異世界にて〜魔法と科学の小競り合い〜   作:tubukko

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50話目です!
読んでくれてる方々、ありがとうございます!




本当の帰還

「んっ、んん~~!」

 

朝8時リョウは起床する。

サクはまだ寝ている。

3日ほど前にレックスたちはこの部屋を移動し、部屋別になった。

でも、クロは未だに帰ってきてない。

 

「…今日、だったな」

 

襲撃があってから一週間が経っていた。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「リョウ殿、今日はどちらへ?」

「今日はクロが釈放される日だからね。ちゃんと迎えに上がろうと思ってな」

「リョウ殿だけ…ですか?」

「他の奴らは後で合流だよ」

「薄情ですね、他の人は!」

「それは聞き捨てならないよ、サク」

 

2人で歩いていたはずなのに、3人目の声がする。

 

リョ「スノーか」

ス「お久しぶりです、リョウさん」

サ「聞き捨てならないって、だって本当に他にいないじゃないか」

ス「だから主の代わりに僕が来たんです」

サ「つまり来ないということでしょう?」

ス「それは、そうだけど…」

リョ「まぁまぁ、2人とも。サク、フィリアだってやることがあるんだよ。他の人だって自分の仕事があるんだ。むしろ俺は暇人だよ」

サ「そんなことありません!リョウ殿だって、この侵略を終わらせるのに貢献しました!」

リョ「でも侵略が終わった後は俺ずっと部屋にいただろ?」

サ「それは…」

リョ「俺の仕事はその侵略を終わらせることだった。で、フィリアたちの仕事は今あるんだよ。なっ?」

サ「…そうですね。考えが浅はかすぎました。申し訳ありません」

ス「わかったならいいよ。これからはもっと思慮深く…、ってイタイ、痛いよ!」

 

スノーのほっぺをサクが引っ張る。

 

サ「なんでアンタが私を見下してるのよ?」

ス「見下してなんかいないよ!お願いだから放して!君のつねりは結構痛いんだから!」

サ「じゃあもう威張らないでよ?」

ス「威張らないから!ごめんなさい!」

 

ようやく、サクが手を放した。

スノーのほっぺが赤くなっている。

少し涙目にもなっている。

 

ス「痛い…」

リョ「おい、サク、やりすぎじゃないか。結構赤くなってるぞ、大丈夫かスノー?」

ス「結構痛いです」

リョ「よしよし」

 

リョウはスノーの頭をなでる。

身長的には自分より少し小さいくらいだが使い魔だ。

どうしてもペット的な感覚が少し残ってしまう。

顔も大人というわけではなく、どちらかというと童顔。

子ども相手のように接してしまう。

 

ス「…」

 

スノーも嫌がる様子はなく、むしろ嬉しがってる。

 

サ「…(妬)」

ス「えへへ…」

 

突然『ボンッ』という効果音とともにスノーが竜の姿になる。

竜の姿になれば手のひらより少し大きいだけの小さい姿になる。

 

リョ「ったく、仕方ないな。行くぞ、サク。サク?」

サ「…」

 

同じく効果音をたてて、竜に姿を変える。

そしてリョウの肩に乗っかった。

 

リョ「…ああ。悪かったな」

 

サクの頭をなでる。

 

サ「クルルルル…」

 

嬉しそうなうなり声を出す。

リョウたちはそのままクロのいる場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ク「…」

リョ「…」

 

リョウは今クロと合流した。

しかし、クロは喜びの表情を見せる前に驚きの表情に染まっていた。

理由は…

 

ク「リョウ…、いったい何があったの?」

リョ「俺も知りたい…」

 

今クロの目の前にいるリョウは竜2匹とヘビ2匹、さらに土の妖精を1匹連れている。

手のひらにスノー、左肩にサク、首にラン、右腕にリン、頭に一寸法師のように小さくなったクゥを乗っけている。

来る途中でみんなに会った。

 

~リンとラン~

 

リ「遅くなったの~」

ラ「なったの~」

リョ「いや、遅くはないだろ。とりあえず行くぞ」

リ「…」

ラ「…」

 

