異世界にて〜魔法と科学の小競り合い〜   作:tubukko

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…扇風機を使い始めました。
こんな時期から使うとは思ってもいなかったので驚きです。

今年の夏、どうなるんでしょう…?


圧倒的な力

「ほらほらほらほらァ!どうしたよぉ、2人がかりでその程度かァ?」

「こいつ…!」

 

ニゲルが瞬間移動を繰り返し、ウリスとレックスを苦しめている。

力の差は圧倒的で、ニゲルが殺そうと思えばすぐに2人はやられてるだろう。

ニゲルが遊ぶために来ていたのが幸いしている。

 

「まったく…、科学側の第2位がこれかァ。これなら1位とやりあうべきだったなァ」

「1位?」

「リョウ・アマミヤだよ。全体でみれば第2位、1位はDとかいうネーム持ちらしいがァ…、潜在能力を含めれば1位はリョウとかいう奴だそうだ」

「俺は全体では何位なんだ?」

「…3位だァ。お前らの学年のみならなァ。あと、Nを除いた場合だァ」

 

掌の上で脇差を回しながら説明をするニゲル。

ウリスもレックスも体中斬り傷だらけだ。

ウリスはもともとバリアを張っていないが、レックスは張っているにもかかわらず意味をなしていなかった。

レックスの戦う帝国の相手は毎回どういうわけか、この手の武器を持っている。

 

「つまりアタシはこいつより下ってこと?」

「お前は4位だァ。生憎な」

「ありえないシ!なんでアタシがこいつより下なのよ!」

「何言ってんだよ。当然の結果だろ?」

「ああ?なら今その結果を変えて見せようか?」

「無理に決まってんだろ」

 

ニゲルがまた蚊帳の外に追い出される。

さっきからちょっとしたことでこれだ。

こればかりは配置を決めたカザキに後で文句を言わなければならない。

だが…

 

「「!」」

 

ネームの能力を使えば2人はすぐに現実に戻る。

あの能力がいかに危険なものかはすでに理解しているようだ。

 

「…瞬間移動。本当にそれなのか?」

「それ以外考えられないでショ?他に何かあるノ?」

「いや、ねぇけどよ」

 

レックスは違和感を覚えていた。

瞬間移動と決めつけているがおかしな点があるのだ。

こじつければそれもどうでもよくなるのだがやっぱりおかしいと思う。

 

「ほらァ…行くぜ?」

 

ニゲルがレックスに向かって接近する。

レックスは近づいてきたところに拳を入れる。

だが、その直前でニゲルが消える。

気づけば後ろにいた。

 

「クソ!」

 

回避するが斬り傷は避けられない。

 

そこにウリスが炎魔法を加える。

ニゲルが水魔法でそれを抑える。

 

「これなら…!」

 

ウリスはUのネーム持ち。

相手が水魔法を得意とするネーム持ちでもない限りこれを抑えることはできない。

それくらい、ニゲルだって理解している。

 

「馬鹿かお前は?」

 

ウリスの後ろから声がした。

気づけば後ろにニゲルがいる。

水魔法を放ったまんま、移動してきたのだ。

 

急いで離れる。

さっきから攻撃が全く当たらない。

 

「まったく…少しは学習しろよぉ。今のでお前は6回目だ、死んだのはなァ」

「…なめた真似を!」

「そうしなくちゃお前らもう生きてないぜぇ?」

「…!」

 

彼ら自身もそれは分かっているので何も言い返すことができない。

 

「まァ安心しろよ。俺はァ、今狩りをしてるんだ。せっかくの楽しい狩りはそう簡単には終わらせはしないさァ」

 

「…レックス、どうするノ?」

「どうするもこうするもあるか?完全に遊ばれてる。これじゃ何をどうやっても意味がない」

「アンタのドールの力は使えないノ?」

「俺のドールは接近型だ。この拳が当たればおそらく殺れるが…」

「あいつの動きをどうにかしないとどうしようもないよネ」

 

ニゲルは一回の攻撃ごとに少し休憩を入れる。

制限時間がどうとか言っていたのにどうでもいいのだろうか?

