序章
「まったく、空間が歪んだせいでこの歳になって迷子ですよ!!」
諜報部所属のハザマはイライラしていた。
「おまけに監獄結界が目的だ?んな、めんどくさいとこ狙いやがって!!あっこには狂犬がいるってのによう!!」
キレて本来の性格に戻ってしまった。
「ま、ジンと猫、そして龍牙がいればなんとかはなるだろうが、報告書とかもうメンドクセェ!!」
歩いていると転移して街中になった。
「ふぅー」
街中なのですぐに落ち着いて歩き始める。
「あ、すみません、私、統制機構の者なんですが、異変とかそういったこと起きてませんか?いやはや、最近ここに配属されたばかりで迷子になってしまいまして」
これは嘘だ。自分を怪しまれないようにするための。
「あ、変わった噂だったら聞いたよ」
「ほうほう、それはどういった噂で?」
屋台の店員に訊いてみる。
「タダって訳にはいかないね」
「ご商売が上手ですね。では、一番高いのを」
「あいよ。それで噂ってのは監獄結界が出たとかなんとか」
ハザマは心の中で舌打ちした。
「それはそれは、少々面倒なことになりましたね」
「なあ、兄ちゃん、監獄結界って本当にあんのか?」
「うえ、ありますよ。でも、ご安心を、この島には師団長が四人集まってますから」
これはこの人から、もしくは回りで聞いている人がパニックにならないようにするため、あえて情報を流したのだ。
「そうかい、そりゃ安心だね」
「ええ、第一から第四までの師団長がいますから、大丈夫ですよ」
これにより自分の仕事を減らすのだ。
「はいよ、兄ちゃん、三千四百円」
「はい」
「丁度だね。毎度あり」
渡されたのはデカイクレープだった。
「私、甘い物は少々苦手なんですけどね」
捨てるわけにもいかない。そう思ってたら、何やらズボンを引っ張る幼女がいた。
「あらー、迷子ですか?あ、そうだ、これあげますから元気出してください」
内心子守は勘弁だ。さっさと支部に連れてくかと考えている。
「・・・・・パパ!!」
いや、ちょっと待て、誰がパパだ?
「えーと、私ですか?」
「うん!パパ!」
いやいやいや、待て待て待て、知らねーぞ。
だが、那月にそっくりだ。
「那月さんにそっくりですね」
言葉に発すると思い出した。昨日の話を、そして仙都木には固有堆積時間操作の魔導書を持っていた。
「脱獄しましたか、厄介なことになりましたね」
「パパ?」
この幼女が那月だとすると監獄結界が破られたことになる。
アズラエルが出てくる。
「あー、いいですか?パパと一緒に統制機構に行きましょう。パパはお仕事で忙しくなりますから」
那月(仮)を肩車してハザマは統制機構絃神支部へ向かう。