ストライク・ザ・ブラッド 蒼を継ぐ者   作:テルメン(白)

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五章

「おい、姫柊、結界を張れ」

「へ?あ、はいーーーー獅子の神子たる高神の剣巫が願い奉る」

 

ラ・フォリアを抱えて姫柊の方へ走る。

 

「雪霞の神狼、千剣破の響きをもて楯と成し、兇変災禍を祓い給え!」

 

姫柊を中心に四、五メートルの半球状の空間が出現した。

結界の外側にあるのは、氷河のような分厚い氷の壁。

 

「ま、これなら暫くは保つだろうな」

 

横に転がっている古城を見る。

 

「おい、姫柊、血でも吸わしとけよ」

「な、何を言ってるんですか!?」

 

姫柊は顔を赤くして否定してくる。

 

「こいつが目を覚まさないと叶瀬を殺すことになるんだ」

 

このままじゃ、結界内の酸素にも限りがある。

 

「ですけど・・・・・血を吸おうにも、今の先輩にはそもそも意識が・・・・・」

「この傷が原因だろうな」

 

古城のシャツを脱がし傷を見せる。

 

「この傷は・・・・・!?」

「模造天使の剣に貫かれたところですね。古城の肉体には、今もまだ剣が刺さったままなのです。わたくしたちには触れることのできない剣が」

「文字通り、次元の違う攻撃だったというわけか」

「シャレを言ってる場合ではありませんよ」

 

言ったつもりは無いんだがな。

 

「ま、精力剤は渡しておくから」

 

内ポケットから薬を取り出す。

 

「なんでそんなものあるんですか!!」

「こんなこともあろうかと用意してたんだよ」

 

とりあえず古城に飲ませる。

 

「んじゃ、頑張れよ」

 

ラ・フォリアを後ろに向かせて目を隠す。

 

「龍牙、何故目隠しをするのですか?」

「いやー、見ちゃ悪いだろ?」

 

後ろで古城がやらかしているだろうしな。

 

「あの、今後の勉強のためにも少しぐらいなら・・・・・」

「ダメ、かわいそうだろ?」

 

まあ、女の子だしな。

 

「後でわたくしにキスしてくださるなら、我慢してあげます」

「そうだな、わかった」

「え?」

「どうしたラ・フォリア?」

「い、いえ、何もありません」

 

ラ・フォリアは慌てた様子だった。

 

「ぐあっ・・・・・!」

 

古城が激痛とともに、目を覚ました。

 

「お目覚めか」

 

古城の傷が消えている。

 

「龍牙、どこだ、ここは?俺は生きているの・・・・・か・・・・・」

 

古城は自分の左側を見る。

 

「ーーーーって。なんじゃこりゃああああっ!?」

 

今頃気が付いたようだ。

 

「ま、俺がお前に精力剤を飲ませたら姫柊がこうなっていた。あ、見てないから大丈夫だぞ」

「って、そういう問題じゃねえ!!」

 

騒がしいやつだ。

 

「落ち着けって首筋に牙のあとがあるし、血を吸っただけだろ?」

「そうか、それより、姫柊に服を着せてやってもらえないか。いくらなんでも、このままほっとくわけにはいかないから」

「だとよ、ラ・フォリア」

「わかりました」

 

ラ・フォリアが姫柊のシャツのボタンをかける。

 

「さて、眷獣の調子はどうだ?」

「あれ?目覚めてねぇ?」

「はぁー、マジか」

 

龍牙は頭を掻き、ため息を着いた。

 

「わかった。俺が強制的に目覚めさせる」

「目覚めさせるって、どうやって?」

「こいつ、蒼の魔道書で無理やり生命力を送る」

 

右腕を上げこれだと振る。

 

「確か、呪われたんだったか?」

「ああ、説明後だ。痛むかもしれないが我慢しろよ」

 

右腕を古城の胸に当てる。

 

「蒼の魔道書、逆接続!!」

 

生命力を古城に無理矢理送る。

 

「うおぉぉぉお!!」

「っぐああっ!!」

 

古城が叫ぶがそんなこと構っていられない。

 

「っ、どうだ」

 

溜め込んでいた生命力をほとんど使ったんだこれで目覚めなかったら・・・・・

 

「目覚めたみたいだ」

 

力を使いすぎてふらふらだ。

 

「龍牙、大丈夫ですか!?」

 

ラ・フォリアが龍牙を支える。

 

「ちょっと、キツいな。あと五分待ってくれ。それと叶瀬は古城、お前に頼む」

「ああ、任せろ」

 

五分後

古城の眷獣が派手に叶瀬の作った氷を砕いた。

 

「派手にやるな、ま、俺が露払いをするんだ。安心しろ」

「ああ、背中は任せた」

 

賢生がこちらを見て言う。

 

「さすがにしぶといな、第四真祖と呪われし英雄、と言ったところか」

「悪いな、選手交替だ。続きは古城がやる」

 

古城に視線を向ける。

 

「多少順番が変わったところで問題は無い。強敵との戦闘で霊的中枢をフル稼働させれば、夏音は今度こそ最終段階に進化する。これ以上彷徨う必要はない。夏音はもう誰も傷つけなくて済む」

 

龍牙は呆れた顔をする。

 

「つまり、誰とも触れあえないということか、可哀想だな」

「ああ、そこから解放してやる」

 

ベルヴェルクを賢生へ向ける。

 

「っち!」

 

いきなり賢生の頭上から爆発音が聞こえ、鋭く尖った無数の氷塊が降りそそぐ。

それをベルヴェルクで撃ち落とす。

 

「ベアトリス・バスラーーーーー!」

 

