ストライク・ザ・ブラッド 蒼を継ぐ者   作:テルメン(白)

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五章

彩海学園、

そこには仙都木阿夜、南宮那月、姫柊雪菜の三人がいた。

 

「あなたは、この世界が何者かが今のような形に生み出した、と言いましたね?」

「ああ、奴の、呪われし英雄の記憶を獲て確信した。この世界の全てが嘘だ、嘘だらけだ。神という名のプログラムによって管理された世界だ。そんな世界でいいと言うのか?剣巫よ」

 

呪われし英雄、彼はどれだけ世界について知っているのだろうか?

 

「もう一度言おう。その槍は本来あるべき世界の姿に戻しているのではないかーーーーー?」

 

彼女の言葉を信じるなら、この世界はプログラムによって管理された世界だ。

そのプログラムを消滅させるために〝雪霞狼〟が必要なのだろう。

考えていると、結界が裂けた。

 

「やれやれ、記憶を無くしてなお戦うか、呪われ英雄」

「我は空、我は鋼、我は刃」

 

声の方向には白い鎧を身に纏い、右腕だけが黒い二メートルはあろうかという侍がいた。

 

「我は一振りの剣にて全ての『罪』を刈り取り『悪』を滅する!」

 

侍は背中の刀を抜く。

 

「たとえそれが、未来の己であろうとも。我が名は「ハクメン」、推して参る!!」

 

龍牙は阿夜に切りかかる。

阿夜は〝守護者〟の剣を持ち、龍牙の刀をはじく。。

 

「わかっているはずだ。我には汝の未来の記憶がある。汝の未来の経験があるのだ」

 

身体能力は龍牙が圧勝しているが、技術面で劣る。

 

「ズェア!!」

 

斬魔・鳴神を振るうがひらりと避けられてしまう。

 

「己と戦うというのは厄介なものだ」

 

剣を止める。

 

「だが、場は暖まった」

「・・・・・この魔力!?」

 

凄まじく濃密な魔力の波動が、校内の大気を揺るがしている。

 

「馬鹿な」

 

それにあわせ、龍牙が威圧する。

校舎が若干ゆれる。

 

「ーーーーー疾く在れ、三番目の眷獣、〝龍蛇の水銀〟!」

 

再生した結界を再び壊された。

 

「・・・・・よもや二回も結界を破られるとは、思ってもみなかったぞ。土足で自分の部屋を踏み荒らされた気分・・・・・だ」

 

龍牙と古城を、仙都木阿夜が、憎々しげに火眼を細めて睨みつける。

 

「我が記憶を奪っておいてその態度か」

 

龍牙はそう言い返した。

 

「ふむ、なぜ貴様には魔族の力が残っ・・・・・それか」

 

古城の腕にはめられたブレスレットを見つめる。

 

「我が記憶を返してもらおう、貴様には過ぎた物だ」

 

龍牙の背後に紋章が浮かんだ。

虚空陣奥義・夢幻とオーバードライブ、鬼神が発動した。

 

「虚空陣、疾風!」

「虚空陣、疾風」

 

相殺された。

 

「第666拘束機関解放、次元干渉虚数方陣展開!」

 

古城が起動コードを唱える。

 

「コードSOL、碧の魔道書起動!」

 

古城から黒いオーラが放出されている。

 

「碧の魔道書、汝も所持していたな」

 

古城が黒い雷を仙都木に放つ。

 

「っ、眷獣との融合か、少々厄介だな」

「ハッ!!」

 

残鉄を使用する。が避けられ服のみ切れる。

 

「っち、ニルヴァーナ!」

 

阿夜は魔方陣からニルヴァーナを召喚した。

 

「機神か」

 

レプリカ事象兵器の一つ、機神・ニルヴァーナだ。

 

「汝が造った人形に潰されるがよい」

 

阿夜はそういいニルヴァーナに龍牙の相手をさせる。

爪の攻撃を鳴神で受け止める。

 

「面倒な」

 

斬神によるカウンターで攻めているが中々倒れない。

 

「よそ見をするな、第四真祖」

 

仙都木が古城へ剣で切りかかる。

 

「っぐ、これでも食らえっ!」

 

古城は闇を阿夜に向かって放つ。

 

「ふん、この程度か」

 

阿夜は剣を振るうことで闇を払った。

 

「ズェア!!」

 

龍牙がニルヴァーナを破壊し古城の援護に来た。

 

