ISーインフィニットストラトスー とある少年のドタバタ転生録 作:クロイツヴァルト
「こんな日に・・・亡国企業、俺の楽しみを奪った事、後悔してもらうぞ!」
ワアァァァァァァ!!!!
コロシアムの様な造りのアリーナから聞こえる大きな歓声を余所にヒレンは路地裏に消える。
今から数時間前
「よく来たな。」
一夏と共に連れられてヒレンはISスーツの上からコートを着た千冬に会いに控室に通されていた。
「千冬姉、今度も優勝するんだろ?」
「ふっ、当たり前だ。」
「アンタの試合、前の物を見たけど人間辞めてないよな?」
「何を言う私は正真正銘の人間だ。」
ヒレンの言葉に千冬は何を言ってるという表情をしながらも不敵に笑う。
「・・・あんな非常識な反応速度をしているのにか」
「それだけ千冬姉が凄いって事だろ?」
「ちょっと黙ろうかシスコン。」
「なんだよ」
「で、今回の勝算は?」
「勝算も何も・・・勝つ想像しか私はしていない。」
千冬のその傲慢とも取れる言葉に
「そうか・・・楽しみにしている。 一夏、俺は先に客席に行っている。 」
そう言ってヒレンは一夏達から離れて客席へ向かおうとしていると
「ちょっとそこの貴方!」
「(面倒事は御免なんだが)・・・俺の事か?」
ブロンドの少女・・・ヒレンや一夏とそう変わりそうに無いいかにも高飛車な感じの子が通路の真ん中で仁王立ちをしてヒレンへ指を突き付けていた。
「ここに貴方のような男が入って来ていいとお思いですの? ISを動かす選手たちの控室から出て来たみたいですけどどうせ媚を売っていたのでしょう?」
「・・・はぁ」
「な、なんですの! その溜め息は!? このセシリア・オルコットがわざわざ話し掛けているという事が分かりませんの!?」
「お前が実際に戦う訳じゃあるまいし何を息巻いてるかと思えば・・・俺はお前に興味は無い。 サッサとそこを退け・・・退かなくても通れるけどな」
話している最中、少女【セシリア】の意識が一瞬逸れた瞬間にヒレンが保有するESP能力の一つ
「え、えぇ!?」
一瞬で後ろに移動した事に驚愕の声と共に先程、ヒレンがいた所と今いる所を見比べて目を丸くしていた。
「・・・じゃぁな。」
「ちょっとお待ちなさい!」
ヒレンは何も興味無いとばかりに観客席に向かおうとするがそれをセシリアは声を上げて追ってくる。
《ヒレン、周囲で何気なく移動している人間がいるが何人か
「・・・どこから漏れたのか。」
「?・・・何か仰りましたの」
「ッ!? 屈め!」
「ちょ・・・何を」
セシリアが非難の声を上げようとした所で後ろから空気の抜ける様な音と共に自身と押し倒す形で倒れたヒレンの上を通過するが、ヒレンの肩付近を掠めたのか衣服が軽く裂けてそこから血が流れていた。
「ッ!!!!」
叫びそうな衝動に駆られたセシリアだが気丈にも声を上げずに唇を噛んでいた。
「・・・意外と強いな。」
「怪我は」
「こんなもの怪我の内にすら入らない・・・そろそろ出て来たらどうだ?」
ヒレンの言葉に従って薄暗い通路に来ていたのかその奥から数人の黒づくめの男達が出て来た。
「・・・
「・・・目撃者は消ス」
「標的ハ貴様ダ」
「マスターノ命令ガ優先」
機械混じりの音声に眉をしかめてヒレンは下にいるセシリアを起こしてから背中に隠すようにして男達と対峙する。
「(どうする? 護りながら戦うのは初めてだし、こんな所でアストレアを出す訳には)・・・セシリア、そこでじっとしていろ。」
「な、何を馬鹿な事を「なら、お前はむざむざと殺されたいのか」ッ!?こ、ころ」
