でも別に今までと比べて何かが変わったりなんてありません。
学生生活と大差ないと思ってくれればそれで構いません。
まぁ、学生生活も大して書いた覚えがありませんけど…。
「久しぶりマーシャ、似合ってるじゃない」
「あなたも人のこと言えないわよリリア」
リリアとマーシャが久しぶりの再会をする。
リョウはそれを傍らで見ている(隣にサクもいる)。
短かった休みが終わりリョウたちは軍の入隊式に出席する日になっている。
学校は2月中旬に終わり今は3月の初めだ。
本来大抵の職は4月に始まるのだが、今軍は人手がほしいため始まる時期が早くなっている。
「みなさーん!」
呼ぶ声がしたので見てみるとフィリアがいた。
見た感じは相変わらずだ。
まぁ、リリアも変わってなかったしそもそも1ヶ月も経たないうちに人はそこまで変わらないだろう。
「フィリア、久しぶり」
「変わってないわね」
「それは褒めてるんですか?」
ちなみにみんな学校の制服ではなく、軍隊の制服を着ている。
実はこの軍隊、そこに関しては対して強くは規制してなく私服の人も少なくない。
だが、何かしら式があるときぐらいは着るべきだということで今は着ている。
「リョウさん、お久しぶりです」
「久しぶり、フィリア。元気そうだな」
「ええ。しかし…」
フィリアがじっとリョウを見る。
「なんだ?」
「…なんか合ってますね。リョウさんとその軍服」
「フィリアもそう思う?」
「やっぱりだれが見てもそうなのかしら」
「…これは喜んでいいところなのか?」
リョウの前で3人が盛り上がる。
客観的視線をリョウは味わうことはできないので似合っているのかは分からない。
後でちゃんと鏡で見ておこうと思う。
「ねぇリョウ、一枚写真撮らせてよ」
リリアがカメラを持ち出す。
この世界では滅多にお目にかかれないインスタントカメラだ。
もっとも、古いものではなく色も画もきれいに撮れるのだが。
「なんで俺が記念に撮られるんだよ。本物撮ればいいだろ」
「違うわよ、フィリアちょっと持ってて」
フィリアにカメラを預けリョウの隣に移動した。
そしてピースをする。
「ほらリョウ笑って」
「マジか…」
「…確かに軍人と並んでるように見えます!」
「マジか!?」
「はいチーズ!」
撮るとすぐに写真が出てきた。
「…いいじゃない!」
「どこがだ?」
「この私が笑ってくる感じとリョウが無表情な感じ!まさに軍人と観光客よ!」
きゃっきゃ盛り上がる女子をよそにリョウは背筋に視線を感じた。
「(…この感じ)」
前にも味わったことがあるこの視線。
ミィヤにミートボールをあ~ん、で食べさせられた時だ。
軍人はこちらの世界でも比率で言えば男性のほうが多い。
そんな男子たちがじろっと見てくるのだ。
リリアたちはそんなことには気づかない。
「私も一枚くださーい!」
「いいわよ、並んで並んで」
フィリアがリョウの隣に来た。
再び視線が強くなる。
「(俺は悪くないのに…!)」
「ほらリョウさん、無表情で!」
「写真撮るときに無表情を要求されたのは初めてだよ」
「いくわよ…、はいチーズ!」
写真がカメラから出てきた。
必死で顔にはその恐怖を顔に出さないようにする。
「…すごい」
「お前らは何がしたいんだ?」
「いや、ここまで軍服に会う人そうそういないし。大佐より似合うわよ、たぶん」
「今日は入隊式だっていうのに、なぁマーシャ?」
唯一おとなしいマーシャに同意を求める。
先ほどまで写真を撮る人の隣にいたからそっちを見たのだが、いない。
「…」
隣を見ると少し恥ずかしそうにマーシャがいる。
「…お前もか」
「べ、別にいいじゃない!入隊式の記念よ」
「お前は俺の親か!?」
「はいはいお二人さん、笑って?」
もうやめてくれリリア。
周りの目線が痛いんだ!
お前らは楽しんでるだけかもしれないが俺は後の生活に支障が出かねないんだぞ!?