「やはり汝が一番の障害か、だが、忘れてはおるまいな。ここは我が世界の中ぞ!」

 

メイヤー姉妹にアズラエルが現れる。

 

「観測することによって創り出したか」

 

龍牙はそう言って鳴神を振る。

アズラエルとメイヤー姉妹は消える。

 

「どうした、この程度ではないはずだ!!」

 

阿夜は顔をしかめる。

 

「疾く在れ、〝獅子の黄金〟!」

 

黒く染まった〝獅子の黄金〟が阿夜を襲う。

 

「虚空陣、雪風!」

 

阿夜はカウンターで獅子の黄金を真っ二つに両断する。

 

「眷獣を切りやがった!?」

「やはり汝は素晴らしい。このようなことができるとは」

 

阿夜の持っていた剣が砕ける。

 

「汝の記憶、全て貰うぞ、呪われし英雄!〝影〟!」

 

黒い〝守護者〟が龍牙を襲う。

 

「待っていたぞ、魔女よ」

 

龍牙は黒い〝守護者〟の腕を掴む。

 

「よくやった、誉めてやる」

 

黄金の〝守護者〟が阿夜の魔導書を奪う。

 

「派手にドンぱちやってくれたお陰で微量だが魔力が回復した」

 

誰かに説明するように那月は言う。

 

「我が記憶も戻してもらおう」

「まあ、待て、まずはその鎧を外せ」

 

スサノヲユニットを外す。

那月は満足した顔をした。

 

「ふむ、いいだろう」

 

記憶が戻り元の姿に戻る。

 

「っぐ」

 

骨が骨折していて立てない。

 

「怪我をしていたか、これは失敗したな」

「もう無理」

 

龍牙が倒れた。

 

「お、おい」

「放っておけ、アズラエルとやったそうだからな、無茶はさせるな」

 

空気だった姫柊が檻を破って古城に近づいた。

 

「あ、あのー、姫柊さん、怒ってませんか?」

「なんのことでしょう?」

 

ニコニコと笑顔だが姫柊は完全に怒っている。

 

「あくまでも我の敵に回るか、那月!?」

 

怨嗟に満ちた声で、阿夜が吼えた。撒き散らされる殺気とともに、虚空に無数の文字が描かれる。出現したのは犯罪魔導師たちの幻影。そして煮えたぎる熔岩。巨大な氷塊。地面より突き出す無数の針。

 

「吹き飛ばせ、〝双角の深緋〟ーーーーー!」

 

黒く染まった古城の眷獣は、阿夜の作り出した幻影を消滅させる。

 

「ーーーーー鳴雷!」

 

先程の眷獣は囮だ。狙いどうり障壁に集中させたところを、姫柊が攻撃を当てる。

 

「ウロボロス!!」

 

後ろから龍牙がウロボロスで黒い〝守護者〟を拘束する。

 

「大人しくしていろと言っただろうが、よくやった。悲嘆の氷獄より出で、奈落の螺旋を守護せし無貌の騎士よーーーーー」

 

ウロボロスの上から銀色の鎖が黒い〝守護者〟を締め上げる。

ウロボロスは役目を終えたので魔方陣のようなものに戻っていった。

 

「我が名は空隙。永劫の炎をもって背役の呪いを焼き払う者なり。汝、黒き血の軛を裂き、在るべき場所へ還れ。御魂をめぐみたる蒼き処女に剣を捧げよ!」

 

那月の詠唱が続く。鎖を介して彼女の魔力が流れこみ、黒い〝守護者〟を覆う漆黒の鎧がひび割れて、その下に新たな鎧が現れる。

 

「ーーーーー〝蒼〟!」

 

優麻が叫んだ。蒼い騎士が、咆哮する。

 

「我が生み出した人形が、我の支配を逆らうか・・・・・!」

 

阿夜は〝守護者〟を引きちぎられたことによって、霊力径路がズタズタに引き裂かれる。

 

「潮時だ、阿夜・・・・・監獄結界に戻れ。おまえが見た夢はもう終わった」

 

阿夜が膝をつく。

 

「孤立無援か。LOCの魔導師どもを見限ったツケが、このような形で回ってくるとはな」

 

言っていることは正しいが、LOCのほとんどは統制機構が拘束しており、見限らなくても現状は変わらなかっただろう。

 