その攻撃を放った人物に気がついて、姫柊が叫んだ。

その女が槍の形をした眷獣で叶瀬を護っている氷の壁を砕いていく。

 

「時間外労働とか勘弁なのよね。だから、さっさと第四真祖をぶっ殺しちゃってくれないかしら」

「残業手当も出ない会社なのか?可哀想に」

 

分かりやすいように挑発する。

 

「頭にキタわ、あんたはこいつらに殺されなーーーー!」

 

賢生の持っていた制御端末を操作するとコンテナから〝仮面憑き〟が飛び出してきた。

 

「上等だ。まとめてかかって来やがれ!!」

 

これで敵は俺のみに集中する。と龍牙は考えていた。

 

「そんなに死にたいなら、あんたから殺してあげる!!」

 

女の槍が心臓めがけて襲いかかってきた。

 

「うおぉぉぉお!!」

 

ベルヴェルクの銃身で槍をはじいた。

 

「っちぃ!!」

 

女が制御端末で〝仮面憑き〟に命令する。

 

「蒼の魔道書、起動!!」

 

蒼の魔道書を起動させて腕を振る。すると、黒いオーラが〝仮面憑き〟を払う。

同時に〝仮面憑き〟の生命力を奪う。

 

「それが噂の呪われた腕?いいわ、あんたの腕も貰ってあげる。〝蛇紅羅〟っ!」

 

槍が腕を集中して狙ってきた。

 

「甘いんだよ。年増が!!」

 

槍の先を握りエネルギーを奪う。

 

「教えてやるよ。蒼の魔道書にはな、生命力を奪う能力が有るんだよ。どういうことか、わかるか?」

「っち!!」

 

眷獣とは負の生命力により実体化している。それを奪い続ければこの眷獣は消える。

 

「対吸血鬼用の兵器って訳。でも、こっちにはこいつらがいるんだ!!」

 

女がそういうと〝仮面憑き〟が飛んできた。

 

「オプティックバレル!!」

 

〝仮面憑き〟の翼を空間ごと撃ち抜く。

すると〝仮面憑き〟が墜落する。

 

「残念だったな」

「はっ、ロウ!!」

 

女がキリシマに声をかける。

 

「ハ・・・・・ハハッ・・・・・なんだよ、そりゃ・・・・・完璧に騙されたぜ、畜生」

 

キリシマが斬られていた。

 

「騙し討ちをしたような言われ方は心外です。わたくしは、あなたを撃つなどとはひと言も申していませんよ」

 

キリシマが地面に倒れた。

 

「ロウーーーー!この雌豚一匹絞められねーのかよ、このカス野郎・・・・・!」

 

またラ・フォリアを雌豚扱いか

 

「黙れよ。ババァ」

「あ?テメー、今、なんつった?」

 

一気に槍の生命力を奪う。

 

「っ!!〝蛇紅羅〟!そいつの心臓を貫きな!!」

 

女は槍に指示を出すがもう遅い。

槍の眷獣はその姿を消した。

 

「っち!!まだこいつらが!!」

「終わりだ。術式解放!!」

 

アストラルヒート、ヴァルキリーペインを繰り出す。

舞うように銃弾を当てる。

 

「終わりだ」

 

そう呟くと敵が爆発する。

 

「ち・・・・・くしょう・・・・・なんで、このあたしが・・・・・」

 

友人の方を見る。

 

「さて、古城の方は?」

 

友人の眷獣が模造天使の翼を喰らっていた。

 

「次元喰いか、流石第四真祖の眷獣」

「これで無敵では無くなりました」

 

ラ・フォリアが安心するかのように一息つく。

しかし叶瀬の身体から流れ出す神気が勢いを増した。

 

「ったく、休ませてくれよ」

 

叶瀬の翼を撃ち抜く。

 

「姫柊、やれ!!」

「はい!」

 

翼を失った叶瀬はバランスを崩した。

 

「獅子の神子たる高神の剣巫が願い奉るーーーー」

 

姫柊の構えた銀色の槍が、祝詞の呼応して輝きを放つ。

 

「破魔の曙光、雪霞の神狼、鋼の神威をもちて我に悪神百鬼を討たせ給え!」

 

その隙をつき姫柊の槍が叶瀬の肌を切り裂く。

すると叶瀬の肌に描かれた魔術紋様が消滅する。

なので霊的中枢を支える力が失われたことになる。

 

「行け」

 

叶瀬の翼が抜け落ち眼球の形をした霊的中枢が、制御を失って暴走する。

 

「ーーーー喰い尽くせ、〝龍蛇の水銀〟!」

 

それは巨大な二つの顎が、その眼球を呑みこんだ。

 

「ーーーーなんとか、終わったな」

「ええ、そのようですね」

 

ラ・フォリアが横に座っている。

 

「すまん、少し寝るわ」

「ふふ、安心して眠ってください」

 

眠りにつくがすぐに迎えが来てあまりに眠れなかった。

 

「ったく、ゆっくり眠れないな」

 

呟きながら迎えの方へ歩く。

 

「無事ですか、龍牙」

「ハザマ、この通り寝不足だ」

「大丈夫そうですね。王女はご無事のお様子で」

「テルミ、似合いませんよ?」

「いえいえ、今はハザマです」

 

ラ・フォリアはこの事を知らなかったようだ。

 

「さて、龍牙このあと報告書を提出してもらいますよ?」

「一回寝かせろ」

 

ラ・フォリアとハザマが失笑する。

 

「あ、ダメですよ。これからわたくしのデートですから」

「それでは、報告は翌日にでも提出していただければ」

「わかったよ」

 

そんな雑談をしながら船へ乗船した。

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