ストライク・ザ・ブラッド 蒼を継ぐ者   作:テルメン(白)

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二章

放課後

 

「ストーカーか古城?」

「龍牙に浅葱!?」

「どうせ妹が心配なんでしょ」

「うっ」

 

図星のようだ。

 

「だ、だってよ・・・・・」

「まあいいや、さっさと行こうぜ、後ろのやつも」

「「は?」」

 

古城と浅葱が間抜けな声を出し後ろから短い髪の少女が出てくる。

 

「さすがです、黒刀先輩」

「姫柊!?どうして・・・・・」

「そりゃ、お前が暴走して相手を殺さないか心配なんだろ?」

「ぷっ、こんな子にまで心配されてるの?」

 

浅葱が笑う。

 

「凪沙ちゃんは屋上へ向かいましたよ」

 

と、姫柊が答える。

 

「なるほど、上から落として事故死か・・・・・」

「いや、こえーよ!!」

「フェンスが外れるとか?」

「そうそう、で、どうやって殺すんだ?」

「だから、殺さねーよ!!」

 

古城をおちょくりながら屋上へ向かう。

 

結果的に高清水は死ななかった。

 

「猫か、獣兵衛元気かな?」

「あの、獣兵衛さんとはどのような方で?」

「獣兵衛はな、猫で二本足で立つんだよ。ちなみに俺の師匠でもある」

「獣人ではないのですか?」

「ん?確か「カカ族」って言ってたな」

 

俺はこの世界に居たことにビックリした。

 

「へぇー、知りませんでした」

「まあ、俺も見たことあるのは獣兵衛だけだしな」

 

龍牙と叶瀬は猫トークで盛り上がった。

 

「なあ、カカ族って、なんだ?」

「知りません、私も初めて聞きました。黒刀先輩の師匠ですから腕のたつ種族だと思います」

 

カカ族は少ないからな、獅子王機関もしらないのか。

 

「あ、民族衣装っていうのか?それ持ってるぜ」

 

鞄からカカ族の衣装を取り出す。

 

「フードの所が耳用に膨らんでます」

「気に入ったならやるぞ」

「いいんですか?」

「ああ、俺は使わないしな」

「ありがとうございます」

 

早速着てくれた。

 

「か、叶瀬さん?」

「はい、なんでしょうお兄さん」

「なんで今着るんだ?」

「いけなかったでしょうか?」

「いや、別にいいんですけどね」

 

古城は辺りに人が居ないかキョロキョロと確認している。

 

「あの、黒刀先輩、私にも一着くれませんか?」

 

姫柊が頼んできた。

 

「今は持ってないな。家に帰れば三着ぐらいあるが」

「わかりました。放課後取りに行きます」

 

そんなに欲しいのか?

 

「っと、ここか?」

 

目の前には教会があった。

 

「・・・・・これって、教会か?」

 

古城が叶瀬に訊く。

 

「私が幼いころにお世話になっていた修道院でした」

 

叶瀬は懐かしそうに、朽ちた中庭を見つめていた。

 

「おう、久しぶりだな龍牙」

 

あれ?なんでいるんだ?

 

「猫が喋った!?」

 

古城たちが驚いていた。

 

「なんでこんなとこにいるんだよ、獣兵衛」

「いや、猫がいっぱいいたんでな、気になって来てみたんだ」

「あのー、先程お話になっていた獣兵衛さんですか?」

「おう、って、龍牙、あれをやったのか」

「別にいいだろ?寝巻きぐらいにしか使えないんだから」

 

姫柊が震えている。

 

「マジで猫が喋ってんぞ」

「ええ、私も初めて見ました。カカ族!!」

 

興奮するなよ。

 

「でも、なんでこの区画に?」

「ちとばかし、仕事でな」

「あー、なるほど」

「理解が早くて助かる。っと、そろそろ時間だ。じゃあな、龍牙とその友人たち」

 

木に登って忍者のように跳んで行った。

 

「あれがカカ族ですか、可愛かったです」

「ええ、本当に」

 

女性陣たちはカカ族にメロメロだ。

 

「どうするよ?」

「知らねーよ」

 

龍牙と古城は二人を放って教会の中に入った。

 

