「どれがいいんでしょうか?」
マ「どれも一緒だと思うけど?安いやつでいいんじゃない?」
リ「ちょっと、あんたがそんなこと言っちゃだめよ!バレンタインのイメージ女子なのよ?」
今、マーシャ達は校内にあるコンビニ的なところ(購買よりも規模が大きい)でチョコを選んでいる。
周りには結構な数の女子がいて、ただチョコが食べたいだけの男子にとってはつらい空間だ。
バレンタインの計画を新聞に発表してから3日が経っていた。
当初はどうなるかとハラハラしていたが、積極的な人が多いおかげで参加する人が多かった。
あとは周りが参加するなら私もという感じで消極的な人もほとんど参加。
ただ告白的な面だけでなく、友達と交換だったりといろいろな手法を紹介したおかげで参加もしやすくなった。
活気が戻っただけでなく、チョコも売れて購買の販売員も大喜び。
一石二鳥だ。
マ「っていってもねー、個々のチョコの味の違いなんて分からないじゃない。あんた、気持ちを込めればいいとか言ってたでしょ?」
リ「それはそうだけど…、ねぇ?」
マ「言い返す言葉もないようね。私だって他にも買いたい物はあるの。まったく、ひどい出費だわ」
そう言いながらチョコを何個か手に取りかごに入れる。
「そんなに買うんですか?」
マ「友チョコよ。交換し合うって決めたの、クラスの女子と。だからこれくらいはないといけないのよ」
リ「結構な数ね…。私はそんなに上げる人いないけど」
「私もさほどではないですねぇ…。あっ、このチョコおいしそう」
そう言いながら3つほど手に取るフィリア。
マーシャとリリアの顔が驚きに包まれる。
マ「あんた、それ3つも買うの!?」
「えっ、これもしかしてまずいんですか?」
リ「いや、おいしいけど。この値段…」
「少し値段は張りますけど、これくらいはしないと」
マ「私、これ絶対ここに置いておくべきものじゃないと思うんだけど」
リ「同感ね。これ2つで私の1か月のお小遣いに相当するんだけど…」
「そんなに高いですかねぇ…?」
マ「あなた、やっぱり家お金持ちでしょ?」
「そんなことないですって。なんなら今度、うち来ます?」
リ「いいわね。ぜひ行ってみたいわ」
マ「なら冬休みにでも行こうかしら」
「いつでも歓迎しますよ」
リ「カメラでも持って行って…、っと。今はそれは後にしないと。後ろ閊えてるし早く行きましょ」
マ「そうね。私も早く帰って作りたいわ」
レジに並ぶ3人。
と、フィリアがマーシャのかごにおかしなものが入っていることに気づく。
「マーシャさん。それ、何ですか?」
マ「えっ?」
「一つだけちょっと高めのチョコが入ってますよ?」
フィリアの程ではないが確かに少し高そうなチョコが一袋入っている。
マ「あ、あれー?おかしいわね…。まぁ、もうレジに並んでるしせっかくだから買っちゃおうかしら(震え声)」
「マーシャさんのかごなら持っておきますからいらないなら返してきたらどうですか?」
マ「い、いいのよ別に。せっかくだからこれも使って作ろうかしら」
「…なんか隠してません、マーシャさん?」
マ「…(ギクッ!)」
リ「フィリア。あんたも気づくの遅いわね。これはいいのよ、ここに入ってて」
「間違いじゃないんですか?」
リリアがにやつく。
リ「ツンデレの年頃の女の子なんてこんなもんよ。どうせ、リョウに上げる分でしょ?」
マ「な、何言ってるのよ!別にそんなつもりないわよ!一応あいつにも上げるつもりだけど別に本命とかそういうやつじゃないんだから」
「…素直になれない女の子は大変ですねぇ」
マ「意味わかんないこと言ってんじゃないわよ。それに素直になれないのはあなたでしょ。さっさと正面切って告白すればいいのに」
「無理に決まってるじゃないですか。そんな恥ずかしい…」
リ「私から見ればあなたたちはどっちも同じよ。自信がないのかどうかは知らないけどさっさと告白すればいいのに。特にマーシャ、あなたにはミィヤっていう強敵がいるんだからね」
マ「うっ…」
リ「早くしないとリョウが折れるかもよ?」
マ「それは困…って何言わせてるのよ!っていうかさっきから私とフィリアのことばっかだけどあなたはいないの?好きな人!」
リ「そうねぇ…。自分から告白はしないけど付き合ってもいい人はまあまあいるわ」
「誰です?」
リ「リョウ」
マ「そこで!?」
リ「ケイト」
「本当にやめてください」
リ「クロ」
マ「そういう趣味?」
リ「クロに失礼ね。あと他にも3、4人いるわよ?」
