ストライク・ザ・ブラッド 蒼を継ぐ者   作:テルメン(白)

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一章

「古城、お前バカだな」

「うるせぇよ」

 

改めて、我が名は『ハクメン』ではなく黒刀龍牙だ。

現在、古城の勉強に付き合っている。

 

「今、何時だ?」

 

古城の呟く声に答える。

 

「十五時五十六分三十八秒だ」

「・・・・・もうそんな時間なのかよ。明日の補習って朝九時からだっけか」

「今夜一睡もしなけりゃ、まだあと十七時間と三分あるぜ。間に合うか?」

 

他人ごとのように矢瀬基樹が気楽な声で訊いてきた。

古城は沈黙。しばらく積み上げられた教科書を無表情にしばらく眺める。

 

「なあ・・・・・薄々気になってたんだが」

「ん?」

「なんで俺はこんな大量に追試を受けなきゃなんねーんだろうな」

 

自問するような古城の呟きを聞いて、龍牙たちは顔をあげた。

 

「ーーーーーってか、この追試の出題範囲ってこれ、広すぎるだろ。こんなのまだ授業でやってねーぞ。おまけに週七日補習ってどういうことだ。うちの教師たちは俺になんか恨みでもあるんか!!」

「あるだろ、そりゃ」

 

古城の魂の叫びに龍牙が答える。

 

「あんだけ毎日毎日、平然と授業をサボられたらねェ。舐められてるって思うわよね、フツー・・・・・おまけに夏休みのテストも無断欠席だしィ」

爪の手入れなどをしながら、藍羽浅葱が笑顔で言う。

 

「・・・・・だから、あれは不可抗力なんだって。いろいろ事情があったんだよ。だいたい今の俺の体質に朝イチのテストはつらいって、あれほど言ってんのにあの担任は・・・・・」

 

苛ついた口調で古城が言い訳する。

 

「体質ってなによ? 古城って花粉症かなんかだっけ?」

 

浅葱が不思議そうに訊いてくる。古城は自分の失敗に顔を歪める。

 

「ああ、いや。つまり夜型っていうか、朝起きるのが苦手っつうか」

「それって体質の問題?吸血鬼でもあるまいし」

「だよな・・・・・はは」

 

引きつった笑顔で言葉を濁す古城。この街では、吸血鬼めずらしい存在ではない、花粉症患者並にありふれている。

 

「あたしは那月ちゃん好きだけどね。いいセンセーじゃん。出席日数足りてないぶん、補習でチャラにしてくれたんでしょ」

 

浅葱の言葉に古城も同意する。

 

「それにあたしも、あんたを憐れに思ったから、こうして勉強を教えてあげてんだし」

「他人の金でそんだけ好き勝手に飲み食いしといて、そういう恩着せがましいことを言うな」

「それ、俺の金だからな。古城借り一つな」

 

龍牙は古城が自分の金みたいに言うので言ってやった。

 

「わかってるよ、畜生・・・・・お前らそれでも温かい血の通った人間か」

「おいおい、それが勉強を教えて金まで貸してる俺に言うことか?」

「あと、それ。血が温かいだの冷たいだのってのは、差別表現だからな。気をつけろよ」

 

とりあえず、この島の中じゃな、と矢瀬が皮肉つぽく笑って言った。

 

「面倒な世の中だな・・・・・本人たちはべつに気にしてないだろうに」

 

少なくとも俺は気にしないし、と口の中だけで呟き、古城は投げやりな溜息をつく。

 

「あー・・・・・もう、こんな時間? んじゃ、あたし、行くね。バイトだわ」

 

携帯電話を眺めていた浅葱が、残っていたジュースを一息で飲み干して立ち上がった。

 

「バイトって、あれか? 人工島管理公社の・・・・・」

「そそっ。保安部のコンピュータの保守管理ってやつ。割がいいのさ」

 

浅葱は、空中でキーボードを叩くような仕草をしてみせたあと、じゃね、と手を振って店を出て行った。

 

「じゃあ、そろそろ俺も帰るわ」

「そうか、じゃあな」

「おう、古城も頑張れよ」

 

