たまに同時更新はあるかもしれないけど、期待はしないでください。
リョウはテンションが低かった。
それはなぜか?
理由は単純、学校が始まったからだ。
転移装置を使い移動するので教室の雰囲気こそ変わるが、あまり楽しみな感じがしない。
何よりリョウのテンションを下げたのは…
「ありえない…」
「リョウ、仕方ないよ。場所がないんだもん」
「でも俺はBコースだぜ?それなのに戦闘訓練がないとか…ありえない」
「Aコースの人だってつまらないことに変わりはないんだから、そんな気分下げないでよ」
戦闘訓練がない。
それはリョウにとっては死の宣告と何ら変わりはない。
地球にいたころは勝手にさぼってボーっとしていることはあった。
だがそれは高校生だったからということがある。
リョウは地球にいたままなら大学へ行くつもりだった。
特に夢はなく、なりゆきで行ったところで探すかなと思っていたのだ。
中の上となれば少し勉強すれば国立はギリギリかもしれないが私立なんてほとんどへっちゃら(一部すごいところは除く)。
だからサボっていた。
だが今のリョウは大学に通ってるのと何ら変わらない。
この学校を卒業すればリョウも立派な社会人になる。
おそらく軍隊的なものに就職しようと思うが、軍隊だって教養は必要。
実力だけでは入れないのだ。
「お前はよく勉強寝ないでずっと聞いてられるよな、クロ」
「大切なことだよ?リョウも起きないと」
「まだ授業始まるまで5分あるから寝る」
「寝るって…、起きれるの?」
「寝起きに自信はない。だけど、いつもより静かだしな。寝るのは早いと思う」
「人…、減っちゃったよね」
4年生で死んだ人と、やめた人は2700人弱。
それども今、この教室には残った生徒が集められているのでにぎやかでもおかしくないのだが、みんな暗い。
無理もないと言えばそれでおしまいだが、あれから2週間は経っている。
「早く、活気戻ってくれるといいんだけど」
「俺もそれは賛成だな。だけど今の俺たちにできることは何もない。黙って時が流れるのを待つしかないさ」
「僕がもっと早く…」
「クロ」
リョウがクロのほっぺを引っ張る。
「イタタ…。ごめんリョウ」
「その話はもうしない約束だ。頼むからやめてくれ」
「うん。本当にごめん」
「そこまで落ち込まなくても…。ともかく俺は寝るから、サク、時間が来たら起こしてくれ」
「分かりました、リョウ殿」
リョウは机に頭を伏せる。
小学生の頃は「授業で寝るとかどんだけ頭悪いやつだよ」と思っていたが中学あたりからわかり始めた。
わからないから寝るんじゃない。
つまらないから寝るんだ。
小学生の頃もつまらない授業はあったがおそらくあれは実はつまらない授業ではなかったのだろう。
小学生に戻りたい…、なんて思いながら眠りに落ち…かけた。
「リョウ殿、チャイムが鳴る10秒前です」
「…冗談」
「冗談ではありません、リョウ殿。ほら」
チャイムが鳴る。
リョウは眠い中授業を受け始める。
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「終わったぁぁぁ!」
「そんなに叫ぶほど?」
「俺にとってはな。退院直後の外の空気を吸った患者の気分だぜ」
「退院直後なら叫べないと思うけど…」
授業が終わり帰る準備をする。
後帰ったら飯食って自由時間!
ドールのメンテナンスでも自分でやってみようと楽しみを作る。
「リョウ、ちょっといい?」
マーシャが話しかけてきた。
フィリアとリリア付きだ。
「なんだ?」
「あなたのいた地球ってところの風習についてなんだけど」
「話せることなら全部話したが?」
「女の感が働いたのよ。でもここじゃ少し聞きづらいことなのよ」
「なら俺の部屋にするか?クロもいるけど」
「いいわよ。じゃ準備ができ次第すぐ行くから」
「了解」
マーシャたちが教室を出て行った。
「いったいなんだろう?」
「さあな、女3人いたからひな祭りについてでも教える準備しておくかな」
「ひな祭り?」
「地球にそういうのがあるんだよ。女子が聞いてきたらそこで話すから楽しみにしてろ」
「そうするよ。じゃ早く僕たちも部屋に戻って準備しよ」
「そうだな」
リョウたちも教室を後にする。
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「…今なんていった?」
リョウの部屋に女子3人、男子2人、使い魔4匹?がいる。
そんな空気からは考えられないような質問をぶつけてきたのだ。
マ「だから、告白を応援するような風習は何かないのかって聞いてるの」
リョ「告白って…、なにか犯罪でも犯したのか?」
マ「その告白じゃないわよ!好きって想いを伝えるほうの告白よ」
リョ「なんでそんなまたいきなり…」
予想外の質問に戸惑るリョウ。
リョ「っていうかそんな風習を聞くってことは誰か告白でもするのか?」