「うわ、猫がいっぱいだな」

「ああ、確かにな」

 

猫たちが集まって身動きが取れない。

 

「動けねぇ」

「俺、そんなことになってるやつアニメでしか見たことねーぞ」

 

龍牙の回りに綺麗に寄って来るのだ。

ギィィと扉の開く音がした。

すると猫の半分は叶瀬の方へ向かって行った。

 

「ふわあ・・・・・可愛い・・・・よしよし・・・・・」

 

姫柊は猫を抱き上げて、幸せそうに笑っている。

 

「黒刀先輩は猫に好かれてるようですね」

「まあ、獣兵衛ともすぐに仲良くなったしな」

「へぇー、そうなんですか」

「でも、こんなにいると身動きが取れない」

 

ははは、と叶瀬が笑った。

 

「それはそうと、これって、全部、きみが育てているのか?」

 

古城は叶瀬に訊く。

 

「みんな・・・・・捨てられた子たち、でした。引き取り手が見つかるまで、預かっているだけのつもりだったんですけど」

「引き取り手を見つけるって・・・・・これだけの数はさすがに無理だろ・・・・・」

 

古城は軽く唖然としている。

 

「はい。私一人では無理でした。だから凪沙ちゃんやらほかの人にも助けてもらってました」

「・・・・・凪沙が俺に手伝えと言ってたのは、このことか」

 

古城はやれやれと肩をすくめた。

 

「ま、可能性があるだけマシだろ」

 

一匹の猫が頭に乗っかる。

 

「さて、飼い主探しをはじめるか」

 

翌日に確認すると残り二匹までに減っていた。

 

「じゃ、俺は心当たりがあるから」

 

と言ってた古城たちと別行動した。

 

「どうですか?猫?」

「へぇ~可愛いな。でも、どうしたんだい?」

「実はこの猫捨て猫で友人がその引き取り手を探していて、ジンに頼もうと来たんですよ」

 

現在統制機構絃神島支部にいる。

 

「わかったよ。この猫はもらっておく」

「ありがとう。ついでにこれも渡しておきます」

「ユキアネサ、ありがたく貰っておく」

「では、失礼します」

「また来てよ」

 

ジンが手を振ったので振り返す。

 

支部を出てすぐにメールが来た。

 

「なになに、って、また仕事か」

 

そういいつつも準備をする。

 

集合場所に古城と姫柊が既にいた。

 

「よ、古城」

「龍牙か、お前も那月ちゃんに頼まれたのか?」

「そんなとこだ」

「つーか、遅すぎたろ。もうすぐ二時間だぞ!!」

「?いや、あと五分ぐらいだろ?ほら、遅れるってメールが来てるし」

「はあ!?」

 

なるほど古城のには送らなかったのか。

 

「あ、来たみたいだぞ」

「ーーーー遅ェよ!!ていうか、なんだよ、その格好!?攻魔官の仕事じゃなかったのかよ!?」

 

那月ちゃんは浴衣を着ていた。

 

「攻魔官の仕事って、基本服自由だぜ」

「知らねーよ!!」

「騒ぐな、小僧ども。この近くの商店街で祭りをやっているのを見かけてな。アスタルテに夜店を堪能させてやろうと思ったのだ」

「それならそれで連絡くらいしろよ!」

「しただろ。黒刀に」

「俺にも連絡しろって言ってんだ!」

「なにを怒っている?おまえのぶんのたこ焼きも買ってあるぞ。ほら、喰え」

「・・・・・そりゃどうも」

「そうだ。これ、射的で取ったからやる」

「おまえも遊んでたのかよ!?」

 

ツッコミながら古城は受けとる。

 

「合流時刻に一時間五十六分の延長がありました。謝罪します、第四真祖」

「いや、おまえが謝る必要はないけどな・・・・・楽しかったか?」

「ーーーー肯定」

 

アスタルテが機械的な口調で答える。

 

「どうしておまえがここにいるんだ、転校生」

「わたしは第四真祖の監視役ですから」

 

那月にたいしてそう返す姫柊。

 

「まあいいか。人手は多くて困ることはないからな。せっかくだからおまえも浴衣を着るか?駅前でレンタルしてたぞ?」

「・・・・・いえ、結構です」

 

