ストライク・ザ・ブラッド 蒼を継ぐ者   作:テルメン(白)

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一章

現在、統制機構、第三師団団長室。

 

「終わったー!!」

 

龍牙は書類と格闘の末、みごと勝利したのだ。

 

「しかし、統制機構とは大きな組織だな」

「まあな、こんな権限までもってんだからな」

 

統制機構いら貰った登録証は団長の許可があれば自由に力を使っていい。

つまり団長クラスの魔族は自由に眷獣を扱えるのだ。

いまのところ俺と獣兵衛だけだが・・・・・

 

「しかし、主が吸血鬼になっていたとはな」

「俺もビックリだよ」

「あら、別に困るようなことではないのだから、いいじゃない」

「レイチェル・・・・・」

 

金髪の幼い容姿の吸血鬼が転移して入ってきた。

 

「いい、阿夜」

 

ニルヴァーナを出そうとしていた阿夜を止める。

 

「それで、なんの用だ?」

「あら?客にお茶も出せないの?」

「はぁー、わかったよ」

 

棚にあったミルとコーヒー豆を取り出す。

 

「あら?コーヒーかしら?」

「生憎紅茶はないんだ。嫌なら緑茶を出すが?」

「いえ、コーヒーで構わないわ」

 

挽き終わったので店で使うような道具で淹れた。

 

「随分本格的ね」

「インスタントだと文句を言うだろ」

「ええ、そうね」

 

話している間に出来たようだ。

 

「どうぞ」

「いただくわ」

 

レイチェルは一口コーヒーを飲む。

 

「美味しいわ。店を開けるんじゃない?」

「そりゃどうも」

「それで、あの王女様はどうしたの?」

「ラ・フォリアのことか、ラ・フォリアは夕飯の買い出しに行った。なんでも旦那を食事と共に待つのが妻なんだと」

 

まあ、それは嬉しいんだが、コスプレは止めてほしい。

前回は巫女装束だった。

 

「あら、そう。ま、いいわ。今回来たのは貴方が吸血鬼になったと訊いたからよ」

「随分暇だな」

「失礼ね。わざわざここまで来たというのに」

 

めんどくせぇ

 

「コーヒー、美味しかったわ。じゃあね」

 

レイチェルは転移してどこかへ行った。 

 

「なぜ捕まえない?」

「六英雄の一人だ。かなり骨が折れるし、こっちからなにもしなければ基本的に無害だ」

 

阿夜はなんとか納得したようだ。

 

「そろそろ帰るか・・・・・」

「ああ、そうだな」

 

 

阿夜が転移で逃げたので一人で帰宅する。

 

「おかりえなさいませ、ご主人様。にゃん♪」

 

メイドまでは予測していた、だが、猫耳だと!?

 

「ほら、恥ずかしがってないで阿夜も」

「や、やめろ・・・・・っ!」

 

阿夜も猫耳メイドになっていた。

 

「っ!?お、おかえりなさいませ、ご主人様・・・・・にゃ、にゃん」

 

龍牙は今、憐れむ目を阿夜に向ける。

 

「あ、そうだ、今日、商店街で福引きがあって・・・・・」

 

ラ・フォリアがポケットからチケットを取り出す。

 

「ブルエリの招待券です!」

「ブルエリ・・・・・って、ああ、あれか」

 

ブルエリーーーーーブルーエリジアムは、絃神島沖合に建造された新型の増設人工島だった。半径六百メートルにも満たない小さな島だが、特筆すべきは、増設人工島全体が巨大なテーマパークとして設計されていることだ。リゾートホテル、レジャープール、ジェットコースターなどのアトラクション施設、そして〝魔獣庭園〟と呼ばれる特殊な水族館が整備され、絃神島の新たな象徴としての役割を期待されていた。

 

「あー、有給休暇余ってたし使うか」

「そう思って既に申請はしておきました」

 