リ「実はフィリ…むぐぐ!(口を押えられる)」
マ「私が恋バナ好きなの知ってるでしょ?だから聞いてみたかったのよ」
リョ「なんだ、つまんねぇな」
小声↓
リ「ちょっと何よ、フィリア」
フィ「なんで教えようとするんですか!?それに私は告白するとは言ってません!」
リ「何言ってんのよ。ここまで押したんだからあなたは告白するわよ」
フィ「…否定はしませんけど肯定もしませんからね?」
リ「その時点で決定事項ね」
リョ「でもまぁ、そういう風習はあるっちゃあるな」
フィ「ホントですか?」
リョ「なぜフィリアがそこかみつく?」
フィ「…なんでもないです」
リョ「?まあいいや。でその風習の名前だけど、『バレンタイン』っていうんだ」
リ「Valentine?」
リョ「なぜそんなに発音がうまい?」
リ「なんとなく言ってみたらこうなった」
マ「それより何よ。そのバレンタインって?」
リョ「簡単に言えば女子が好きな男子にチョコをおくるんだよ」
今は10月半ばなのだが。
ク「なんでチョコなの?」
リョ「そこまでは知らねぇよ。まぁ、最近じゃ友チョコのほうがよく見かけたけどな」
マ「友チョコ?」
リョ「友達同士でチョコを交換し合うんだよ。手作りとかでやってる人も結構いたような気がする」
マ「へぇ…。面白いわね。で、あなたはいくつもらってたの?」
リョ「…ここに来る前、義理チョコが5つ」
マ「モテなかったのね」
リョ「うっ!」
リョウに痛恨の一撃。
リョ「で、でも義理すらもらえてない人もいたし。俺はそいつらから見ればある程度は…」
リ「底辺の争いね」
リョ「ごふっ!」
フィ「視点を変えればもらってない人は、恥ずかしくて上げれない女子がいるかもという可能性がありますよね」
リョ「がはぁっ!」
ク「リョウが吐血した!?」
まさかこの世界に来てそんなことを言われるとは…。
なんか思ったよりダメージが大きいぞ?
サ「リョウ殿、しっかりしてください!チョコがほしいのならば私が作ります!」
マ「義理チョコよね?」
リョ「…」
リン「リョウが止まったー」
ラン「止まったー」
サ「安心してくださいリョウ殿!本命チョコです!」
リョ「ホント?」
フィ「使い魔からもらう気ですか?」
リョ「…」
ク「しっかりして!なんなら僕が…!」
リ「あなたは男でしょ?」
ク「リョウの助けになるのなら僕はこの身を投げ出す所存だ!」
マ「なにその使い魔みたいなセリフ!?これくらいで死を覚悟しないでよ!」
サ「クロ、申し訳ないがこれは私と主の問題です!」
マ「いや、違うでしょ?」
ク「僕は悪いけどサクよりリョウと長い間一緒にいるんだ。リョウの好みならサクより知ってるはずだ!」
マ「何盛り上がってんの!?」
サ「なら勝負です!どちらが主が好きなチョコを作れるか!」
ク「望むところだ!」
論点がそれ始める。
もともと討論するために来たわけではないのだが。
マ「…チョコって相手に合わせなきゃいけないの?」
リ「そんなことは言ってなかったわよ。とりあえず気持ちがこもってればいいんじゃない?」
フィ「しかし、地球の人は面白いこと考えますね。チョコで告白ですか」
マ「考えたこともなかったわ。せいぜい得意料理をふるまうことくらいしか」
フィ「得意料理なんてあるんですか?」
マ「ハンバーグは得意よ」
フィ「へ~。私、料理なんてカレーくらいしかしたことないですよ」
マ「それって、料理に入るのかしら…?」
リン「私ハンバーグ食べた~い」
ラン「カレー食べた~い」
マ「アンタたちが使い魔らしくなったら食べさせてあげるわよ」
リン「ケチ~」
ラン「けち~」
マ「事実を言っただけよ。本当に使い魔らしく…ってリリア、あんた何ブツブツ言ってるの?」
リリアが何か小さな声で言っている。
しかめっ面で考え事をしていたようだが、マーシャが声をかけると同時にいい案が思いついたのか明るい顔をする。
リ「いいこと思いついた!」
マ「私はホワイトチョコにしようかしら」
フィ「じゃ、私は普通のチョコで…」
リ「なんで無視するのよ!」
マ「だってあなたの案、いいものを見たことがないんだもの」
リ「今回はきっといいもののはずよ!」
フィ「へー、ソウナンデスカ」
リ「何よ、その棒読み!いい?この『バレンタイン』を生徒全員に知らせるの」
マ「そしたらどうなるのよ?」
リ「これを学校の公式ではないけど行事として取り入れる。そしてこのイベントは『恋愛』がテーマ!この話を聞いて盛り上がらない人がいる?」
フィ「…フム?」
リ「私、このお通夜ムードが耐えられないのよ。このイベントがあれば少しはみんな盛り上がるんじゃないかなぁって。そうすればこのムードも…」
マーシャとリリアはあっけにとられている。
いつも記事のことを考えた意見を出すリリアがこんな意見をしたのだ。
無理もない。
マ「あんた…熱あるんじゃない?」