荷物をまとめて立ち上がる矢瀬。

 

「やる気なくすぜ・・・・・」

「そうか、そんなんじゃ、やっても身に付かないだろうし帰れ」

「おう、会計頼むわ」

「はいはい」

 

支払いを終え外に出る。

 

「ホント、ありがとな」

「気にすんな」

 

家に向けて歩き出す。

 

ファミレスを出た交差点、そこから黒いギターケースを背負った女子に尾けられている。

 

「尾けられてる・・・・・んだよな?」

 

原作はほとんど忘れているので誰かは忘れた。

 

「おい、古城、ゲーセン入るぞ」

「お、おう」

 

ゲーセンに入り尾けていた相手は立ち止まる。

 

「ありゃ素人・・・・・それよりも酷いな」

「観察している場合かよ」

「ま、とりあえず行動にうつるか」

「お、おい!?」

 

入ってきた入口から出る。

すると少女が入ろうとしてたのか鉢合わせる。

 

「だ・・・・・第四真祖!」

 

彼女は上擦った声で叫ぶと、重心を落として身構えた。

第四真祖とは暁古城のことだ。

 

「素人と思いきゃ、そっちは中々だな」

 

ポケットに手を突っ込み腰を低くして構える。

 

「待てって龍牙まだ何者かわかんねーだろ。で、誰だ、おまえ?」

 

古城が警戒心をあらわに少女を睨む。

 

「わたしは獅子王機関の剣巫です。獅子王機関三聖の命により、第四真祖の監視のために派遣されて来ました」

 

獅子王機関ね。

 

「あー・・・・・悪ィ。人違いだわ。ほかを当たってくれ」

「え? 人違い? え、え・・・・・?」

 

少女が困惑したように視線を彷徨わせた。

その隙に立ち去ろうと背中を向けた龍牙と古城を、少女が慌てて呼び止める。

 

「ま、待ってください! 本当は人違いなんかじゃないですよね!?」

「いや、監視とか、そういうのはホント間に合ってるから。じゃあ、俺は急いでいるんで」

 

古城はぞんざいに手を振って、その場から急ぎ足で離れていく。

少女がついてこないことを確認しようと後ろを見て驚いた。

見知らぬ男二人組が少女をナンパしようとしていた。

 

「いい歳こいて、中学生に手ェ出してんじゃねぇよ・・・・・オッサンたち」

 

龍牙は獅子王機関の剣巫なので傍観を決めたが、古城は巻き込まれに行こうとしている。止めようと手を伸ばした瞬間、少女の声が聞こえた。

 

「若雷っーーーーー!」

 

獣人の男が吹っ飛んだ。

 

「あの歳にしては中々やるな」

 

獣人の筋力や打たれ強さは、人間の非ではないので命に大事はない。まぁ、動けないみたいだが。

 

「このガキ、功魔師かーーーーー!?」

 

呆気にとられていたナンパ男の片割れが我に返って怒鳴った。

男は本性をあらわにする。真紅の瞳。そして牙。

 

「D種ーーーーー!」

 

少女が表情を険しくしてうめいた。

D種とは”忘却の戦王„を真祖とする者たちを指す。

一般的にイメージされる吸血鬼に最も近い血族である。

 

「ーーーーー灼蹄! その女をやっちまえ!」

 

男の左脚からどす黒い炎が噴き出した。

黒い炎は、歪な馬のような形をとって現れた。

 

「こんな街中で眷獣を使うなんてーーーーー!」

 

お前のせいだよ!!と心の中でツッコム。

避難を促すサイレンが鳴り響く。

 

「雪霞狼ーーーーー!」

 

少女がギターケースから槍を取り出す。

眷獣が少女を襲う。

少女は妖馬に向けて槍をつきたてる。

 

「なーーーーー!?」

 

銀の槍に貫かれた姿で、妖馬が止まっていた。

その槍は妖馬を一閃し、妖馬は巨体が揺らめき、消滅する。

 

「う・・・・・嘘だろ!? 俺の眷獣を一撃で消し飛ばしただと!?」

 