立ち止まって動こうとしない。

 

リョ「どうした?」

リ「私たちも乗っかりたーい」

ラ「たーい」

 

少し重くなるが、まぁ子供のヘビ2匹くらいならばと快く引き受けた。

 

 

 

 

~クゥ~

 

リョウがクロがくる場所で待っていたときクゥは来た。

 

リョ「クゥか。ご主人はどうした?」

クゥ「主は見つかった生存者の救出に当たっています」

リョ「そうか。ケイトも大変なんだなぁ」

クゥ「…(じー)」

リョ「どうした?俺の顔に何かついてるか?」

クゥ「…」

 

するとクゥが崩れる。

 

リョ「ええっ!?クゥ!?」

 

次の瞬間、頭に少し重みが乗っかる。

手で取ってみると小さくなったクゥがいた。

頭が大きいアニメに出てくる2頭身サイズのキャラクターになっている。

 

リョ「何やってるんだ、お前?」

クゥ「みんな、気持ちよさそうだったので、つい。だめですか?」

リョ「…」

 

瞳で「乗っかりたい」と訴えていた。

 

リョ「分かったよ。ほら」

 

頭に乗っけてクロを待った。

 

 

 

 

 

 

リョ「そしたらこうなってた」

ク「なかなか刺激的な再会だったよ…」

リョ「インパクトがあっていいことだ。とりあえず、おかえりクロ」

ク「…」

リョ「…クロ?」

ク「ごめんなさい!」

 

クロが突然頭を下げる。

 

リョ「ク、クロ!?」

ク「僕がもっと早く、リョウたちに本当のことを話していればこんなひどいことにはならなかった!」

リョ「何言ってるんだよ。お前は母さんを人質に取られてたんだろ!?仕方ないことだ!」

ク「いや、やりようは他にもあったんだ!それなのに、僕は、僕は…!」

 

クロが震えている。

未だに責任を感じているのだ。

 

リョ「クロ、顔上げてよ。お前がそんなことしてたら俺は何のためにお前を助けたんだか分からない。頼むから笑っててくれ」

ク「…リョウは優しいね。でも、僕は君の友達でいていいのか、分からないんだ」

リョ「だから、俺は何とも思ってないって!」

ク「いや、それでも…!」

リョ「…そこまで言うなら分かった。俺にも考えがある」

ク「えっ?」

 

リョウはここで以前の約束を使った。

 

リョ「肝試し、覚えてるか?」

ク「あの、一年生の時にやった?」

リョ「その時お前は言ったな?なんでも言うこと一つきくって」

ク「…」

リョ「それを今使う。クロ、俺の友達でいろ」

ク「リョウ…」

リョ「お前は俺の大切な仲間だ、友達だ、親友だ。そんな奴がいなくなったら、俺はつらい。だから、なっ?」

 

クロは顔をあげた。

目の周りは真っ赤になっている。

 

ク「…ありがとう」

リョ「当たり前のことだろ。だから泣くなよ。それに男なんだから」

ク「うう…。でも…、だってぇ…」

 

クロが泣き始める。

ランとリンが人の姿に戻る。

 

リ「リョウがクロを泣かせたー」

ラ「泣かせたー」

リョ「やめろお前ら。クロも頼むから泣かないでくれよ」

ク「ごめん、ぼ、く、涙もろくてぇ…」

 

リョウはどうしていいか分からず、頭をなでることにした。

最近になって気づいたことだがこれは案外誰にでも使える(マーシャにやったら少し黙った後、突然赤くなり殴られた)ということが分かった。

特に年下などにはいい。

安心するのだろう。

クロは年下ではないが身長155cm前後だしスノーよりもフィットする。

撫でられるとクロはだんだん泣き止んだ。

 

リョ「落ち着いたか?」

ク「うん、…何から何までありがとう」

リョ「おう。じゃ、改めておかえり」

ク「…ただいま」

 

そこでリョウは今までで一番の笑顔を見た。

嘘偽りのない、満面の笑み。

後ろめたさはない、影がない本当の笑みを。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

「―――そうか、お母さんは無事だったか」

「今は療養中なんだ。リョウに会いたいって言ってたよ?」

「もちろん。今度会いに行くさ」

 

