翌日
メイガスクラフトへ向かう途中古城とあった。
「よ、お前らも昨日の?」
「そんなとこだ」
メイガスクラフトについた。
「ま、会社だからこんなもんか」
龍牙は先に進みあとから追いかけるように走ってきた。
「お、おい、大丈夫なのか?」
「心配するな、許可は取ってあるから」
どうどうと会社に入る。
「ーーーーいらっしゃいませ」
受付の女性が声をかけてきた。
「あ・・・・・すみません。こちらに住んでる、叶瀬夏恩音さんに会いたいんですが」
機械人形相手に丁寧に答える古城。少し笑えた。
「二○四号室の叶瀬夏音は、外出中です」
機械人形は淡々と答える。
「いつごろ戻るか、わかりませんか?」
「わかりかねます」
ま、そう簡単にいくとは思ってなかった。
「すみません、叶瀬賢生は、ご自宅におられるでしょうか?」
「失礼ですが、お客様」
「統制機構の黒刀と申します」
うしろで少し騒いでいる。
「あ、これが証拠です」
念のためジンから発行してもらった証明書を見せる。
「ーーーー掛け合ってみます。あちらで少々お待ちください」
機械人形は、ロビー中央にある来客用のソファを指した。
「黒刀先輩が統制機構に所属してるなんて聞いてませんよ!!」
「この話は後だ」
そう短く答えた。
ソファで座りながら待つことにした。
十五分ほど待たされて暇を感じていた頃、目を引く外国人の女性がエレベーターから降りてきた。
「登録魔族ですか」
女性の腕には登録魔族の証である金属製の腕輪が装着されていた。
「なんというか、ゴージャスな人だな」
古城の視線が女性の胸元にいっている。
「失礼ですよ、先輩・・・・・というよりも、そのいやらしい目つきがすでに犯罪です」
姫柊が古城にそう返した。
「ごめんなさい。お待たせしてしまったかしら」
「いえ、大丈夫ですよ。この程度ならいくらでもありましたから」
嘘の経験を話して本物だと信用させる。
「あなたたちは、昨日のーーーー」
「そう、昨日の件でお話がありましてーーーー」
相手の失言を逃さないのがプロの仕事だ。
「ええ、昨日の件、こちらの会社が何らかの形で関わっているという情報を得られましてね、その真偽を確かめに来たんですよ。それで叶瀬賢生にお話を伺えないかとおもいましてね」
女性は冷や汗をかいている。
そうだよな、焦ってるとボロを出しやすくなるもんな、
「わ、わかりました。でも、困りましたわね。本日、叶瀬は不在なので」
「不在?おかしいですね。出勤したとの情報があるのですが?」
女性のこめかみには血管が浮かんでいる。
「ええ、叶瀬は現在、島外におりますの。弊社は〝魔族特区〟の管理区域に、独自の研究施設を持ってますから、そちらに」
「そうなんですか、残念ですね。そちらに行くことはできませんか?」
一瞬、女性の口元が緩んだ。
「でしたら、一日に二往復の連絡用の軽飛行機を飛ばしてますから、そちらに同乗していただければ。今からなら、まだ午前の便に間に合うと思いますわ」
「そうですか、ありがとうございます。ですが、少し待っていただけませんか?」
「え?」
「こちらも仕事ですので、手続きをしなければならないんですよ」
「そうですか、1時間ほどなら」
「ありがとうございます。では行きますよ」
会社の外に出る。
「どういうことだよ」
「時間が惜しい、歩きながら話す」
もちろん手続きなんて嘘、自宅で適当な食料、水、衣服の用意をしている。
「あの女は焦っていた。つまり、何かを隠しているということだ」
「な、なるほど」
「そして、島外ということは適当な無人島にでもつれていけば、俺たちの干渉がなくなるわけだ」
「わかってて行くのかよ」
「当たり前だろ。可能性があるなら俺は行く」
古城は呆れたようにため息をつく。
「古城、嫌ならついてこなくてもいいぞ」
「なに言ってんだよ。行くに決まってるだろ。可能性があるんだなら、それに賭ける」
古城にも食料を持たせて再びメイガスクラフトに向かう。
そして、女性に案内された滑走路二は古いプロペラ機が停まっていた。
「やれやれ、あのアマ。わざわざ他人を呼び戻しておいてなにかと思えば、修学旅行の引率の真似事をやれってのかよ、この俺に」
ぶつくさと文句をたれる男が操縦席に座っていた。
「すみません、仕事ですので」
「あー、わかってるよ。ロウ・キリシマだ。ベアトリスの使いっ走りみたいなもんだが、まあ、よろしくな」
「よろしくなお願いします」
握手を返す。男は龍牙、古城、姫柊を順に見る。
「ふん、なるほど。ただの学生ってわけでもなさそうだが・・・・・まあ、こんな魔族特区に住んでりゃいろいろあるわな」
「ええ」
キリシマも魔族だ。
「すみません、到着したら起こしてもらえませんか?睡眠不足でして」
飛行機に乗り込み龍牙はそう言う。
「あー、寝れるものならな」
「ありがとうございます」
龍牙は夢の世界に落ちる。
眼が覚めたのは肩を揺すられたからだ。
「おい、龍牙、着いたぞ」
「おや、短かったですね」
「本当に寝てやがった」
キリシマの呟きが聞こえた。
「さて、行きますか」
「んじゃ、元気でやれよ、バカップルと眠り王子」
キリシマがプロペラ機を飛ばした。
「やはりですか、ま、連絡はしてあるので数日中には迎えが来るでしょう」
