異世界にて〜魔法と科学の小競り合い〜   作:tubukko

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4日も空いた…。
はぁ、もうこうなっていきそうだな。


創った者達

リョウの部屋の周りが騒がしい中、椅子に座りぐったりしている。

目の前にあるベッドにはサクが眠っている。

黙ってみてやることしかできない。

結局リョウは敗北したのだ。

相手が退いてくれたからよかったものの、あのまま最後まで戦っていれば正直どうなっていたか分からない。

 

「リョウ…、大丈夫?」

 

クロが近づいてきた。

体にところどころ擦り傷が見えるが大したことはないのだろう。

 

「俺は、な」

「サクも大丈夫だよ。すぐに目も覚めるよ」

「分かってはいるんだけどな…」

 

今回ボコボコにされた使い魔はライルを除いて特に命にかかわることはなかった。

ライルがやられた原因は最後まで起き上がっていたからだが、これも人間の状態から自然の状態である「水」の姿でしばらく休めば元に戻る。

人間の状態を維持しようとすればまずいが元の姿で療養すれば何の問題もない。

妖精とはそういう生物だ。

 

「他のみんなは?」

「マーシャとフィリア、マートさんはほとんど問題なしみたい。リリアも右腕普通なら切断だけどケイトがいるし大丈夫。レックスも見た目ほどひどい傷じゃなかったみたいだけど…、ウリスさんが危ないところだった」

「助かったのか?」

「Nの力はすごいね。僕もOよりあっちがほしかったよ」

 

クロはマートの傷だってなかなかだったと思うだけどなぁ、と首をかしげる。

 

カザキの退却後、まずレックスが帰ってきた。

血だらけのウリスを抱えてるもんだからマートは軽く発狂。

すぐにマートが軽くケイトを脅しながら引っ張ってきた。

次に戻ってきたのがリョウとマーシャ。

こちらはさほどひどい傷はなかったので後回しになったが、すぐにリリアが帰還。

気絶したフィリアを抱えるため完全重装備で帰ってくるもんだからまずは敵ではないかと全員が構える。

が、すぐに装備がはがれてリリアも倒れる。

今度はケイトがぐったりしたフィリアを見て焦っていたが大丈夫なことがわかるとリリアの止血を始めた。

 

「…笑い話にもなんないな。入隊式で死にかけるなんて」

「でも死にかけただけ。僕たちはみんな生きてる」

「…そうだな」

「リョウ、生きてるのー?」

 

場違いな声が聞こえた。

久しぶりな声でもあった。

 

「お前…」

「ピンピンしてるみたいなの。よかったの」

 

ミリーナがいる。

こんなところにいたら間違いなく連行されると思うのだが誰も今は気にしない。

 

「入隊祝いに来たっていうのに…何があったの?」

「襲撃された」

「そうなの?」

「驚かないんだな?」

「もともとここの警備システムには不満があったの。ある意味いい薬なの」

 

ミリーナにとってこれくらいの被害は被害の内に入らない。

人が死ぬをはもちろん良しとするつもりはないが、仕方ないこともあると思っている。

そしてこの状況をむしろいい方向に捉えている。

 

「人が死んでるのにいい薬っていうの?」

「クロ…だったね?あなたは優しすぎるの。この世界は人が死んでも仕方ない、そういう風にできてるの。いや、創ったの」

「そのもの言いだと誰か1人が創ったように聞こえるぞ?」

「リョウ…、あなたにはまだ言ってなかったの。もっと後に話したかったけど、あまり時間は無いみたいなの」

 

ミリーナが1つ、椅子を転移させる。

出てきた椅子に座る。

 

「…僕は少し席を外すね」

 

クロはその場を離れた。

それを確認するとミリーナが話し始める。

 

「…私が生まれたのは800年ほど前なの」

「何の話だ?」

「名前はミリーナ・サカジマ。言いにくいかもしれないけど私はこの名前を気に入っていたの。ミリーナってかわいかったし、響きが」

 

天井を見る。

昔のことを思い出しているのだろう。

 

