ここからはところどころとびます。
3ヶ月ずつくらいなのかな。
今回はほんの少しシリアスですがしばらく茶番が続くかも…。
強者の訪問
時は流れる。
戦争なんてなく、平和な時が。
リョウ達は今では6年生になっていた。
今、彼らは親睦会の準備期間だ。
4年生まではクロのペアが常に優勝していたのだが、クロはともかくフリミレスが捕まりうまい人がいなくなってしまった。
フリミレスはクロと古い仲だそうでクロは今でも釈放してもらえるよう交渉している。
6年生となれば学校に通うラスト一年間。
ラストなんだから出てみようかなと思いで作りに出る人も多い。
もともとリョウ達の学年は出る人が多かったので大差ないのだが。
で、今はその準備期間ということで友達や恋人を誘ってみようと食堂に来る人が多い。
「リョウ、出ましょうよ」
「…毎年お前はよく誘うな?」
「だっていい思い出になるし愛を確かめられるじゃない」
リョウは今、ミィヤに絶賛誘われ中だ。
周りにはマーシャ、リリア、フィリアと女子の3人はもちろんのこと、クロとレックス、ケイトもいる。
このいつものメンツ+クリティウス姉妹にシューレスもいる。
かなりの実力者がそろっておりなんかすごい。
「…愛って」
「いいんじゃない?僕、リョウが踊ってるところみたいな」
「クロ、何度も言うが俺は社交ダンスなんて知らないんだよ。恥さらしになるだけだ」
「なら僕が教えるよ。そういう類は得意なんだから」
クロはぜひリョウのダンスを見てみたいようだ。
リョウはこの学校に入学してからこれに参加したことは一度もない。
リョウ自身が嫌がっているのもあるのだが2年以降の理由はもう一つあった。
この話をするたんびにマーシャの視線が怖いのだ。
「マーシャ…、一体どうしたんだよ?」
「別に。ただ見てるだけよ」
「でも顔が怖いぞ?」
「そう?ならあなたの目がおかしくなってるのかしらね?」
周りはほとんどが理解しているのだがリョウは理由が全然わからない。
小声↓
「もしかしてリョウさん、まだ気づいてないんですかね?」
「当たり前でしょ。じゃなきゃあんなこと言わないわよ」
「マーシャさんも不器用ですね…。リョウさんも気づくべきだと思いますけど」
リリアはお前も人のこと言えないだろと思う。
ケイトもフィリアも奥手で気づかない。
いや、気づいているのかもしれないが行動に出ない。
お茶の約束もしたと言うのにまさかの本当にお茶をしただけ。
リリアはミィヤ達と同じく買い物ぐらいはするのかと思ったが校内のカフェでお茶を飲みながら話しただけ。
そのあとも何度か行ったそうだが進展なし。
それで2人とも満足しているのだからまた驚きとしか言いようがない。
「人のことは言えないわよね…」
「なんですか?」
「いいえ、別に。それよりあなたはどうするの、親睦会」
「…迷ってはいますけど」
チラッとケイトを見るとシューレスと話をしている。
小声らしく、内容は分からない。
背中を叩いて何か励ましているように見えるがそれ以外は…。
「ここで誘うのは無理ですよ。恥ずかしい…」
「奥手ねぇ…。応援はしてあげるけどそれじゃ何やっても―――」
そう言いながらケイト達のほうを見るとシューレスがこちらを見ている。
アイコンタクトを送っているようだ。
リリアはシューレスが言いたいことを理解する。
意地悪な笑いを見せるとまた、ケイトのほうに顔を戻す。
あちらも誘おうか悩んでいるようだ。
「まぁ、頑張りなさいよ。どうせ最後はあなた自身の力が必要なんだから」
「最後って…。今はダンスに誘うか誘わないかですよ?」
「いろいろとね。で、マーシャ。あんたはいいの?誘わなくて」
「別に恋人じゃないし、いいわよ。まぁ、リョウが誘ってくれれば…」
「…あなたも恋には奥手ね」
彼らの日常は続く。
普通の日常が。
戦争なんて起きない普通の日常が。
しかし、異変は少しずつ、近づきつつあった。
夜、9時ごろだ。
リョウは寮の庭にいた。
基本使われることはないし、しかも夜。
人影はサクを含めて2人しかいない。
なんでこんな所にいるかというと、マクアドルに呼ばれたからだ。
