異世界にて〜魔法と科学の小競り合い〜   作:tubukko

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ふう…。
最近はいろいろあって大変です。
2,3月が懐かしいなぁ…。


ロボットと手品

「早く帰っていいことしたいわ…。ねぇ、あまり傷つけたくないから黙ってついてきてくれないかしら?」

「私が『はい、いいですよ』って言うと思うの?」

「やんちゃね。でも、それもまたいいところ♪」

 

リリアとフィリアがナタリーと戦っている。

ナタリーはネーム持ちなのでもちろん魔法を。

リリアとフィリアはドールを既に展開済み。

2人ともすでに5段階目だ。

 

「フィリア、何か作戦は思いついた?」

「…あまりいい感じのは思いつきません。まずは相手のネームの力について知らないと危険です」

 

ナタリーは未だにネームの力を明かしてこない。

それどころか魔法をまだ一つも使っていないのだ。

どちらとも相手を観察中といったところ。

 

「じゃあ私が引き出してみるわ」

「できるんですか?」

「私のドールの5段階目、面白い力を持ってるのよ。見てなさい」

 

リリアのドールは銃の衝撃を抑えるため、普通のドールよりも大きく動きが鈍重になりがちだ。

その分防御力もあるのだがリリアにはまだ違う手がある。

 

「武装装甲変更。軽装型」

 

リリアが言うとドールのパーツがどんどんはがれていく。

盾ともとれるような肩にある部品から大きくなっていたすべてのパーツが消えていく。

最終的に普通のドールと同じくらいまで大きさが変わる。

 

「ずいぶん減りましたね」

「さっきのままだとあまりに重すぎて動きにくいからね。こうすることである程度はスピードが戻るのよ」

「でも銃の衝撃は?」

「それは緩和してくれるのがなくなったから体にもろに来るわ。でも、私だって訓練はしてきたのよ。ある程度までならいけるわ!」

 

リリアが銃を構える。

大きさはほとんど変わらず重そうだが、顔には一切変化はない。

 

「私がこれで攻撃するからフィリアは敵の能力を見極めることに集中して!」

「分かりました。頼みます!」

 

リリアがナタリーに向かっていく。

速さはお世辞にもすごいとは言えないが十分だろう。

 

ナタリーは向かってくるリリアに対して顔を輝かせている。

 

「やっぱりいい体してるわ。さっきまでは重装備で見えなかったけど体の形もある程度見えて…、やっぱりあの体を好き放題触りたいわ」

「…」

 

この反応を見るとやっぱりさっきの装備に戻そうかと悩んでしまう。

しかし、それでは相手の攻撃に対してついていけない可能性と、射程外に逃げられられるという可能性があるのでやめる。

リリアがまず真正面から一発、銃弾をぶちかます。

 

「きゃっ♪」

 

楽しそうな悲鳴を上げながらナタリーが先に動く。

銃弾は何にも当たらずただ空を切る。

まぁ、誰でも目の前で銃を構えられたら避けるか、手を上げるかするだろう。

 

「危ないじゃない。当たったら折角の体が台無しよ?」

「台無し上等じゃない」

「今日はお互い裸の付き合いをするっていうのに…」

「しないわよ!」

 

リリアが追いかけながら銃を撃ち続ける。

スナイパーを構えているので連射はできない。

 

リリアが2、3発撃ちこんだところでナタリーも攻撃を始めた。

 

「ふふっ。これはどう?」

 

ナタリーの手にひらに薄く水色がついた正方形の何かが現れる。

見たことのないのと、得体が知れないためリリアの集中がそちらにむく。

リリアに向かってナタリーがそれを投げつける。

 

「(狙い落す!)」

 

一直線に向かってる物体はリリアにとってはいい的だ。

自分も動いているが外す心配なんて一切ない。

1秒で的にとらえ撃とうとする。

 

が、その時正方形の物体が6面に分かれる。

さらに分かれた6面は先ほどまでは10cmほどしかなかったのに1mくらいまで大きくなっている。

 

