異世界にて〜魔法と科学の小競り合い〜   作:tubukko

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激辛麻婆豆腐、再臨。


あ、いや、別に超重要ってわけじゃないです。
ただ何となく出てきたので書いてみただけです。


化学兵器?

「…少しは様になりつつあるな」

 

リョウは今、特別カリキュラムをこなしている最中だ。

場所は校庭。

基本、学校はここを使うことがないのでリョウの授業をする場所はここになりつつあった。

 

「リリアぁ!そんなもんか?ただの攻撃馬鹿じゃ意味ねぇぞ?」

「最近はやけに口数が増えたわね!」

 

今やっている内容はリリアがドールを展開し、リョウがリリアが撃ってくる弾を避けるという訓練。

勿論人の目では普通の銃弾を追うことなど出来るはずないので、それよりも遅いものを使っている。

 

「ほら、このままじゃ今日はお前が罰ゲームだぞ?」

「それだけは絶対嫌!」

 

 

 

 

=================================

 

 

遡ること数か月前…

 

 

リリアが訓練に参加した理由が分からないまま、リョウはリリアと訓練をしていた。

リョウは主に身体能力の向上を主とするメニューだったが、リリアはじゅうの命中率を上げるメニュー。

はじめは軍人だから銃系統のドールは強くしておきたいのかな、と無理くりくくりつけて訓練に没頭。

 

 

しかし、そこから約1ヶ月後…

 

 

 

「リョウ、もっと早く避けろ!それだといつまで経っても訓練が終わらないぞ!」

「お前馬鹿だ…ろ!?」

「敬語を使え」

 

リョウは恐ろしい訓練に付き合わされることになっていた。

内容は生身でリリアの銃を避け続けろ。

リリアは弾のスピードを調整できるよう、ドールの武器で撃ってくる。

つまり当たれば体が抉られる、或いは死ぬ。

 

「あんたは順序ってもんを知らないのか!?ゴム弾ならともかく実銃?」

「それでは緊張感がでないからな。生きたければ避け続けろ」

「リリアに殺人罪でも負わせる気か?」

「俺の知り合いにNのネーム持ちがいる。銃で空いた穴くらい簡単に埋められる」

 

…それならば別に当たっても大丈夫じゃないか?とリョウの心に余裕ができる。

いや、それは油断だった。

その時、リリアの撃った弾がわき腹に命中したのだ。

勿論、痛みに耐えきれず地べたに転がる。

 

「あああぁぁ!」

「リョウ!」

「油断したな?いくら生き返れるとはいえ、痛いのには変わりない」

 

グネズトがリョウに近づき、リョウのわき腹に手を添える。

何か唱えたかと思うとやがて痛みが引いていった。

 

「俺でもこれくらいなら治せる。リョウ、立て。訓練再開だ」

「…避けるのを失敗するたんびにこの痛みかよ?」

「いずれ慣れる…、と言いたいところだが何度受けても痛いことに変わりはない。もし痛みを感じたくなければ、自分から死にに行けばいい」

「上等だ…。絶対、避けきってやる!」

「リリア、再開だ」

「…」

 

リリアが立ち尽くしている。

どうやら狙ってはいたが当たるとは思っていなかったようだ。

治るとはいえ、これからも傷を負わせると理解したのだろう。

 

「リリア、まさか怖気づいたのか?」

「…グネズト大佐、こんなやり方じゃなくても…、疑似戦闘体験装置でも使えば」

「それでは身体能力が向上しない。生身で走って逃げて、初めて力がつく」

「でも…」

「リリア、俺は構わない。頼む」

 

リョウの強い声。

何がこもっているのかは分からなかったが、リリアにも強い何かが伝わる。

 

「…謝ったりはしないわよ?」

「そうしてくれ。本気で頼むぞ」

 

 

 

 

 

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それからこうしてずっと、似たようなことをしている。

今ではリョウが被弾する確率が限りなく0になり、リリアはむしろ意地でも当ててやると頑張っている。

 

「よし、今日はここまでだ」

 

グネズトの合図があり今日の訓練が終了する。

リリアはドールの装備を解き、膝をつく。

ズーン…という効果音が似合う状況だ。

 

「今日はリョウに伝えることがある」

「なんですか?」

「これだ」

 

腕輪から「ミュレス」の広告が映し出される。

前にも言ったが、これは参加は自由の対戦だ。

4年生からあり、自分を企業へ売り込むという意味でも使われる。

端的に自分の強さを見せつけるならここほどいい場所はない。

 

だが、リョウにはあまり意味のない話だ。

理由は単純。

すでに就職先が決まっているからだ。

グネズトの訓練を受ける時点で軍隊に行くというのは決まっていた。

他にも実力者は、特にネーム持ちなんかはこの時期にはたいてい決まっていてみんながいろいろ就職先を探す中、ゆっくりしている。

ちなみにリリアも軍隊に行くらしい。

 