詳しい内容は不明だが重要なことだそうだ。
「リョウ殿、話っていったい何でしょう?」
「さぁな。ただ重要だということだけしか…」
あれから一年弱、分かったことはいろいろある。
本来ならば生徒であるリョウにはもちろんのこと、ただの教師であるマクアドルにも普通は入ってこないような情報も入ってきた。
すべて情報源はミリーナだ。
分かったことは2つ。
1つ目、帝国の方に敵の本拠地はないということ。
侵攻があってから2ヶ月後、軍隊は地図通りに敵地へ向かったのだ。
その地図は古かったので変わっている可能性もあったのだが敵地は変わらないところにあった。
少人数を絞り込み入り込んだのだが不思議なことにあるのは民家のみ。
立派な建物はなく、ミューズデルと比べると少し古い民家のみが並ぶ。
後の調べによると、位が高い人はここには住んでいないと言う。
どこにいるかも誰も知らないと答えたそうだ。
拷問をして聞き出すと言う手法もあったのだが、相手は非戦闘員のみ。
ここでそんなことすれば不審に思われかねないのでやめだった。
一応、今そこはミューズデルの支配下に置かれているそうだ。
2つ目は分かったというより利益だ。
以前もらったミリーナの厚い本をケイトに渡したところ、認知無キ魔法《アンノウン》を覚えられたらしい。
シューレスも同じく。
2人の家系のアンノウンはすでに途絶えており知らないままだったそうだ。
だが、この本にはA~Zまでそれぞれのアンノウンが記されていたらしく苦労したがマスターした。
今でもシューレスはこれを一字一句読み漏らさずすべて読んでいる。
他のネームについてもだ。
この時リョウは初めてシューレスが努力家だということを知った。
今回呼び出されたのはきっとそれ以上のことがあるのだろうと思い来たのだが…遅い。
「もう10分経ったか?」
「そうですね。まさか忘れているのでしょうか」
そんなことはない、きっと教師の業務が遅れているのだろうと待つことにしたその時。
足音がした。
「遅いですよ、先…」
音がしたほうを向くと知らない男が一人。
一見普通の人に見えるがありえない。
この寮に一般人は普通は入れないからだ。
「…何者だ、お前?」
「…赤島信乃だ」
知らない名前。
だが、それ以上に気になるのが今の言い方。
「シノブ・アカジマの方がもう慣れたのか?」
すぐにドールを展開する。
こいつは地球について何か知っているのは間違いない。
「それが君の5段階目か…。だがなぜ今展開する?」
「当たり前だろ。今の名前のしゃべり方、地球の日本と一緒だった」
「…成程。何も話していないのか。だけど、それも面白いな」
赤島も手をかざした。
すると腕時計が水のごとく溶けていく。
下に水たまりができる。
やがてそれは人の形をかたどり始めた。
「使い魔か…!」
やがて1人の人間の形ができる。
しかし、その形は知っている人の形だった。
「え?」
「私が…もう一人?」
サクが形作られた。
見た感じは違いが判らない。
どちらが偽物かと聞かれると見た目だけでは分からない。
「水の妖精だ。この子はどうも相手をまねるのが好きみたいでね」
サクが怒りをあらわにする。
真似られるのがどうも許せないようだ。
「リョウ殿、あいつは私が」
「頼むぞ」
サクの武器は小さな刃物とワイヤー。
小さな刃物といったが15cmはある。
竜の状態になれば火を噴いたり爪を使ったりとできるが最近はこっちの戦い方も勉強中だ。
敵の確認をするとすぐにリョウが動いた。
ヒュニスを使い、使い魔と引き離す。
地面に刺すように赤島に攻撃する。
赤島はそれをひらりとかわし使い魔と離れる。
リョウとサクはそれぞれの敵に向かっていく。
リョウはまず近づき矛で斬り倒そうとする。
しかし、これを紙一重でかわされる。
そこから派生させてさらに2突き加えようとするが、これも紙一重。
ヒュニスを引き戻し、さらにその6つも使い攻撃を加えようとする。
が、まさかのすべてを避けられる。
恐ろしいことにすべて紙一重の距離だ。
「どうした?その程度か」
「避けてばかりだな?そんな無駄口叩いてられるのかよ」