しかし、これに対してもリリアは焦らない。

別に敵が無限に増え始めたわけじゃない。

1体が6体になっただけ。

しかも的は大きくなった。

リリアは自分にそれが当たる前に引き金を引く。

 

銃声が聞こえるたびにそれは割れて消えていく。

6回の銃声の後にはその面は1つも残っていなかった。

 

「数が少なかったかしら?」

 

ナタリーはすべて撃ち落とされたのを確認すると再び同じ魔法を唱える。

今度は正方形が4つ。

 

「射的やりに来てるわけじゃないんだけど!」

 

再び襲い掛かってくるがリリアは冷静に構える。

まずリリアは1つの正方形が分裂する前に撃ち落とす。

 

「じゃ、少し難易度上げようかしら?」

 

そう言うとナタリーはさらに魔法を唱える。

風が吹き始めた。

これにより、銃弾の進む向きに少し誤差が生じる。

そしてどういうわけか相手の魔法は風の影響を受けていないらしく、ゆらゆらと接近してくる。

 

リリアは少しも焦らない。

ただ、的を狙う。

銃声が聞こえたと同時に1面が割れて消える。

 

「!」

「そんなでかい的、この程度じゃ外さないわよ」

 

リリアの銃声が聞こえるたんびに1面が割れる。

撃ちながら思う。

 

「(…何かしら、この感じ。どこかで―――)」

 

しかし、リリアの思考はそこで遮られる。

13枚目を撃った時、リリアの体に激痛が走ったからだ。

敵が何かしてきた様子はない。

 

「?」

 

激痛があったのは右腕。

力も入らなくなっている。

右腕を見るとドールの部品が砕けて自分の体を銃弾が貫通していた。

鮮血が流れ、右腕が言うことをきかない。

 

「あ…、アアアアァァァァァ!?」

「リリアさん!?」

 

痛みに耐えかね落ちてきたリリアをフィリアがキャッチする。

 

「あら痛そう」

「リリアさん、大丈夫ですか!?」

「え、ええ…。でも…」

 

右腕にぽっかりと穴が開き血が流れ出ている。

おそらくこの腕は使い物にならない。

 

「今のは…、反、射?」

「ご名答。やっぱり私が惚れただけあるわ♪」

 

さっきまで銃弾で割れていたのはそれだけ強度が弱いと思わせるため。

1つだけ強度が固いものを混ぜることでさっきまで割れていたのだからと注意しなくなっているところに攻撃がぶち込まれる。

 

「銃には跳弾ってものがあったからね。それを利用させてもらったわ」

「それだけ固い物ってことですか…!」

「これが私の得意分野だからね」

 

痛い中、リリアが左手で銃を構えた。

そしてすぐに撃つ。

照準を定めることなく。

 

しかし、これも訓練の成果か、或いは運が良かったのか、的をとらえた。

 

「え?」

 

ナタリーに命中し、ナタリーがのけぞる。

何が起きたかわからないのか疑問を抱いたまま落ちた。

 

「や…ったの?」

「…」

 

見た感じでは動かない。

だが、こんなのでやられるはずがないと2人の頭は言っていた。

 

「…ふ」

 

こらえていた笑いを抑えきれなくなったのか、ナタリーの体が震えている。

 

「ふふ…ふふふふふ」

 

ゆっくりと起き上がる。

体には傷1つ、ついていない。

 

「駄目ね。まさか10秒すら騙せないなんて…」

 

心臓を貫いたはずの銃弾は体で止まっている。

手でそれをとると、手で握りつぶした。

 

「さて…、貴方はこれ以上もう戦えないでしょ?おとなしくついてくれば腕は治すし気持ちいいし、言いこと三昧よ?」

「まだ私が―――」

「なめたこと、言ってんじゃ…ないわよ」

 

リリアが立ちあがる。

右腕は依然として垂れ下がったまんまだ。

 

