殺すがマグタランは何もしようとしない。
諦めているのかあるいは…
「マグタラン先輩!まずいですよ!?」
「いや、余裕だ。一番恐れていた事態にならなかった」
「それは?」
「とてつもなく速い虫が俺たちに奇襲をかけてくるということだよ。ところでクレア」
「なんですか?」
「虫はこれで全部だと思うか?」
「俺たちの周り一面虫ですよ!?ほかにいたとしてもあとは少ないはずです!」
「そうか。なら俺も動こう」
マグタランが重い腰を上げる。
そして大きく息を吸い込み言った。
「リューーック!」
「はいよ♪」
するとどこからともなくリュックが2人の近くに現れる。
「後は任せた」
「了解」
リュックは指を鳴らす。
それ同時に虫たちのいたところが爆発した。
クレアには何をしたかわからなかった。
魔法だって準備というものは必要である。
確かに使いこなせるようになれば唱えなくても魔法をつかえるようにはなる。
しかし、彼は何も唱えなかっただけではなく下準備も見えなかった。
周りに群がる虫をすべて消し飛ばすほどの魔法だ。
「おう、ご苦労さん」
「まったくだぜ。後でいいもん奢ってもらうぞ?」
「それくらいはしてやるよ」
少し離れたところでジークも驚いていた。
「なっ…」
「ところでよぉ、ネーム持ちってのはこの程度なのか?話になんねぇな」
「貴様…、いったいどうやって」
「それはさっきの爆発か?それとも突然現れたほうか?どちらにしても答える気はないぜ」
「…」
「さて…、お前の弱点、いや欠点も見つけたことだしさっさと終わらせるよ?」
「欠点…だと?」
「うん。君、操ってる屍の行動を細かくできないんでしょ?」
「…」
「どういう意味ですか?」
「疑問があった。バルドスの時もそうだったが虫の時で確信できた。せっかくあんなにたくさんの虫を連れているのになぜ一塊にしているのか?俺たちを殺すならバラバラに操ればいい。なのにそれをしない。理由は簡単」
ジークが少し苦い顔をした。
「できないからだ」
そこまで聞いてクレアは納得する。
つまりジークは一体ずつに違う動作をさせることができないのだ。
1、2体くらいならできるかもしれないが虫もバルドスも数が多かった。
だから単純な行動しかできないのだ。
「バルドスも飛んで攻撃するとき、狙いは定めずがむしゃらに全員が攻撃していた。だからバルドス同士もぶつかっていたしな。納得だぜ」
「…なぜだ」
「あ?」
「なぜここまで一つのキャンプに強者がそろっているのですか?」
「ああ、ばれた?」
「今気づきました。バルドスのほうを見ましたが生徒の死体が一つもない。いくら4年生以上とはいえおかしい」
「それは…内緒だ」
「そうですか。ですがまだ私は―――」
「そこまでにしてください、T」
突然聞き覚えのない声がする。
そこには一人の少年がいた。
「O…」
なぜ今来る?といわんばかりの顔をしながらOを見るジーク。
「作戦は失敗です。撤退命令が出ています」
「サッドはどうしました?」
「制裁を加えました」
「そうですか」
少し残念そうな顔をする。
しかし、それはサッドが死んだことによってきた感情ではなかった。
「今、ネーム持ちであるあなたを失うわけにはいきません。マスターからの命令です」
「…わかりました」
「あなたが正気を保っている時で助かりました。それでは…」
「待てよ」
クレアたちが静止に入る。
「そんなことさせると思うかい?」
「俺の嫁に手を出しておいて帰らせると思うか?」
「嫁?」
「リュック、少年、気にするな。それより確かに帰らせると思うか?」
「申し訳ありませんが帰らせていただきます」
クレアたちはすぐにOたちに攻撃しに向かう。
しかし、Oの体が崩れ始める。
そこで崩れた時に出てきたのは…虫だった。
そこで一瞬3人の動きが止まる。
その一瞬で虫はジークを包む。
リュックが爆発魔法でそこを爆発させる。
しかし、そこには何の影も形も残ってなかった。
「逃がしたか…」
「まぁ、とりあえず撤退まで追い込めたし誰も死んでない。こっちの勝ちでしょ」
バルドスたちのほうを見るとすべてのバルドスが停止していた。
すべてが死んでいる。
「まったく…、結局あいつはなんだったんだろな?」
「違う作戦を感づかれない様子する作戦を遂行してたらしいよ」
「そうかよ…。ともかく疲れたな。テントは守ってあるし、もう寝ていいか?」
周りが騒がしくなり始める。
ようやく応援がきたようだ。
「いや、悪いけど来てくれた人たちの対処を手伝ってもらうよ」
「はぁ…。マジ勘弁してほしいぜ」
「まぁそう言うな。ところでクレア、リョウがどこに行ったか知らないかい?」
「たぶんリリアが探しに行ってます。それで十分でしょう」
「リリアが探し出せるのかい?」
「俺の嫁が探しに行った。それだけの事実があれば見つからずともかまわないはずです」
「あ、ああ。そうか…。まぁ、理由はともかく任せておくか」
「マグタランせんぱーい!お偉いさんから電話でーす!」
「…長い夜になりそうだねぇ」
今の時刻は3時だった。
約4時間の死闘は幕を閉じた。
また一つ終わってしまった。
ここまで書くなら章で分けたほうがいいかな?と思い始めました。
まぁ、たぶんしませんけど。