「はいチーズ!」
カメラから写真が出てくる。
「マーシャ、もっと笑わないと」
「そうですよ、これじゃ好きな人前に恥ずかごふっ!?」
フィリアの腹に容赦ないこぶしが入る。
「フィリアァァァ!」
「いいのよこれで。あくまで記念写真が撮れればいいんだから」
…とりあえず一難去ったか?
ようやく胸をなでおろすリョウ。
するとサクが服の袖を引っ張ってきた。
「リョウ殿、私も一枚」
「…頼むから勘弁してくれ。これ以上は…」
「だめ…でしょうか?」
サクが残念そうに肩をおとす。
…。
「リリア。サクと俺で撮ってくれ」
「リョウ殿!」
「いいわよ、今日のリョウは女運がついてるわね」
笑ってー、といいながらリリアはカメラを構える。
リョウは心の中で「ついてねーんだよ!」と叫びながら笑顔を作る。
今日は災難だ。
いくらサクが使い魔で、もともとは竜だといえども人の姿では女子。
これもまた視線にさらされた。
シャッター音がなり写真が出てきた。
サクがそれを見て喜ぶ。
「ありがとうございます、リョウ殿!」
リョウに腕を絡ませて喜ぶ。
「…」
ここでリョウの思考が一時停止する。
恥ずかしいからではない。
周りの視線が怖いからだ。
「(…俺の軍隊生活おわったな)」
「リョウー!」
意識が落ちかけた時、リョウに呼びかける声がした。
クロがいた。
相変わらず低身長でよく軍服が見つかいったな?と思う。
「クロ!」
まさに救いの手だ。
男子がやってきた!
これで少しは視線もよくなるはず…、あれ?
「みんな、何盛り上がってるの?」
「クロ、リョウを見て何か思わない?」
「…軍服が似合ってる!」
おい、お前ら。
こればかりは反論するぞ。
クロは男だ。
「でしょ!?で、みんな写真を記念に撮ってたの!」
「見せて」
俺にはそんな変な想いはないぞ。
この変態共。
「すごい、本物みたい!」
「でしょ?クロも一枚どう?」
「いいの?リョウ、じゃ僕も一枚!」
「いいぞ」
いいかお前ら。
クロは男だ。
確かにどこか女々しいところはあるが男だ。
全く…、お前らを気にしてた俺が馬鹿だったぜ。
「はい、じゃ笑ってー。リョウは無表情で?」
「笑ってもいいよ、リョウ?」
「…そうか?」
…かわい―――。
…違う、俺は違う。
「いくわよー?」
「いいよ!」
ここでクロが体を密着させてきた。
…アカン、何かに目覚めそう。
「はい、チーズ!」
カメラから写真が出てきた。
「どう?」
クロが密着させながらリョウを引っ張り写真を見に行く。
…放してくれクロ。
変態共の目線も痛いがこっちもいろいろおかしくなる。
「はいこれ」
2人が映った写真がクロに渡される。
「すごい、本当に軍人みたい!ほら、リョウ」
クロの攻撃、笑顔。
痛恨の一撃!