マーシャとフィリアの顔が「うわ…、そういう人なんだ」と訴えている。
リ「なによ、その顔。別に痴女ってわけじゃないわよ。ただ付き合ってもいいっていう境界線は超えてるってだけよ」
マ「なんで上から目線なんだか…。っていうかクレア先輩は入ってないのね?」
リ「私は健全よ。そっちの道には絶対行かないわ。それに部長だって男子を好きになることはあるそうよ?」
「そうなんですか?」
リ「ただあれよりクールじゃなきゃいけないらしいけど」
マ「それは…難しいわね」
リ「そういう人、本当にいないかしら」
マ「軍隊にはいるんじゃないかしら。少なくともあと2年はがんばってね」
リ「ええ。なんとしても貞操は守るわ」
マ「今、それを言わないでよ…」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「え~っと、チョコをまず溶かすんですか?」
マ「そう書いてあるわね。めんどうならそのまま渡すのもありだと思うけど」
リ「…本当に公衆の面前でそれ言うのやめてよ。イメージ女子なんだから」
3人は調理室に来ている。
もちろんいるのは3人だけではなく大勢の女子が作っている。
まぁ女子としては一大イベントを控えている人も少なくはないのでところどころ張り詰めた空気だ。
マ「…活気づくかしら」
リ「多分。怒気っていう大声がたくさん聞こえるかも」
マ「駄目じゃない、それ!」
ミ「何騒いでるの?」
ミィヤが近づいてきた。
リ「あら、ミィヤ。あなたも?」
ミ「せっかくの機会だもの。リョウに上げないわけないでしょ」
リ「そりゃそうよね。ライバル登場ね、マーシャ?」
マ「わ、私は別に…」
ミ「リリア、やめなさい。私の勝ちが決まってるのにそんなこと言ったらマーシャが可哀そうよ?」
マ「…なんですって?」
ミ「なにか間違ったこと言った?」
マ「いい度胸じゃない。私に喧嘩を売ろうなんて」
ミ「やる気?さっきも言ったけど意味ないわよ?」
マ「そこまで言うならその喧嘩かってやるわ。どっちのチョコがよかったかリョウに吟味してもらいましょ?」
ミ「望むところよ!」
二人の間にバチバチと電撃が見える(魔法は使ってない)。
リ「いい記事がかけそうね」
「結局それが目的ですか…」
リ「当たり前じゃ。…!」
リリアが持っていたものをすべて机の上に投げ、フィリアを写真に収める。
「ちょ、なんですかいきなり」
リ「それを狙っていないっていうなら大した逸材よ、あなた」
「?」
リリアが写真を見せる。
写っているのはエプロン姿でチョコを混ぜているフィリアの姿。
しかし、顔には頬のあたりにチョコがついている(ベタだがこの世界ではかなり新鮮)。
しっかりカメラ目線だ。
「は、早く消してください!」
リ「何言ってるのよ?一枚後で上げるからチョコと一緒に上げたらいいじゃない」
「そ、そんな、そんなことできるわけないじゃないですか!お願いですからそれ消してください!」
リ「何言ってるのよ。残すにきまってるじゃない。あとで学校のかわいい女の子撮った写真をアルバムにまとめて売り出すわよ!」
「ほ、ほんとにやめてください!私は承諾してないからそんなことすれば訴えることできるんですよ!?」
リ「これ上げるから、どう?」
一枚の写真。
基本これが来ればなにか黒歴史が撮られている。
フィリアが恐る恐る見る。
「…」
「これはほしいんじゃない?」
フィリアの表情が固まる。
しかし、黒歴史を見た表情ではない。
「…これ」
「ん?」
「これくれるんですか?」
「もちろん。ただし、アルバムを作るとき載せるわよ、あなたの写真」
「…もっと小さい、この手帳に入るくらいのにできます?」
「もちろん!どうってことないわ。明日になるけどいいかしら?」
「かまいません。これで交渉に乗りましょう」
「ありがと。じゃ、改めてチョコ作りましょ」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
場所と人が変わってここは男子寮。
リョウの部屋にいつものメンバー(男子)が集まっている。
リョ「…」
ク「…」
レ「…」
ケ「…(疲れ切っている)」
マ「…」
リョ「なんだよ、これ…」
集まってはいるがいまいち理由がわからない。
おそらくバレンタインがらみだということは分かっているが。
ク「何って、女子が告白してくるんだよ?こっちも何か考えないと!」
何日か前まではサクと何か言っていたのにやはり男子。
このイベントは緊張しているようだ。
