古城たちは仙都木の治療のためにMAR研究所のゲストハウス。
古城たちの母親である暁 深森は、その一室を私物化しているのだ。
呼び鈴を鳴らす。
そして少し遅れて、インターホンからふわふわした声が流れ出してくる。
『はいはーい、どなたですかぁ?』
「俺だ、母さん。悪いけどちょっと頼みがあってーーーーー」
年甲斐もなくお気楽な母親のペースに巻き込まれないよう、古城は無愛想な態度をとろうとする。しかし深森は、息子の言葉を遮った。
『あら、古城君はいはい、まってね、今開けるから』
バタバタとドアの向こうから落ち着きのない音がする。
そしてドアの鍵が外れる音を確認して、古城はドアを開けた。
「ばあっ!」
目の前には一メートルを越えるジャックランタンがいた。
母親だと気づきすぐに落ち着く。
姫柊は驚きのあまり〝雪霞狼〟を取り出そうとする。
そんな姫柊に満足したのか母親はジャックランタンの頭を取り外す。
「ふんふー・・・・・驚いた?」
「驚くわっ!いきなりなにやってんだ、あんたは」
「だって今日は波朧院フェスタでしょ。私も行きたかったのにー。悪戯か、死か!」
「なんかいろい間違ってるだろ!恐ェよ、その祭り!」
古城は呆れて頭を抱える。
「あら、あなたたちは・・・・・?」
姫柊と仙都木を見比べながらニヤニヤと深森は笑みを浮かべる。
そして古城の脇腹に肘打ちを叩きこむ。
「いきなりなんてことしやがる、てめェ・・・・・!」
「めちゃめちゃかわいい子たちじゃない!」
そこで思い出した。自分の傷が治った原因をこの母親は知ってるのではないかと。
「どっちが・・・・・」
「母さん、俺の中に碧の魔道書があるって知ってたのか?」
深森は気づいちゃったかという顔をした。
「あれェ?古城君?」
「えっ・・・・・!?」
音信不通だった妹がそこにいた。
「凪沙?おまえ・・・・・なんで・・・・・いつから?」
「今朝早くに呼ばれて、着替えを届けに来たんだよ」
驚く古城を、むしろ不思議そうに見返してきた。
「それからずっとここにいたのか・・・・・?」
「そうだよ。部屋のお掃除したり、クリーニングに出してた服を引き取ってきたり。おと料理。深森ちゃんに任せてたら部屋が大変なことになっちゃうし、冷蔵庫も空っぽで大変だったよ」
「そう、か・・・・・そういやここって携帯の電波が入らなかったんだっけか・・・・・」
古城は安堵の溜息を吐く。
「それより、古城君、どうしたの?雪菜ちゃんたちもずっと一緒だったの?龍牙君とその彼女さんは?」
凪沙に突然訊かれて、古城たちは硬直した。姫柊がぎこちなく頷いた。
「こ、こんばんわ」
「ていうか、ユウちゃん、怪我してる!?なにかあったの?龍牙君たちは無事なの?」
龍牙の言ったことを思い出す。
「凪沙、悪い、俺行かなくちゃなんねーわ」
友人との約束を守るために。
「ユウマのこと任せたぞ」
「あ、ちょっと待ってよ」
古城は統制機構に向けて走り出す。
5回め
さすがにきつい