久しぶりに会ったのだから話は弾む。

あっという間に部屋の前についた(転移装置の前)。

 

「…なんか緊張するね」

「自分の部屋に帰ってきただけだ。リラックスしろよ」

「うん」

 

転移装置に乗り部屋に戻る。

部屋に戻って気づいた。

 

「お前ら、いつまで俺にくっついているんだ?」

 

使い魔5匹は未だにくっついたまんまだ。

するとサク以外の使い魔が全員部屋の奥へ行く。

 

「おい、お前ら。クロせっかく帰ってきたんだから少しは静かに…」

『クロ、おかえり~!』

 

奥のほうに行った使い魔たちを追っていくと突然クラッカーの音がする。

マーシャたちが部屋で待っていたのだ。

 

ク「みんな!」

マ「遅かったじゃない!待ったわよ」

リ「やっと帰ってきた。いじる相手いないとつまらないのよ」

フィ「おかえりなさい、クロさん!」

レ「遅かったな。おかえり」

ミ「おかえり、盟友」

 

ここで感極まって再び泣きだすクロ。

 

リョ「なんだよ、お前ら。俺にも内緒か?」

マ「あんたに話したらばれそうな気がしてね」

リョ「俺口は堅いぞ?」

レ「いや、顔に出ると思ったんだよ」

リョ「それもないと思うけど…」

マ「それよりクロ、あんた泣きすぎじゃない?」

 

クロはまだ泣いている。

涙もろいのは間違いないようだがいくらなんでも泣きすぎだろう。

 

リョ「クロ、そこまで泣かれると喜びの涙に見えないんだけど…」

ク「ヒック、え、ほんどう(本当)?ごめん」

マ「とりあえず鼻かみなさい、ほらティッシュ」

ク「あろがどう(ありがとう)」

 

鼻をかんでようやく泣き止んだ。

 

マ「じゃ、『クロのお出迎え会』再会といくわよ!」

リョ「やけに張り切ってるな?」

マ「そりゃ暗い顔してしばらく過ごしてきたしここは楽しまないとね」

リ「そうそう。後リョウに一つ朗報よ?」

リョ「朗報?」

リ「学校、しばらく休校ですって」

リョ「マジで!?どのくらい?」

リ「5日間」

リョ「…それだけ?」

 

少し不謹慎かもしれないが休校は嬉しい。

だが、たった5日間?

地球だったら1か月は固いだろう。

 

リョ「短くない?」

リ「授業できる場所なんてすぐ準備できるのよ。見た目は壊滅的な被害を受けたミューズデルだけど核となるような中心は全然生きてるのよ」

リョ「まぁ、そこは喜ばしいことか」

リ「科学の力を結集すれば一年もあれば建物くらいなら修復できるしね。それまでは予備の建物で授業になるわ」

リョ「でも、1学年5000人もいるここの生徒を収容できる建物なんて残ってるのか?」

リ「…死んだここの生徒は9000人弱。そして辞めた人も7000人弱よ。ここの設備じゃ自分の子供は守れないって親が連れて帰ったのがほとんど。つまり残った生徒は半分もいないわ」

リョ「そんなにいたのか」

リ「私も帰ってこいって言われた」

 

マーシャとミィヤ、クロえっ?と言わんばかりにリリアのほうを向く。

 

リ「…その様子からするとレックスとフィリアもそうなのね」

レ「ああ」

フィ「言われました」

 

おそらくミューズデルが作ったこの守りに不備はなかった。

今回攻め込まれた理由は一つ。

戦争だったから。

学校が戦争に向けて防衛機能を整えるなんて聞いたことはない。

だが、親にとってそんなことはどうでもいい。

攻め込まれた。

その事実だけで子供を連れ戻すには十分な理由だった。

子供を守りたい親の身からすれば連れ戻すことに対してふざけるななんて言えない。

帰っても仕方ないだろう。

 

リョ「…どうするんだ?」

レ「聞くまでもないだろ。俺は残る」

 