「これに出ろっていうことですか?」

「これの強靭対戦にでろ」

 

強靭対戦

簡単に言えば強い奴の寄せ集めの大会。

普通の大会の方はSバリアのエネルギーがなくなる、或いは何かしらの理由で戦闘続行が不可能になればそこで終了する。

だが、これは疑似戦闘体験装置を使用するため相手が死ぬまで戦い続けるガチなやつだ。

 

「構いませんけど…これ、出れるの4人ですよね。予算上の都合で」

「そうだ」

「俺が確実に出れるって言う保証ありませんよ?」

「お前が出れないとなると全部の枠が魔法側で埋まるな。そんなことはないから安心しろ」

 

…確かにリョウが出れないということはおそらくない。

これは希望者が参加志望を出し、上の人が今までの成績をふまえて出場者を決める。

侵攻を止めた一人であるリョウがはじかれることはまずないだろう。

 

「リョウ~」

 

校舎の方から走ってくる人影が見える。

 

「ミィヤか…。ちょうどいいな」

 

実はミィヤ、この訓練に参加を希望していた。

マーシャもだが、2人とも特に必要ないとのことではじかれた。

そのせいでマーシャはともかく、ミィヤはかなりグネズトのことを嫌っている。

 

「リョウ、訓練終わったでしょ?晩飯食べに行きましょ」

「そうしたいのはやまやまだがリリアの罰ゲームと、大佐からの話が…」

 

リョウはグネズトのことを大佐と呼んでいる。

なんとなく呼びやすかったからだ。

 

「チッ…。あんた、さっさと話しを終わらせなさいよ」

「…お前の俺を敵視する目は今まで向けられたことがないくらい殺気がこもってるな」

「いやなら私をリョウとくっつけなさい」

「それ、他人にお願いするか?」

「だってこいつのせいで私とリョウの時間がかなり削られたのよ!それくらいしてもらわないと気が収まらないわ」

「ミィヤ、お前に朗報だ」

 

2人がグネズトの言葉に顔を向ける。

グネズトの顔が笑っている。

 

「…なによ?」

「リョウ、今回お前が倒すべき対象はただ一人。それはケイトだ」

「よし、無理ゲーきた!」

「最初にあたらせるように俺が仕向ける。そのあとは負けても勝ってもどっちでも構わない。だが、もしケイトに負けたら…」

「負けたら?」

「一日ミィヤの人形になってもらう」

「大佐、アザッス!」

 

ミィヤの目が尊敬の目に変わる。

しかし、リョウはそれを良しとするはずがない。

 

「いやいやいやいやいや!なんでそうなるんだよ!?」

「今のお前なら勝てると踏んだからだ」

 

普通に考えれば無理だ。

ケイト自身は厳密には不死身じゃないと言っているが、誰も殺し方は知らない。

そんな相手に勝てるわけないのだ。

 

「相手不死身ですよ!?無理でしょ?」

「それは普通の勝負の話だ。今回は強靭対戦。戦場とはわけが違う」

「…どういう意味ですか?」

「今回の強靭対戦の勝利方法は相手を殺すことだ。データだから容赦はいらない」

「いや、だからケイトは不死身なんですよ?」

「本当にそうか?」

 

起き上がってくるのだから死んでないのだろう。

そう思っていたが、そう言われて少し考える。

そして、一つのことを思い出す。

 

ケイトは確か敵から情報を聞き出すため、敵の治療をした。

それも死体だったはずの敵を。

 

「…あっ」

「そういうことだ。あいつは死んでないわけじゃない。死んでから生き返ってるんだ」

「まるでゾンビですね…」

「身体能力も上がったお前ならドールをつければ衛生兵にはネーム持ちといえども負けない。そう思った」

 

確かにそう考えれば相手は衛生兵志望のネーム持ち。

攻撃魔法もあまり得意ではないと言っていたし、勝ち目がないわけじゃない。

 

「…分かりました」

「なら鍛えておけ。参加申請は俺がしておく」

「あの、大佐。俺が勝った時は何かないんですか?」

「…、ならお前が勝った時には―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、なんて言ったのよ?」

「何人か好きなやつも一緒に訓練してやるって」

「なら、頑張れよ。俺も軍隊志望だから勉学より体を動かしたいんだ」

「…最低限はつけとけよ、知識も」

 

リョウは今食堂で晩飯を堪能中。

 

「で、リリアは食べないのかそれ?」

「…(汗)」

 

リリアの目の前には名物罰ゲーム料理である激辛麻婆豆腐だ。

今のところ、ケイト以外おいしそうに食べた人を見たことがない。

不死身だと味覚が少しおかしくなるのだろうか?

