ISーインフィニットストラトスー とある少年のドタバタ転生録 作:クロイツヴァルト
「ヒレンー!」
「・・・鈴か。」
授業が終わった放課後の教室の中でヒレンは家から持ち込んでいた新聞を読んでいると鈴が教室に入ってくるとヒレンに体当たり紛いに抱き着いて来る。
「なにを読んでるの?」
「・・・経済やちょっとした小さな事件が載ってたから見ていただけだ。」
「ふーん。 ヒレンってたまに難しいのを読むよね?」
「そうでもない。 今の勉強をしっかりすれば理解は出来る。」
「そう簡単に理解できるのはお前だけだからな?」
2人で話している所に呆れた声と表情で弾が会話していると
「なんだまだお前らは帰ってなかったのか?」
「お前を待っていたのに中々来ないからこっちから迎えに来たんだっての。」
ヒレンは持っていた新聞を折り畳んで鞄に突っ込んでから弾に言う。すると呆れた表情のまま弾はヒレンにそう告げる。
「早く行くわよ!」
「そんなに慌てて帰る事もないだろ」
「一夏はどうした?」
「先に校門の方に行ってるって」
「そうか・・・。」
そう言ってヒレンは鞄を肩にかけて席を立ち弾達と一緒に校門へと向かう。
「ん、あれって?」
「千冬さん?」
校門に近づくと一夏が黒のスーツに身を包んだ女性と話をしているのを見つけて弾と鈴はその人物が誰かという事に気付き声を出す。
「(あれが・・・俺のオリジナルか)誰だ?」
「一夏のお姉さんだよ。 なんか凛としたあの雰囲気が良いよな~」
「弾は年上の女性が好みなのか?」
「そうだな・・・後、付け足すのなら理知的で胸が大きい事だな!」
「変態!」
「なぜだっ!?」
弾の宣言に鈴の掌底が鳩尾に綺麗に決まり弾は悲鳴を上げながら地に伏せる。
「ふんッ!」
「まったく・・・鈴、一夏がこっちに気付いたみたいだぞ。」
「ちょっま・・・顔が削れる!?」
ヒレンは蹲る弾の足を持って引き摺りながら鈴と一緒に一夏の下へ向かう。勿論、弾の悲鳴はスルーして
「あはは・・・弾はまた何かしたのか?」
「いつもの事だ。」
「そ、そうか。 あ、ヒレンは初めてだよな?」
「
「ッ!?」
一夏の言葉にいつも着用している伊達眼鏡を外して自己紹介をするとその顔を見た一夏の姉である千冬は驚愕の表情をする。
「・・・千冬姉?」
「あ、あぁ。 大丈夫だ。 初めまして、一夏が世話になっている様だな。」
「えぇ、とても。 毎回コイツが起こす騒動のフォローをしていてとても大変な思いをしている。 勿論、色恋沙汰の件も」
「・・・それはすまない。」
「え? え? なんで二人して重い溜め息を吐いているんだよ!?」
「・・・一夏、悪いけど弾達と先に帰ってくれないか? 俺は少しお前の事でお姉さんとお話することが出来たから」
「奇遇だな・・。 私も丁度話をしてみたいと思ってたところだ。」
2人が唐突に一夏にそう言うとその場を一夏に任せて校門の前から移動する。 その間際に一夏の断末魔染みた声と共に重たい打撃音が校門の前で響くが二人はそれを無視して千冬が運転している白のスポーツカーに乗り込み、その場を後にした。
「・・・改めて見ると確かに似ているな」
「・・・それで? 二度目はどんな感じだ
「やはり見間違いでは無くお前があの紅い機体に乗っていたのか」
「あの時は俺の体の性能テストも兼ねての初実戦だったからな。」
「アレで初めてなのか?」
運転をしながら千冬はヒレンの言葉を聞いて目を見開く
「俺はその為にあんたの細胞から培養されて体も弄られている。」
「・・・そうか。」