即答だった。

 

レ「せっかく4年まで来て中退?そんなの納得できるかよ」

リョ「お前らしい考えだな」

リ「私も残るわよ」

フィ「私だって残るつもりです」

 

2人も迷ってる様子はなかった。

 

リョ「お前らもか」

リ「当たり前じゃない!こんな楽しいところを去るなんて絶対ないわ。それにここのほうが安全そうな気がするし(クレアに対する恐怖)…」

フィ「ここには皆さんがいます。ここまで私を成長させてくれた皆さんだけおいて自分だけ安全地帯に避難なんて死んでもごめんです」

 

みんな残るみたいだった。

リョウにはわかる。

これからまた大きな戦争があると。

こちらが攻めるのかまた攻められるのかは分からないが、大きな戦争があるのは。

今ではみんなも恐らく分かっている。

 

それでも、彼らは残るといった。

 

彼らは死を覚悟したわけじゃない。

 

自分の大切な何かを守るため、生きて帰るために一番過酷な道を選んだのだ。

 

ミ「あーあー、もう辛気臭いわね。私こういう空気ダメなのよ」

フィ「…(じー)」

レ「…(じー)」

ミ「なによ、2人とも。私のほうを見て」

フィ「…なんか口調変わってません?」

レ「俺も最近そう思ってた。おかしくないかお前?」

 

猫被ったミィヤしか見たことない2人はなんか違和感を感じるようだ。

 

リョ「2人ともこれがこいつの素だ」

フィ「そうなんですか?」

リョ「もっと言うなら巫女だ」

マ、レ、フィ『ええっ!?』

リ「あれ?マーシャも知らなかったの?」

マ「巫女だってことは知らないわよ!マジで?」

ミ「マジよ」

 

ひらひらと札を何枚か取り出す。

 

フィ「…私の知り合いにはすごい人が多いですね」

レ「同感だな」

マ「まったくね」

ミ「そんなことどうでもいいから早く始めない、お出迎え会。早く私、これの見たいんだけど」

 

ビール缶を手にもって開ける準備をしている。

 

リョ「あっ、ビール飲むんだ?」

ミ「20過ぎてるから問題なし。これおいしいのよ、おつまみと一緒に食べると」

マ「…おっさんくさい発言ね」

ミ「おいしいものはおいしいのよ。もう私が進めるわ。はい、みなさん飲み物もってください」

リ「ほらクロ。アンタが持ってないなんてありえないわよ」

ク「ありがとう」

ミ「みんな持ったわね?はいそれじゃクロが帰ってきたことを祝って…かんぱーい!」

全員『かんぱーい』

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

T「―――報告は以上です」

「ご苦労だった」

 

帝国の王座でTはカザキにミューズデルの報告をしていた。

 

T「…あの、主君」

カ「なんだ?」

T「なぜ、私にはあの者がこの星ではないところから来たと教えてくれなかったのですか?」

カ「お前だけではない。エジリスはリーダーだったから、クロはリョウに近かったから教えた。他には誰にも教えていない」

T「ですが、私にも少しくらいは…」

カ「無駄な情報は動く者の動きを鈍くする。だから言わなかっただけだ。他には何かあるか?」

T「…失礼します」

 

Tはその場を後にした。

一人残ったカザキは少し考える。

 

予想以上だった。

5段階目にあのタイミングでなるというのは予想できた。

ミリーナがかかわっているのだからできないこともないだろうと思っていた。

だが、エジリスをあそこまで圧倒するとは思っていなかった。

7段階目の力ではない。

だとすれば8段階目?

ついにミューズデルでも完成するのか?

…ミリーナが選んできただけのことはあるな。

 

カ「…早くしないといけないな」

 

カザキもその部屋を後にした。

 




前書きでも書きましたがもう一度。
読んでくれてる方々、本当にありがとうございます!
50話目です。

ここで一つ報告です。
活動報告にも書きますが、もう一つ、物語書くことにしました。
もしよければ見ていってください。
1話書いたら改めて後書きと活動報告に書きますのでその時はよろしくです。
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