そういうことは確認してから申請してほしい。

 

「つーか、暑くないのか?変圧器を交換するから、エアコンは動かないのに」

「ちょっとした裏技です」

 

ラ・フォリアはニッコリと微笑んだ。

 

「裏技って、確かに部屋は冷えてるけど・・・・・これか」

 

非常用バッテリーにエアコンのコンセントが繋がっていたのを見る。

 

「そういえばあったな。これが初めての使用じゃないか?」

 

ラ・フォリアが住む前から家にあった物だ。

まあ、まったく使わなかったが・・・・・

 

「ってか、それ、俺の部屋の非常用バッテリーだよな?」

「はい、五台あったので一台くらいいいかなと思いまして」

「まあ、いいけどさ」

 

五台もあるのは実験に電力が必要なのと、テイガーを造ろうとしたら、バッテリーが出来てしまったのでそのまま放置している物だ。

買ったのが三台、造ったのは二台だ。

造った方は一台で一般家庭十日分の電力をまかなえる。

 

「IRON=TEGAR?どこの会社だ?」

「あー、造った方だったか」

「バッテリーを造ったのか・・・・・」

 

阿夜はなぜか呆れた表情をしていた。

 

「なにしてんだ?」

 

ドアの前で話していると、声をかけられた。

 

「あ、逃げたか」

 

阿夜は転移して逃げた。よっぽどメイド姿を見られたくなかったんだろうな。

 

「古城か、いや、今日は変圧器の交換があって電気が通らないなって話してたんだ」

「は?え?こんな時間に?」

「北地区ですごい雷があったからな、古城」

 

古城と姫柊は顔を見合わせて、古城は複雑表情を浮かべる。

 

「悪かったよ・・・・・」

「いや、別に責めてはねーよ。ほら」

 

部屋にあった市販のバッテリーを渡す。

 

「おおわっ!?重っ!?なんだよこれ?」

「非常用のバッテリーだ。家にはまだあるし、使い終わったら返せよ」

 

古城は龍牙を崇める。

 

「ありがとな!今度なんか奢るよ」

「俺の金でか?」

「んなことしねーよ!俺の金だよ」

 

姫柊が頬を膨らませている。

 

「先輩!行きますよ」

「うおっ!?じゃ、また今度な!」

 

古城が姫柊に引っ張られて行ってしまった。

 

「大変ですね。古城も、食事、もう出来ています」

「おう、んじゃ、着替えてから行くわ」

「お手伝いします」

「ラ・フォリア、お前、それがやりたいがためにメイドになっているだろ」

 

ラ・フォリアは黙って、舌を出した。

 

「さ、上着をお預かりします」

 

ラ・フォリアは認めたのにも関わらず続行する。

 

「わーったよ」

 

着替えが終わり、リビングへ行く。

 

「今日は豪勢だな」

「はい、翌日、出掛けるので冷蔵庫の食材をすべての使いきりました」

「なるほどな、って明日!?」

「はい、阿夜は着替えて用意を買いに出ましたよ」

 

そういうことは先に言ってほしい。

 

「ご主人様のご用意は私がしました」

「いつまで続けるつもりだ?」

 

ラ・フォリアがノリノリでメイドを続けるので聞いてみる。

 

「寝るまでです」

「はぁー、もういいよ」

「お召し上がりください」

 

今日の食事は洋風だが、日本人の舌に合うように味付けされていた。

 

「上手いな」

「お褒めいただき光栄です」

 

いい加減止めてほしい。

こんなのが続いた。

 

「あー、明日の用意の確認しなきゃな」

 

いくらラ・フォリアが用意したとはいえ、必要な物が抜けている可能性もあるので、確認する。

 

「完璧だ・・・・・」

 

そう、完璧だったのだ。下着に水着やらもすべて入っていた。

 

「・・・・・寝るか」

 

ベッドに潜り、目を瞑る。

 