その後はヒレンは横目に過ぎ去る景色を見ながらこの人物との接し方を決めあぐねていた。
「・・・お前は」
「・・・俺は今の現状を不満に思った事は無い。」
「何故だ? 私の存在がお前と言う存在を作りだしてしまった元凶だぞ?」
「そうだ。 なら逆も然り・・・オリジナルがいなければ俺もまた生まれなかった。 その事に関しては感謝している。 些か
自嘲気味に口元を緩めるヒレンに対して千冬は
「お前は強いな・・・。」
「・・・俺は弱い。何かに縋りたいほどに」
「・・・」
「今は平穏と争いの間を渡り歩いているが・・・たまに思うんだ。 俺の存在理由ってなんなのか・・・」
「それはこれから見つけて行けばいいのではないのか」
「俺に見つけられると? 戦うを目的として作られた俺が・・・」
「そんな事は関係ない! 確かにお前は私のクローンとして作られたとしてもお前はお前だ。」
「・・・オリジナルのアンタの方がよっぽど強いな。」
「それは皮肉か?」
ヒレンの言葉に千冬は僅かに微笑む。
「身体的な事じゃ無くて心がだ。」
「心・・・」
「確かに身体的な強さもあるが強さには色々とある。 先に挙げた強さもあれば精神的な物もあれば誰かを護る強さもある。 しかし俺にはそう言った漠然とした物が無い空っぽのままだ。」
「・・・お前の悩みはソレか。」
「ま、一生誰かに話す事は無いと思ったがオリジナルに話す事になるとは思いもしなかったがな」
その言葉に千冬は堪らず路肩に車を停めるとヒレンの肩を掴む。
「お前は・・・お前はそれで良いのか!? 確かに元凶になってしまった私の言葉で響くか分からないが・・・確かにお前が、ヒレンがいてくれたお蔭で一夏も助かった。 それは紛れもない事実だ!」
「それは偶然かも知れないぞ?」
掴まれた肩を一瞥したヒレンは冷ややかな目で千冬を見るが千冬は負けじとヒレンを見つめ返す。
「・・・はぁ、まるで俺が駄々を捏ねている子供みたいじゃないか。」
「ふん、実際にお前は私よりも子供ではないか。」
「だけど・・・」
「うわっ!?」
「子供だからって男を密室になりやすい場所に連れ込むのは危険だからな・・・?」
「な、なっ!?」
「・・・さっきのお返しだ。」
肩を掴んだヒレンは驚いた千冬の隙を突いてシートを倒して覆い被さり慌てふためき赤面する千冬に悪戯が成功した様な子供の表情で呟くと素早く千冬の上から退くと鞄を持って扉を開ける。
「俺にとって貴女と会って話した時間は実に有意義だった。 また会える事を楽しみにしている。」
「・・・なら、来年のIS大会に来い。」
「第二回IS世界大会モンドグロッソ」
「そうだ。 私の紹介状を一夏に渡す、だから絶対に見に来い」
「・・・楽しみに待ってる。」
「お互いにな。」
そう言って千冬はヒレンが開けたドアを閉めてそのまま車を走らせる。
《良いのか? 彼女の大会に行くという事は》
「亡国企業の行動か・・・問題ない。 俺とアストレア・・・それにティエリアも手伝ってくれるだろ?」
《はぁあ・・・君は一度言った事は曲げないからな・・・可能な限りフォローはする》
「助かる。・・・さ、帰るか。」
そう言ってヒレンは家へと帰路に就く。
その頃
「ヒレン・・・アイツは・・・何かまだ壁を作っているな。」
車を走らせながら千冬は思案する。
「しかし・・・さっきのあの真剣な表情・・・って私は何を考えているのだ!!!!」
運転席で難しい顔をしているかと思えばリンゴの様に真っ赤になったりと忙しい千冬なのであった
千冬さんとの接触をメインに書いた結果千冬さんの様子が・・・どうしてこうなったのか