「奴らは裏組織の構成員の様だが様子からして半機械化した強化人間紛い・・・こんな事をするのはあのキチガイなマッドしか心当たりがない」
「・・・我々ト共ニ来イ」
「悪いが俺はまだ
そう言ってヒレンは駆けだして一番近くにいた黒服の男目掛けて拳を振るう。
「馬鹿メ」
「それはお前だ!」
身体強化も施されているヒレンの拳は戦車の装甲を軽く貫通するほどの力を持っているために男の両腕の防御の上からぶち抜く形で両腕を文字通り粉砕して吹き飛ばす。
「ナニッ!?」
「意識を逸らすな!」
「ッ!?」
何時の間に飛んだのか男の頭上からの声に咄嗟で判断して頭を守った男だがその上から此方も強化された足の一撃で横に蹴り飛ばされて壁に叩き付けられる男
「コ、コンナ・・・貴様ハバケモノカ」
「貴様らに言われる筋合いは無い。 あのキチガイ博士に言っておけ・・・次に俺を狙うなら関係無い者達を巻き込むなってな。」
それだけ言うとヒレンは後ろで恐怖かこの非現実の様な戦闘を目撃したのか分からないがへたり込んでいるセシリアを抱えてその場を一気に離れる。
「マスター、任務失敗デス。 破壊サレタ二体ヲ破壊シテ帰還シマス」
唯一破壊されずに生き残った一体がそう告げると腕が変形して銃の様な形になると駆動系がイカレタのか動作不良を起こしている二体の抹消を始めるのであった。
「・・・此処までくれば安全か。」
「・・・」
「おい、いつまで放心しているつもりだ?」
「え・・・なっ!? 気安く私に触れないで下さりません事!?」
「はいはい・・・」
セシリアの絶叫染みた言葉に耳鳴りがするヒレンは近くのベンチにセシリアを下ろす。
「分かったか? 俺みたいな奴に関わればろくな目に会わないから極力避けるんだな・・・。」
「・・・傷はもうよろしいのですか?」
「言っただろアレ位の物は傷の内に入らない。 治癒力が常人のそれを軽く上回るからな」
そう言ってヒレンは裂けた衣服の上から見える様にセシリアに見せる
「傷が・・・もう塞がりかけて」
「奴らが言う様に俺は化物だからな・・・」
「あなたは化物ではありませんわ!」
「・・・」
「本当の化物と言うのなら何故あなたはそんな悲しい目をしているのですか?」
「それは・・・」
ベンチに座りながらもセシリアはヒレンの瞳をジッと見つめる。
「それにあの様な場面でしたが、助けて下さり感謝いたしますわ」
「さっき顔を合わせただけなのに凄い変わりようだな・・・。」
「・・・気の所為ですわ」
ヒレンの言葉に思う所があったのかセシリアは気まずそうな表情でそっぽを向く。
「く、くくくっ! あはっははは!」
「な、笑うとは酷いですわ!」
「悪い悪い・・・いや、お前の反応が「セシリアですわ!」 ・・・?」
「私の事はセシリアとお呼び下さいまし」
「・・・そう言えばおま、セシリアだけが名乗って俺だけ名乗っていなかったな。 俺の名前はヒレン、ヒレン・E・アスティだ。 こんな名前となりだが生粋の日系人だからな」
「ヒレン・・・さん」
「お嬢様ー!」
お互いに名乗り直した所へメイド服を着た女性がこちらと言うかセシリアの下へ慌てて走り寄ってくる様子が見える。
「これ以上の面倒事は勘弁なんでな・・・」
「あ・・・」
そう言って背を翻してヒレンはアリーナの方へと駆けだしてしまう。
「お嬢様! 探しましたよ!」
「心配かけてすみませんわ。」
「・・・セシリアが素直に謝った・・・ですって!?」
「チェルシー、それは喧嘩を売ってるのかしら!?」
ヒレンが去った後には確かに面倒事が起きている様であった?