ドサッという音が聞こえた。恐らくラ・フォリアだろう。

だが、精神的疲労が溜まっていたため、なにかする余力がない。

 

翌朝、アラームで目が覚める。

 

「おい、起きろ、ラ・・・・・・阿夜?」

 

いつもと同じようにラ・フォリアが隣に眠っていると思っていたが、違った。

仙都木阿夜が隣に眠っていた。しかも下着姿だ。

 

「っつ!?ま、まだ大丈夫だ・・・・・」

 

吸血衝動に襲われたが、龍牙は自分の唇を噛んで血を流し、なんとか堪える。

 

「起きろ、阿夜」

「ん、んん、主か・・・・・」

 

寝ぼけて龍牙に抱きついた。

 

「ちょっ!?」

 

いろいろと当たっているので、抑えるのがキツい。

 

「龍牙、朝・・・・・お楽しみ中でしたか」

「待てよ!?」

「あ、阿夜のことは許してますけど、他の人はダメですからね」

 

吸血衝動に負けて、阿夜の血を吸ってしまった。

 

その後、軽く食事を取って専用のシャトル船に乗った。

就航して間もない船内は綺麗で、デッキからの眺めも素晴らしい。ドリンクやお菓子などの無料サービスも充実していた。

 

「古城、お前たちも来てたのか」

 

シャトル船を出てすぐ、友人たちと出くわしたのだ。

 

「龍牙たちも矢瀬に誘われて?」

「いや、ラ・フォリアが福引きで当てた」

 

古城、藍羽、凪沙、それに姫柊までいた。

 

「これでは休暇の意味がないな」

「ええ、正式オープンしたら、また来ましょう」

 

ラ・フォリアと阿夜が古城を見るなり失礼なことを話している。

 

「俺たちは行くわ。じゃあな」

「おう」

 

パーカーのフードを被りホテルへ向かう。

 

「龍牙、こっち着ません?」

 

ラ・フォリアが取り出したのはカカ族の民俗衣装。

 

「着ないぞ。こっちの方がまだマシだからな」

 

龍牙が着ているのはテルミのパーカーなのだ。

 

「って、あれ、矢瀬だな」

 

後ろから矢瀬たちが電動カートに乗っていた。

 

「よ、矢瀬」

「龍牙か?もう一台用意した方がよかったな」

「いや、別にいいけどさ、古城、降ろしてやれよ」

「こいつ、目的地に着くまで止まれないんだわ」

 

龍牙は涼しげにカートと並走している。

 

「まあ、なんだ、頑張れよ、古城」

 

龍牙は立ち止まり、手を振る。

 

「いきなり、走り出すとは・・・・・」

「まったく、わたくしたちのことも考えてください!」

 

ラ・フォリアたちは転移で追いつたようだ。

 

「悪かったよ。あ、カートがあるから取り合えず乗ろうぜ」

「そうですね」

 

龍牙は百円をカートに入れて目的地を設定する。

 

目的地のホテルに到着した。

 

龍牙はホテルの受付にラ・フォリアから預かった招待券を見せる。

 

「あー、これ、ここですよね」

「はい、お部屋は382号室になります」

 

鍵を渡された。

 

「取り合えず、部屋に荷物置いてからな」

「わかったぞ」

「ええ、わかりましたわ」

 

受付の人に紹介された部屋に行く。

 

「結構広いんだな」

 

そこはかなりの広さがあった。

さらに風呂もゴニンくらいゆったり入れるスペースがあった。

 

「キングサイズのベッドですね」

「そうだな、一基だけだ」

「触れないでいたのに・・・・・」

 

そう、キングサイズのベッドのみしかないのだ。

つまり、三人一緒に寝ないといけないということだ。

 

「夜が楽しみですね」

「俺は不安だ」

 

荷物を部屋の端に置いて、遊びに出る。




精霊使いの伝説。
新しく投稿しました。よければそちらも見てください。
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