リョ「告白って…、義理チョコだってあるだろ?っていうか俺たちが緊張しても意味ないし。もっと言うならどうしてきてるんですか、先生」
マ「クロ君に呼ばれたんだよ。バレンタインなんて懐かしい響きだねぇ」
ク「先生、チョコをもらうにはどうすればいいんですか!?」
リョ(クロが気合入ってる…)
マ「いまさらどうすることもできないよ。1、2日で印象を変えるなんて不可能だしね。まぁどうしてもほしいのならお願いしてきたらどうだい?」
ク「それは…、ありですか?」
マ「無しだよ。あまりにも図々しい」
ク「ですよね…」
レ「そんなことしなくったってお前はもらえるんじゃないか?」
ク「本当?」
リョ「俺もそう思う(ショタ枠で)」
マ「私もそう思うよ(年下好きな人が多分)」
ク「そ、そうかなぁ…(照れ)」
照れている姿を見るとどうしても女の子に見えてしまう。
クロからチョコをもらえたら男でも嬉しいだろうなと思ったのはリョウだけではなかった。
リョ「なぁ、ケイトはどうしたんだ?なんかすごい疲れ切ってるように見えるけど」
ク「昨日までずっと患者の治療に当たってたんだって。自分治すのは簡単らしいけど、他の人を治すと恐ろしいほど魔力使うんだって」
リョ「ならなんで来たんだよ」
ケ「呼ばれてた、から…」
レ「そんなに重要なことやってないぞ?」
ケ「みたいだね…。ていうかなに?バレンタインって」
リョ「これ」
ケイトに新聞を見せる。
読んで理解した。
ケ「活気づけるには、いい考えだね」
リョ「俺もそう思う。ただ、俺的には戦闘訓練できるほうが盛り上がるんだけど」
レ「俺もだ。が、無理だろうな。こんな状況じゃ」
マ「そうだね。そういうことはしばらく自粛ムードだろうね。このイベントが終わった後でも」
いくら活気づいてもむやみに戦闘訓練はしばらくできないだろう。
が、しないわけにもいかないので早いうちに訓練場を新しく作るらしい。
リョ「そういえばケイト。お前、ネーム持ち倒したんだろ?」
ケ「フリミレスさんですか?一応は」
リョ「ずいぶんな戦い方だったそうだな?近くで見てたやつらが言ってたぞ?」
ケ「願わくばシューとクリティウス姉妹以外には見せたくなかったんだけどね」
リョ「回復も使いようなんだな。お前、今からでも戦闘兵になる訓練したらどうだ?」
ケ「勘弁だよ。もう戦いなんて御免だ。それにどんなに回復できても痛いんだよ?」
レ「痛み止めでも飲んで戦ったらどうだ?」
ケ「シューにも言われました。だけど完全に遮断するのはあまり体にはよくないし、やめておく」
ク「ちょっとみんな!話それてるよ?」
リョ「ああ。そういえば。だがクロ、さっき先生も言ってたがいまさらどうすることもできないぞ?予定日は2日後だ。どうするっていうんだ?」
ク「…それを聞きたかったんだけど、その調子じゃ本当にないみたいだね。じゃあおとなしく待つかぁ。こんな緊張するなら女子に生まれればよかったなぁ…」
この時、周りにいる全員が思った。
(…実はお前女子なんじゃないのか?)
実際、クロの裸を見たことがある人はいないので何とも言えない。
リョ「じゃ、この会はもうお開きでいいな?」
レ「そのようだな。じゃ、俺は戻るぜ。しかしまあ、学校もたいしたもんだな」
リョ「何がだ?」
レ「だって学校を土日を含めてとはいえ4日間も休みにしたんだぜ?驚きだよ、ほんと」
マ「学校としても早く活気が戻ってほしかったしね。これくらいはいいんだよ」
レ「太っ腹だな。じゃ、俺はこれで」
レックスが部屋を出ていく。
マ「私も失礼するとしよう。ケイト君はどうする?」
ケ「僕もそうします」
マ「なら送ろう。転移装置が使えるとはいえ少しは歩く。そこで倒れられては困るしね」
ケ「ありがとうございます。じゃ、クロ、リョウ。また今度」
リョ「ああ。じゃあな」
2人も部屋を後にする。
と、クロも転移装置に向かう。
リョ「クロ?どこ行くんだ」
ク「待ってるのもあれだからチョコ作ってこようかなって」
リョ「お前はもらう側だぞ?」
ク「いや、サクとの話を思い出してね」
あの討論してたやつだろう。
リョ「お前、まじか?」
ク「ここはサクに教えてあげないとね。ということで行ってきまーす」
クロも部屋を後にする。
「…」
残ったリョウは、本来なら男子からもらうバレンタインチョコなんて死んでもいらないところだがクロのと考えると悪い気もしなかった。
今回は書くことなかったんで前書きはないです。
…後書きも特にないなぁ…。
とりあえずこれからもよろしくです。