「だが、第四真祖よ。島を支えるほどの眷獣を喚び出しながら、ほかの眷獣を操るのは苦しかろう。碧の魔道書のサポートもあるだろうが、暴走させずに制御できる時間が過ぎれば、我の勝ち。結果は同じだ」

 

今、この島が崩壊せずにいるのは古城の眷獣、〝甲殻の銀霧〟がこの島を霧化しているからだ。

その眷獣を抑えがきれれば絃神島は文字どおり雲散霧消してしまう。

 

「そうなる前にあなたを倒します」

 

姫柊が槍を構えて静かに告げた。

 

「できるか、剣巫?」

 

阿夜はニルヴァーナを召喚した。

阿夜は笑う。阿夜の身の異変に気づいて、那月が怯えたように小さな身体を震わせた。

 

「よせ!やめろ、阿夜!」

 

その直後、仙都木阿夜とニルヴァーナが炎に包まれた。物質的な意味での炎ではない。まるで地獄の底から吹き出しているような、不吉な闇色の業火だ。

 

「第666拘束機関解放、次元干渉虚数方陣展開!」

 

古城が再び碧の魔道書の起動コードを唱える。

阿夜の身体とニルヴァーナは完全に炎に呑まれ、彼女の火眼だけが闇の中で爛々と輝いている。洩れ出す彼女の魔力は恐ろしく強烈で、古城の普通の眷獣を越える。

 

「イデア機関接続!」

 

古城のブレスレットが光る。

 

「コードSOL、碧の魔道書起動!!」

 

古城を先程のよりも強い闇が古城を包む。

 

「行くぜ、ここから先は第四真祖の戦争だ!!」

 

後ろから声が聞こえた。

 

「ーーーーーいいえ、先輩。わたしたちの八つ当たりです」

 

あれ?なんと書いてケンカと読みました?

 

「〝雪霞狼〟は魔力を無効化するのではなく、世界を在るべき姿に戻しているのだと、あの人自身が言ってました。だからーーーーー」

「わかった。こっちもそろそろ限界だ」

「はい。一気に行きます!」

 

炎に包まれた阿夜が指先で文字を描いた。それが創り出したのは小さな黒き獣の頭だった。

 

「・・・・・虚空陣、疾風!」

 

龍牙はそれを見るなり立ち上がり斬撃を飛ばした。

 

「っ、行け!」

 

骨折して動けない身体をスサノヲユニットを起動することで無理矢理動かしたのだ。

闇の中から、黒い人形、ニルヴァーナと呼ばれていた物が飛び出して来た。

 

「疾く在れ、〝獅子の黄金〟ーーーーー!」

 

黒く染まった眷獣がニルヴァーナを蹴散らし、姫柊の安全を確保する。

 

「ーーーーー獅子の神子たる高神の剣巫が願い奉る」

 

銀色の槍を掲げて、姫柊が舞う。

それを恐れるように炎が姫柊に向かって飛んでいく。

 

「させねぇよ!」

 

古城が闇で炎を呑み込む。

 

「破魔の曙光、雪霞の神狼、鋼の神威をもちて我に悪神百鬼を討たせ給え!」

 

銀色の槍が一閃し、魔女と人形を包んでいた黒い炎を断ち切った。

槍が放つ光を浴びた阿夜の身体から、魔力が消失する。

 

「ウロボロス!!」

 

龍牙とは違う声が聞こえた。

蛇の頭を形取った先端を持つ鎖が、阿夜を引きずり出した。

 

「えー、仙都木阿夜の身柄はこちらで預からせてもらいますよ。娘である、貴女もね」

 

ハザマがウロボロスで阿夜を拘束した。

 

「そいつは監獄結界の囚人だ!」

 

ハザマはヤレヤレと首を振る。

 

「監獄結界の管理が甘くて脱獄したのではありませんか?だから私たち、統制機構が責任をもってお預かりいたしますのでご安心を」

 

ハザマは龍牙の記憶を守るためにそういう建前を言っている。

 

「っぐ、そんな勝手が・・・・・」

「いえー、それが勝手でもないんですよ。ほら、創始者三名のサインがありますから」

 

その紙に統制機構の絶対的な存在の三名全員がサインしたということだ。

 

「っち!」

「では、私はこれで」

「ったく、誰が転移させると思ってるのよ」

 

ハザマの後ろに見るからに魔女とわかる女の人が現れた。

 

「お願いしますよ、中将」

「ったく、わかってるわよ」

 

魔女はハザマと仙都木親子、そして龍牙を連れていった。




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