「パパの名前はアヤト・サカジマ」

「響きが日本の名前と似てるな」

「研究者だったの。私が生まれたころにはいろいろなのに手を出してたからなんの専門だったかまでは分からないけど。自分のことはあまり話したがらない人だったから知らないことも多かったけど分かるのはリョウのいうところの未来人ってやつなの」

 

地球にいたリョウのいうところの未来人。

違う時代の人もかなり前だがこの世界に来たようだ。

 

「そして、カザキ。あの人はパパの助手だった人なの」

「2人で飛ばされてきたのか?」

「そう言ってたの。前はおとなしい人だったのにすっかり人柄が変わってしまったの…私のせいで」

「どういう意味だ?」

「…ごめんなさい。話がそれるからそれはまた機会があれば話すの。それで、この世界を創ったのはもう誰だかわかったと思うの」

「その2人か?」

 

ミリーナが頷く。

 

「2人は初めてこの世界に来た時驚いたそうなの。魔法が存在してから。研究もはかどった。おかげでこの世界に2人は「科学」という概念を生み出すことに成功したの」

「…もしかして言葉もその2人が?」

「ええ。2人は研究者であるにもかかわらず日本語以外はダメだったの。だから2人は簡単な英語しか教えられなかったし、中途半端に地球と言葉がかぶってるの」

 

これでリョウは納得した。

明らかに外来語が変わったものなのに使われていたり、だけど英語が無かった理由。

この2人が中途半端に人に言葉を教えたのだろう。

 

「言葉から教えたってことは本当に偉大になってるな」

「バラバラだった言語を統一したらしいの。みんな魔法ではない力を見せられて納得したそうなの」

「…大したもんだ」

「でも…」

 

言いにくそうに、思い出したくないのか少し黙った。

 

「お願い、リョウ。カザキを殺してあげてほしいの」

「…知り合いなんだろ?」

「今はもう私の知ってるあの人じゃないの。私の知ってるカザキさんはおそらくあの人の奥底なの」

「よくわからないことを言うな、お前も」

 

ミリーナが立ち上がる。

椅子を転移させ、帰る準備をする。

 

「私もゆっくりしてられないの、こんな攻撃を受けた以上」

「これくらいどうってことないんじゃないのか?」

「私が重要視してるのはそこじゃないの。カザキが前線に出てきたことなの」

「?」

「彼が表に出てくることは無かったの。おそらく時間はあまりないの。だから今の話も大雑把にしたの」

「だけどお前は10年以内って…」

「私もそう思ってた。でも10年以内ならいつ起きてもおかしくないの。だから私は急ぐの。この世界は壊させない」

「…」

「また近いうちに会えると思うの。その時はもう少し楽しい話でもするの」

「時間が無いって言ったのはお前だな?」

「じゃ、また」

 

ミリーナが消えた。

また、リョウと寝ているサクの2人の空間が戻る。

もともとリョウは今となってはこの世界の神髄などどうでもよかった。

まぁ、疑問は無かったわけではないが。

それでも本当にほしいものは違った。

今ほしいもの、それは単純に力だった。

今回は確実に力不足だった。

グネズトに鍛えられたとおごりがあったのかもしれない。

 

リョウは昔漫画を読んでいたことがある。

よくある主人公が戦って仲間を守ったりなんだかんだする類のものだ。

それを読んでいた頃は「よく他人のために命がかけられるよな」と思っていた。

だが、その立場にならなければやはり人間は分からない。

この世界にきて、力を手に入れて、友達が傷ついているところを見て、守らなければと思った。

だが、常にその力は足りていない。

ビムの時はマクアドルに。

サッドの時は青龍に。

エジリスの時はミリーナに。

助けられた。

それがなければ自分はおそらく…。

 

「…リョウ殿?」

 

サクが目を覚ましていた。

 

「サク、大丈夫なのか?」

「これくらい何とも―――」

 

サクが起き上がろうとして激痛が走り顔をしかめる。

命に別条はないが決して軽症ではないのだ。

 

「無理するな。横になってろ」

「申し訳ありません。リョウ殿の前であるにも関わらず…」

「お前は俺の召使じゃない、使い魔だ。いつでも戦えなくちゃ困る。まずはその傷を治せ」

「…はい」

 