…。
「レ…」
「ん?」
「レックス、シューレス、ケイト!だれでもいいから早く来てくれぇぇぇぇ!」
――――――――――――――――――――――――――――――
「救護班はこちらです。戦闘部隊はあちらになります。係員の指示に従い行動してください」
さっきまでワイワイガヤガヤと楽しそうな声がしていたが今は少し緊張の糸が張りつめている。
だがリョウは…
「…おい、クロ。こいつはどうしたんだ?」
「いや、よくわかんないけど…写真を撮るのに疲れたんじゃない?」
列に並んでいるレックスが後ろのリョウのことをクロに訊いている。
ぐったりしていてなんか可哀想だ。
「リョウ、大丈夫か?」
「…母さん、蝶々が飛んでるよ」
「…重症だな」
文字通り真っ白になっている。
レックスがこの集合所に来た時にはすでにこうなっていた。
今は立っているが、さっきまでは立つことすらままならなかった。
ちなみに今サクは会場に先回りしてリョウを待っている。
何があったのか訊きたい気もするがそこはやめておく。
「それでは皆さん、ただいまより入隊式を始めたいと思います。それぞれ目の前にある転移装置が見えますね?」
レックスが並んでいる列にはリョウ、クロ、マーシャ、フィリア、リリア、シューレス、クリティウス姉妹の9人。
全員(科学側のみ)在学中に訓練させてもらった人達だ。
ケイトとの賭けに勝ち、全員訓練することになった(軽くほったらかしてたが)。
もともと自分の部隊に入れるつもりはなかったが訓練してしまったという事実ができてしまった以上、面子のためにも外せないらしい。
フィリアは心底ケイトがいないことを残念に思っていたが自分に回復スキルは少しもないので衛生兵にはなれない。
「リョウ、いい加減目を覚ませ」
「なんだ母さん、もうお「いい加減にしろ」ホブッ!?…レックス?」
「やっと目を覚ましたな…」
一発顔のこぶしを入れたらようやく目を覚ました。
「転移装置に乗ると会場にたどり着きます。そこからは依然お話した通りです。そこの話はしなくてもいいですね?」
「何の話だ?」
「これから入隊式が始まるんだよ。行儀よくしろよ」
「そ、そうか…」
ところどころ記憶が飛んでいるのはなんでだろうと思うが思い出せない。
…。
「(ま、いいか)」
そこで考えるのをやめ前のことに集中することにした。
「それでは1番の転移装置の前の方々、順番に転移装置に乗ってください」
1番はリョウたちの列だ。
一番前にいたシューレスが転移装置に乗る。
あとは順番にクリティウス姉妹、フィリア、マーシャ、リリア、クロ、レックスと乗っていく。
最後はリョウだ。
「ふぅ…」
こういう式は何度味わっても緊張する。
だが、このままゆっくり深呼吸をしている暇などない。
緊張しながら転移装置に乗った。
次の瞬間、目の前に広がった景色は…灰色。
「え?」
目の前の景色を前に困惑する。
目の前にあったの遠くまで続く、ぼろぼろの…町?
周りには倒壊した建物が多くあり、緑は見当たらない。
がれきの山だ。
こんなところが会場?
「…リョウ?」
声をかけられ振り向く。
マーシャだ。
「マーシャ。これはいったい…?」
「分からないわ。会場…かしら?」
「無理があるだろ。だいたい人がいない」
「じゃ…、力試し、かしら?」
入隊早々力試し。
グネズトならやりかねないが…
「いや、そんな話は聞いたことない。それに入隊式を潰してまでする力試しなんてあるのか?」
「そうよね…」
しかし困った。
転移装置できたということは、ここにも転移装置はある。
だが、起動していない。
「手違い…か?」
「そう考えるのが自「いや、違うぜ」」
マーシャが話している間に知らない声が響く。
あたりを見渡すと1人、立っている。
「…お前は?」
「上官かもしれないのに敬語はなしか?」
「これでも場数はある程度踏んでいる。お前みたいに殺気を思いっきり放ってたら分かる」
「成程」
顔は普通に見えているのだが、体はコートのようなもので覆っている。
「だが…、なんでお前がいる?」
「なに?」
「俺はそこの女は指定したが、リョウといったか?お前は指定してない」
「私を指定?どういうこと?」
「これを見て…思い出せるか?」
相手がコートから右腕を出した。
ただの右腕だ。
「…それがどうしたのよ」
「今わかる」
相手は右腕の付け根を掴んだ。
すると突如、その腕を力いっぱい引いた。
「「!」」
引いた手には右腕の皮がある。
だが、血はついていない。
腕が引っこ抜かれることはなく、皮だけきれいにはぎとられていた。
痛がるそぶりも見せない。
そして、皮がはがれた腕には筋肉はなく、あったのは鉄製の腕。
「あ、あなたまさか…!」
さて…、いよいよ物語が終盤にさしかかりましたが正直どのくらい後あるのか自分でも分かりません。
終盤といっても「全然続いてるじゃねーか!」という展開も否めません。
ともかく、これからもよろしくです!