 

「おいしいですよ?せっかく頼んで食べないなら僕に…」

「ケイト、それじゃ罰ゲームにならない。最低10口は食べないと」

「じゅ…10口!?」

「そう決めただろ?約束破るなら即クレア先輩に連絡だな」

「…!」

 

スプーンを持って震えるリリア。

ある意味究極の選択だ。

 

「っていうか、なんでケイトいるんだ?ここ、科学側の学食だぞ?」

「今日はこっちの先生の手伝いしてたんだ。就職先決まったし、暇だったからね」

「成程。で、リリアはまだ食べないのか?」

 

震えているリリアをしり目にケイトはパクパク食べている。

リリアは一度これを食べたことがあるため、これの辛さは知っている。

マジで涙が出てくるほどだ。

 

「おいしいのに…」

「ケイトさん、それよく食べられますね…」

「フィリアは食べたことないの?」

「真っ赤じゃないですか?すごい辛そうで…」

「なら食べる?はい」

 

スプーンで一口分すくってきた。

普通ならばすぐにでも食いつきたいところだが、食べ物があれだ。

ここでフィリアも究極の選択を迫られる。

 

(こ、ここここれは、世にも名高い、かかか間接キスというものですか!?食べたいですけど…!)

 

目の前にあるのは真っ赤になっている麻婆豆腐。

ちなみに今のケイトに邪な考えはない。

 

(食べたい、ですけど辛そう!ですけど…!)

 

「…葛藤してるわね」

「どうするのかしら?」

 

フィリアはこれを食べたことがない。

だからどのくらい辛いか知らない。

人は決まってこう思う。

「自分は大丈夫」と。

 

「じゃ、じゃあ一口…」

「はい、どうぞ」

 

まさに、あ~んの状態。

古くはあるがこれを好きな人にされて嫌な人はいないだろう。

フィリアにとって至福のひと時が流れる。

 

「パクッ」

 

その瞬間、天国が地獄に変わった。

 

「どう?おいしい?」

 

ケイトの笑顔がフィリアの目に映る。

悪気がないのだから逆に恐ろしい。

 

「え、ええ。とても…!」

「それはよかった。もう一口いく?」

「…!!」

 

あの至福のひと時はまた味わいたいが激辛麻婆豆腐はまずい。

次食べたらどうなるか、わかったもんじゃない。

 

「ケ、ケイトさんに悪いですし、いいですよ。それより私…、少しトイレに行ってきます」

「そう?今度食べようね」

 

フラフラとトイレに向かっていくフィリア。

トイレに着いた後はしばらく辛さがゆえに涙が止まらなかったそうだ。

 

そんなフィリアを見てリリアは青ざめる。

 

「リリア、フィリアは食べたぞ。お前はどうした?」

「…慈悲を」

「なら3口にしてやる。ただし5秒以内」

「え?」

「4,3,2」

「え、ええ?」

「リリア、早くしないと!」

「1…」

 

リリアが一気に口の中に押し込む。

三口分だ。

 

勿論すぐに立ち上がる。

ダッシュでトイレに向かって行った。

顔が見えないのが残念だった。

 

「女子には優しくしてあげなくちゃだめよ?」

「言いだしたのはリリアだ。俺は悪くない」

「で、この残ったのはどうするの?」

 

3口食べただけでは勿論なくなったりはしない。

 

「ケイト」

「ごめん。なんかお腹いっぱいで…」

「私は絶対いやよ」

「私もリョウの頼みであっても無理ね」

「僕も」

「俺も」

 

いくら辛いからといってこれを返すのはなんか気が引ける。

 

「じゃあ使い魔に食べさせてみたら?なぁ、クゥ?」

「…主、あれは人のでも妖精の食べ物でもありません。化学兵器です」

 

ケイトのポケットから顔を出したクゥがものすごい嫌がっている。

妖精でも食べられないようなものを食べてるケイトっていったい…。

 

「ならサリス、ノリス。食べてみて」

「「承りました」」

 

突然どこからともなく現れる2人。

顔色を少しも変えることなく、それぞれスプーンで一口。

 

「…どう?」

「「…」」

 

一見何もないように見えた。

が、2人の顔が赤くなり始める。

 

「…ミィヤ様」

「何?」

「少し、お暇を頂戴します」

「えっ?暇ってどういうこと!?」

 

2人とも消える。

残ったみんなはケイト以外、麻婆豆腐を危険視する。

 

「サリスとノリスを一口で…」

「恐るべし、激辛麻婆豆腐」

 

 

それからというもの、使い魔をも撃退する激辛麻婆豆腐は名を改め全校生徒から「化学兵器」と呼ばれ、それを平然と食べるケイトは「化学兵器の母船」という不名誉なだけでなく、なんともネーミングセンスのないあだ名が付けられたそうだ。




使い魔紹介




クゥ
髪は基本はショートカットに茶髪。
年齢不明。
性別不明。
身長は基本サクに合わせるので155cm。
土の妖精で、体の構成は自由に変換可能。
サクに会う時以外はケイトのポケットに入るような大きさになりそこで寝ている。
ケイトは主とも思っているが、ただの変わった人とも思っている。
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