ナンパ男があ、後ずさる。

少女が吸血鬼に槍を構えて、吸血鬼へと突進する。

 

「ウロボロス!」

 

少女の槍を鎖が絡めとる。

 

「喧嘩は終了だ。おい、仲間連れてさっさと逃げろ」

「あ、ああ・・・・・す、すまん・・・・・恩に着るぜ」

 

吸血鬼は獣人の仲間を担ぎ去っていく。

 

「お前、やり過ぎな」

 

鎖で絡めとった槍を手に持ち道路に突き指す。

少女は不服です。という顔で睨み付けてくる。

 

「どうして邪魔をするんですか?」

「あ? そこに喧嘩をしているやつがいるからだ」

「どこの登山家だ!!」

 

古城がツッコム。

 

「?・・・・・公共の場での魔族化、しかも市街地で眷獣を使うなんて明白な聖域条約違反です。彼はころされても文句は言えなかったはずですが、それから、雪霞狼を返してください」

「それを言うなら、あいつらに先に手を出したのはお前の方だろ?」

「そんなことはーーーーー」

 

冷静に反論しようとして、少女は途中で黙りこんだ。

 

「おまえが何者なのか知らないけど、ちょっとパンツ見られたくらいで、そんなもの振り回して殺そうとするのはあんまりだろ。いくら相手が魔族だからってーーーーー」

 

古城は自分の失言に気がついた。少女は古城を睨み付ける。

 

「もしかして、見てたんですか?」

「あ、いやそれは・・・・・」

 

古城は助けを呼ぶように視線を友人の方へ向けるがすでに友人は去って槍だけが残されていた。

 

そして少女が立ち去ったのを見計らって古城の方へ向かう。

 

「ドンマイ」

「テメー逃げやがって」

 

龍牙を恨むように睨み付ける。

 

「ん・・・・・?」

 

古城はふと道路に落ちていた財布を拾った。

 

「姫柊雪菜ね」

 

龍牙が財布を覗き見て言う。

翌日、校内で古城を見つけたので声をかけた。

 

「古城、金欠だろ。おごって・・・・・」

 

そこに昨日の少女がいた。

 

「お、ちょうどいいとこにこいつがお前のことも聞きたいって」

 

ハンバーガーショップへ移動した。

 

「で、聞きたいことって?」

 

目の前の少女に催促する。

 

「あ、はい、雪霞狼を絡めとったあの鎖はなんですか?」

「事象兵器、蛇双・ウロボロス」

「アークエネミー?とはなんですか?」

 

説明するのめんどくさい

 

「俺が使っている武器の名前だ」

「どういったもので?」

「それは秘密だ」

 

姫柊は怪訝な表情をして仕方ないと観念した。

 

「次にあなたは何者ですか?」

 

分かりにくくしてやろう。

 

「そうだな、『蒼』を継ぐものといったとこか?」

 

『蒼』事態が何か分からんだろうな。

 

「『蒼』とはなんです?」

「神殺しの剣を精錬するために・・・・・いや、なんでもない」

「神殺し!?」

 

姫柊は驚愕している。

 

「貴方は、何をするつもりですか」

 

姫柊はギターケースに手をかける。

 

「そうだな、今は高校生活を謳歌することか」

「はい?」

 

予想外の答えだからかキョトンとした顔をしている。

 

「終わりだな。次は古城だな」

 

狙ってたろという顔をする古城

 

「は~、答えられる範囲なら答えてやる」

 

古城が第四真祖になった過程を話した。まあ、記憶を失ってるからなったことしか話してないがな。

そういや、古城に造った未完成の碧の模造品を埋め込んでたような?

 

「で、こっちの質問にも答えてくれるよな」

「ええ、そうですね」

「雪霞狼といった槍の術式はどうなってるんだ?」

「すみません、機密事項です」

「じゃあ、能力は魔力の無効化か?」

「はい、獅子王機関がーーーーー」

「あ~、そういうのどうでもいいから」

 

獅子王機関がどうとかどうでもいい。

 

「ま、それだけで充分だ」

 

席を立つ。

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