序章
遥かな過去に、男は生まれた。
彼を生み出したのは、神々の楽園を追放され、大地に降り立った最初の人類ーーーーー
すなわち彼は、人の手によって創られた最初の人であった。
然れど男は、神の怒りを受けて異境の地へ追放される。
神が男に与えたものは、同胞殺しの汚名と、不死の呪い。
かくして彼は罪人となり、地上には最後の同胞と、その子孫だけが残された。
男を哀れに思った人間が、その者を帰そうと神を殺すための剣と不死身殺しの兵器を造り出した。
神殺しの剣は意思を持ち、不死身殺しの兵器はその力を抑えるため姿をかえ、使用者の光を奪う呪いの兵器となった。
その神殺しの剣を造る過程で人は世界を認識した。
人が世界を認識した瞬間、彼女は生まれた。
彼女は夢を見る。世界を認識し、世界を見ている。
彼女は救いを求める。英雄ではなく、自分を解放してくれる者を、
だが彼女は救われない。
なぜなら彼女が化け物だからだ。
そして世界は繰り返す。何度も何度も、
何度繰り返した時だろうか?その世界に勇者が生まれた。
自分の体に化け物を封印し、自分のものとした。
彼ならば彼女の世界を壊し、彼女を解放できるだろう。
彼は世界の破壊者だ。
彼は化け物を倒すため、自らの体に化け物を封印することで化け物を倒した。
彼は化け物だ。
『ギュアアアァァァァア!!』
そこには四本の頭をもつ化け物がいた。
それは禍々し化け物だった。
「お前は俺に負けたんだよ」
彼は、龍牙は黒き獣を睨み付ける。
すると、黒き獣が暴れだす。
『グァァァアァ!!』
認めるか、と言うように龍牙に襲いかかる。
「無駄だ」
龍牙は白い鎧を纏い、黒き獣を切り裂く。
「虚空陣・雪風」
無数の斬撃となり、黒き獣を斬っていく。
『グギャァァァアア!!?』
なにがおこっているかわからないような鳴き声を出す。
「虚空陣、ハアッ!ズェア!疾風!!」
龍牙が衝撃波を飛ばし黒き獣野首を切断する。
『グォオオォオオオ!!』
唯一の残った首が最後の攻撃と言わんばかりに突進してきた。
龍牙は右腕で最後の頭を掴む。
「闇に喰われろ!!」
右腕から闇が溢れでて黒き獣の力を奪い取っていく。
「砕け散れ」
闇が破裂し、黒き獣は消え去る。
「何回、この夢を見ればいいんだろうな」
ここ最近、同じ夢を何度も見ている。
だんだん黒き獣は弱くなり、蒼の魔道書の力が上がっている。
夢の中で黒き獣の力を奪い取ることで、蒼の魔道書の力が上がるのだ。
『我は白、我は世界を白く染め、無に回帰させし者』
「おいおい、これは初めてだな」
龍牙はブラッドサイズを腰から抜き構える。
『我が名は『ハクメン』!推して参る!!』
ハクメンは白い太刀を生み出し斬りかかって来た。
「ハッ!!」
『ズェア!!』
ハクメンが斬るモーションをしたのでそれよりはやく出る攻撃をしたのに、投げられていた。
「っがぁ!!」
背中を打ち付け、痛みのあまり苦悶の声をあげる。
『終わりだ、疾風!!』
ハクメンの斬撃に飲み込まれ体が切断される。
「っはぁ!!」
夢から覚めていた。
「どういたしました?うなされていたようですが、悪夢でも見ました?」
当たり前のようにラ・フォリアがいることはもうツッコまないでおく。
「ああ、殺される夢だ。自分、いや、似たような存在に」
あれは俺であって俺でない。
スサノヲユニットだ。それは俺の力だ。
それ自体の力を完璧に使える相手だ。スサノヲユニット自体の意思だと思う。
なので俺であって俺でない相手に殺された。
「修行しろってことなのか?」
なんだか、体がダルい。
「龍牙、顔色が悪いですわよ」
ラ・フォリアが龍牙のおでこを触る。
「大変、熱がありますわ」
「マジか?」
「ええ、詳しく計ってみましょう」
体温計を出そうとラ・フォリアが布団から出た瞬間、意識を失った。