姫柊は首を振って否定した。

 

「それよりも、どうしてこんな物騒な任務に、暁先輩みたいな危険人物を連れ出したりしたんですか。こんな街中で先輩の眷獣が暴走したら、いったいどんな大惨事になるか・・・・・」

「だからといって、こいつがなにも知らないまま戦闘にまきこまれたらどうする気だ、剣巫。そっちのほうが危険だとおもわんか?」

「そ・・・・・それはそうかもしれませんけど・・・・・」

 

まともな那月の反論に言い返せない姫柊。

 

「危険だからこそ目の届かない場所に遠ざけるよりも、手元に置いておくほうがあんぜんだろう」

「うー・・・・・」

 

論破されて姫柊は肩を落とした。

古城は危険物扱いされて唇を歪めている。

那月は特に勝ち誇らず、黒刀たちを連れてエレベーターへ乗り込んだ。

 

「メールで送った資料は読んだか?」

「まあ、いちおう。〝仮面憑き〟だっけ?そいつを捕まえればいいんだろ」

「正確には、〝仮面憑き〟を二体とも、だ」

 

〝仮面憑き〟とは通称だ。なにやら絃神市の上空で戦闘を繰り返しているらしい。

 

「空中戦か、やったことはあるが、映像を見るにきついな」

「やったことあるのかよ、てか、俺はどうすりゃーーーー」

「おまえは眷獣で撃ち落とせ」

 

古城に命令する那月。

 

「空に向かっておまえが眷獣をぶっ放すぶんには、市街地に影響が出ないからな」

「いや、そうかもしれないけどーーーー」

「相手もそれなりの化け物だ。そう簡単にはくたばりはしないから安心しろ、うっかり殺してしまっても、刑務所に差し入れくらいはしてやる」

「安心できねえよ!なんだそれ!?無実にはならないのかよ!?」

「大丈夫だって、世の中には真祖の眷獣を纏めて喰らっても殆ど無傷の化け物がいるから」

「ほら、大丈夫だろ?」

 

友人のよくわからない説得で無理矢理納得する古城。

 

「それはともかく、変ですね」

「ともかくじゃねーよ・・・・・なにもかもおかしいだろ」

「いえ、先輩の処遇ではなく、あの建物・・・・・」

 

姫柊が指差したのは、交差点の向こうに見えるオフィスビルだった。

真新しい建物がごっそり削られている。

 

「あんな巨大な爆発が起きていたのに、わたしは気づきませんでした。魔術や召喚術であれだけの破壊力を生み出したのなら、相当な魔力が放出されたはずなんですけど」

「術式でもないな。魔素が集まるはずだし、昨日は正常だった」

「魔素?術式?なんですかそれ?」

「あー、秘密」

「ま、あとで訊くとして、獅子王機関の剣巫でも感知できなかった、ということか・・・・・やはりな」

 

どうやらあとで術式のことを聞かれるらしい。

 

「絃神島内に設置されている魔力検知器も、〝仮面憑き〟には反応しなかった。特区警備隊が異変に気づいたのは、ビルが倒壊して、民間警備会社が騒ぎだしたあとだ」

「どういうことだ・・・・・?」

「わからん。特殊な魔術か、物理攻撃か、考えられる可能性はいくつかあるがな」

 

那月がそう言って攻撃的な笑みを浮かべた。

 

「まあ、本人たちに訊けばすぐにわかることだ・・・・・殺すなよ、暁」

 

那月が睨み付けたのは〝仮面憑き〟と呼ばれる化け物だ。

アラクネとは違う。

 

「ーーーー〝仮面憑き〟?」

「思ったより早く現れたな。アスタルテ、花火の時間だ、と公社の連中に伝えろ」

「命令受諾」

 

アスタルテが浴衣の袖口から無線機を取り出して操作する。

 

「那月ちゃん、花火ってなんだ?」

「今どきの若者は、打ち上げ花火も知らんのか」

 

その直後、背後でドンと爆発音が鳴った。

 

「これで庶民どもの目はあちらを向く。多少の爆発や騒ぎは誤魔化せるはずだ」 

「なるほど・・・・・って、もしかしてこの時期に夜店なんかやってたのも、このためか・・・・・!?」

 