姫柊はショックを受けて地面に手をついている。
「古城と姫柊は雨風がしのげるような場所を探せ」
「お、おう」
「あ、はい」
「俺はたんぱく質を取ってくる」
ナイフをきらつかせて言う。
「あ、これ持ってろ」
「無線機?」
古城に無線機を渡す。
「チャンネルは6だ。なにかあったら知らせろ」
「了解」
数時間後、古城たちの見つけた拠点に向かう。
「んじゃ、火をおこすか」
「どうやって、ライターもマッチもないぞ」
ガスコンロを取り出す。
「・・・・・」
「塩焼きだな。取り合えず」
「ま、待ってください、食べれるかどうかわかりませんよ」
「ん、こいつ食べたことあるから大丈夫だ」
前にサバイバル生活したときに食べた記憶がある。
「・・・・・」
「どうした、二人とも、食わないのか?」
「食うよ・・・・・」
「いただきます」
二人は名も知らぬ魚を食べ始める。
「意外といける」
「ええ、そうですね」
「まあ、塩焼きだしこんなもんだろ」
塩焼き以外は試したことがない。
「ふぅー、食った食った」
「ごちそうさま」
やることがないのでトランプを取り出す。
「ポーカやろうぜ」
「修学旅行か!!」
つっこまれた。
「冗談だって。俺が見張っておくからお前らは寝てろ」
やること無いしな。
「寝袋も持ってきたし」
「随分用意がいいですね」
「備えあれば憂いなしだ」
「ですが、見張りは交代で」
「俺はヘリの中で睡眠とったから大丈夫だ」
「・・・・・では、お言葉に甘えて」
渋々了承してくれた。
「んじゃ、おやすみ」
「先輩方、おやすみなさい」
「ああ、安心して眠ってろ」
壁にもたれて見張りをする。
「空は綺麗だな」
星空を眺めて呟く。
龍牙はアルディギアにいた頃を思い出す。
「星座を教えたっけ?」
あのときは彼女がいたからこそ立ち直れた。
「そうか」
龍牙は気づく自分の気持ちに
「ふぅー、姫柊か」
「はい、少し水浴びに行きますので、暁先輩の監視をよろしくお願いします」
「はいよ、これタオルだ」
「ありがとうございます」
姫柊が行くのを確認してから再び星空を眺める。
「よう、龍牙、姫柊はどこにいったんだ?」
「水浴びだとよ。だから出歩かない方がいいぞ」
「わかった。それと龍牙、見張り交代するぞ」
「いや、大丈夫だ。だが、眠れないなら星空でも眺めてろよ」
「星空って」
古城が上を眺める。
「すごいな」
「ああ、そうだな」
あ、いいこと思い付いた。
「なあ、今度姫柊と二人っきりのとき月がきれいですねって言ってみろ。面白いぞ」
「どういう意味なんだ?」
「I LOVE YOU」
「って、おい!?」
「ははは、な、面白いことになってただろ?」
「俺が姫柊に殺されるわ!!」
こいつ、鈍感だ。
「ダメだこいつ、はやくなんとかしないと」
「何気に酷いこと言われたような」
姫柊が帰ってきた。
「おかえり、古城も起きたから止めておいたぞ」
「ありがとうございます、黒刀先輩」
「あ、そうだ、姫柊も星空でも眺めろよ」
「空?」
姫柊も上を見る。
「わあ、綺麗」
「古城と同じような反応だな」
姫柊は照れたような反応をしている。
「月はどうだ?」
「月、ですか?綺麗ですよ?」
笑いが込み上げてきた。
「姫柊、それ、I LOVE YOUって意味らしいぞ」
「へ?あ!?ち、違いますからね、いや、違わなくわないですけど」
「まさか本当に言うとは思わなかったわ。あ、俺少し散歩・・・・・」
止めた。なにか音が聞こえたからだ。
「行くぞ!!」
「はい!」
「おう!」
食料と水を素早く回収し音のした方向へ向かう。
すると船が見えてきた。
「船!?助けに来てくれたのかーーーー!?」
「いや、メイガスクラフトの船だ。口封じだな」
取り合えずベルヴェルクを召喚する。
「っ、伏せろ!!」
兵隊、いや、機械人形が銃弾を問答無用で撃ってきた。
「お前らはここにいろ」
機械人形の方へ走る。
「チェーンリボルバー!!」
残像が見えるような早さで動き次々と機械人形を蹴散らしていく、
「龍牙、後ろだ!!」
いつの間にか後ろをとられていたようだ。
気配が無いから厄介だな。
「っち」
銃口を機械人形の方へ向けた、そのとき何かが機械人形を貫いた。
「三人とも、無事ですか」
懐かしい声が聞こえる。
「おかげさまで、ま、ラ・フォリアが何もしなくても大丈夫だったぞ」
ラ・フォリアが視線をこちらに向ける。
「龍牙!!迎えに来てくれたのですね!!」
はしゃいで抱きついてきた。
「ちょっ、待てって!!」
「本当に久しぶりです。落ち着きます」
無理に離そうとすれば傷がつくので離せない。
「あの、黒刀先輩、そちらの方は?」
姫柊が問う。
「アルディギアの第一王女だよ」
「そして龍牙の彼女です」
「はい?」
「ああ、そんなこと話してたな」
姫柊は混乱して古城は納得したようだ。
「ど、どういうことですか!?」
「俺も聞きたい」
「まあまあ、落ち着けって姫柊」
古城は察してくれたのか姫柊を抑えてくれた。
「はぁー、お前は」
「あ、告白の返事ーーーー」
「またあとでな」
頭を撫でてやる。
いつまでたっても、俺はラ・フォリアに甘いな。
「そうですか、いい返事を期待してますよ」
する返事はラ・フォリアにとっていい返事になるだろうな。
そう思いながらラ・フォリアの頭を撫でる。