サクがおとなしく寝っ転がる。

サクは竜だ。

竜は残念ながら人の状態でけがをすると竜の状態でもけがをした状態になる。

療養するなら実はどちらでもいいのだが竜と人間、どちらの姿のほうが治療しやすいかと訊いたら周りに人がいれば人間の姿のほうがやりやすい。

 

「…リョウ殿、何を悩んでいるのですか?」

「顔に出てるか?」

「他の人から見たらどうかは分かりませんが、少なくとも私には分かります」

「…力がほしい、と思ってな」

 

そんなことだろうと思っていたのかサクは表情を変えない。

 

「リョウ殿は十分頑張っています。貢献していますよ?」

「だが…今回もまた傷ついた」

「…」

「それじゃ、ダメなんだ」

「…リョウど「こーんにーちはー!」」

 

突然、部屋に明るい声が響く。

リョウもサクもビクッ!と驚く。

入ってきたのは子供に見える人間。

身長が見た感じはランやリンとあまり変わりないように見える。

だが…ここにきて新しいタイプの人物だった。

 

「あなたがリョウ君?」

「あ、ああ。そうだが」

「3日後、みんなを招集するってグネズト大佐から連絡だよ!場所はデータを送っておいたからそれ見てね」

「は、はい」

「それじゃ、また明日~!」

 

部屋を出て行ってしまった。

嵐のように過ぎ去っていった謎の生物。

 

「…なんだあいつ?」

「さ、さぁ?私にもさっぱり…」

 

顔こそいきなりで覚えられなかったがある1つの特徴だけが、頭にこびりついていた。

身長が小さいにも関わらず…、巨乳だった。

悲しい話だがリョウも男。

どうしてもそっちのほうがすぐに頭に残るのだった。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

カザキが玉座であろう場所で静かに座っている。

今でもグネズトと対峙できなかったのが残念でならない。

あんな雑魚を無駄に相手にしては逆に戦闘意欲が増すだけ。

 

「失礼します」

 

ジークが入ってきた。

 

「報告します。ミューズデルの軍が索敵を遂に空の方にも向け始めました」

「…ようやく来たか」

 

グネズトが待ちくたびれたかのようにあくびをする。

 

「だが、それでもまだ少しは時間がかかりそうだな」

「はい。早くても1ヶ月はかかるかと」

「ならあれの最終調整も始めないといけないな」

「…まだ終わっていないのですか」

 

ジークがため息をついた。

カザキが「俺、お前の主君だぞ?」と呟く。

 

「早く済ませておいてください。もしものことがあっては私たちが負けることも―――」

「それはない」

 

言葉にはなんの抑揚もなかった。

 

「俺がいる。誰にも負けるわけがない」

「ならば主君が最初から始めればよかったのでは…?」

「それでは面白くないだろう。どんなゲームだって魔王を倒すため、勇者はレベルアップをしながら時間をかけて進んでいく。最初から魔王が出るのは無しだ」

「はぁ…?それでは私はこれで。ポルテスの最終調整はお願いします」

 

いまいちピンと来ていないのか少し疑問があるような口ぶりをしながらジークがその部屋を出て行った。

近くにある機械をいじりながらカザキが呟いた。

 

「楽しみだなぁ…相棒」




ここはしばらくドールの紹介でもしていきます。
気分で書いたりなんだったりするのでどうなるか自分自身が心配だ…。

レックス・ビルジェンタのドール(5段階目)
接近型で遠距離用の攻撃はドール自身は一切持っていない。
拳を入れるとさらに一撃、その拳を入れた対象の内部に攻撃が入る。
内部に入る攻撃はレックスが外側から加えた攻撃より少し威力は劣るが、内臓はそれくらいで潰れてしまうので十分(Sバリアも無効なので学校では使用させてもらえなかった)。
もちろん対象は人間じゃなくてもよく、内部からの攻撃に長けている。
また、意識すれば攻撃を加えた後すぐでなくても自分の好きな時に2発目を発動できる。
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