「あら、まだやる気?好きな子を攻撃するのは心が痛むんだけど…」

「…カーリャ・エリスエル」

 

ぴくっとナタリーが反応する。

リリアの予感が当たった。

 

「…なぜ私の元カノの名前を?」

「つまり、貴方が彼女の、師匠って…わけね」

「ええ。あの子は強くなりたいって言ってたから私が教えられることを教えたの」

「つまりあなたのネームの能力は…」

「防御魔法の特化よ」

 

ナタリーが再び正方形を作る。

 

「しかも私のは肉体のみじゃないの。自分の魔力を込めたものならどんなものでも防御力が上がる。それを知っても、貴方は戦うのかしら?」

 

リリアには体をまともに動かす体力は残っていない。

戦うならフィリアだ。

 

「リリアさん、下がっててください。私が行きます」

「いいえ。…まだ、戦えるわ」

 

リリアはまだ諦めていない。

なぜそこまで戦うのか?

 

「悪いけど…、グネズト大佐に訓練してもらった身、なの。ここで負けては、あの人の顔に…泥を塗ってしまうわ」

「無茶です!体は動かないんじゃないですか!?」

「でも、あの壁を壊せるのは…私だけ」

「それは…そうですが」

 

リリアが動かない右手の代わりに左手をフィリアの頭に置く。

 

「安心しなよ。私だって、むざむざ死にに行くようなこと…はしないわ」

「じゃあ、どうやって…?」

「武装装甲変更。…完全重装型!」

 

再び装備が変わる。

さっきは装備していたものがどんどん消えていった。

だが、今は違う。

さっきはがした装備が、いや、それ以上のものがリリアの体に装備されていく。

 

「あらあら…」

「…!」

 

リリアの体が完全に覆われた。

装備したパーツによって。

 

「それじゃあ体が見えないじゃない…。残念」

 

腕、足、胸、そして顔までもがすべて装備品に覆われている。

今までに見たことのない型だ。

ここまで完璧に体を覆うドールは滅多に類を見ない。

 

リリアが調子を確かめるように右腕を動かす。

 

「リリアさん、それ…!」

「このドールは私の頭からの信号を読み取って動くの。骨が折れようが、切断されようが意味ないわ。もっとも、痛むぶんには…痛むけどね」

 

動くといっても痛みはある。

これならいっそのこと切断しておくべきだったかなと思う。

 

「さぁ、もう一頑張りよ。フィリア、手、貸してね?」

「当たり前です」

 

リリアが銃を持ち出す。

今持っているのは、先ほどよりも威力が高いカーリャを倒した時の銃だ。

倒すにはこれで最大出力で撃つしかない。

 

「本気…と見ていいようね。なら、私も少しは力を使いましょう」

 

同じように正方形の物体をいくつも出現させる。

お気に入りなのか、これしか使ってこない。

 

「安心して。殺さないで持ち帰るから」

「その無駄口…二度とたたけないように、してあげるわ!」

 

リリアが銃を撃つ。

ナタリーは一面だけ間においてそれを止めようとした。

しかし、

 

「グ…!」

 

気づいた時には肩をかすっていた。

いくらネーム持ちといえども動体視力でも上がらない限り、銃弾に反応はできない。

一枚間において安心していたのが仇となった。

 

「これほどまでの威力とは…」

 

ナタリーもこれには驚く。

自分は防御を得意とするネーム持ち。

彼女以上に防御力を高めることができる人は存在しない。

それを貫いた。

もしあれを初めから使われてたら危なかった。

 

「タイプなだけじゃなくて強いなんて…。絶対持ち帰ってみせるわ♪」

「…狙いが、外れたのね。でもまだ…」

 

さらに撃ち始める。

しかし、ナタリーも何度も攻撃を許すはずがない。

防御に使う層を厚くする。

 

その時出来た通路を使いフィリアが一瞬で接近する。

 

「!」

 

ナタリーはその速さに驚いたが別に気には留めなかった。

なぜならフィリアの攻撃は一切通らないから。

 

