仙都木阿夜には術式で強制的に龍牙の言うことに従うようにした。
優麻の方は一定期間、統制機構で働いてもらうことで許すらしい。
そして龍牙は、全治三週間の間、ろくにベッドから動けない。
「あ、こうじゃないな」
ベッドの上で仕事をしている。
「龍牙、お食事の時間です」
ラ・フォリアが看病してくれるのは嬉しいが
「はい、あーん」
なぜかナース服をノリノリで着ている。
「あーん」
個室だから良かったがそうじゃなかったらどうするつもりだったんだ?
まあ、食事は食べるが
「「龍牙!!」」
親父とお袋がドアを開けるなり大声で叫んだ。
「あ、これはお義父さまにお義母さま。いつもお世話になってます」
ラ・フォリアは挨拶をする。
「あ、ああ、龍牙は大丈夫なのか!?」
「大丈夫だって、命に別状はねーし」
安心させるように言ったが、まだ心配のようだ。
「アズラエルと戦ってそれですんだのか!?」
「アズラエル!?聞いてないわよ、そんなこと!!」
アズラエルと戦ったから心配なのか、
「まあ、骨は折れたけど二週間後には治るし・・・・・」
「よし、アズラエル殺そう!」
「ええ、久しぶりに本気を出そうかしら?」
親父とお袋の後ろにオーラが見えるのは気のせいであってほしい。
「なんというか、過保護ですわよね、龍牙の両親も」
「あ、ああ、大丈夫だってのに」
「いい様だな、主よ」
阿夜が資料をもって空間転移で来た。
「ん、ご苦労」
「なぜ、我がこのようなことをしなくてはならない」
「死刑にならないだけマシだと思え」
資料に目を通す。
「おい龍牙、何してんだ?」
「何って、仕事だよ。あー、この件は諜報部だ、こっちは航空部隊で、こっちは開発部に」
魔導犯罪者の基地特定や術式兵器の運送、開発やらの資料まで来た。
「あとは、サインするだけだな」
使えるのは右腕だけなので文鎮のような重りで紙を抑えサインしていく。
「終わった!」
「お疲れ様です」
「我は帰らせてもらうぞ」
ヒュンとどこかへ転移してしまった。
「仕事もほどほどにしろよ」
「子供だからってサボるわけにも行かないだろ、師団長だし」
責任があるからな。
「あー、言いにくいが、俺たちもそろそろ時間だ」
「仕事、まだ終わってないのかよ」
「いきなりレイチェルに転移されたんだ、今は途中だよ」
「そうか、ブラッドサイズの点検とかもしたかったけど、じゃあな」
「ああ、じゃあな」
親父とお袋が転移でどこかに行った。
「さ、龍牙、早く寝て早く治してください」
「わかってるよ」
コンコンとノックが聞こえた。
「どうぞ」
「失礼するぞ」
担任の那月が来た。
「調子はどうだ?」
「さあ?ベッドから動いてないからわからねえわ」
「それもそうか、で、いつから学校にこれそうだ?」
「二週間後だろうな」
「そうか」
それから沈黙が続く。
「ところで、阿夜はどうなった」
那月は決心したように龍牙に訊く。
「阿夜なら、俺の部下になったよ。ちょっとした細工を仕掛けたけどな」
那月は安心したように溜め息をつく。
「そうか、ならいい。娘の方はどうなった?」
「しばらくの間統制機構でタダ働きしてもらうことになった。第二魔導師団でな」
「奉仕活動か、ずいぶんと軽いな」
嬉しいくせに厳しい言葉を言う那月。
「第四真祖が癇癪を起こさないタメだとさ」
「なるほどな」
納得したようだ。
「一つ訊く、阿夜の言ってたことは、本当か?」
「ああ」
「そうか」
それを訊くと満足したように病室を出ていった。
「で、なに恥ずかしがってんだ?」
「五月蝿いぞ、主よ」
カーテンの裏から阿夜が現れる。
「やれやれ、素直じゃないな、両方とも」
阿夜は不機嫌な顔で睨んできた。
「俺はもう寝る」
「お休みなさい、龍牙」
唇になにか触れた気がした。