黒刀はぶつぶつと呟いている。

 

「いや、あちら側から来たなら俺のこれが反応するはずだ。ならーーーー」

「おい、黒刀、推論をたてるのはいいが庶民がども、異変に気づく前に片をつける。跳ぶぞ」

 

一瞬で塔に転移した。

 

「さて、行くか!」

 

ユキアネサとウロボロスを召喚して塔の上へ上がる。

 

「さて、どこまでいけるか?」

 

ウロボロスを塔に固定して落ちないようにしている。

 

「避けてみろ」

 

三つの氷の剣が〝仮面憑き〟へ向かって飛んでいく。

〝仮面憑き〟は腕ではじくように氷の剣を砕くがその腕は凍りつく。

 

「はぁぁあ!!」

 

ウロボロスを塔から外し那月が出した鎖を足場に〝仮面憑き〟へ走る。

 

「ウロボロス」

 

ウロボロスで〝仮面憑き〟を捕まえる。

 

「行くぜぇぇ!!」

「避けろ黒刀!!」

 

言葉を聞いて横を見るとからもう一体の〝仮面憑き〟が距離を詰めてきた。

 

「っち、虚空刃」

 

急停止して方向転換で向かってきた〝仮面憑き〟の方へ構える。

〝仮面憑き〟はブレーキをかけずに突進してきた。

 

「雪風!」

 

〝仮面憑き〟を一閃する。

その〝仮面憑き〟は凍りつく。

 

「っ、ウロボロス!!」

 

一閃したのはいいが足場の無い場所に移動していたので慌ててウロボロスを塔の柱へ噛みつかせる。

 

「っ、逃げた?」

 

〝仮面憑き〟が居た場所に姿はなかった。

パキンと凍りついた〝仮面憑き〟がところどころ凍りながらも脱出し龍牙の方へ向かって飛んでくる。

 

「龍牙!!疾く在れ、九番目の眷獣、〝双角の深緋〟ーーーー!」

 

古城が眷獣を〝仮面憑き〟に放つ。

さすが第四真祖の眷獣と言うべきか、離れていても余波が伝わってきた。

 

「危ねーな、おい!!」

「悪かったよ。でも、嘘だろ!?」

 

しかし〝仮面憑き〟はあれに直撃しておいて怯みはしたものの飛んでいるのだ。

 

「そんな・・・・・第四真祖の攻撃にたえるなんて・・・・・!?」

 

姫柊は〝仮面憑き〟に驚愕している。

 

「行くぜ、第666拘束機関解放、次元干渉虚数方陣展開!」

 

龍牙の足元には紋章が展開されていた。

 

「なんですかそれ!?」

「秘密兵器があるなら早く使えよ!!」

 

好き勝手言ってくれる。

 

「見せてやるぜ、『蒼』の力を。蒼の魔道書、起動!

行くぞ、この仮面野郎!!」

 

ユキアネサを戻しウロボロスのみに集中する。

〝仮面憑き〟が気づいたのかこちらへ巨大な光剣を投げようとしている。

 

「ウロボロス!!」

 

破壊しようとウロボロスを放つ。

 

「はあ!?」

 

黒刀は驚いた声を出した。

〝仮面憑き〟が〝仮面憑き〟を攻撃したからだ。

 

「っ、気まぐれか?それともこいつに反応したか?」

 

〝仮面憑き〟は同族を攻撃している。

 

「偶然か」

 

戦闘体制を保ったまま〝仮面憑き〟を観察する。

そして、仮面が外れた。

 

「・・・・・馬鹿な!あいつ・・・・・あの顔!?」

「嘘・・・・・」

「マジかよ、まさか、お前だと思わなかったぜ」

 

黒刀は続ける。

 

「叶瀬」

 

そこには告白してきた王女によく似た後輩の顔がある。

 

「・・・・・やめろ、叶瀬・・・・・!」

 

叶瀬が〝仮面憑き〟を食べる。

 

「叶瀬ーーーーっ!」

 

叶瀬は噛みちぎった肉片を咀嚼する。

なかなかホラーな映像だ。

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