「くそ!」

「あなたじゃ無理よ、銀髪。黙ってる気がないなら、死んで」

 

フィリアが右手で殴ったところに正方形の物体をぶつける。

避けられるほどの距離はない…はずだった。

ところがフィリアはかわし、再び攻撃を加える。

 

「?」

 

操作を誤ったかと思い今度は2つ使う。

が、これも当たらない。

ナタリーに接近戦で挑んでるということは、ナタリーのテリトリーにいるということ。

その至近距離から攻撃を加えているのに当たらない。

 

「どうしました?」

 

フィリアが得意げな顔をする。

次の瞬間、ダメージはないが後ろに衝撃が走る。

気づけばフィリアが後ろにいた。

衝撃が走った時にはまだ前にいたはずなのに。

 

「調子に乗らないで」

 

口はおしとやかだがかなり頭にきている。

どうでもいいやつに馬鹿にされるとイラっとくるものだ。

 

「目障りな蠅は…排除する」

 

リリアからの攻撃も考えながら面の半数以上をフィリアの包囲に使う。

数は全部で30。

 

「(死角は無―――)」

 

突然、目の前が真っ暗になる。

 

「!?」

 

何かがナタリーの目に覆いかぶさっている。

それが人の指だと気づく。

今ここでそれが可能なのはナタリー本人、それか…

 

「あなたじゃ、私は追えません」

 

フィリアが馬鹿にしたような言い方でナタリーの耳元でささやく。

囁いた後、フィリアは少しだけ手を浮かす。

そして唱えた。

 

「フラッシュ!」

 

いまだに活用できるこのレベルが低い魔法。

本来ならもっと輝きが強い魔法や、上位までいけばあたりを暗くする魔法なんてものもあるのだがそれが科学側の生徒であるフィリアに出来るはずがない。

フィリア自身軍隊に入って、これを使うとは思っていなかった。

人間の体なんて脆い物だからこれでも十分だ。

 

「えっ!なに!?」

 

突然視界が奪われナタリーが焦る。

 

しかし、その焦りは怒りへと変換される。

ただの雑魚。

そんな奴に翻弄され、今は視界を奪われた。

それもかなり初歩的な魔法。

ナタリーを侮辱するには材料が十分にそろっていたらしい。

 

「…っざけんじゃねぇぞ!絶対殺してあげるわ!」

 

ナタリーの口調が荒れる。

しかし、行動は荒れていない。

どんな攻撃も受けないからだ。

多少動いていればリリアからの攻撃はまず当たらない。

フィリアのあの手品の仕組みはわからないが攻撃は一切通らない。

 

30秒ほどで視界が戻り始める。

フィリアがちょうど接近してきていた。

面を使ってそれを突き飛ばそうとする…がこれも当たらない。

すでに後ろに回り込まれている。

 

「アンタのその手品はなにかしら?」

「自分の力を明かすなんて馬鹿なことはしません。まぁ、仕組みを知ったところであなたには対策を練ることはできませんが」

「不思議な子ね…。少し興味が湧いてきたわ」

「なら捕まえてみたらどうです?ただの弱虫で殻にこもるみたいな魔法しか使えない貴方には無理だと思いますが?」

「…これでもはらわた煮えくり返ってるのよ」

「じゃ、初めますよ。せいぜい頑張ってください!」

 

煙球を投げ視界を悪くしてフィリアが逃げる。

ナタリーは額に血管を浮かび上がらせながら笑っている。

フィリアたちからは仮面をかぶっているため見えないが。

 

「ふふふ…、とりあえず捕まえたら四肢を切り落とさないとね♪」

 

ナタリーもフィリアを追いかけ始めた。




読んでくださってる方々、どうもです。

突然で、私事で申し訳ないのですが今週からだいたい2週間くらい更新のペースが遅くなると思います。最低でも4日に1話は書きたいと思うのですがどうなるかわかりません。

そんなこんなですが、今後ともよろしくです。
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