 

「お前の魔法でどうにかできないか?」

「…束縛魔法、ないこともないケドあいつの動きがそれで止まるかどうか。そもそもそれをかけるにも時間がかかるし」

「それをやってくれ」

「話聞いてた?時間がかかるって」

「でもそれしかない。生憎、俺は策士じゃないしお前もそこまでじゃないはずだ」

「…」

「面倒な作戦より、こっちのほうが分かりやすいだろ?」

「分かったワ。じゃ、時間チョウダイ」

「了解」

 

レックスがニゲルのほうに向きなおる。

ニゲルは話が終わるのを待っていたのか、レックスが振り向いたのを確認するとすぐに接近してきた。

レックスはウリスに注意が行かないよう、同じく接近する。

ここでニゲルは魔法を使わず、レックスに斬りかかった。

レックスが腕で止める。

 

「作戦会議は終了したかァ?」

「おかげさまでな」

「ならその成果、見せてくれよぉ?」

 

ニゲルは後ろに退くと同時に姿を消す。

レックスはそれを見ても焦らない。

すぐに後ろに向きなおる。

案の定、後ろにニゲルが出てきた。

 

「おおぉ、少しは学んだなァ?」

「イチかバチかだったけどな。いつまでもやられねぇよ!」

 

レックスが持ってきていた銃を構える。

ハンドガンと威力は低めだが十分だ。

引き金を引き、銃弾を撃ち込む。

ニゲルはまた移動する、そう思い撃ったのだが…

 

「ぐ!」

 

銃弾が跳ね返ってきた。

何発か、レックスに直撃するがすべてバリアが壁になる。

 

「フゥ…。Sバリアに助けられたなァ。あァ?」

「今のは…?」

「悪いなァ、手札は教えない主義なんでねぇ」

「…」

「まァ、1つ言えることは瞬間移動とは違うってことだなァ」

 

今の攻撃で分かったことは相手は自分以外にも干渉ができるということ。

レックスはやはり自分の手で攻撃するしかないと理解し、再び接近戦に戻る。

レックスが再び拳を入れようとするがニゲルが再び消える。

レックスが周りに注意を巡らせるが、見当たらない。

 

「(…どこに?)」

 

ここで上が暗くなっているのに気づく。

すぐに体をそらすと頭があったところにナイフが飛んできた。

 

「グ…!」

 

肩に深々と刺さる。

これだけで終わるはずがないと、痛みに耐えながらその場を離れるとすぐにニゲルが自分の脇差で刺しに来た。

レックスはそこに痛みに耐えながらも反撃を加える。

しかし、ここで彼にとって予想外な出来事が起こる。

ニゲルがそれをかわさなかった。

 

「!?」

 

かわされると心のどこかで思っていたのか、レックスの一撃はあまり威力はなかった。

ニゲルは盾を作るのは間に合わないとみて脇差で止めた。

ネームの力を使えばよかったのに。

 

「よくその体で反撃してきたなァ…。予想外だったぜ」

「なんで使わなかった?」

「…」

 

黙ったまんま後ろに後退してニゲルが距離をとる。

 

「いいだろう。1つ、教えてやる」

「有りがたいな」

「俺のネームは少し不便でなァ…。1回使うと一定時間経つまで使用できないんだよ」

「時間は?」

「1つって言ったろぉ?自分で考えろ。まァ…」

 

ニゲルが魔力を自分の体に込める。

 

「この攻撃に耐えられたらなァ!」

 

突如ニゲルの背中に羽が生える。

灰色ではあるが大きな羽。

レックスには何をしているのかは分からなかったが、ウリスはこれを見て恐怖する。

 

「(冗談でショ?)」

 

レックスに魔法の知識なんて有りはしない。

 

「なんだよ、その…魔法か?」

「あァ…。天使の装備術式、知らないか?」

「生憎、魔法なんて少しも習ったことはないからな」

「なら、その身を持って体験してみなァ!」

 

大きく開かれた羽が輝き始める。

そこから出てきたのは無数の矢。

レックスはそれを目視しながらよける。

別に無数の矢が襲い掛かってくるのは珍しいわけじゃない。

どういうわけか今までネーム持ちの知り合いが多かったり、明確な敵との対峙もよくあったのでこれくらいはいくらでも避けられる。

 

「ほら次だァ!」

 

突如、レックスの進行方向の前に壁が出来上がる。

進行方向を変えるが、その行く先々に壁ができている。

 

「これは…!」

 

囲まれている、閉じ込められていると理解したレックスは壁に一撃を加えてみる。

しかし、壁に入るのは小さなヒビのみ。

 

「(本気を出せばいけると思うがここでネタがばれれば警戒されかねない。ウリス…まだか!?)」

 

「そんなんじゃ意味ないぜぇ?続いてぇ―――」

「命の炎《ヴィタムフラム》!」

 

突如、ウリスの声が響く。

ニゲルがウリスのほうを向くとすごい勢いで青い炎が向かってきた。

ニゲルを囲むようにして炎が展開される。

 

「…!」

 

すぐに危険を察知したニゲルがその場を移動する。

炎のせいでウリスの場所を見つけられなかったため後ろには回り込めない。

炎の中から脱出しウリスを探した。

ウリスが息を荒くしながら立っていた。

 

「まだこんな隠し玉が有ったのかァ?」

「出来れば…使いたくなかったけどネ。これを使うと体がだるくなるから」

「わざわざ名前までいうってこたァ…これでも不完全なのかァ?」

「ええ…、これを練習できる機会なんてそうそうないから」

 