リ「ないわよ。私がこんなこと言ったのがそんなにおかしい?」
フィ「いつものリリアさんなら考えられませんよ」
リ「私のイメージって…」
マ「ともかく、あなたの考えには賛成よ。生徒がへっただげでも活気がなくなったっていうのに、いる人たちの活気もない。おそらくこんな大きなイベントがあれば少しはにぎやかになるわよ」
フィ「でも、みんな参加してくれますかね?」
リ「大半の女子はここが腕の見せ所よ。でるはず!もし数が少なければ私の情報力を使って参加させるわ…」
マ「あんた、それ新聞部の範疇じゃないわよね?」
リ「男子もそわそわして少しは盛り上がるでしょ。楽しみね」
フィ「で、どうやってみんなに知らせるんですか?」
リ「私が新聞の一面にでかでかと載せるわ。今回は1人一枚に配れるくらい発行してやるわよ」
マ「それなら間違いなく伝わるわね。じゃ、後はよろしく」
リ「何言ってんのよ。あんたにはやることあるでしょ」
マ「何言ってるのよ?新聞部じゃない私が新聞作るの手伝うっていうの?」
リ「違うわよ。チョコ作ってるところ一枚撮らせなさい」
マ「…なんで?」
リ「なんでって、そりゃチョコ作ってる女子載せたほうが男子は盛り上がるし女子も『私も!』っていう人が出やすくなるからじゃない」
マ「なんで私がモデルなのよ?」
リ「だって、発案者が動かなきゃだし。私は新聞発行、フィリアはケイトのものだから変質者が出てもらっても困るし」
フィ「な、ななな、何言ってるんですか!」
リ「で、あんたは何もしてないからモデル決定!」
マ「いやよ!やるならもっと人気のある人でも使えばいいじゃない」
リ「あなたは女子からも男子からもある程度人気あるのよ。かわいいとかっこいいを兼ね備えてるみたいね」
リョ「写真撮るならエプロンつけながらチョコをかき混ぜてる姿がいいぞ」
リョウが復活し会話に参加する。
サクとクロはいまだに何か言ってる(スノーが巻き添え食らってる)。
マ「こんな時に!」
リ「それは地球の常識?」
リョ「常識といわれるとあれだけど、俺のイメージはそうなってる」
リ「決定ね」
マ「私納得してないわよ!?」
リ「あなたに決定権はないわよ?」
リリアが一枚の写真を取り出す。
リ(実はこの紙、白紙なんだけどね)
マ「ちょ、何よそれ!?」
リ「秘密よ♪知りたかったらモデルを辞退すればいいんじゃない?」
マ「それでも友達!?」
リ「あなたをモデルデビューさせるっていってるの!友達の好意を受け取りなさい!」
マ「…変に写さないでよ?」
リ「かわいく写すのは保証するわ!そうと決まれば準備しなくちゃ。忙しくなるわよ」
リリアが部屋を出て行った。
マ「…」
リョ「がんばれよ?」
マ「あなたの大事な部分、思いっきり蹴り上げてあげましょうか?」
リョ「お前のはシャレにならない」
マ「ケイトがいるから治せるわよね?」
リョ「やめろ、マジで」
マ「はぁ…なんで私が」
リョ「いいんじゃない?お前、顔も体もかなりいい感じだし」
マ「なっ…!」
リョ「髪色も似合ってるし、普通にかわいいんだから―――」
マ「な、なな何言ってるのよ、あんた!」
リョウの大事なところに重い一撃が入る。
リョ「…!。!?」
マ「わ、私リリアのとこ行ってくるから!」
フィリアがそれを見つめる。
素直になれないとはかわいそうだな、と。
フィ「…リョウさん、大丈夫ですか?」
リョ「ギリギリ…なんとか。潰れてないみたい」
フィ「まぁバレンタインを楽しみにしててください。きっとデレますから」
リョ「誰が?」
リョウもツンデレという存在は知ってる。
もちろんこれだけを見てツンデレとは断言できないが、客観的に見ればマーシャがリョウに気があるのは一目瞭然。
だが、主観的になるとわからないこともあるようだ。
フィ「私は義理にしておきますが楽しみにしててください」
リョ「そうしたいのはやまやまなんだがな…」
フィ「何か問題でも?」
リョ「地球のバレンタイン、2月14日にやるんだけど」
フィ「…」
フィリアは今ここでそれ言う?という顔をする。
まぁ、確かにタイミングを逃したリョウが悪いのだが。
フィ「ここは地球じゃありません。この星なりのアレンジっていうことで」
リョ「そうか。まぁいいんだけど」
フィ「じゃ、私は行きますけど、いつまでそこに横たわってるんですか?」
リョ「痛みがとれるまで」
フィ「…ご冥福をお祈りしています」
リョ「まだ死なないよ!?」
フィ「それでは。あと、スノーは話が終わり次第返してくださいねー?」
リリアも部屋を後にした。
その後マーシャはモデルとして起用され、ランとリンを連れ一緒にバレンタインの宣伝に載った。
しばらくの間、マーシャに対するファンレターが止まらず、変質者(ストーカー)まで出て、本当に困ったという。
平和だなぁ…。
面白くしなくちゃいけないのに未だに感じがつかめないなぁ。
ま、精進あるのみですよね。
これからもよろしくです。