「俺が本気を出せばすぐに決着してしまうからな。ライル、今時間は?」
サクと戦っている使い魔が答える。
「9時17分です」
「ならあと2分だな。2分後に反撃を始めてやる」
リョウもここまで言われて黙ってはいられない。
赤島に近づき久しぶりに唱える。
「フラッシュ!」
「!」
突然の光に赤島の視界が奪われる。
ただでさえ夜で多少周りが暗かったので効果は絶大。
しばらくは敵の視界は戻らないだろう。
そうなればこのなめた回避はもちろん、避けることすら困難になるはず。
赤島は目をつぶり平然とした顔をしている。
視界が奪われたのにもかかわらず余裕なようだ。
リョウは殺すわけにもいかないので矛をしまい、手で殴る。
真正面から右ストレート。
が、ここもなんと避けられた。
紙一重ではないがそれでもギリギリなほうだ。
「なっ!?」
避けられたことに動揺しリョウに隙が生まれる。
しかし、赤島は反撃をしない。
「どうした?あと1分だぞ」
リョウはその言葉に我を取り戻し、新たに魔法を唱える。
「ライトチェーン!」
光る鎖がリョウの手元に現れる。
以前、これは長さを伸ばすという用途で使ったのだが本来の用途は束縛だ。
使用した魔力の量だけ伸びるこの鎖は簡単には壊れず、多少ならばリョウの思い通りに動く。
鎖を投げ、赤島を捕らえる。
赤島はただ巻きつけられた。
「終わりだ!」
殴りかかる。
が、ここで予想外の展開が起こる。
鎖にひびが入ったのだ。
リョウが拳を当てようとした瞬間には鎖が壊れ、かわされる。
いくらリョウが魔法を得意とはしてないとはいえここまで早く壊されたことはない。
リョウも驚きを隠せない。
「信乃さん、19分です」
ライルが赤島に伝える。
すると赤島はさっきまで閉じていた眼を開き、リョウに向かって直進する。
リョウはヒュニスを盾に使い、矛を構える。
赤島は何も持たず、走ってきた。
リョウはヒュニスを盾のごとく設置。
少しだけ簡単に破れそうなところをあえて作り矛を構える。
(いつでもこい!)
しかし、また予想外なことが起こる。
なんとリョウが作った簡単に開ける道ではなく難しいところに衝撃が加わる。
一撃でヒュニスの一つが砕け、道が開く。
疑問を与える暇もなくリョウに接近し首をつかみ地面に叩きつけた。
「…!」
「チェックメイトだ。もちろんあちらもな」
サクのほうもまったく同じ状況になっている。
同じ顔同士で戦っていたのでどちらがサクかは不明だがおそらく身動きが取れないほうが本物。
「お前、何者だ?」
「だから赤島信乃だって言ってるだろ」
「帝国の連中か?」
「昔はね」
「昔?」
「今は―――」
「赤島、リョウ君は私の生徒だよ?」
ここにきてマクアドルが現れる。
しかし、焦っている様子も赤島を敵視している様子もない。
「首に手を当てるのは、やりすぎじゃないかい?」
「…済まないな。お前のお墨付きだったから少し期待していたからこれくらい力を出したのだが」
「私が教えたのは侵攻があった時の話だよ。今はただの五段階目」
「そうか」
首から手を離し赤島がリョウから離れる。
ライルも同じく手を離し赤島のもとに戻る。
「…先生、そいつは何者ですか?」
サクが悔しそうな顔をしながらリョウのそばに戻る。
「リョウ君、名前を聞いたろ?赤島信乃だよ」
「そうじゃありません。…知り合いなんですか?」
「そりゃ、数少ない地球人だしね」
使い魔紹介
リンとラン
2人とも白い髪に肩のあたりまである。
この二人は双子らしくまったく同じに見える。
しかし、見分けるのは案外簡単で目の色に特徴。
リンは赤、ランは黄色が入っている。
共に3歳。
身長も共に110cm前後(人の状態では)。
2人とも女の子。
容姿は幼稚園児といっていいほど身長が小さく、無邪気だがサクより年上。
髪が白いのは白い蛇だからだが目の色は関連していない。
2人とも戦うといえるほど本気を出したことがないため戦闘能力値は未知数。
普段はマーシャやリリアの使い魔というよりただの子供でいろいろな所に行って遊んでいる。
リンが初めにしゃべり、ランが後に続くのが彼女たちのスタイル。