ウリスが深呼吸をして態勢を立て直す。

ニゲルの後ろではちょうど青い炎が消え始めているころだった。

 

「だが、外したなァ?」

「…」

「そう何度も使えるもんじゃないんだろぉ?お前はその魔法を唱えなくても使えるようにしておくべきだったなァ。まァ、炎が近づいてきたら誰でも熱気で気づくだろうがァ」

「…違うわよ」

 

ウリスがニゲルに向かって手をかざす。

 

「?」

「私の本命は…こっちよ!」

 

突如、ニゲルの周りに炎が一定の距離間隔で出現し始める。

一瞬驚いたがすぐに自分のネームの力で回避する。

出現する場所はもちろんウリスの真後ろ。

 

「!」

「死―――」

 

脇差で斬りつけようとして気づく。

体が動かない。

 

「…」

 

周りにはかわしたはずの炎が点在している。

 

「引っかかったワね」

「束縛魔法か…」

「アンタは、癖なのか知らないけど人の後ろに回り込むのが好きみたいだからね。まぁ、どこに現れても結果は一緒だったケ…ど!?」

 

突如吐き気に襲われ口を抑えるウリス。

抑えることができず、胃の中の食べ物を吐き出す。

 

「(クソ…、やっぱりアンノウンは、代償が…大きすぎる!)」

 

「…それでは俺は殺せないなァ?」

 

その言葉に反論しようとしてニゲルを見たとき腹に光の矢が突き刺さる。

 

「ごは…!」

 

胃物と一緒に血も吐き出される。

 

「あくまで制限されたのは動きだけみたいだなァ?遊びは終わりだァ…」

「グ…!」

「楽しかったぜぇ?」

 

絶体絶命なこの状況。

しかし、ウリスは少しも焦っていなかった。

すでに手は打ってあったから。

 

 

再び矢を放とうとしたニゲルに背中から衝撃が加わる。

 

「!」

 

激痛のあまり言葉が出せないが後ろから声が聞こえる。

 

「本当は腹に1発入れたかったんだけどな」

「な…んで?」

「ウリスの炎は自然だったよ。そしてあいつは注意のひきつけ方もうまかったな」

 

レックスを閉じ込めていた檻の方を見るとぽっかりと穴が開いている。

さっきのウリスの攻撃の余波で空いたものだ。

 

「…!」

「悪いな、話したいことは有るが…終わりだ」

「何―――」

 

レックスが離れると同時にニゲルの体に再び衝撃が走る。

 

「が…ばは!?」

 

こぶしを2回目入れたわけではないのに突然来る衝撃。

ニゲルの口から血が滝のように流れ出しニゲルの体がだらんと力をなくす。

 

レックスはそれを確認することなく、ウリスのもとに駆け寄る。

 

「おい、大丈夫か?」

「…そう、見える?」

 

腹には穴が開き、口と腹から血が流れだしている。

他にもところどころ切り傷が見える。

 

「やった…の?」

「おかげさまでな。だが、それ以上しゃべるな。傷に障るぞ」

 

ウリスを抱える。

 

「さっさと帰るぞ。急がないとやば―――」

「それはつれないなァ?」

 

聞こえるはずのない声がしてレックスの背筋が凍る。

声の方を見るとニゲルが立っていた。

すでに拘束は解けている。

口からおびただしい量の血を流しているにも関わらず平然としている。

 

「な、なんで…!」

「悪いなァ。俺の心臓をつぶしたみたいだったが…、そこは俺の弱点には含まれねぇんだよ」

「何…?」

「ま、お前らは頑張ったよ…。じゃあな」

 

笑みを浮かべながらニゲルが作り出した光の槍を投げつける。

レックスがウリスをかばうようにして背中で受け止める。

Sバリアはほとんど意味をなしていないのか体に突き刺さる。

 

「アンタ、逃げな!ここにいたら…死ぬ」

「これでも情に厚い男なんでね!」

 

ウリスを抱えながら逃げ出す。

 

しかし

 

「美しいなァ…」

 

目の前にニゲルが現れる。

回避しようとするが矢の数が多い。

1人なら身軽なので躱せるが…

 

「グ…!」

 

背中に2本突き刺さる。

 

「お姫様を抱えて逃げる王様ってかァ?最高の見せもんだぜ、お前らはよぉ!」

「くそ!」

 

レックスがウリスを抱えて逃げ続ける。

逃げ場がないと分かっていながらも。

限界が近いと気づいていながらも。




…え~、予約投稿はここまでが限界でした。
たった2話。
申し訳ないです。

これが投稿されてからだいたい一週間ぐらい、更新できないと思います。
読んでくれている方々には本当に申し訳ありません。

こんな作者の作品ですが、これからもよろしくです…。
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